OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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すべてがなんか合体しちゃってるよぉ・・・

「 ここが里かぁ・・・ 」

 

 翌日。オレはある場所にいた。西洋風の豪勢な装飾の為された、ドアが果てなく並ぶ大廊下。シャングリラに照らされるその様は、まさに神々の住まう神殿か。まさか、来てみたいとはいったが、早速赴くことになるとは。

ナザリック地下大墳墓。ユグドラシルのワールドの一つ、ニブルヘイムの最難関ダンジョンである。

もともと五階層構造だったらしいが、ギルド「 アインズ・ウール・ゴウン 」が拠点とするようになってからは、十まで増えたらしい。

一つ一つの階層は、難関とよばれるだけあり、攻略は困難を極める。

なんでオレがここにいるのかといえば、アルベドから没収したアイテムのお陰だ。

金色の金具に、ギルドの紋章が刻まれた赤い宝石の填められた指輪「 リングオブアインズ・ウール・ゴウン 」。

これがあると、ナザリックの各階層を自由に行き来できる。その為オレは地上からここへ〈転移門〉によって侵入できた。そう、あの1500ものプレイヤーやNPCを葬ったという、地獄の第八階層をも飛び越えて。

シャルティアが守っているのは第一〜第三階層。アウラが弟と守ってるのは第六階層。

そして、ここは第九階層。ロイヤルスウィート。非戦闘NPCが多い階層だ。その多くはレベル1らしく、捕獲など容易い。

多くの場合はこうして敵ギルドに侵入に成功したのなら、狙うは高レアアイテムであり、わざわざ糞の役にも立たなそうな低レベルNPCにに狙いを定めた理由は、女神転生コラボの際にユグドラシルに実装された、あるコンテンツが関係している。

悪魔合体。悪魔同士を文字通り合体させて、新しい悪魔を生み出す儀式だ。ユグドラシルにおいては悪魔系ではないモンスターをも素材にすることができ、自分だけのオリジナルモンスターを生み出す、なんてこともできた。そこは流石、自由度に定評のあるユグドラシルといったところか。

NPCは素材にできなかったが、転移後はいくつかがゲームの中と変わったものがあったので、おそらくはと思い、こうして素材兼モルモットを採りにきたわけだ。

高レベルのNPCも狙うこととしている。

たかが1レベルのカスが数体なくなったところで、大した打撃にはならない。ポルンガにはキッチリ報いを受けてもらわねば。

この階層の最高レベルは、たっち・みーが作ったセバス・チャンとかいう100レベルの竜人らしい。

あの野郎、テメェのNPCが竜人とは、オレへの当てつけか。

他には、階層守護者よりは弱いがそこそこの能力がある戦闘メイド「プレアデス」なんてのもいるらしい。

こいつら辺りか。狙うなら。

にしても天下のナザリックが、たかだか1レベルのNPCにリソースを割くとは。あまりにも非効率的だ。他の拠点のNPCレベル合計上限が700のところ、ここは3000だからか。

シャルティアや第八階層のアレラがいる分、慢心していたのだろうか。

テメェの古巣がここまでになると、どうも不愉快だ。

 

 

「 ママ〜、気持ちいいよぉ・・・ 」

 

「 ふふふ、坊やったらこんなにだしちゃって♥ 」

 

 ・・・!なんだ?いろんな意味でいけない声が聞こえた気がする。ドアの一つをこっそりと開けてみると、彼はいた。

 

「 マーレ様、もう少し激しくしても? 」

 

「 ソリュシャンさん、ママはむしゃぶりつかれたら溺愛の甘やかしをするのが摂理です。 」

 

「 ふふ、では、もっと丁寧に、キレイキレイにしましょうね♥ 」

 

 褐色肌の一見すれば少女にみえる金のおかっぱの少年。彼は今、裸になって、同じく裸の髪を十束のロールにした一糸纏わぬ女性に、あそこを優しく掴まれて慰められていた。女性の大きく膨らんだ胸に、舌を運び、悶絶させる様は、極楽の光景のようだった。彼女のその手は青く液体が手の形を象った様である。あれはスライムか?

あの少年は赤ちゃんプレイをしているようだが、その相手がスライムとは。一応、彼ら姉弟の生みの親はスライムのぶくぶく茶釜だったと聞いている。あのマーレという少年は、母親がそうだったものだから、スライムが性癖になったのか。

あんなプレイをするくらいなのだから、だいぶマザコンをこじらせてるらしい。ぶくぶく茶釜さんとはナインズオウンゴールにいた頃に親しくしていたが、本当に面倒見のいい人だった。

曰く愚弟のペロロンチーノは変わらずダメ人間だが、彼女は今どうしてるだろうか。

売れっ子で手がつけられず、ユグドラシルにログインしてないと聞いているが。

12年も経つのだ。身は固めてそうだが。

いい子供産みそう。いい家庭築けそう。

しかしマゾメス(タンク)だ。

オレはそっとドアを閉めた。

その時、通りかかったメイド二人と目が合う。

――不味い。見つかったか。

そう確信した瞬間に、無詠唱で〈魔法二重化全種族束縛〉を唱え、二人を拘束する。さらに〈ピオラ〉で素早さが上がる。これによってたぶん1秒か0.5秒位で、二人を捕らまえる。(琵琶法師)

 

 

「 な、なにをするん・・・んっ!んん!? 」

 

 暴れんなよ・・・暴れんなよ・・・

タドコロじゃないがこの二体の多分ホムンクルスを心のなかでそう諌める。こいつら思いの他軽く感じるし、いくら暴れてもカスが効かねぇんだよ。レベル1のかぁ等生物がよぉ。(ALBD)暴れんなよ。

NPCの屑がこの野郎・・・

 

「 〈転移門〉。 」

 

 上級転移魔法を唱え、闇の門を呼び出す。この先はヴリヒルドリアに繋がっている。

その中にこのホムンクルスたちを放り込むととっとと門を消した。これを開けっぱにしてるとそこから拠点に潜入されかねない上、探知なんかもされると不味いからな。魔導トランシーバーもこれが理由でここでは使いづらい。第五階層にはアルベドの姉である探知特化のNPCがいるらしいし、ポルンガに勘付かれでもしたら不味い。

にしてもさっきのホムンクルス、よく出来てる。おそらくはメイドが癖であるヘロヘロか、すべてがメイド服だったホワイトブリム辺りが作ったな、ありゃ。二人には悪いが、こいつらは使わせてもらうぞ。

どうせホワイトブリムはいない。アイツは引退してから漫画家になったらしいし。ヘロヘロも転職してから付き合いが悪くなったと前にタドコロがいっていた。今頃過労でくたばって墓の中だろう。

何れにせよ問題はあるまい。

アイツラは向こうで待機してるスネークさんとタダノさんが魔導麻酔銃なり〈ドルミナー〉なりで大人しくさせてくれるだろう。

それはそうと・・・

――〈全種族束縛〉。

 

 オレが杖を向けた先には、また別のメイドだ。よくないなぁ、覗きとは。騒ぎ立たれてそこのヘロヘロのオナニーと茶釜さんの傑作に気付かれたら面倒だ。とっとと門にぶち込んでやるぜ。

 

「〈転移門〉。」

 

 再び門を開き、そこに彼女を放り込む。嫌がる素振りを見せるが、そんなもの気にもならない。メイドの姿が門に吸い込まれるのをみると、即座にそれを消す。

さて、探索を続けるか。先ずはここを離れなければ・・・

 

「〈魔法最強化連鎖する龍雷〉!」

 

「〈マホカンタ〉!」

 

 咄嗟に放たれた雷撃、第七位階魔力魔法を反射魔法でそっくりそのまま返す。青白い雷は軌道を180°変えられ、術者に降りかかりその身を焦がした。

 

「 まったく生意気な真似をしてくれる。 」

 

 目の前の片膝をついた少女の着ているメイド服はそれまでのものとは違った。

剣の意匠のされたプレートのついた、鎧の機能も兼ね備えたような、改造メイド服。

丈の長いスカートはどこか卵を思わせる。その美貌の中に、悍ましい本性を孕んだ卵というわけか。

いいセンスだ。

少女の首を掴み、そのまま〈転移門〉を展開、その中を潜る。本当はこの第九階層に、〈イオナズン〉をぶちかましたいが、今はとっとと戻るに限る。すぐそこの部屋のソリュシャンとマーレがでてきたら不味い。

門を潜り、ヴリヒルドリアに戻ると即座に消して、女を放す。

周囲にはスネークさんとタダノさんが待機していて、側には意識を失ったメイドたち。

オレは上半身を起こして咳き込む女の前に立つ。

 

「 見事なアンブッシュだった。これは弐式炎雷のか? 」

 

 先の彼女のような強かさをもったプレイヤーといえば、先日パンドラズ・アクターが化けた時に久しぶりにその顔をみた、あの忍者だった。

 

「 お前の、ような・・・ 」

 

「 ん? 」

 

「 お前のような、痴れ者のフンコロガシが、弐式炎雷様の身名を語るな。 」

 

・・・ほう、生意気だねぇ。NPCの分際で。だが、その方が唆る。その手の仕事をしていたものだからな。良いドラゴンの素材になるだろう。

こんな女、残しておいてありがとよ、弐式炎雷よ。

ユグドラシルに飽きたお前が残してくれたこの女、有効的に使わせてもらう。

 

「 私のみならず、一般のメイドたちにまで手をだして。今にアインズ様が、お前を・・・ 」

 

「 ポルンガはそんなにえれぇのか、お嬢さん? 」

 

「 ポルンガだと?あの方の名はアインズ・ウール・・・ 」

 

「 ギルドの名前だろ、それ?前はもっとイカした名前使ってた。ナインズオールゴールっていうんだ。お前の造物主も知ってるよ。 」

 

「 何故、それを。 」

 

 やっぱり、コイツは知らねぇか。オレのこと。この分だとポルンガは少なくともパンドラズ・アクターとかにしか教えてねぇのか。

とにかく、この女を大人しくさせねばな。

 

「 まぁ、立てよ。かわいがってやる。 」

 

「 この・・・舐めるなよ、蛆虫! 」

 

「 蛆虫?ハエならコイツだろう?『蠅の王タダノ』だぞ? 」

 

「 その痛い呼び名やめてくれ。恥ずかしいから。 」

 

 オレに指さしたタダノさんはバツが悪そうにした。そうして立ち上がった女はオレに再び魔法を撃とうとした。

 

 

「 〈二重魔法最強化連鎖する龍雷〉・・・ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

「 〈マホトーン〉。 」

 

「 な!? 」

 

 少女は驚愕した。それまで両腕に迸っていた雷が消滅、魔法が不発になったのだから。

まさか魔封じ対策をしておらんとは。これは第八階層が突破された場合の時間稼ぎ要員、捨て駒ってことか。

この〈マホトーン〉はモンスターでいえば、サイレスという悪魔系モンスターが使い手として有名だ。効果は単純。相手を一定時間の間、魔法が使えない状態にすることだ。勿論これの対策も大半がしている。オレもしている。

が、彼女は違ったらしい。

 

「 どうした?来ないならこっちから行こう。 」

 

 さっきの〈ピオラ〉の効果が残ってるのか、自分でも体感で速いと思う速度で、彼女の腹に正拳突きをかますと、口から唾液を吐いて、そのまま意識を失い、地面に倒れ込んだ。

魔法が使えぬ魔力系魔法詠唱者は、こうも脆いか。

その後、この戦闘メイドは収容施設の牢に幽閉、拘束しておくこととした。

あとからタドコロが教えてくれたが、彼女の生みの親はやはり弐式炎雷だったらしい。

やっぱりいい趣味してるな、アイツ。

 

 

 

「 なぁ、本当に、やるつもりなのか? 」

 

「 あぁ、やる。 」

 

 それから数時間後、悪魔合体の準備が整ったらしいので、オレはペロロンとアウラを連れて素材を選別していた。

 

「 悪魔合体って、モンスターを使うんだろ。じゃああるじぇんとさんのドラゴン・・・ 」

 

「 バカをいえ。あいつらは大事な仲間だ。それを生贄になどできようものか。 」

 

「 じゃあどうすんのさ。 」

 

 確かにその疑問は正しい。悪魔合体はモンスター同士を掛け合わせる。当然それは持ちモンスターとかになるんだが、どいつもこいつもが愛着あるモンスターをそうやすやすと素材にできるわけではない。仮にタドコロがオレの立場だった場合も、あのれんごく天馬やあとから持ってると聞いた最上級クラスの魔獣ヘルゴラゴを手放したくない筈だ。

が、ユグドラシル運営は、女神転生ならびにペルソナコラボ以降に実装されたこの悪魔合体に恐ろしく力を入れたのか、これの解決策を用意していた。

 

「 これを使う。 」

 

「 あ、それって確か・・・ 」

 

 オレがポケットスペースから取り出したのは、カードファイルだ。これは悪魔合体を取扱う職業に一度でもついたプレイヤーに与えられるもの。

この中に収められているのはモンスターカード。

その名の通りこれまでコラボイベント以降のものも含めてユグドラシルで実装されたモンスターたちのカードで、これを使うとそのモンスターを召喚することができる他、悪魔合体の素材にもできる。

さらに特定のカードを消費しても、ユグドラシルコインを使ってブランクカードを生成し、新しく作ることもでき、死亡によるアイテムロストでも失われない。

恐ろしく便利なシステムである。クソ運営とかいわれていたが、こうまで律儀になられると見直さざるをえない。

 

「 そう。コイツから、合体に使うモンスターを選ぶ。 」

 

「 うわぁ・・・ドラゴンだらけ。 」

 

 アウラがそう漏らしたように、オレのファイルは殆どがドラゴンで埋め尽くされていた。

ま、一部他のモンスターのもあるが。

 

「 今回捕らえた一般メイドは、フォアイル、

リュミエール、フィースの三体。最初はこのうち、フィースを使用する。ナーベラルはこいつらより遥かにレベルが高いが、今は様子見だ。 」

 

「 ・・・本当に、やるのか? 」

 

「 やるよ。知見は多いに限る。 」

 

「 そうじゃなくて! 」

 

「 !? 」

 

 突然、ペロロンチーノが声を荒げた。ちょっと驚いてアウラはハッとなる。

 

「 あの子たちを誰の許可も得ずに、こんなことに使っていいのかよ!? 」

 

 コイツ、まだそんなこと気にしてんのか。

 

「 あれらのクリエイターはとっくに辞めてるだろ。ギルドも、ユグドラシルも。 」

 

「 だとしても、あの子たちはみんなが丹精込めて作ったんだぞ。 」

 

「 あの日におらんかった、というよりギルドを抜けたということは、思い入れもそこまでだ。 」

 

「 ・・・ホワイトブリムさんはな。 」

 

「 あ? 」

 

「 ホワイトブリムさんはな!自分の漫画にフィースを出すくらいに、自分の作ったメイドたちに愛着を持ってるんだぞ!? 」

 

「 初耳だな。 」

 

「 それぐらい愛情を受けてるあの子たちを!お前は・・・ 」

 

「 果たしてあのルベドが相手でもそういえるのか、お前は? 」

 

「 ・・・! 」

 

 黙ったな、ペロロンよ。

 

「 テメェを追い回して、殺しかけたような相手を、そしてお前たちを殺す為に捜索チームと偽ってあの化け物を野に放ったアルベドを、お前はタブラの娘だからと擁護するのか?だとしたらとんだピエロだぞ、お前。ぶくぶく茶釜のいう愚弟以下だ。 」

 

「 フィースとルベドはまるで違うじゃ・・・ 」

 

「 同じNPCだ。生みの親に取り残されて、ただ惨めに主人を待つばかりの亡霊だ。あいつらがいくら待とうとホワイトブリムがこっちに来る可能性は限りなく低い。それなら有意義に使ってやった方がまだマシだ。 」

 

 オレはイライラしながらファイルのページをめくって、フィースに合うようなモンスターを選り好みながら、ペロロンとの言い合いを続けた。アウラは、不安そうにオレをみている。

 

「 それにな、お前にとって大事なのはシャルティアだろ?拘ったんだってな。

いいセンスだ。そんならそいつを必死こいて守ればいい。誰かの遺志に引っ張られる必要なんかない。 」

 

「 それでもモモンガさんは・・・ 」

 

「 そのモモンガはお前らを殺しかけたろう?必死に探していたであろうお前らを。

最強チームを作りたいなどという馬鹿みたい甘言に踊らされて、ルベドと捜索チームをあのアバズレに寄越したというのはな、モモンガがお前を殺そうとしたというのとイコールなんだぞ。 」

 

「 ・・・ 」

 

「 あの野郎は昔っからそうだ。クランの舵取りができているようで、相手のことなどまるで知りもしない。理解してるようでしてない。だからルベドが如何に危険かと考えもせず、最強チームとやらをアルベドに渡した。アイツが、お前たちの生命を狙ってるとも知らずに。すべてはアイツが招いた。

なにがアインズ・ウール・ゴウンだ。 」

 

「 ・・・あるじぇんとさん、やっぱりアンタ・・・ 」

 

「 あの時の事をよく覚えているよ。アイツやたっち・みーのムカつく面も。お前は来なかったくせに、偉っそうにヘラヘラとして仲裁に入ろうとしやがったな。

あの時ほどお前を殺してやりたいと思ったことはない。

お前だけじゃない。ヘロヘロもタブラも弐式炎雷も、みんながみんなオレの敵のように思えた。それこそ明確にそう見えなかったのは、あの二人くらいなもんだ。

だからオレはクランを辞めた。あの場に、オレの居場所はないと思い知らされたからな・・・! 」

 

 あぁクソ、嫌なもんぶり返して来たな。何年ぶりか。

 

「 追い出したかったわけじゃない。 」

 

「 そうかよ。ならお前はあの場でどうしたかったんだ?いってみろよ。 」

 

「 ・・・ 」

 

「 いってみろよ、ペロロンチーノ!! 」

 

 

「 ・・・ 」

 

「 いえないか。それもいいさ。どうせ昔の事だ。

オレはオレの今を生きる。ナザリックに固執してるらしいモモンガとは違う。

オレも、本当ならお前に会いたくもなかった。ウルベルトやタドコロに、オレが辞めてないことを黙っておくようにいってたのだって、お前らと関わりたくなかったからだ。 」

 

「 ・・・あるじぇんとさん、オレ・・・ 」

 

「 それ以上いうな。聞きたくない。とにかく、オレは今いるこのギルドを、千年王国を、オレのドラゴンたちや仲間たちを守るために手を尽くすだけだ。

ギルドマスターも、きたろうも、他何人かもこんな時に限ってどっか行ったからな。

情報や知見を集めねばならない。ホモの団とも提携も、悪魔合体だって、その一環だ。 」

 

「 だったら、AINZ様に謝ってさ、全部教えてもらうでいいんじゃない?(提案) 」

 

「 ・・・! 」

 

 アウラのこの言葉から察した。なるほど、NPCはギルドメンバーをどっこいしょするしか能がないらしいが、ここまでなのか。

彼女はモモンガへの負担を加味して離れたほうがいいからとタドコロのところに転がり込んだらしいが。

 

「 考えてもみろ。お前らのご主人様は、テメェの面子を潰した奴を快く赦すのか? 」

 

「 うーん、わかんないッピ。AINZ様は良くても、DMURGSとかが切れ散らかしそう。(確信) 」

 

 廣井さんやKMRは、アルベドの頭を覗いた時、彼女の思考も読み取ったらしい。

曰く、向かってくるものは如何なるものも奪われ殺される時を感謝しながら待てとのことだ。

・・・徹底的に頭の中を弄り回してやらせた方が良さそうだと思った。ビッチの淫夢厨では足りん。マゾの雌豚とも注文を追加すべきだろうな。

それがナザリックの基本だというのなら、他の階層守護者も同じ考え方だろうし、モモンガだって同じだろう。

なら、アイツに頭を下げるというのは論外だ。

 

「 モモンガさんがそこまでいってると思うのかよ。 」

 

「 魔導国のやったこと大半がマッチポンプだとさ。大勢を殺して且つ自分たちをよく見せる。自分たちの為なら他人をいくらでも不幸にする。それが奴らだぞ。 」

 

「 で、でもオレがいえば・・・ 」

 

「 お前が良くても、他はどうなる?このギルドの連中やホモの団を、モモンガがそのままにしておくはずがない。 」

 

 ペロロンチーノがいくら頼み込んだとしても、オレたちが無事でいる保証などない。あのアルベドがそうだったように、プレイヤーに敵意を示すNPCが他にいたって可笑しくないのだ。

オレは彼らをよく知らない。当然だ。オレはナザリックにさっき初めて足を運んだのだから。

だが、今知り得る情報から、お世辞にもよろしいとは言い難い連中である。

シャルティアやアウラはともかく、そんな奴らが自分たちになにをしでかすか分からない。

アルベドがああだったのを考えると、他のNPCたちは本気で自分たちを殺しにかかるだろう。

その時に、備えなければならない。

 

「 よし、これで行くか。 」

 

 合体の素材も決めたので、施設に足を運ぶ事とした。

 

「 あのさぁ・・・ 」

 

 アウラがオレを呼び止めたので、相手をしてやることとした。

 

「 なんだ? 」

 

「 至高の御方々と揉める原因、ドラゴンなんだよね。だったらさ、そのカードで補填すればいいんじゃない?(提案) 」

 

 ・・・はぁ。コイツ、ビーストテイマーじゃあないのかよ。しょうがない。オレがなににキレたか教えてやるか。

 

「 お嬢ちゃん、あの神喰狼は大事か。 」

 

「 うん、勿論。 」

 

「 あの狼が死んだら、お前はどう思う? 」

 

「 そりゃ、勿論悲しくなるね。 」

 

「 それでオレが、コイツで代わりの神喰狼をだしてくれてやったら、それはお嬢ちゃんが大事にしてたやつかい? 」

 

 あの日、モモンガはユグドラシルコインで、死んだドラゴンの弁償をしたいといった。あのゲームでそれまでを共に過ごしたドラゴンたち。彼らとの思い出。アイツのあの一言は、それにタブラやヘロヘロのあの言葉は、それらを踏み躙るように、オレには聞こえた。だから、オレはモモンガを許さないし、別のクエストを受注して別のダンジョンに仲間を連れて行きやがったたっち・みーも許さない。

勿論お前もだ、ホワイトブリム。

 

「 ・・・あっ、そっかぁ。(理解) 」

 

 分かってくれたようで何よりだ。ぶくぶく茶釜はできのいいNPCを残していってくれたらしい。そういえば彼女ややまいこには、さして恨みらしい恨みなど抱かなかったな。

だからなんだという話だが。

 

 

 

 

 廃棄都市ヴリヒルドリア。その街の警備はPOPモンスターのオートマトンであるが、一部変わったものたちがいる。

ドラゴンだ。そう、オレがテイムした。

目の前の建物に門番として控えている二体もそう。

翼はないがガッチリとした体格であり、顔をみれば一目でドラゴンだとわかる、赤と白の二体。

 

「 ダーク、ライト。お疲れ様。 」

 

「 ガァウゥ。 」

 

「 グゥウ・・・ 」

 

 ダースドラゴンのダーク、光の番人のライトは小さく唸る。こいつらは普段ここの守りについている。レベルも高いので、お誂え向きだ。

後は上でグレイトドラゴンのシーザーや、ブラックドラゴンのジョセフ、それにスカイドラゴンのエアロが、上空から外敵を警戒してくれている。

ペロロンチーノはともかく、アウラは珍しそうにコイツラをみている。

 

「 このタイプのドラゴンをみたことないのか? 」

 

「 だいたいドラゴンっていったら羽根のある子ばかりだから。 」

 

「 身近にみるのは、姉貴がやった森林竜だろうしな。 」

 

「 後は、あの子かな? 」

 

「 あの子? 」

 

「 ヘジンマールだよ。小さくて力は弱いけど本を読み漁ってて凄く賢いの。

昔は太ってた。 」

 

「 はぇ~。 」

 

 知能指数の高いドラゴンか。一度会ってみたいものだ。そうしてオレは二人を連れ、建物の中に入っていく。

 

「 うわ、真っ青。青ばっかんじゃねぇかお前ん家ィ! 」

 

「 悪魔合体のシンボルカラーだ。扱うのが悪魔でもペルソナでも共通して、青だ。 」

 

 

 

アウラの言う通り中は青一色、ど真ん中には魔法陣の描かれた怪しげな装置。それ取り囲むのは三つの・・・

 

「 槽だよ。( 人体実験 ) 」

 

と、アウラがいうと、

 

「 おっ、槽だな。 」

 

 おおペロロン、お前も淫夢に目覚めたか。

その中には、哀れなメイドが一人。

悪いなぁ、ホワイトブリム。お前の娘、使わせてもらうぞ。装置の側には廣井さんとタダノさんが待っててくれていた。側には殺丸とバガブーも一緒だ。

 

「 悪魔が集いし邪教の館へようこそ・・・で良かったよね? 」

 

「 で、あってる。それで決まったかあるじぇんとさん。 」

 

「 あぁ。今回は三身合体でいくべ。 」

 

「 それ、危なくない。 」

 

「 三身がいければ、二身もいける。そう判断した。 」

 

 オレはそういってカードを二枚取り出した。

一枚目は、「 邪龍 ファフニール 」。オレの連れてるドラゴン、ファヴニールとは別のモンスターだ。全身メタリックな機械的なフォルムをしている。

 

二枚目は、「 女神アナーヒター 」。ペルシャ神話に起源を持つ女神だ。

 

「 さぁ、始めようか。 」

 

 手元のカードが、吸い込まれるように槽の中に収まる。フィースはというと、暴れることなく、ひどく落ち着いていた。もはや、抗いようがないと諦めがついているらしい。これから彼女は彼女でなくなる。

廣井さんが杖を振ると、二枚のカードとホムンクルスは、気体となって、槽の下に吸い込まれる。

彼女は秘儀術師のスキルを持っている。儀式に参加するだけで、補正が効く。

そして、この槽の下から、チューブで真ん中の魔法陣に繋がっている。ここから、合体したなにかが生まれるわけだ。

陣が連続して発光し、それは段々と強くなっていく。そして、

 

「 うおっ! 」

 

「 ガブー!? 」

 

 眩い光が、室内を包む。オレたちは腕で顔を覆うこともなく、機械から目を離さなかった。

目を眩ませてる暇があったら、合体の結果をいち早く見るべきだ。

がしかし、普通ならば、やはりここは目を覆って閃光から身を守るべきなのだろう。

そこもやはり人間の頃から変わってしまっているのか。そして、煙の漂う魔法陣の上に、彼女はいた。

人間と変わらぬ質感の肌を覆う、鋼鉄の四肢。背には筒がいくつも重なったような機械質な翼。

そして、その服装はそれまで着ていたメイド服がメタリックになったようだ。

どこかロボットアニメにでてきそうな、そんな感じだ。残念ながらドラゴンではないらしいが、見るからに強そうだ。

 

「 私は、機械神フィース。今後とも、よろしくお願いいたします、ご主人様。 」

 

 まるで変わらぬその顔から告げられたその言葉を聞いたとき、オレは確信した。

 

――実験は、成功だ。

 

 次に脳裏に浮かぶはさらなる合体の素材だ。

フォアイルには、神スライムと・・・そうだな、

「風征竜テンペスト」辺りがいいかな。




ちなみにソリュシャンを素材にすると、合体事故が起きて、英傑 ミヤモトムサシが爆誕します(大嘘)。
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