異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ プロローグ
世界は、揺らいでいた。
シンナセン──剣と魔法が織りなすこの世界は、半年間に渡る魔王軍の侵攻によって、大きくその均衡を崩しつつあった。最前線では次々と砦が落ち、いくつもの町や村が落ち、人間の領土の三割が魔族の手に落ちている。
かつての繁栄は、もはや幻想だった。焦げ付いた大地に、人々の悲鳴が響く。城塞都市ですら防衛が限界を迎え、多くの王国が滅亡の危機に瀕していた。
シンナセンの中心に位置するロコロ王国。
その王であるクリセイ・モルデュアは、王座の間で沈痛な面持ちを見せていた。
「申し訳ございません、クリセイ王………まさか、このような事になろうとは……」
王の娘であり、国の象徴であるフローレント王女が、魔王軍に攫われたのだ。護衛に当たっていた騎士団長のガラティン・ウェインが、王の前で痛烈な顔で膝をつき話していた。
救出に向かおうにも、騎士団で戦えるのはガラティンを含め数人のみ。王女誘拐の事件は既に国民に広がっているのか、民の士気は大きく低下し、王国の存亡すら危うい状況だ。
「………やむを得ないか。」
額に手を当てていた王は決断したのか、ゆっくりと王座から立ち上がり、横で椅子に座る銀髪ストレートヘアのエルフに話しかけた。
「レヴァンティよ、『例の儀式』の準備を頼む。」
「アレを行うのか………」
レヴァンティと呼ばれたエルフは長い杖を手に立ち上がって大きなとんがり帽子を深く被ると、王の顔を見てこくりと頷きその場を後にした。ガラティンは王の判断を聞いて、驚いた様子で王に問いかける。
「王よ!アレを行うのですか!?時期尚早なのでは……!」
「……仕方がなかろう。」
王は拳を握りしめながら玉座から立ち上がり、壁にかけられた絵画に目を向けた。
それは、エルフの住まう森の遺跡に刻まれた壁画を模写したものであり、剣を手にした者が悪魔のような者を斬り裂いている様子を描いたものであった。
「『世界に邪悪な魔の手が迫りし時、聖剣に選ばれし勇者が光と共に現れ、それを斬り伏せん。』……」
「伝説の勇者………御伽噺の中だけの存在だと思っていましたが……」
「だが、『聖剣の鞘』が国宝として保管されている以上、聖剣の存在は十分にあり得る……現状、シンナセンを救うには、伝説に縋る他ないだろう。」
「……」
王の言葉に、ガラティンは黙るしかなかった。
数時間後、城の大広間に大きな魔法陣が描かれ、中央に真っ白な金属製の剣の鞘が安置されていた。この儀式では、魔法陣を介して鞘に魔力を込める事によって鞘を目覚めさせ、聖剣の勇者に相応しき者を選別するという。
王は司祭達との打ち合わせを済ませると、レヴァンティに目配せをした。
「……ではレヴァンティよ、頼むぞ」
「うむ。」
エルフの魔導士は頷くと、魔法陣に杖を突き立てて詠唱を始めた。すると鞘から淡い光が溢れ出し、広間全体に広がり始めた―――
†
4月のある日。夕暮れの道を、学ランを着た1人の男子高校生が歩いていた。
「自主練してたら、もうこんな時間か………来週の新入生歓迎会で勧誘するのに、張り切りすぎたかー………」
スマートフォンで時間を確認した彼は、耳にかかる程度の黒髪を掻いてからため息を1つついた。
彼の名前は
草介は家にいるだろう母にメッセージを送ってスマートフォンを胸ポケットにしまうと、再び歩き始めた。
ふと、何となく眩しくなったので手で目元を庇う。夕日の光だろうかと思ったが、自分の進行方向は東である。不思議に思った草介が周囲を見ると、そこで気付いた。自分の周囲が光り出して、それが段々と強くなっていく。
「……え?」
草介は何が起こっているのか分からないまま光に包み込まれてしまった。
一瞬後、光が消えた後、草介の姿はその場から消えていた………
†
「ぅうっ………!?」
あまりの眩しさに目を閉じていた草介だったが、次第に光が収まっていくのを感じる。それと同時に、周囲がザワザワと騒がしくなるのを感じて、草介はゆっくりと目を開けた。
「……せ、成功したのか………っ!?」
「おお、あれが例の………!!」
「な、なんだ……?何がどうなって……ッ!?」
草介の目の前には、見覚えのない、石造りの広間が広がっており、周囲にはいかにもな恰好の王様らしき人物と魔法使いのような恰好の銀髪の女性、それに鎧を纏った騎士たちが立ち並んでいた。
そして、足元の床には淡く光る魔法陣。草介は、その中心に立っていた。
(……え、なにこれ? どこだよここ!?)
草介は混乱していた。ここはどこなのか?目の前の人たちは誰なのか?自分は何故こんなところにいるのか?
色々な考えが頭をぐるぐる回り、周囲の声がよく聞こえない程に混乱し、手足の力が抜けてぺたんと床に座り込んだ。
「あれが、勇者………!」
「召喚は、成功したのか………!!」
草介が混乱する中、騎士たちがどよめいていた。召喚したらしき銀髪の女性と王様も、何故だか目が点になっていた。
「お、王よ、見ての通り儀式は成功した………じゃ、じゃが………」
「う、うむ………ひとつ聞きたいのだが……」
王様が困惑した様子で、草介の方を、厳密にいえば、草介の頭上の辺りを指さした。
「ど、どちらが、勇者殿なのだ………?」
「……え?」
「えーと………大丈夫かい、きみ?」
王様の言っている事が分からず聞き返す草介であったが、背後から聞こえてきた声を聞いて振り返った。
そこで気が付いた。草介の背後に、もう一人の男が立っていたのだ。
年齢は、草介よりも年上だろうか。薄紫色の短髪をしていて、金色の瞳でこちらを心配そうに見ている。服装は白いタイトな服の上から胸にどこかのエンブレムが付いた赤いジャケットを羽織っていて、下は黒いズボン、ショートブーツを履いていた。
「立てるかい?」
「だ、大丈夫です………すみません……」
草介に話しかけてきた男性は手を差し伸べると、草介はその手を借りて立ち上がった。草介が立ち上がったのを見て、王様は2人に問いかけた。
「あー……と、とりあえず、自己紹介をさせてくれないか? 儂はロコロ王国国王、クリセイ・モルデュアと申す。」
クリセイ王が名乗ると、草介と男性は王に向き直った。
「あ、勇薙 草介です。」
「私は、デュランと言います………」
草介と男性・デュランは、会釈をしながら名乗ったのだった………
ふと思い立って、初めてのオリジナル作品を書いてみました。