OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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ホ モ 上 戸

 

「 というのが、オレとアイツの戦い、その一部始終だ。 」

 

「 そうですか。私は荒々しい方だと思っていたのですが、彼は繊細な側面があったようですね。 」

 

 酒場というのは、RPGでよく舞台とした描かれる中世ヨーロッパ風の世界には欠かせないものだ。そこで仲間を集ったり情報を得たりするのが、ファンタジーの鉄則といっていい。ヴリヒルドリアにも、この酒場は存在する。といってもユグドラシルでは殆ど意味のない施設だったが。会合などで集まる場所は公民館でいいしな。今ようやくその存在に意味を持てたのかもしれない。テーブルの上には、そこそこ美味いらしい赤ワインが置かれていた。竜王国産の酒である。あの戦いが終わり、ヴリヒルドリアに戻ったオレは、旧友のエルダーブラックウーズにその時のことを話していた。

 

「 しかし、ワインがこんなにおいしいなんて知らなかったです。元いた世界では、忙しすぎて酒もリラックスして飲めなかったので。 」

 

「 それは良かった。オレもこの世界で飲むのは初めてだ。 」

 

「 おや、どうしてです? 」

 

「 ・・・モモンガだよ。アイツはアンデットだから寝ないし、飲み食いも必要ない。いつ襲ってくるか分からん。アイツはともかく、NPCどもはオレを殺しにかかるかもしれん。真なる竜王や、ガイオウモンみたいなのだっているしな。 」

 

オレとヘロヘロはグラスにワインを注いでそれを飲んでいた。コイツと来たらまるで酔っている素振りをみせない。スライムは防御力の他に状態異常の耐性を持つ。それがアルコールにも適用するのか。

まぁ、オレもまるで酔いが来ないが。

飲んでいるうちに、一升瓶が空になったので、また新しく酒をだすことにした。

 

「 フィース。こないだ作ったトマトリキュールをだしてくれ。 」

 

「 はーい! 」

 

 フィースは元気そうに返事を返した。こいつの事を聞いた時はヘロヘロも難色を示した。なにせ人様の作ったものを勝手に改造したのだから。が、それよりも、興味の方が勝っているらしい。オレの拐った3体は、どれもヘロヘロのNPCではなかったというともあるが。所詮、過去の、まして他人の産物ならば、そうキレることもないか。コイツにとってもギルドにいた頃は、昔の話というわけだ。

 

「 しかしたまげたなぁ。レベル1だったあの子が、あそこまでレベルが上がるだなんて。 」

 

「 悪魔合体の賜物だ。ホワイトブリムには申し訳が立たんかもしれないが、特に気にはしないことにしてる。しかし、アイツが漫画を描いてるとは思いもよらなかったな。ペロロンがいった時に初めて知ったよ。 」

 

「 私も彼が、漫画家になってたなんて知る由もなかったですね。しかし、悪魔合体。確かに便利そうではありますが、あそこまで手軽にレベルアップができるとなると、なにかしらの災いのもとになりかねませんね。 」

 

「 ああ、だからMURもこれをするのは慎重になるべきだといっていた。幾らかビーストマンとかの死体なんかで試したが、これもかなり高レベルのモンスターに化けたらしいからな。特にモモンガが悪用しだしたらたまったもんじゃない。 」

 

 といっても、モモンガはあまり他作品コラボのコンテンツを使いたがらないらしいので、ペロロンやタドコロの知る限りは、悪魔合体の為の設備は、ナザリックに存在しないらしいが。

 

「 ・・・ モモンガさんだって、鬼じゃないでしょうに。 」

 

「 鬼ではない。だが、血も通っていない。それが今の奴だ。悪魔と呼ばれたときの返しはなんだったと思う?

私はアンデットだ、だとさ。といってもNPCに振り回されてるというのもあるだろうが。

・・・それよりも、今は飲もうぜ。 」

 

「 あるじぇんとさん、モモンガさんは・・・ 」

 

「 なんだ?アイツにも余計な口をきいたのか?だとしても聞きたくねぇぞ。いうならペロロンかタドコロにいえ。 」

 

「 ・・・ 」

 

「 アイツの話はこれで終わりだ。酒が不味くなる。 」

 

 ったく、なんで話題にでるだけで場の空気を不快にさせるかなアイツは?なに?オーバーロードってそんなスキル持ってんの?アイツを意識するだけでスゲェピリピリしてくるんだが。

 

「 最後に、モモンガさんの話題を一つだけ。 」

 

「 なんだ? 」

 

「 あるじぇんとさんは、彼になにを望んでいるんですか? 」

 

 なるほど。そういうことか。オレはこれまで部下の好きにさせた結果、ペロロンやヴリヒルドリアを危険に晒したモモンガを心底憎んできたが、同時に今のアイツを憐れんできた。だが、オレはそんなヤツになにを望んでいるか、ときたか。

これも、わかりきっている。

 

「 オレはな、ここまで憎み愚痴をきいてきたが、正直なところ、アレを殺すつもりはないんだ。曲がりなりにもアレは自分らの身を守りたかっただけなんだろうし、なによりクランにいた頃、ユグドラシルで同じ釜の飯を食ってたんだしな。 」

 

「 では、なにを? 」

 

「 タドコロがアイツに、ナザリックを棄ててほしいといっていたな。 」

 

「 ええ、いってましたね。 」

 

「 オレもそれに賛成なんだ。アレは楽しかった過去に囚われすぎて、今を見れちゃいない。一人だけでギルド拠点に居座り続け、ナザリックを管理しているつもりで、ナザリックに管理されている。これがどうも面白くない。 」

 

「 意外、ですね。あんなにモモンガさんを嫌っているのに。 」

 

「 アイツの気の毒なものだ。貧乏くじといったほうがいいか。ギルドAOGはユグドラシル衰退の影響が如実にでたギルドだ。諸々の理由でメンバーは去り、いまやモモンガただ一人。そこらのクラン以下の規模に成り下がった。

あいつはただ一人、在りし日の残滓を守る墓守に成り果てている。 」

 

「 NPCは?シャルティアを見る限り、彼らも心を得ているようですが・・・ 」

 

「 自我が芽生えたところで、人形にあいつのなにが解ると?奴らはモモンガをいや、魔導王アインズ・ウール・ゴウンというイコンを崇拝し、それを至上のものとしている。それ故にモモンガの気持ちを理解し得ない。奴らは、あいつをみているようで、みていないんだ。あのパンドラズ・アクターでさえもな。忠誠を誓うのは、あくまで自分たちの主人、"アインズサマ"なんだよ。オレの友だちだったモモンガじゃない。 」

 

「 つまり、モモンガさんは変わらず・・・ 」

 

「 孤独だろうな。あいつはNPCを、元仲間の子かなんかだと思ってるらしいが、奴らには、お前らの代わりは無理だ。

所詮は動くマジックアイテムだな。親の心子知らずというのかな。アレらを子と称すのは悍ましい限りだが。 」

 

「 しかし、アルベドは、モモンガさんを愛していたんでしょう? 」

 

「 その為に、ペロロンを殺そうとしてたけどな。これが仮に源次郎だろうがお前だろうが、アルベドの取る行動は変わらなかったろう。

"愛するモモンガサマがナザリックの絶対支配者である為"に、他の御方を秘密裏に殺す。その為の、至高の御方捜索隊という名の暗殺部隊なわけだ。一方で、モモンガ自身はこの世界に他のメンバー、奴らのいう至高の御方とやらも来ているかもしれないと探していた。

だからギルドの名前を自身のネームとして名乗ったし、国の名前ともしている。

それを遠ざける最大の敵が、すぐ近くにいるとも知らずにな。 」

 

「 ・・・あの日私が、もう少しでも残れていれば、こうならずに済んだかもしれませんね。 」

 

「 それはオレも考えた。が、起きてしまったものは仕方がない。あのアバズレがああまで面倒くさくなったのは、お前ではなく、モモンガとタブラのせいだからな。

お前もペロロンも、誰も悪くはない筈だ。

アルベドもタドコロにやられて、今はアルカトラズに軟禁中。直に魔導国に戻すことになるだろうが、その時は、くっそ汚いながらも、綺麗なアルベドになっていることだろうさ。捜索隊のことも、アウラやシャルティアの知るところとなったしな。モモンガ自身、ペロロンを殺しかけたのを重く受け止めてるらしい。 」

 

「 モモンガさんは知ってるんですか?元々アルベドが私たちを殺そうとしたなら、そのことはモモンガさんに黙ってそうですが。 」

 

「 パンドラズ・アクターだよ。あいつはそもそもモモンガが作ったNPCだ。モモンガ以外はどうでもいいが、アルベドのしでかしそのものがあいつの意思に反するとよく理解している。戻った後にすぐに知らせたんだろうな。

そんなあいつでさえ、理解者にはなり得ない。

"アインズサマは全知全能"だと信じ込んでいる。どこまでいってもひとりぼっち。それが今のモモンガを取り巻く現実さ。 」

 

「 リキュール、ここに置いておきますね。 」

 

「 ありがとう。 」

 

 新しい酒瓶を持ってきてくれたフィースに礼をいい、オレはその栓を空けてグラスに赤い酒が注ぐ、グッと一気に飲み、ハァッと一息ついてグラスをテーブルに置き、話を続けた。

 

「 ま、とにかく、NPCは現状モモンガに良い影響を与えちゃいない。だからあいつには、できれば奴らへの子だのなんだのという感情を、ナザリックごと棄ててもらいたいというのがオレの所感だ。 」

 

「 ・・・あるじぇんとさん。 」

 

「 なんだ? 」

 

「 貴方、私が思っていたより、モモンガさんのことを思ってくれていますよね。 」

 

「 そうか・・・それよりも、飲もうぜ。 」

 

 それからは、話よりも酒のほうが進んだ。赤かったリキュールの瓶はすぐにまた空になり、また新しい酒がでる。

途中からタドコロやペロロンにMUR、他には名誉ホモガキだった七八銀やホモの団のタクヤさんもタドコロとつるんで飲み始めた。

 

「 おお、また酒がなくなったぞ! 」

 

「 ビール!ビール! 」

 

「 おい、冷えてるか〜? 」

 

「 大丈夫すよ!バッチェ冷えてますよ!! 」

 

「 オレぁ、ビールよりワイン派なんだけどな。 」

 

「 ええ、もったいないですよ、あるじぇんとさん。 」

 

「 オレも普段飲まないからな。姉貴が悪酔いするもんだから・・・ 」

 

「 ビールも慣らして、どうぞ。ホラホラホラホラ!! 」

 

「 おぉ銀、アルハラやめチクリ〜!! 」

 

「 ( 腹が )重巡になるまでやるからなオイ! 」

 

「 タクヤさんも飲んで、どうぞ。 」

 

「 ウッス!ありがとナス!! 」

 

 そんなわけでビールもリキュールと併せてしこたま飲み始めて、だんだだんと意識が朦朧になっていった。心地の良い状態。まさに夢の中のような。

そんで気づけば野郎数人、外にでていた。

足取りがおぼつかない。それくらいの泥酔状態だ。

 

「 よおし、景気づけに一丁やるか、〈 ドラゴラム 〉!! 」

 

「 お、竜化魔法か。やりますねぇ!! 」

 

「 乗れ。夢を信じて生きていけばいいさ( TKNGHDAK )。 」

 

「 ああ、いいっすねぇ! 」

 

「 さあ行こうぜ! 」

 

 

『 銀の龍の、背に乗ってぇ〜♪ 』

 

 

「 オレ別に銀色じゃねぇけんどな。 」

 

「 ハハハハハハハハ!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

「 お、ありゃスレイン法国じゃないか? 」

 

「 あの野郎ども散々嗅ぎ回りやがって、もう許さねぇからな〜!! 」

 

「 やりましょうよそうしましょうよ。 」

 

「 殺りてぇなぁ・・・ 」

 

「 じゃけん法国潰しましょうね。 」

 

「 あぁ、いいっすねぇ〜!ってあるじぇんと!お前もう初めてんのか。お前その体型で口から光線って怪獣王の敵役じゃねぇかよもう! 」

 

「 いいだろ?敵の兵隊バッタバッタ死んでくんだからよぉ。 」

 

「 オレも弓撃っていいかな? 」

 

「 いいんじゃないかな?彼も良くやってくれてますし( ルシフェル )。 」

 

 

「 きゃああああ! 」

 

「 化け物だぁぁぁああ!! 」

 

「 怯えろ、竦めぇ!!職業の性能も活かせぬまま、死んでいけぇ!! 」

 

「 銀、お前ガノタかよぉ!? 」

 

「 法国壊れるぅ!こわれるぅ!法国こわれちゃ~う!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ・・・るじぇんと。あるじぇんと! 」

 

「 う、うぅ・・・オレは、なにを・・・!? 」

 

 聞き覚えのある声がして、目が覚めると、辺り一帯は瓦礫の山になっていた。声の主は誰かと思ったら、久しく会っていない、やはり死んだと思っていた顔だった。

周囲には他にもプレイヤーがいて、同じようにぶっ倒れてるヘロヘロやタドコロたちを介抱してくれていた。

 

「 ウルベルト・・・お前も死んだか、うぇぇえ!! 」

 

 その場で吐いてしまう。どうやら二日酔いのようだ。

 

「 何が、どうなってら? 」

 

「 覚えてないのか?お前たちは酔いつぶれながら、スレイン法国を滅ぼしたんだぞ。 」

 

「 え、えぇ!? 」

 

 クラン時代の旧友から聞かされた驚くべき事実に、オレは目が飛び出そうになったし、酔いも覚めてしまった。

まさかこんな事があるもんなのか。

 

 

 




 新キャラ紹介

 タクヤ

 一応異業種。魔法戦士型のビルドを組んでいる。ホモの団ではアクシード三銃士というユニットの一角を担い、戦闘ではビルドの特徴を活かして器用に立ち回る。
キメションを売ったりはしない。


 七八銀

 だいぶ前に言及したマウンテンデュー飲んでた人。やはり異業種。ルベドに五大明王コンボを決めてた通り、前衛職のサムライである。そして元ネタが元ネタなので、ホモであり、淫夢語録も多様する。


 スレイン法国

 酔っ払いに滅ぼされた。漆黒聖典?あんなのが相手になるわけねぇだろ。


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