OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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 先輩の戦闘回が少なすぎィ゙!と思いましたので、初投稿です。


竜王レ○プ!救国の英雄と化した先輩!!

 

「 お前さ竜王さ、せっかく建てた国滅びそうになってんだけど、なかなか出てこなかったよな? 」

 

「 黙れ、竜帝の汚物め!!貴様らのせいで、私は隠れて生きるほかなくなったのだぞ!?人間と子をなす他なくなったしな! 」

 

 タドコロは、目の前で翼をはためかせ飛んでいるその身が七色の真なる竜王を目の当たりにしても、いつものペースを落としてはいなかった。

この七彩の竜王(ブライトネス・ドラゴンロード)こそが、この竜王国の、そして大々同国を治めてきたオーリウクルス王家の始祖にあたる。

がしかし、ビーストマンに襲われるこの国は、この竜王は如何なる理由からか、無視し続けていたのだ。

それ故に二人の周囲の国民は、そんな竜王に畏怖を覚えこそすれど、反感からか白い目線を向けるもの少なくなかった。

 

「 だからよ、なんでそうまでして儲けた子孫がやべぇことになってたのに、今の今までなにしてたんだよお前よ。

オメェら頑張れってか?オメェも頑張んだよ。お前の国だろ? 」

 

「 黙れ黙れ!貴様ごときに教えてやる筋合いはない!

死ねぇ!! 」

 

 そういって竜王は、業炎のブレスを吐きだす。

始原の魔法(ワイルドマジック)ではない、この手のドラゴンにはありきたりな攻撃である。

 

「 〈フバーハ〉! 」

 

 咄嗟に人狼は、ブレスに耐性を持たせる魔法を唱え、魔獣と友の魔龍を保護する。

しかし、周囲の人々までは保護しきれず、民衆は炎に晒され、焼き焦がされる。

 

「 おいお前よぉ、こいつら国民だぞ?それに当たるとかバカじゃねぇの? 」

 

「 知るか!人間やら獣ごときいくら死のうがまた沸いてこようが。 」

 

 

 なんたることか。建国者である筈の竜王は、その国民を軽視していた。彼にとって、人間とは、亜人とはゴミ同然であるのだろう。

それにしても、まさか会話すら成り立たないとは。

よほどプレイヤーを毛嫌いしているとみえる。

こうして思い返されるは、あるじぇんとの言葉だった。

 

"それは竜王国が人間の国で、ドラゴンは異形種だからだろう。"

 

 

 確かに、彼の言う通りであるのかもしれない。先の発言は、いくらプレイヤーを敵視していたとしても、竜王国を思っているのならば、でない言葉だ。

 

 女王だけが大事であったとしても、王族だけで、国は成り立たないことくらい、このボンクラトカゲも知っている筈だ。その上で国民を軽んじた。

 

 ということは、この竜王は竜王国をどうとも思っていないということである。

 

 これがその昔、あちらこちらにわんさかいたのなら、その点は狩りまくってくれた八欲王を賞賛したくなるところだ。

 

やりますねぇ!と。

 

 

 

 兎も角、目の前のドラゴンを活かして帰すわけにはいかないとタドコロは確信する。コイツがこのまま暴れたら、ただでさえやばい竜王国が潰れかねない。

 

 竜 王 国 こ わ れ る 

 

 のである。そうなれば、この辺りは更地となり、仮に都市国家連合の領地としても、なんの付加価値もなくなってしまう。国とは、あるだけで、そこに人が存在するだけで価値あるものなのだ。

 

 最悪、魔導国が侵攻してくる可能性も高まってしまうし、近くのヴリヒルドリアや、飛竜騎兵部族の里も危うい。そのため、このステハゲ人狼はなにがなんでも竜王国を守護(まも)らねばならないのだ。

 

 幸い、彼はこの国に一人で来たわけではない。王城にいるMURやあるじぇんとも直に異変に気づくだろう。特にあるじぇんとは真なる竜王との邂逅を望んでいたのだ。

それが今タドコロの前にいる今、食いつかないはずが無い。

援軍が駆けつけるのも、時間の問題だろうが、彼らを待っている余裕はない。

 

 彼からワールドアイテム「真なる無」を預かっている。ユグドラシルでも最高峰、200種ほどしか存在しないとされたこのアイテム群を持っているプレイヤーは、真なる竜王の行使する始原の魔法(ワイルドマジック)を寄せ付けない。

そう、持っていれば。

 

 

「〈 魔法最強化LV8魔獣召喚 〉!」

 

 シャーマンの十八番、高レベルの魔獣を召喚する魔法を唱える。呼び出したのは、四対の角と緋色の鬣を持った、獅子面のグリフォンといった様相のモンスターだ。

 

 その姿は、まさしく王者の貫禄を感じさせる。

 

「 獣王アルファ! 」

 

 大鳥の翼で羽ばたき、獣は衝撃波を竜王に放ち、その身が怯んだところを、首に喰らいつく。

竜王はなんとか振り解こうとするが、力が思いのほか強いのか、逆に噛む力を強められてしまう。

アルファ。この名はオオカミなどの野生動物の群れにおいて、長を意味する。

勿論、それにはライオンなんかも含まれる。この竜王にもダメージを与えられる獣の長とも呼ぶべき魔獣に、その名はよく似合う。

 

 しかし、相手は曲がりなりにも真なる竜王。八欲王をはじめとしたプレイヤーが到来する以前の、世界の支配者だ。

そのままやられてやるわけがない。

 

 そんなこと、タドコロにも一目瞭然だ。劣勢になれば、他者を巻き込むことに躊躇もせずに、このドラゴンは始原の魔法を発動するだろう。

そうなったらワールドアイテムを持っている彼以外の、すべてがその被害を被る。なんとしてでもそれを阻止せねばならない。

 始原の魔法そのものに如何なる種類があるかは、彼も把握できていない。だが、KMRがアルベドの頭の中を覗いた際、その中で評議国の個体らしき竜王の遠隔操作する鎧と出くわしたパンドラズ・アクターが、こんなことをいっていたらしい。

 

「 相手のHPが減っていた 」と。

 

 

 これが正しければ、始原の魔法とは、術者であるドラゴンの生命、つまり魂を消費し発動することになる。

ユグドラシルに置き換えれば、彼がいうようにHPとなるわけだ。MPをHPに置き換えれば、ユグドラシルで、タドコロたち魔法詠唱者プレイヤーが使っていた魔法と変わりない。

ならば、対処にはある程度の目処がつく。

MPが足りなければ、魔法は使えない。MP切れとなれば、魔法詠唱者は一気に不利になる。だからタドコロやあるじぇんとのようなシャーマンは、維持している間MPを食う召喚魔法で呼び出したモンスターを、タンクにしない限りは意味もなくだしたままにせず、役目を終えた後は消滅させてMPの消費を抑えている。

 

 

 これを竜王たちのシステムに置き換えるとどうか。HPを資源として発動する始原の魔法。資源がなければ、魔法は発動しない。始原の魔法が魔法である限り、それは絶対であるだろう。

 

 HPを酷く消耗すれば、始原の魔法は使えないのでは?

 

 

 つまり、HPを一定値以下にまで削りきれば、竜王は始原の魔法を使えない。

 

いや、始原の魔法を使う前に、あの竜王を殺し切る。そうすればこれ以上の被害は出ないで済む。

 

 では、そんなことはできるのか?

 

 どう?(火力)でそう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――だそうと思えば。

 

 それがタドコロの答えである。魔導王程の多くの魔法を覚えているわけではないが、召喚魔法によって呼べるモンスターの数だけ、従える魔獣の数だけ、この男は多様な戦術を取ることができる。

 

 さながら個人が好き勝手にカスタマイズする、BB素材のように。

 

 そして、タドコロはあることを想定していた。自分たちが始原の魔法を、ワールドアイテムを持っていれば無効化できるという性質など以外殆ど知らぬように、竜王たちも、ユグドラシルのことをよく知らないのでは。

 

 なんでも今現存する竜王の大半は、八欲王と戦わなかったらしい。彼らの最後も自滅らしいので、彼らの拠点のギルド武器を守っている評議国の個体は兎も角、目の前の竜王は、こちらの手札を殆ど把握できていないだろう。

そこを突くこととした。

 

 ならば、あれを試そう。知らぬのならば、対処はできない、いやしないだろう。

 

「〈魔法最大三重化 おジャマトリオ〉!!」

 

 第七位階の召喚魔法。このランクの魔法といえば、プレアデスの一体、ナーベラル・ガンマが使い手として有名な

〈連鎖する龍雷〉(チェインドラゴンライトニング)や、サメが潜んだ竜巻を相手にけしかける、〈 大顎竜巻 〉(シャークス・サイクロン)である。

ブルーアイズと対を成す、レッドアイズブラックドラゴンも、この位階の召喚魔法で呼び出せる。

 

 

 が、タドコロが呼び出したのは、どうもそれとは不釣り合いに見える、みすぼらしい存在だった。

 

 

 赤いパンツを吐いた、キモかわいいの部類の、二足歩行の小動物、いや動物と称すのも憚られるような、なにかだ。

それが、九体である。

 

 

 アルファをようやく引き剥がした七彩の竜王は、先のプレイヤーが、何やらまた新たな魔獣?を呼び出していることに気づく。が、そのあまりにもあんまりな姿故に、鼻で笑ってしまう。

 

 

―――お前のそこが隙だったんだよ。

 

 

「 あ、みてよ兄さんたち!今アイツ、オイラたちをバカにしたよ! 」

 

 

 と、黄色いカタツムリのような角の先に目のある末っ子おジャマイエロー。

 

 

「 おお!あんにゃろうお高くつきやがって! 」

 

 

 と、歯茎の凄まじい長男、おジャマブラック。

 

 

「 オレたちおジャマ三兄弟の恐ろしさ、みたけりゃ見せてやるよ! 」

 

 

 と、単眼に下品に舌をだしているのが愛嬌のある、次男おジャマグリーン。

 

 おジャマトリオ。YU-GI-OHイベントにおいて実装された、魔獣の一体。見た目通り普通に戦うと恐ろしく弱く、その真価を知らぬものは、今のこの竜王のように一笑に服することも珍しくない。

 

しかし・・・

 

 

 

「 イエロー! 」

 

 

 その本当の力を知るものは、

 

 

 

「 ブラック! 」

 

 

  真っ先にその対処に動く。

 

 

 

「 グリーン! 」

 

 

 それほどに凶悪なモンスターでもある。

 

 尻を突き出し、おそろいの赤いパンツをくっつけ合う三兄弟。竜王は目の前でなにが起こっているのか理解できず、唖然としている。

 

『 必殺! 』

 

 ドッキングした三体はそのまま回り始める。それは次第に加速していき、猛烈な嵐を呼び起こす。

 

 

『 おジャマ!デルタ!ハリケーン!! 』

 

 

 凄まじい竜巻が、竜王を襲う。彼自身、なにが起こっているのか相変わらず分からないが、とにかく確かなのは、

あの矮小な畜生が、自身の魂を削り取りに来ていることだった。

 

 その猛攻になにもできない彼であるが、これを凌ぎ、始原の魔法を発動させようとは、考えが至ってはいた。

 

 しかし、思い出してほしい。タドコロは、おジャマ三兄弟の召喚魔法を、三重化していた。

 

 つまり・・・

 

 

『『おジャマ!デルタ!ハリケーン!!』』

 

 

 つまり残り二組のおジャマたちが、同様の攻撃を仕掛けてくるのであった。

 

 消費する魂も、三倍だ。

 

 〈 おジャマ・デルタ・ハリケーン 〉。おジャマ三兄弟の真価と呼ぶべきスキル。

このように大竜巻を発生させ、超位魔法クラスの攻撃を仕掛ける。

それを第七位階クラスの消費MPで仕掛けられるというのは破格であり、これを三重化して唱えるということは、超位攻撃魔法三発ぶちかますのと同義であるとすらいわれた。

そのため、おジャマ三兄弟をみたら、即座に仕留めるのが、プレイヤーの間での常識にもなり、使い方によってはそれを利用してデコイとしても扱える。

 

 

 人は見かけによらないを体現したのが、おジャマであるのだ。

 

「 すっげぇ赤くなってる。はっきりわかんだね。

・・・じゃあ(息の根を)絶たしてやるか。 」

 

 そして、〈生命の精髄〉により、竜王が消耗しているのを知ったタドコロはさらなる一手、というよりは早くもトドメの一撃に入る。

 

 

「〈魔法最強化lv7魔獣召喚〉!来い、ビッグ・コアラ!!」

 

 

 〈おジャマトリオ〉と同じく、第七位階の召喚魔法。

呼び出したのは、クソデッカイコアラ。なのだが、これも、隠された効果、というより別の魔法との組み合わせが前提であった。

 

 

「〈上位魔獣進化〉!!」

 

 

 召喚モンスターを、さらなるランクへと押し上げる魔法。これを受けて、ビッグ・コアラは進化する。

サイズは少し縮み、体色は緑色に変化。紫色の上着に、その手足には、赤いグローブと、カンフーシューズ。

左目の傷は、歴戦の猛者の証であろうか。

 

 

「 マスター・オブ・OZ!! 」

 

 

 魔獣の中でも、抜きん出た攻撃ステータスを誇るモンスター。今の〈おジャマ・デルタ・ハリケーン〉で弱った竜王を仕留めるには、うってつけだ。

 

「 スキル〈野生解放〉!さらに〈ウッドランド・ストライド〉!」

 

 真なる竜王は、プレイヤーを敵と見なしている。

ここで殺しておかないと、あとが厄介だ。

 

「 いけぇ、マスター・オブ・OZ!

〈 エアーズロッキー 〉!! 」

 

 〈野生解放〉により、倍加した力と、赤く熱く滾る身体の全身全霊を込めた、渾身の一撃。

 

 それは確かに、竜王の、七色の身体を穿った。

 

 その巨躯は力なく地に墜ちていき、周辺の建物を倒壊させながら、横倒れに付す。

 

 その目からは生気が失われ、さっきまでの強大さ、恐ろしさはそこに残滓を残すばかり。

 

―――七彩の竜王オーリウクルス、死亡。

 

 この出来事を機に、竜王国が、都市国家連合の一部として組み込まれ、国内にて竜殺し、救国の英雄として、タドコロの影響力が強まることとなる。

 

 建て直しの予算として彼がビーストマン国を滅ぼして得た財宝が充てられることとなった。

 

 ドラウディロン・オーリウクルスは都市国家連合の傘下となることと同時に、アインズ・ウール・ゴウン魔導国、ならびにスレイン法国との訣別を宣言。両国との関係も、これにて絶たれることとなった。

 

 廃棄都市ヴリヒルドリアは当初の予定通り、銃の配布、販売を開始。その有用性、汎用性を知らしめることとなる。

烈怒ふぃーるどやスネークイーターらの指導もあってか、銃は、瞬く間に竜王国中に広がった。

定期的に射撃大会などが開かれるようになり、多くの国民のレベルが上がったのは、いうまでもない。

 

 

 軍備も、これからは外敵の襲撃を想定し、バリスタや大砲などが配備される予定である。

竜王国は、より堅牢な要塞国家になろうとしていた。

 

 

 冒険者組合の仕事も、これまでとは違うものが主流となる。資源や未知の領域の探索となった。

ガンナーの冒険者が台頭し、レンジャーやアーチャー共々、目覚ましい成果を挙げていく。

 

 

 が、前衛の需要も消えたわけではなく、タンクたちは、盾を持って、今日も先頭きってガンナーたちの守りとなっている。中にはショットガンをもって、銃の供給によって得たガンナーのスキルを活かすタンクも現れた。

 

 

 冒険者チーム、「 クリスタル・ティア 」は一人を除いて死亡したと発表され、その一人は、無事に家族のもとに戻れ、引き続き冒険者として、新しい仲間と共に活動していく。

 

 

 竜王の遺体は、ドラゴンシャーマンであるあるじぇんとによって、彼の信仰する色彩龍祖神ティアマトの名において、近くの湖にて水葬と相成った。

彼の魂が、ヌル神の御下に導かれんことを祈られながら。

 

 

 が、誰もあの竜王が、

 

「 人間と子を成したことで、同族から変態ドラゴンと恐れられたことに傷ついて、引きこもっていた 」

 

という事実を、知ることはなかったのだという。

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