OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜 作:ニコラス―NICORUTH―
ンアー「 世界壊れるぅ!壊れるぅ!世界壊れちゃ~う!! 」
ARCUS「 これこそ、食通だな! 」
ポケモンとデジモンをぶち込みましたので、タグも編集致しました。
シャドバが面白いので、そこのドラゴンもぶち込もうかどうかと検討に検討を重ねております。
あ、ちなみに今回淫夢はほとんど、ないです。
ご了承を。
時同じくして、魔導国のある大陸西側からすぐ隣、大陸中央の、ある場所。
身体中に刃のような鱗のついた、巨大なドラゴン。それが今息絶え、大地に倒れ伏した。
彼も勿論、見かけ倒しの存在ではない。人の身のそれを大きく超えた時を生き、技を磨いていた。しかし、彼の生命はここで終わった。
寿命ではない。彼は勇ましく戦い、そして闘いの中で死んだ。身体中の傷が、その激しさを物語っている。
そんな、このドラゴンの亡骸の側に、異様なそれがいた。
蜥蜴人間、とは間違っても呼べない。そんな凄み、まったく比べ物にならぬ武を感じさせるそれは、この世界の亜人の一種であるリザードマンなどとはわけが違う。
あれらと同じ次元で考えて良い存在では断じてなかった。
黒い東洋鎧を纏った竜人と呼ぶべきか、そんな人と龍の混ざり合ったような姿のそれの手に握られていたのは、独特な形状の剣だ。日本刀を思わせる取っ手と鍔、シミターのような曲刀よりもカクカクした、曲がった刃。ふ
この世界の何処の職人にも、こんな物は考えもつかないし、作れぬような業物である。
そう、このドラゴンを仕留めたのは、彼だ。
何故?闘いたかったからだ。彼のいた電子世界において、闘争とはそこにすまう生物の常だ。
闘いの中で磨かれ、経験の果てに、彼らは「進化」する。
この竜人も、元は今より小さな存在だった。しかし、闘いの中で鍛えられ、段々と大きく強くなり、そして、進化の一つの到達点たる「 究極 」に至った。
そんな今となっても、未だに彼は武を磨き続けている。
それは、この世界に来ても変わらなかった。
例え理が違おうとも、彼という生命が、闘いに生きることに、なんら変わりはなかったのだ。
その相手が、このドラゴンであったというだけだ。
「 良き闘いであった。竜王の名に恥じぬであろう。だが、我の方が上手であったな。 」
闘った相手への、この言葉。幾多もの敵を打ち倒してきた彼は、強者に対しては、このように敬意を示した。ドラゴンは、この荒武者にとって、それなりの強敵であったようだ。
でなければ、このオオトカゲが、「剣刃の竜王」などと呼ばれよう筈もない。
・・・最も、彼はこの世界の多くを知らない。知るつもりもない。彼が望むはより強き者との闘いだ。故に真なる竜王なる存在も当然知るわけがない。
その点においていえば、この異界からの武人は、この世界の如何なる実力者よりも、真っ直ぐであった。
小細工を弄すばかりの魔導王とも、世界を守る世界を守ると盲言を吐き連ねるばかりで、一部の暴を振るう竜王を野晒しにしていた「白金の竜王」とも違った。
闘いこそが、彼の生きる意味だ。
清々しいまでに、愚直な生き様だ。
「 ・・・! 」
その時、彼は何かの視線に気づく。闘争の中で磨き上げられた勘、本能がそれに気づかせたのだ。
その先は、後ろの大岩。この影に、なにかが隠れている。
「 何者だ。出てこいッッ!! 」
彼のその覇気に押されてか、潔くそれは現れた。無限に滴り落ちる、黒い粘体。スライムである。
その色合いはどこか不健康そうで、みるものすべてにいろんな意味で不安を齎す。
が、彼は違う。この"旧き黒い粘体"は、酷く新鮮な存在に見えたのだ。元いた世界にも、類似した存在はいた。
だが、それらとは、まるで違う。気迫も、そして窺い知れよう実力も。
「 な、なんでしょうか? 」
「 貴様、汚物系か?レアモンの進化系かなにかか? 」
「 は、はぁ? 」
その粘体は困惑していた。彼のこの姿は、元々あるゲームで使用していたアバターそのものであり、そのゲームは自由度で知られ、様々なタイプのモンスターはいれど、汚物系なる括りは存在しなかった。勿論、彼も汚物系なるカテゴリではない。スライムの一種、その最上位種だ。
「 こんななりではありますが、私、ウーズなんですよ。
・・・レアなのは確かかもしれませんが。 」
「 ウーズとはなんだ? 」
「 ご存じ、ないのですか? 」
「 まったくだ。新種か? 」
「 スライムですよ。 」
「 スライム・・・ 」
その言葉自体は、彼にも覚えがある。そんな時期が自分にもあった。がしかし、そんなもの、大昔の話だ。
「 我も、生まれたてはスライムだったが、すぐにそうではなくなった。だが、貴様はそのスライムのまま、高みに登っている、か。 」
「 いや、私みたいなの、結構いますよ。身近な方でいえば、タグ取りの上手いタンク職の方がいますし・・・ 」
その時、彼は目の前の粘体が、自分とは違う世界の存在だとようやく理解するに至った。
同時に、次なる闘争の相手が見つかった。
「 ならば果たしあえ!武を競おうぞ!! 」
「 え?どうして、そうなるんですか? 」
「 オレは武に生きている。オレの生とは闘いだ。それだけのことだ。 」
この言葉を聞いた粘体も目の前の鎧武者が何者かを理解した。この男は、かのゲーム、ユグドラシルのサービス終了後、電源を切ったその数日後に、無理が祟って道路のど真ん中でぶっ倒れ死んだところ、気づけばこの世界、この姿でいたのだ。あの時自身の呼吸、生命が失われる感覚を覚えた筈なのに、こんなところに飛ばされた。奇っ怪なこともあるものだとこの未知の世界を探索するうちに、自分を含めて、この世界の生命は、ユグドラシルのそれそのもののシステムに生きていることを知った。だが、目の前のそれは違う。彼は少なくとも、この世界の摂理やユグドラシルのに準じた存在ではない。
きっと自分とは別の世界から来たのだろう。
さっきのレアモンというのも、彼の元いた世界に、そんなモンスターがいたのだろうとすれば、納得もいく。
この強いものに闘いを挑む姿勢は何処か、昔いたギルドのメンバーを思い出させた。
きっと逃げても追いかけてくるだろうが、程よいところで引き上げるが良いだろうと考え、粘体は、戦闘態勢を取った。大男の形をしたそれは、相も変わらずドロドロと身体に悪そうな液体が滴っていた。
「 時に聞きたい。そなた、調子は良くなかったりするか? 」
こんな見た目なので、彼は闘う前に、粘体に気遣ってこう質問した。
その"旧き黒い粘体"はその問いかけに懐かしく感じた。
サービス終了の日、久しぶりに拠点であった大墳墓に赴いた時、ギルド長を務めてくれていた死の支配者にもそう聞かれたことがあった。
「 身体ですか?超ツヤツヤですよ。 」
当時と違う答えを、ヘロヘロは返した。
彼が、この世界にいることを、ナザリックの者たちは未だ知る由もない。
大陸西側、ナザリック地下大墳墓より西の、ローブル聖王国。
かつて、魔皇ヤルダバオトに蹂躙されたこの国であるが、今ではそのほとんどが復興し、かつてのそれはなりを潜め始めていた。この国では、魔皇を打破してみせた魔導王アインズ・ウール・ゴウンを崇める宗教団体が存在し、聖王の派閥である北側に広く浸透していた。
彼らは魔導王こそが、自分たちを襲った悲劇を起こした張本人であることを知らない。
ただ一人、聖王カスポンドを除いて。
そして今、彼らは再び、危機に瀕していた。
日照りと豪雨のダブルパンチという、未曽有の天変地異であった。
燦々と地上のすべての生命を照らしてくれるはずの太陽の光は、大地を熱して穀物を焼き尽くすまでにいたり、大雨によってさらに洪水が居住区を襲う。海は荒れ果て、船一隻も通れぬ有様な上、津波が押し寄せる危険すらもある。
聖書には、神は一週間のうちに、天地と人を創造したとあるが、まさしくその様相。
その原因は、直ぐ側の、真水の海にいた。
二体の巨大な獣が、いがみ合っている。赤いトカゲのような獣の身体には、超高温のマグマが滾り、青いシャチのような獣の身体には、海水が廻っている。
それらが溢れ出て、この二体の元来の性質も合わさり、異常気象を起こしているのが、この天災の実態だ。
この人知を超えた事象に、聖王国の民は、どうすることもできなかった。これらに比べればヤルダバオトなど、なんと可愛いものだろう。あれは悪魔という異形種の招いた人災に近いが、これは大自然そのもの。人にも亜人にも、抗い難い力である。
勿論、真なる竜王にもだ。
この二体の地と海の概念の化身とも呼ぶべき存在。これらは互いの領土を奪いあい、争いあってきた。
元はその世界の古代人たちの考えた神話であったが、それがまさに預言だったかのように二匹は、初めてであってからというもの、このように幾度となくぶつかり合っているのだ。
今回も同じ。自分たちのいた場所とは、まったく違う世界。そこでも海だ陸だと土地の取り合いだ。
そこに住まう者たちの事など、当然ながら眼中にない。
大自然の化身が、そんな小さな事など気にしようものか。
聖王国の民はなす術がなかった。ヤルダバオトの襲撃以前より、民間人でも、レベル7ほどのモンスターならば相手取れる武力を有していたが、所詮その程度だ。
人間の遭遇しうる真の脅威とはなんだ?
飢えた亜人に魔獣か?高レベルの悪意に満ちた悪魔か?
否。否否否、断じて否。
真に人が恐れるものとは、今目の前に巻き起こるこの光景。
そう、自然災害である。
これらに比べて真なる竜王など、所詮はデカいトカゲ止まりだ。
如何に技を磨こうが努力しようが、この大地と大海の獣からすれば、塵芥でしかない。
この大地に〈地震〉を響き渡らせ、大海の大波に繰り、〈渦潮〉を巻き起こす自然という神の体現者の前に、ただ蹂躙されるばかりだ。
もはやこれまで。聖王国は魔導王や四大神に祈りながら、滅びゆくほかないのか。
おお、スルシャーナよ、寝ておられるのか?
・・・と、世界の終わりのような惨状であるが、完全に詰みなのかといわれれば、そうでもない。彼ら二体には、自分たちの暴走を食い止めてしまう天敵が存在する。
それが現れてしまえば、如何に強大な力を振るうこの獣たちもお手上げである。
今回も、同じだった。いざや豪雨降り注ぐ暗雲より、陽光のカーテンが下ろされる。その神々しさに、人々は、争っていた獣たちすらも、注意を惹かれる。
そして、それは光の中から現れた。神々しき龍。この天災より、すべてを救う為に。
なのだが、今回は少し違った。この獣たちを存じているものたちにとって、彼らの調停者とは、この世界において
「 烈空の竜王 」と呼ばれる、あのドラゴンなのだろうが、ここは彼らのいた世界とは違う世界。彼らからして未知の場所。
故に彼らも、未知の存在の介入を受ける事となった。
といっても、龍であることはいつもの同じだ。
だが、それは明らかに、この獣たちからして異質な存在だった。
東洋龍の細長い赤いフォルム、西洋のドラゴンのごとき翼を備えた巨竜。これだけでも度肝を抜かれるがしかしやはり、特徴的なのは、顎だ。
顎が二つ付いている。
雷が轟く中、その龍は陽光のもとに舞い降りる。
大地を、大海を荒らす、二体の獣になにを思うかは、誰も知るすべはない。しかし、確かなのは、その龍は、神は確かに降臨したのだ。
この天災を、鎮めるために。
かつて、二体の獣や烈空の竜王、そしてアゼルリシアを蹂躙する「 機巧の竜王 」とも別の世界、ユグドラシルにも語られる物語の超常存在の一角こそ、彼だった。
その名は、エジプトの農耕と冥府の神の名を冠しているが、この世界にてそれを知るのは、プレイヤーだけであろう。
「 天空竜 」の咆哮が木霊する。獣たちに緊張が走り、次の瞬間、竜の開いている下の方の口より、眩く迸る雷光が放たれる。
「 ―――!? 」
「 陸の獣 」は唖然とした。本来ならば、彼に雷は通用しない筈だった。彼らの世界の摂理は陰陽五行をより事細かにしたようなものであり、その律において、雷は、大地に生き、その力を行使する者たちに無力である筈だった。
しかし、天空竜の〈 超電導波 〉は彼の身体を貫き、その暴威を打ち砕き、海に鎮めるに至る。
理由は一つ。この龍はモンスターではない、神だ。
「 海の獣 」は、同格の相手があっさり敗れたのを見て同様しているようだった。天空竜はそれに構わず、第二波を撃たんと雷のエネルギーを蓄えた。
獣はそれに対して数本もの水の柱を撃ち出した。並の生物ならば、粉々に打ち砕き、100レベルのプレイヤーも、喰らえばタダではすまぬ一撃。
しかし、その口より放たれた二発目の〈 超電導波 〉は、その威力を凌駕していた。
〈根源の波動〉は掻き消され、獣は雷に撃たれ、始まりの海の中へと消えていった。
獣たちがいなくなったことで、天災は収まる。雨は止み、太陽の光はその本来を温かみを取り戻す。
海も、先の荒れようが嘘であるかのように、静まりかえった。
「 ―――! 」
勝利した龍の雄叫びが響き渡る。
聖王国は、そこにすまう生命は、こうして救われたのだった。
このような状況下の中、世界の守り手を自称していた〈白金の竜王〉をなにをしているのか。
結論からいえば、それどころではなかった。
アーグランド評議国。大陸最北西に位置する、唯一評議会制を導入した国であり、同時に竜王国と同様、真なる竜王の興した国であった。
それが今、やはり滅亡の危機に瀕していた。
ドラゴンの国は、またドラゴンによって潰されようとしていた。
異世界より招かれし、二体の龍。彼らはひたすら荒れ狂っていた。
ツアーは、そんな彼らを打ち倒さんと立ち向かっていたが、まるで刃が立たないのが現実であった。
「 始原の魔法―― 」
「 ―――! 」
その四足歩行の青いドラゴンは、始原の魔法を唱えようとしたツアーに対して咆哮すると、彼は奇妙な感覚に見舞われる。
――魔法が、発動しない。
しかし、その感覚から、唱えようとしたのは確かであると認識する。
真なる竜王の使用する始原の魔法は、魂、いうなればHPを消費して発動する。
彼自身の魂の消耗がそのままになにも起こらなかったわけである。
この時、彼は確信した。
―――飛ばされたのだ。魔法を唱えたという時間を。
もう一体の、二足歩行のドラゴンの、腕に力を蓄えた渾身の一撃、空間そのものを切り取る〈亜空切断〉が、呆然とするツアーを切り裂く。
「 ガァアッ!? 」
身体を裂かれながらも、なんとか態勢をそのまま維持するが、今回の来訪者は、彼の手にも余るであろうことが、ツアー自身にもわかった。
( やはり、慈母の"アレ"は間違っていた。だが可笑しい。
確か、慈母はユグドラシルに近い世界から猛者を呼び出すようにした筈・・・まさか!? )
〈時の咆哮〉と〈亜空切断〉が迫る中、ツアーは、慈母の百年の揺り返しへのカウンターと呼ぶべきそれに、別のなにかの介入があったことを悟った。
そして、その頃、竜王国。
「 ぬわぁぁぁあん疲れたもぉぉぉぉおん! 」
「 グウゥ・・・ 」
「 お前いつも疲れてんなって?ま、多少はね? 」
魔龍や魔獣たちとともに女王と交渉しにいった仲間たちを待つタドコロは、暇を持て余していたが、その影が飛んでくるのが見えた瞬間、その退屈はすぐに晴れることとなった。
「 お、大物か?いいねぇ! 」
男は即座に仲間から預かっていた、黒い杖を取り出して、それを迎撃にかかるのだった。
「 殺りますねぇ!! 」