OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜 作:ニコラス―NICORUTH―
それから少し、1時間くらい経った頃。オレは竜王国から離れた荒野にいる。海上都市のある方面、この西側の中でも最も東、大陸中央に通じる付近である。
曰く、ヘロヘロはこっち側から逃げてきたらしいので、件の竜人がアイツを追いかけてくるならば、この辺りで待ち構えるが良いと判断した。
あの後、MURや烈怒さんにも話を通し、色々と備えさせてもらった。
先ず、蔵から幾つかマジックアイテムを持ち込んでいる。相手がどれだけの能力があるか未知数である以上、使える物は使う他ない。
持ってきたのは、前も使った氷結界の儀水鏡。恐らく相手は炎属性に通じている相手だろうから、氷属性が効いてくれると見た。
実際はどうかはわからないが、聴く限りアイツを追い回しているデジモンというのは、正統派な主役級の系譜の種だと判断して、これを持ち込むことにした。
後は、この、橙色の宝珠が四つはめ込まれたアミュレットだ。ウルベルトが、あるワールドアイテムを真似て作った悪魔像をリスペクトした代物である。
この宝珠は第十位階魔法、〈 最終戦争・竜 〉を四回まで行使可能だ。
この魔法は、複数種のドラゴンを大量に召喚する。
これで呼び出したドラゴンはオレのゆうことを聞いちゃくれず、レベルの補正もない。かわりに召喚者であるオレを攻撃することはできず、この魔法のドラゴンたちも、オレの召喚したモンスターとしてカウントされる。
なに?正々堂々とやらないのか?
それも考慮したが、いかんせん相手は究極体デジモン。それも前衛職のヘロヘロが撤退する程なんだから、明らかに身体的アドバンテージはあちらにある。そんなのに接近戦を進んで挑むのは自殺行為だと判断した。
そのためあちらのレンジに入り込まず、ひたすら火力を叩き込む遠距離戦に徹するのがベストだとも。
このアミュレットを持ち込んだのも、相手を近づかせないというのが理由の一つ。
というか、そもそもシャーマンの戦い方は、いつもやってるみたいな召喚魔法連打だからな。
こういう、数に物言わせた物量作戦だって、その一つだ。
源次郎がやってたみたいに。
そして、上空には、オレの使役する東洋龍たち十数頭がいる。普段はヴリヒルドリアの上から外敵を警戒してくれているのだが、今回の戦いに参加させることにした。オレの想定し得る限り、敵は空を飛べない。歩きしか移動手段がないはずだ。でなければヘロヘロに追いつけないはずがないのでヴリヒルドリアに来る前にアイツは捕まっている。
であれば制空権はこちらにある。これを押さえてしまえば、戦いを優位に進められるだろう。
が、こいつらの出番はかなり後になるだろう。ヘロヘロは、そのデジモンが見たことのない魔法を使うドラゴンを仕留める場面を目撃しているといっていた。ということは奴は真なる竜王を倒せるだけの力があり、やはり空、というより遠距離への解答を有しているとも考えられる。
タドコロやエレン、源次郎が倒した真なる竜王はいずれも西洋のドラゴンと同じフォルムであり、勿論翼を備えていたのだし、近距離で勝ち目がないとすれば、空から叩こうなんて考えのよらないほど、竜王たちもバカではないだろう。
つまりそいつは空中から攻撃を仕掛けて、それでも負けたことになるのだ。
それに、ユグドラシルのルールに基づいていないのなら、そもそもこちらの攻撃が通じるかどうかだってわからない。
烈空の竜王はポケモンで、氷属性が通じた。が、今度はデジモンだからな。タイプ相性の都合だって、あの時と異なるだろう。
最上位レベルクラスではあるが、相手の性質を加味すれば、一撃でやられかねない。
だから上の龍たちには、空からひたすら遠距離攻撃を撃ってもらう。というか、それもこいつらのセオリーな運用方法なんだけども。
他のメンバーは後方で待機している。タダノさんとエレン、スネークさんにタドコロがここから離れた地点で、こちらを観測している。
オレになにかあった時、いざという時には、彼らの出番が回ってくるだろう。ここまでするのはなにもオレがチキンだからじゃない。
モモンガやその手下を警戒してのことである。
アイツは竜王国から縁切りを言い渡されて、心象穏やかではないはずだ。また舐めた真似をしてくれたと勝手にブチギレて、こちらの寝首を掻こうとするだろう。
オレとドラゴンの出会い、触れ合いに、二度も邪魔されてはならない。
烈怒さんたちも竜王国やヴリヒルドリアで迎撃できるように構えている。
念には念を入れておかないと、思わぬところを突かれる可能性が高いからな。
・・・さて、おっ始めるか。
「 アミュレット起動。〈 最終戦争・竜 〉発動。 」
宝珠が光り、オレの左右に、黒い穴が展開される。その中から、ドラゴン。いつもの西洋竜型やワイバーンや、東洋龍、ワームなんてのもいる。それらは大翼で羽ばたき空へ飛び、蛇腹を這わせて大地を練り歩く。
この世界に来て初めてこの魔法を使ったが、圧巻の一言だ。
これほどのドラゴンの行進。ここまで壮大な光景もないだろう。これらはまだ、低レベルのモンスターの集まりでしかないが、最終的なその数は、実に200を超える。
時間経過で、より強いドラゴンが現れる。最大レベルは70台が2体。なのだが、上位レベルの召喚をパスして、低級ドラゴンの召喚数をかさ増しすることもできる。今回はやらないが。
これだけの数。戦いの果てに進化し、尚も闘争を続けるあのデジモンならば、確実に食いつくだろう。
しかし、いざこうして構えてみると、緊張感に襲われる。
これからオレは、知っているがそれまでの物とまったく違うドラゴンと相対する。烈空の竜王の時のような、アクシデントによる偶然ではなく。そんな相手にオレの魔法は、スキルは、ドラゴンはどこまで通用する?
これまでユグドラシルをはじめとして、幾つかゲームを遊んで、色んなドラゴンを見てきた。だが、こうしてガチで、ユグドラシルでの力を奮ってやり合うのは初めてだ。
張り詰めているようで、心の底からワクワクしている。
だからこそ、これを、この巡り合いを邪魔される事はあってはならない。
いや、今は仲間が見守っていてくれていることだし、一旦魔導国の事は、頭から消すべきか。
・・・ん、なんだ。周囲のドラゴンたちの様子が可笑しい。なにかが近づいてくるのを察知しているのか、警戒して威嚇している。
近づいてきているのか。
「 ―――――!! 」
頭上の龍たちの叫びが木霊する。あいつらも、奴に気づいたらしいな。
ドラゴンたちもそれに向かって襲いかからんと、吠猛り、移動速度を挙げているが、そのままでは紙切れのように切り伏せられるだろう。頃合いをみて、二発目を撃つか・・・
「〈 ガイアリアクター 〉!!」
瞬間、叫び声が響き、前方に凄まじい爆発を起こし、ドラゴンの群れの半数以上が、いっぺんに吹き飛んだ。
それは、最強化されていない〈 イオナズン 〉を超える規模のものだった。
オレはそれを見て、即座にアミュレットを起動し、今度は二発同時に発動することとした。
穴が増え、さらにドラゴンたちは湧き出てくる。前方では、爆発が起きたかなり前の地点で、その鮮血を飛び散らかして、なにかがひたすらドラゴンたちを切り刻んでいた。
さっきの技、そしてヘロヘロの証言。
これらから、目の前にいるデジモンの正体に確証を持てた。
「 やはりお前だったか・・・ガイオウモン! 」
思わず、笑みがこぼれる。ユグドラシルにはいなかった強敵を相手にするというのに、そんな余裕も恐らくないはずなのに。
―――憧れは、止められねぇんだ。
ガイオウモン。究極体の竜人型デジモン。東方のコンピューターの中で発見された初代主役デジモン、ウォーグレイモンの亜種。その性質は極めて好戦的であり、戦い、勝利するたびに強くなる。
得物は独特な形状の剣、怪しい光の軌道を残す、
「 菊燐 」。
その見た目通り、近接戦に強い部類のデジモンだが、ちゃんと遠距離の攻撃手段も有している。そして、究極体ということは、やはりそれなりに場数を踏んでいるデジモンでもある。
原種同様、かなりの人気がある他、主役の特権ともいえる、究極体からさらに上の強化形態まで貰っている。
その形態、厳刀ノ型とか非公式らしいがバーストモードとかになられても厄介なので、この場でどうにか仕留めきりたいところだ。
「 〈 燐火斬 〉! 」
もう一つの必殺技も撃ってきたか。ドラゴンたちの消費速度も速くなっていってる。このままだと押し切られるか。
アミュレットを起動し、さらに儀水鏡を使用した。
「 来い、氷結界の三龍! 」
一つの世界を破滅に導きかけた、荒れ狂う龍たちが姿を現す。
氷結界の龍ブリューナク。
氷結界の龍グングニール。
そして、氷結界の龍、トリシューラ。
「 いけぇ!! 」
飛来した三龍たちは、ドラゴンをひたすらに斬って投げるガイオウモンに、凍てつく冷気のブレスを放つ。
特にトリシューラは召喚魔法ではレベル9クラス。
位階魔法でいえば、〈 極地の爪 〉1.5倍くらいのをいっぺんに三発撃てる他、今回は使わないが、スキルで辺り一面に絶対零度の冷気をばら撒くことだってできる。
手応えは、ある筈だ。
ブレスは竜人に命中し、ここまでひんやりとした冷気がここまで届いてきて、涼しくなってくる。
この分だとガイオウモンは菊燐で受けているか。それとも直に耐えているのか。
だが、それも長くは続かないだろう。
Xデジモンの究極体は、伊達ではないだろうしね。
「 うおぉぉぉぉおおお!! 」
二発目の、〈ガイアリアクター〉。
ガイオウモン自身さっきより気合いが入っているのだろう。前のものよりもデカい爆発。爆風もこっちまで届く。
ブリューナクとグングニールが吹き飛んだか。トリシューラもさっきのでHPをごっそり持ってかれてる。
反撃にもう一度ブレスを撃とうとしたが、
「 〈燐火撃〉! 」
弓の形に合体した菊燐に、射落とされてジ・エンドか。ガイオウモンは疲弊することなく、再びドラゴンたちを斬り始める。
〈 生命の精髄 〉をつかってみると、あちらのHPも問題なく視認できた。だが、技で体力を消耗しているようには見えない。
デジモンの技とはそれぞれの備えた技能。いってしまえばスキルに近いか。真なる竜王の始原の魔法と違って、HP消費はないとみた。
そしてトリシューラ程のドラゴンの攻撃を受けても、まるで余裕を崩さない。流石は究極体。やはり手強い相手であるらしい。
しかし、概ね理解はできた。
菊燐の軌跡〈 燐火斬 〉、菊燐を弓としてその軌跡を矢として放つ〈 燐火撃 〉、そして大気中のエネルギーを使った爆発〈 ガイアリアクター 〉。
なるほどオレの知るガイオウモンそのままだ。
ならば、勝てる見込みはある。
ヤツの範囲にまで距離を狭められる前に、火力で押し潰す。
「 龍たちよ!奴に雷をお見舞いしろ!! 」
「 ―――――!! 」
東洋龍たちが雄叫びをあげると、青白い雷撃がガイオウモンに降りかかる。
「 ヌォォォォオオオ!? 」
これまた猛々しい叫びを挙げて、黒鎧の竜人は蒼雷に撃たれる。
東洋龍はドラゴンの中でも、強力な精霊属性、特に水と風属性の魔力系、精神系の魔法を使用できる、数少ない系統である。
だって、アジアの龍とはただのデカいトカゲではなく、慈雨を降らせてくれたりする、有り難くおめでたい、縁起の良い幻獣なのだから。
その辺ユグドラシルスタッフは良くわかっている。
今お見舞いしている雷撃は〈 魔法最強化万雷の殲滅 〉10発分。つまり10発、強化された第九位階攻撃魔法を受けていることになる。それでいてまだ倒れないとは、タフを超えたタフだ。
そしてそろそろ、オレも動くことにする。それまではマジックアイテムを使うしかしてなかったが、こちらも、魔法を使い始めるとするか。
先ずは、超位魔法、スタンバイ。オレの周囲に青白く光る魔法陣がドームのように立体的に展開される。プレイヤーがいれば、真っ先に狙い撃ちされるが、そんなものどうだっていい。
オレの相手は、今、竜の群れを斬り捨てている、百戦錬磨、一騎当千の武人竜なのだから。
こっちも、本気でやらねば、無作法というもの。躊躇など、していられない。
課金アイテムの砂時計は使わない。使う必要はない。
この状態でも、他の魔法は撃てる。
「 〈 三重魔法最強化氷結界の龍召喚 〉! 」
氷結界の龍を呼び出す召喚魔法。今度は儀水鏡ではなく自前で使用する。
呼び出すのは、トリシューラ三体だ。
「 いけ!奴を凍てつかせろ!! 」
再臨したトリシューラたちはガイオウモンに接近、あの冷凍ブレスを1体3発、計9発分お見舞いする。今度来る冷気はさっきよりも寒く身体が冷える。
氷結界の龍の中でも最強のドラゴン。ブリューナクやグングニールとは格が違う。しかし、ガイオウモンは一度見た技は通用しないとばかりに跳躍してそれを回避、うち1体を菊燐の錆として斬り捨てる。
残り2体のブレスを受けるが、構わんとばかりに、2体目も撃破。3体目はスキルで冷気を発生させ、ダメージを与えるが、ブレスを撃とうとしたところを〈 燐火撃 〉で沈められる。
「 ―――――! 」
続いて龍たちは、先ほどと同じく雷撃、それの他に第九位階魔法、〈 暴風雨 〉を発動。
吹き荒れる嵐の中に閉じ込められたガイオウモンに、再び雷が振りかかる。
しかし、やはり倒れない。が、流石に底が見え始めたのか、だんだんと動きにキレがなくなり始めている。
体力もガリガリ削れてるようだ。それでも立ってるのは、やはり、これまでの死線を潜り抜けてきたという、意地か。
こちらも場数は踏んでいるが、所詮ゲームの話しといわれれば、そこまでだ。だがコイツは、本当に数多くの強敵、その脅威を退けてきたんだろうな。
鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬る、か。
これはペロロンチーノがその昔いってたエロゲのセリフだ。まさしくこれの通りだった。
デジモンは進化するその生態故に、闘争が常だ。さながら恐竜のいた中生代ジュラ紀白亜紀のように、さながら群雄割拠の戦国時代のように、日々デジモンたちは、争い続けている。竜のようなもの、獣のようなもの、天使のようなもの。どのような姿思想であれ、争いはほぼ必ずといっていいほどそのデジモンの人生に深く絡む。こいつの故郷、デジタルワールドはまごうことなき修羅の世界。ここより熾烈な弱肉強食の世界だ。恐竜やマンモスのいた時代の獰猛さと、人間に近い、時にはそれをも凌駕する知能が両立しているが故に、彼らの戦いは終わりなく続いていく。
その中で、敗れ去るものは必ず現れる。それが常。
力なきものは、生きることは勿論、死に方すらもろくに選ぶことができない。
そして、このデジモンがいるということは、やはりそういうことなのだろう。
世界単位の蠱毒が如き環境の中でこいつはこれまで生き延びて来た。戦って、戦って、戦って。勝って、勝って、勝ち続けてきた。
そして今、ここに立っている。
だからこそ、オレなりにそんなこいつへの、最大の敬意を示したい。
全力で、叩き潰し、破れ去らせてやりたいのだ。
「 〈 魔法最強化LV10ドラゴン召喚 〉!! 」
だからこそ、これを使うのに、なんの憂いもない。これまで使用を控えてきた、第十位階の召喚魔法。これで呼び出せるドラゴンの強さは、いつも呼んでるブルーアイズの比ではない。それこそ、100レベルに近い性能を誇るのだ。
これで呼ぶモンスターの多くは、ユグドラシルに元来存在していたドラゴン。だが、あまりに強力故に、召喚魔法でしか使役できない。強力が故に、手の内を晒すまいと封じてきた。
だが、この目の前のガイオウモンという強き竜への、猛き武人にはそんな出し惜しみなど無礼千万だろう。
さあ、来たれ。
―――妖精たちの擁護者にして統括者、古き竜よ。
「 エインシャントフェアリードラゴン!! 」
「 ――――――! 」
3対のまさに妖精を思わせる翼が称えた比較的細身の竜。
その神秘を醸し出す美しさを感じさせる姿は、竜としての威厳を感じさせる。YU-GI-OHイベントの似た名前の奴とはわけが違う。
エインシャントフェアリードラゴンは補正込みでレベル94。
さらにコイツは自力で魔法を行使できる他、スキルによって、レベル68〜71のお供、
レイドボス時にはいっぺんに8体、今呼び出している個体は4体と大分落ち着いている。
が、それでも十分。
この妖精たちはタンクとしての役割を担う。100レベルのプレイヤー、それこそぶくぶく茶釜さんみたいなのほど頑強ではないが、その分数によって無類の鉄壁を見せる。
さぁ、ここからがクライマックスだ。
「 ―――――! 」
東洋龍たちの〈 万雷の殲滅 〉が降り注がれる中、それをひたすらに躱しながら接近するガイオウモンの行く先を、聖騎士妖精が遮る。当然の如く斬り捨てようとするが、その刃は盾に防がれ、そこをエインシャントフェアリードラゴンの〈 連鎖する龍雷 〉が襲いかかる。第七位階と侮るなかれ。この〈 連鎖する龍雷 〉はデフォで三重魔法最強化がかかっている。消耗している奴には十分に通用する。
さらに、怯んだところを再び龍たちのスキルによる雷撃で追撃を喰らわせる。今度はフェアリードラゴンの〈 万雷の殲滅 〉も合わせて、魔法三重化13発、つまり計39発となる。これでまだ倒れないとは。本当に硬い。それでいて奴は聖騎士妖精たちを〈 燐火斬 〉で両断していく。究極体とは、Xデジモンとはこのレベルなのか、それとも、このガイオウモンがなにか特異なだけなのか。
極限まで高められた闘争本能と生存本能、これが奴の強さなのか。
いずれにせよ、そろそろ決着がつくだろうが。
フェアリードラゴンが、ブレスによって足止めしている、今が好機。
「 超位魔法、発動!! 」
今しがた発動準備時間を終えた、ユグドラシルにおける最強クラスの魔法。
威力は階位魔法より高いが、日に使用できる回数に限りがある、正真正銘の切り札、その一つを奴に放つ。
これまでオレは、シャーマンのセオリーに則り、召喚魔法だけを使ってきた。ここにきてこの超位魔法は、攻撃魔法を選択する。
奴の頭上に、恐ろしくデカい火球が形成される。この位置でもその熱を感じられる程に、驚異的なそれは、DQコラボにて実装されたメラ系魔法最強の一撃である。
奴に通用しないんじゃないのか?その懸念は薄い。なぜならデジモンは全体的に、属性はあまり重視していないからだ。ポケモンのように、相性はあれど、同じ属性で威力が半減されるということは、ないと考えても良い。
ならば、この炎は問題なく、通じてくれる。
「 焼き尽くせ、〈 メラガイアー 〉!! 」
地上に、灼熱の炎が降りて、竜人の身体を焼却する。
あまりの規模の火炎であり、こちらにも余波が来るが、フェアリードラゴンが新たに呼び出した聖騎士妖精の1体が、オレの盾となってくれた。
「 ウオォォォォォォォォォォオオオオ!!! 」
凄まじい絶叫が木霊する。ガイオウモンはこの業火すらも耐えようとしているか。何たる執念。
だが、さしもの究極体も、ここまでのダメージには、耐えられないか。
炎が晴れた、その先で、奴は力なく倒れ伏した。
―――オレの、勝ちか。