異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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第12話 嗚呼、その領地に涙あり④

異世界勇者ロボ 第12話

嗚呼、その領地に涙あり④

 

 

 

 

 

「はやく、こっちだ!!」

 

兵士と共に市民の避難を誘導していたセツィアが叫ぶ。ゾロゾロイドは兵士たちに止められていたが、そのうちの1体が逃れて迫って来た。

 

「ふんッ!!」

「!?」

 

その時、ティッケインが駆けつけてゾロゾロイドを斬り裂いた!

 

「ティッケインさん!!

「大丈夫か!?」

「はい!」

「ティッケイン隊長!!」

「あなたも来ていたのか………!」

 

ティッケインに助けられながら、セツィアが礼を言った。兵士たちはティッケインの姿を見て驚きの声を上げていた。すでに残っていたゾロゾロイドは兵士たちに斬り伏せられており、今の出最後のようだった。

 

「他は既に避難を完了している。ここも大丈夫そうだな………」

 

ティッケインが安堵していると、屋敷の方で大きな音が響き、機怪魔獣とマシンメイルが睨み合っているのが見えた。

 

「向こうも、大詰めみたいだな………」

「はい………」

 

ティッケインの言葉にセツィアが頷き、戦う『勇者』たちの健闘を祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベロースリット領での戦いは、最終局面に移ろうとしていた。

 

『デュランダー隊、出撃!!』

『『『『了解!!』』』』

 

デュランダーの掛け声と共に、マシンメイルたちは動き出した!

 

『トウッ!!』

 

トライフェニックスがアダムックD2の群れに向けて飛び上がると、腰に差した刀『名刀スザク丸』を鞘から抜刀し、すれ違いざまに3機ほどが斬り裂かれてその身を爆散させた!アダムックの編隊はトライフェニックス目掛けて稲妻状の光線を放つが、トライフェニックスはあっさり回避し、避けきれないものは刀で弾き返し防いだ!

その隙を突いて背後から3機が牙を剥き、アームを伸ばしてトライフェニックスを捕えんとしてくる!

 

『流星一刀流剣術、序段伍剣―――』

 

しかし、トライフェニックスはスザク丸を納刀すると、振り返ると同時に抜刀!風をも断ち切る居合斬りで、アームごとアダムック3機を斬り裂いた!

 

『弐ノ太刀―――風断(ふたつ)!!』

 

爆散したアダムックを背に言い放つと、残った機怪魔獣目掛けて飛んでいった。

 

 

 

「喰らいなさい新参者!!」

『初対面で新入り呼ばわりは、シツレーアルよ!!』

 

キアラ・レイヴンの駆るグランダートが手にしたマシンガンをトライタイガーに放つが、トライタイガーは軽口を叩きながら長い棍棒『ビャッコロッド』をくるくると回転させて弾き返した!

 

『クローバルカン!!』

『なんの!!』

 

トライタイガーの両肩のバルカン砲が火を噴くが、グランダートは腕で頭部とコックピットのある腹部を守りつつ耐え抜く。

 

『アチョー!!』

『何!?』

 

しかし、その隙を突いてトライタイガーが接近、ビャッコロッドを振りかざすと、カシャン、という音と共に3本の棒に分かれて鎖で繋がった三節棍に変形し、「しなり」の加わった一撃がグランダートを襲った!

 

『グぅ!?』

 

ビャッコロッドの一撃を受けて吹き飛ぶグランダート。装甲の一部が凹んだものの、動くのに支障はない様子であった。

 

『アイヤー、攻撃を受ける瞬間に、横に飛んでダメージ軽減したアルか………意外とやるネー!』

『コイツ………予想以上にできる………!!』

 

ビャッコロッドを棍棒モードに戻したトライタイガーがグランダート、キアラの操縦技術と判断能力を素直に評価する。一方のキアラも、目の前のトライタイガーを駆る『レイェン』という未知の敵の実力の一片を知り、警戒を強めた。

 

 

 

『行くぞオラぁッ!!』

『バカ!突っ込みすぎだ!!』

 

叫びと共にトライトータスがキャノンシャに向けて駆け出した!後ろからバトルパンサーが止めるのも聞かず、トライトータスはキッコウシールドの裏に格納されていた両刃の斧を引き抜くと、振りかざして斬りかかった!

 

『ゲンブアックス!どりゃぁあッ!!』

『なめるでないじゃぞ!!』

 

トライトータスはゲンブアックスの一撃をキャノンシャにお見舞いしようとするが、クシーフが叫ぶと同時に両腕のガトリングガンを斉射してくる!トライトータスは咄嗟にキッコウシールドで防ぐと、後ろからバトルパンサー援護射撃をしてクシーフのガトリングガンを妨害した。

 

『ぐぬう!?』

『今だ!ヘルクレス式戦斧術!旋風狩り!!』

 

妨害を受けて、ガトリングの斉射が中断される。その隙を突いて、トライトータスが再度接近をして斧を横なぎに振るった!

 

『ひぇええッ!?』

『何!?』

 

しかし、キャノンシャからコボレーの甲高い悲鳴が聞こえたかと思うと、印象的な長い鼻が振るわれて、斧の一撃を弾き返してしまった!どうやら、複座式コックピットに座ったコボレーが、咄嗟に操作をしたようだ。

 

「よくやったじゃぞコボレー!」

「ど、どうも………」

 

クシーフがコボレーを褒めると、キャノンシャの太い腕を振るってトライトータスを吹き飛ばす!トライトータスはキッコウシールドで防いだものの、後方のバトルパンサーの元まで吹き飛んでしまった!

 

『ぅぐう………!!』

『まったく、あれほど前に出すぎるなって言ってるだろ!』

『す、すんません…』

 

バトルパンサーが苦言を言うと、トライトータスは素直に謝った。

 

 

 

『行くぞブレイバー!!』

 

イーグルダイトが叫ぶと、翼を羽ばたかせて飛翔し、デュランダーに迫る!

 

『アームシューター!!』

『それしきで!!』

 

デュランダーは右腕のアームシューターを放つが、イーグルダイトはそれを翼で弾き返す!デュランダーはDブレードを引き抜くと、返って来た光線を地面に弾き落とし斬りかかった!

 

『なかなか美しき剣技!だが!!』

『何!?』

 

しかし、イーグルダイトは右の鉤爪でDブレードを掴むと、デュランダーごと横に放り捨てるように投げてしまった!

 

『その程度では、この美しき私には敵わんぞ!イーグルアゲインスト!!』

『うおッ!?』

 

イーグルダイトが叫ぶと同時に、両翼から突風が発生!その風圧でデュランダーは吹き飛ばされてしまった!

 

『ぐ……ブレイバード!』

 

デュランダーが叫ぶと、バトルトレインのキャリアに停められていたブレイバードが起動、呼びかけに応えるように垂直離陸をすると、ジェットエンジンが火を噴いてデュランダーの元に飛ぶ!デュランダーは飛んできたブレイバードの背に掴まると、突風から逃れるが、その時、突風が上空でアダムックを斬り捨てた直後のトライフェニックスに向かっていることに気が付いた。

 

『イカン!トライフェニックス!避けろ!!』

『え?うわあ!?』

 

デュランダーが叫ぶが間に合わず、トライフェニックスは突風に巻き込まれてバランスを崩してしまい、地面に向けて落下をしてしまう!

 

『ぐぅッ………!!』

 

幸い、ブースターを噴かした事で地面に激突する事はなく着地できたが、上空にはイーグルダイトが残りのアダムックを率いるように飛んでいた。

 

『大丈夫か!?』

『何とか………』

 

トライフェニックスが返答するが、その時、トライタイガーが後ろに飛び退くようにトライフェニックスの元にバックステップで跳んできて、更に、キャノンシャにまた吹き飛ばされたらしいトライトータスも転がってきた。

 

『2人とも!』

『アイヤー、ごめんネ!あの赤いのに乗った子、なかなかやるアルヨ。決め手に欠けた感じネー………』

『こっちは、ヤツの動きとパワーに押されちまって………』

『お前は考えなしに突っ込みすぎなだけだ………』

『あの機怪魔獣は、まだまだ多いな……それに、あのイーグルダイトもいては………』

 

トライフェニックスがイーグルダイトとアダムックの群れを見ながら呟く。その様子を見て、デュランダーはある決断をした。

 

『トライヤーズ、“例の形態”は行けるか?』

『!ええ、無論です!』

『”アレ“だな!!』

『“アレ”あるな!!』

 

デュランダーの問いに3人は頷くと、立ち上がってイーグルダイトとアダムックの群れを睨み付けた。

 

『む?何をする気じゃぞ?』

 

3人が何をしようとしているのか分からず、クシーフが怪訝そうな顔になる。それに構わず、トライヤーズは不敵な笑みを浮かべた。

 

『『トライメイル』の真価、とくと見るがいい!行くぞ!!』

『おう!!』『あいあい~♪』

 

トライフェニックスの掛け声と共に、3機のトライメイルは飛び上がった!

 

『何じゃぞ!?』

『な、何が始まるの!?』

 

クシーフとキアラが狼狽える中、トライメイルは再度変形を開始した!

 

『変身!トライスザク!!』

 

トライフェニックスから機首と尾翼が分離すると、頭部と両腕が格納され、背面のウィングから鳥の翼が広がるように展開、両足が全面に曲がり鍵爪が展開すると、機首の先端が本体に刺さる様に合体すると鳥の頭部が展開、鳥型のロボットに変形した!

 

『チェンジ!トライゲンブ!!』

 

トライトータスの右肩からリクガメの頭部が分離すると頭部が格納されブリッジをするように変形しキッコウシールドが覆いかぶさるように接続、左右のドリルの間にリクガメの頭部が合体して、リクガメ型ロボットが大地に立った!

 

轉換(ジュアンホワン)!トライビャッコ!!』

 

トライタイガーの右肩から虎の頭部が分離、頭部と手足が格納されると、左右のスクリューが鋭い爪を持ったネコ科の四本足に変形、艦橋が沈むように格納されると機体後部にビャッコロッドが接続されて尻尾になり、虎の頭部が合体すると虎型ロボットが大きく吠えた!

 

『『『トライメイル・アニマルモード!!』』』

 

【トライメイル】

それは乗り物のビークルモード、人型のロボットモード、そして動物型のアニマルモードへの3形態への変形機構を持った、最新のマシンメイルである。

 

『何!?』

『動物になった!?』

『三段変形だと!?』

 

目の前で動物型ロボットに変形をしたトライヤーズを前に、クシーフとキアラが驚愕の声を上げた。トライヤーズたちはすぐに動き出し、それぞれ別の方向に向かっていった。

 

 

 

『オロチアンカーッ!!』

 

トライゲンブが叫ぶと、両脇のドリルが鎖につながった状態で射出され、キャノンシャの両腕にその名の通り大蛇の如くがっしりと巻き付いた!

 

『何!?』

『トライメイル一の馬力を思い知りやがれ!!』

 

叫ぶと同時にアンカーをウィンチで巻き上げ、キャノンシャを引き寄せていく!クシーフも負けじと踏ん張らせるが、トライゲンブはウィンチに加えて自身の足でも引き寄せるためか、段々とキャノンシャが引き寄せられていく!

 

『く、おのれェ!!』

 

叫ぶと同時に鼻の先をトライゲンブに向けると、鼻先から光弾が発射される!しかし、それはトライゲンブの背中の甲羅・キッコウシールドに弾かれて、離れた地面に着弾して爆発を起こした!

 

『何!?』

『コイツの甲羅は頑丈なんだよ!!』

『よし、そのまま抑え込んでおけ!!』

 

バトルパンサーが叫ぶと、トライゲンブと引き合いになるキャノンシャに向けてライフルモードのガングパンサーを構え、キャノンシャの腹部を狙い撃つ!

 

『ぬう……!!』

 

攻撃を受けた衝撃でオロチアンカーが外れ、キャノンシャは後ろに倒れこむ!倒れた衝撃にクシーフとコボレーは悲鳴を上げたが、キャノンシャ自体には大したダメージがないように見えた。

 

『あれを受けて、まだ壊れないのか!?』

『が、頑丈な機体で助かったじゃぞ………』

『これは、一筋縄ではいかないみたいだな………』

 

重そうなボディを起き上がらせるキャノンシャを見て、バトルパンサーとトライゲンブは内心冷や汗をかいた。

 

 

 

『がおーッ!アル!』

『ぐぅ!?』

 

トライビャッコは素早い動きでグランダートの周囲を飛び回り攪乱すると、一瞬の隙を突くように飛びかかる!咄嗟に腰の剣を抜いて防御すると、トライビャッコは剣に噛みつき、爪で引っかかんと前足を振るってきた!

 

『がるるー!がおーッ!』

『ぬ、く……この……!!』

 

キアラは剣で防御しながら、反撃の隙を伺っていた。

 

『―――と、ここで轉換!!』

「え!?」

 

トライビャッコが叫ぶと剣に噛みついたまま頭部が分離!その勢いでグランダートは後方に吹き飛ばされてる間にトライビャッコはタイガーアクアに変形し、艦体上部のハッチが開き、対空ミサイル6発が発射された!

 

「な!?」

 

放たれたミサイルがグランダートに迫ると、マシンガンに持ち替えて迎撃をした。

 

『もっかい轉換!!』

 

空中でミサイルが撃ち落されると、タイガーアクアは再度トライビャッコに変形、鋭い爪に電流を流してバチバチ火花を散らしながら切りかかった!

 

『スタンクロー!!』

「きゃあ!?」

 

トライビャッコの電流の流れる爪の一撃をマシンガンに受けて防御するがマシンガンは爆発、グランダートは右腕に傷を負いながら後ずさる!

 

『轉換!!』

 

すかさず今度はトライタイガーに変形すると、翼を広げるように両手を構え、勢いよくグランダートの首筋に両手刀を叩きこんできた!

 

猛虎翼羽撃(もうこよくうげき)!!』

「なあ!?」

 

両手刀を受けると、グランダートは装甲の切断こそ免れたが、ケーブルが切れたのか動きが止まり、片足をついて動きを止めてしまった!

 

「し、しまった!?」

『これが『宇宙カンフー』ネ!!』

 

キアラは慌てて操縦桿をガチャガチャと動かすが、一向に動く気配がない。トライタイガーが中国拳法を思わせる独特な構えをとって言い放つと、キアラは呆気にとられた顔になった。

 

「………名前がちょっと怪しいわね………」

 

素直な感想が、思わず口から漏れたのであった。

 

 

 

『行くぞ、トライスザク!』

『御意!!』

 

デュランダーが叫ぶと、トライスザクと共にイーグルダイト率いるアダムック部隊に突っ込んで行った!

 

『ギガコンバイン!!』

 

デュランダーがブレイバードから飛び上がるとブレイバードは変形、デュランダーと合体を果たす!

 

『勇者合体!デュランブレイバー!!エースランチャー!!』

 

デュランブレイバーが名乗りを上げると同時に、両脚の装甲が左右に展開、エースランチャーがアダムックに向けて放たれる!アダムックの編隊はそれを回避するが、その隙に回り込んだトライスザクが、両翼に搭載された刃を煌めかせた!

 

『ウイングカッター!!』

 

トライスザクがアダムックに向けて突っ込むと、すれ違いざまに両翼のウイングカッターで斬り裂き爆炎に散らせる!方向転換のために一瞬スピードを落としたその瞬間、トライスザクの背後にアダムックが迫る!

 

『レオフレイム!!』

『!?』

 

その瞬間、デュランブレイバーの胸のライオンの口から火炎放射が放たれて、アダムック炎に包まれ爆散する!それに気づいたトライスザクが、振り返ってデュランブレイバーを見た。

 

『大丈夫か!?』

『忝いでござる!』

 

トライスザクが礼を言うと、デュランブレイバーと頷きあう。その時、残っていたアダムック数機が牙を剥いて迫ってくる!

 

『今度は拙者が!変身!!』

 

トライスザクはそれに気づき、トライフェニックスに変形して、腰のスザク丸を引き抜いた。

 

『流星一刀流剣術!飛突!!』

 

瞬間、トライフェニックスの超高速の突きが放たれ、その衝撃波によって中央にいたアダムックのボディが抉られ、周囲の機体も衝撃波によって損傷し、全機ほぼ同時に爆散した!

 

『流石だなハバキリ!』

『はい!』

『おのれェ!!』

 

デュアルブレイバーが思わずトライフェニックスを一体化前のハバキリの名で称賛すると、イーグルダイトが叫びながら2機の元まで飛んできた!

 

『イーグルアゲインスト!!』

 

イーグルダイトが先ほどの技を放ち、突風が2機を襲う!しかし、デュランブレイバーが前に出ると、両手の甲からツインカッターが飛び出すと、両腕を真横に真っ直ぐ伸ばし、高速できりもみ回転を開始した!

 

『ツインカッター・エッジスピナー!!』

『何!?』

 

回転によって生じた竜巻によって、イーグルアゲインストは打ち消されてしまう!イーグルダイトが驚いた隙を突いて、トライフェニックスは接近し、左手で鞘を引き抜くと(こじり)(鞘の先端部分)でイーグルダイトの背を突いた!

 

『グガ!?』

『流星一刀流剣術、序段伍剣がひとつ―――』

 

イーグルダイトがえずくのも束の間、トライフェニックスは鞘をイーグルダイトに突いた状態で、間髪入れずに高速で納刀をした!

 

『伍ノ太刀、射筒(いつつ)!!』

『ぎゃがぁ!?』

 

納刀の衝撃をその身に受けたイーグルダイトは、悲鳴と共に真っ逆さまに落下!地面に墜落した!

 

『ま、まさか私が………こんな醜く、無様な姿をぉ………』

『流石にあれで破壊は出来なかったか………』

『今は無理に倒す必要はない。』

 

脚をピクピクさせ、倒れながら嘆くイーグルダイト。眼下の彼を見ながら、2人は少し呆れたため息をついた。その時、ひときわ大きな爆発が起きたかと思うと、トライトータスとバトルパンサーが、キャノンシャの一斉掃射を受けて動けないでいるのが見えた。

 

『向こうは苦戦しているようだな………行くぞ!』

『承知!』

 

デュランブレイバーが言うと、トライフェニックスと共に2人の元へ飛んで行く。

 

[デュランブレイバー、聞こえるか?]

『!?ソウスケ………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか、空の連中は倒せたみたいだな………」

「んだ………」

 

少し前、クシーフの屋敷付近から離れた場所でデュランダー隊の戦いを見守っていた草介たち。アダムックが壊滅したのを見てほっと胸をなでおろした。

 

「だが、クシーフの乗る機怪魔獣がまだ残っている……」

「そうだな。あの機怪魔獣、結構強そうだったし………」

 

フローが呟くと草介も少し不安そうに頷く。そんな時、屋敷の方で大きな爆発が起きたのが見えた。よく見れば、トライトータスとバトルパンサーが、キャノンシャの一斉掃射を受けて動けないでいた。

 

「あれは!?」

「トライトータスたちが押されているのか!?」

 

2機の苦戦を察した草介が、思わず身を乗り出して叫ぶ。フローも驚きながら戦場を見て、冷や汗を垂らした。

 

「奴がそれほどの実力だと……?」

「いえ、この世界の文明レベルを考えると、機怪魔獣はそれだけ操縦が簡単なのでありましょう………それを考慮しても、あの機怪魔獣が強力ということなのでありますが………」

 

ラナシィが呟くと、アルスが考えを口にした。しかし、それを目にしたラナシィが、悔しそうに歯ぎしりをする。

 

「くそ!機怪魔獣が相手では私には何もできないのか………!?」

 

ラナシィの悔しがる声に、兵士たちも同じ気持ちだと言わんばかりに表情を暗くする。草介はそんなかれらの表情を見て少し考えると、フローとシャスティ、そして兵士たちに声をかけた。

 

「みんな、考えがある。手を貸してくれないか?」

「ソウスケ?」

「な、何をすればええだ?」

 

草介の声に、フローとシャスティが思わず反応する。草介はニヤリ、と笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジャゾジャゾ!その程度なのかじゃぞ!!』

『くそ!何て火力だ!!』

 

嘲笑うクシーフの声が響く中、キッコウシールドで砲撃を防ぎながらトライトータスが毒づいた。トライトータスが防御する後ろで、ガングパンサーで狙撃をするバトルパンサーも、激しい攻撃に苦戦していた。

 

『火力が強すぎる……それゆえの馬力と頑丈さ!ワルンダイツめ、なんという機体を渡したのだ………!!』

『どうします!?こうなったら無理やり突っ込んででも………』

 

トライトータスが叫ぶが、その時、上空からの攻撃を受けたキャノンシャの装甲の上で爆発が起きた!

 

『な、何じゃぞ!?』

『大丈夫か!?』

『隊長たち!!』

 

上空からのデュランブレイバーとトライフェニックスの攻撃で受けて、キャノンシャの攻撃が中断される。そこに、トライタイガーも合流を果たした。

 

『全員で攻めるぞ!『フォーメーション・C20』で行くぞ!!』

『『『『了解!!』』』』

 

デュランブレイバーの号令と共に、トライタイガーとトライフェニックスはトライビャッコとトライスザクに変形し、キャノンシャに向かって行く!

 

『デェイッ!!』『アチョー!!』

「ぐお!?」

 

2機はその爪の一撃をキャノンシャの胸に刻みつけると、バトルパンサーの銃撃とトライトータスのシェルバズーカの砲撃を受けて、キャノンシャは数歩後退。更に、デュランブレイバーの胸の獅子の目が緑色の光線を放った!

 

『ブレイバービーム!!』

「うぐぇえ!?」

 

デュランダー隊の見事な連携にキャノンシャが後方に吹き飛び、仰向けに倒れた。

 

『い………』

 

マシンメイル達がすかさず追撃を仕掛けようとしたその時、キャノンシャ内でクシーフが忌々し気に歯ぎしりをすると、勢いよくキャノンシャを起き上がらせた。

 

『いい加減にしろーーー!!』

『!?』『うお!?』

 

突然立ち上がったキャノンシャの叫びに、一瞬たじろぐデュランブレイバー達。クシーフは、ブレイバー達を指さし非難をはじめた。

 

『貴様ら、こっちは1機じゃぞ!?それを寄ってたかって5人がかりで………『正義の味方』を名乗るくせに多勢に無勢なんて卑怯だと思わんのかじゃぞ!!』

『そ、それは………』

『それを言われると………』

 

クシーフの苦し紛れのような指摘に、デュランブレイバーたちは気まずそうな表情を浮かべて口篭もってしまった。

 

「それは違うぞ!!」

『なに!?』

 

その時、塀の向こうから声がした。クシーフが目を向けると、そこには草介やフローレントにラナシィ、それに町の人々がこちらをにらんでいた。

 

「デュランたちは、ここにいるみんなの!お前に苦しめられた人たちの思いを背負って、戦っているんだ!お前の敵は、デュランたち5人じゃあない!ここにいる全員だ!!」

「そうだ!」

「よくも騙してくれやがったな!!」

「このブタ野郎!!」

 

草介が叫ぶと同時に、町の人々が口々にクシーフを罵倒する。

 

「な、なんじゃと……!?』

『ソウスケ……みんな………』

 

クシーフがたじろいでいると、デュランブレイバーが小さくつぶやく。バトルパンサーやトライヤーズも、草介たちの言葉にエールを貰ったような気持ちになっていた。

 

『………!』

「あいつ………」

 

起き上がったイーグルダイトや、カラとボルグの手を借りてグランダートのコックピットから這い出てきたキアラもまた、唖然としたような表情でそれを聞いていた。

 

『お、おのれぇ……このわしを愚弄するなど、許せないじゃぞ!!』

 

クシーフは怒りに声を震わせると、手元のコンソールを操作した。すると、キャノンシャの胸や肩や足のハッチが開き、無数のミサイルランチャーが顔を出した!

 

『!!危ない!!』

「「「!?」」」

 

デュランブレイバーが叫ぶと同時に、キャノンシャのミサイルが一斉に発射される―――

 

 

 

 

 

「“フレイム・ケージ”!!」

『!?』

 

―――よりも先に、キャノンシャの周囲を6本の炎の柱が囲みこんだ!その次の瞬間ミサイルが一斉に発射され、炎に当たってキャノンシャの間近で爆発を起こした!

 

『な、何ィいい!?』

 

クシーフが悲鳴を上げた次の瞬間、開いたハッチに爆炎が直撃し、キャノンシャは大きく破損をした!

 

「あれは“フレイム・ケージ”!?なぜ………!?」

 

突然発生した魔法にカラが驚いた。中級の呪文の中でも難易度は高い方ではあるが、ある程度対象に近づかないといけないはずだ。そう考えていると、キアラが何かを見つけた。

 

「はっ、あれは!?」

 

キアラが目を向けると、そこにはいつの間にか塀のそばまで接近して、フローレントに守られながら杖を構えるシャスティの姿があった。それを見て、キアラは何が起こったのかを察した。

 

「まさか、さっきのはあの術者の接近を悟らせないために!?」

「あいつ………!!」

 

草介の策を察したキアラたちは、思わず目を見開く。キアラは先ほどクシーフを追い詰めたのも、あの人間の案だと言っていたのを思い出していた。

 

「やってくれるじゃないのよ………」

 

キアラがつぶやいたその時、ちょうど“フレイム・ケージ”が解除されて、ボロボロの状態になったキャノンシャが、ボディの各所から煙を吐き出していた。

しかしその時、発射が遅れていたらしいミサイルが1発キャノンシャから発射され、草介たちに向かっていった!

 

『しまった!?』

『ソウスケ!!』

「「「!?」」」

 

デュランブレイバーが叫ぶが、すでにミサイルは目の前にまで迫ってきていた!デュランブレイバーたちも、シャスティも間に合わない!

 

 

 

 

 

『イーグルストーム!!』

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

しかしその時、草介たちの目の前に大きな竜巻が発生!ミサイルははるか上空にまで吹き飛ばされて、空中で爆発した!

 

「い、今のは!?」

 

竜巻から身を守るように腕で顔を覆いながら、草介は竜巻が放たれた方向を見る。そこには、立ち上がったイーグルダイトの姿があった。

 

「い、イーグルダイト!?」

「貴様、いったいどういうつもりじゃぞ!?」

 

イーグルダイトの行動にデュアルブレイバーたちは驚愕し、クシーフがイーグルダイトに食って掛かった。しかし、イーグルダイトはクシーフの駆るキャノンシャをギロリとにらんだ。

 

『黙れ!これ以上、貴様の醜い悪足掻きに付き合う義理はない!』

「何!?」

 

クシーフが絶句していると、イーグルダイトは飛び上がってステルス戦闘機形態・イーグルジェットに変形をした。

 

『そこの少年、確かソウスケ、と呼ばれていたな?』

「え?あ、ああ………」

 

戦闘機内からイーグルに話しかけられた草介は、少し戸惑いながらも頷いた。

 

『先ほどの叫び、熱く、そして美しかったぞ。その美しさに免じて、この場は引いてやろう。』

「は?」

『美しいものに敬意を払うのが、私の『美学』だ。どちらにしても、作戦は失敗だしな。』

「あ、帰るんなら、私たちもいいかしらー?」

 

イーグルが草介を称賛すると、キアラがイーグルに話しかけた。イーグルはキアラたちの頭上にまで飛ぶと、機体の下から光線を放つと、3人は浮かび上がって機体に収納された。

 

『では、さらばだ!』

「あ、おい!?」

「クシーフ様………」

 

イーグルはそれだけ言うと、イーグルジェットは飛び去ってしまった。クシーフが愕然としていたが、ボロボロになりながらもキャノンシャをデュランブレイバー達に向き直った。

 

『おのれぇ!それならばせめて、貴様らだけでも道ずれにぃ!!』

 

クシーフが叫ぶと、キャノンシャがフラフラしながらデュランブレイバーに向かって歩き始めた。デュランブレイバーはそれを睨むと、背中からデュランソードを引き抜いた。

 

『一気に決めるぞ!』

『『『『おう!!』』』』

 

デュランブレイバーが叫ぶと、4人は返事と共に飛び出した!

 

『ガングパンサー!!』

『ビャッコロッド!!』

『ぐへ!?』

 

バトルパンサーとトライタイガーが長物で胸を突くと、10m以上後ずさる!すかさず、大きくジャンプしたトライフェニックスとトライトータスが落下しながら斬りかかった!

 

『流星一刀流剣術 中段肆剣がひとつ―――』

『オラぁッ!怪力落とし!!』

『強ノ太刀 舞天(まいてん)!!』

『うおおお!?』

 

トライトータスの力強い斧の一撃を右腕に、トライフェニックスが空中で1回前転した勢いの一太刀を左腕に受けて、両腕は切断されてしまった!

 

『ブレイバーチャージ!!』

「ぬう!?」「ひぇえ!?」

 

間髪入れずにデュランブレイバーがデュランソードに緑色のエネルギーを刀身に纏わせると、振り下ろすように下に構えた。クシーフとコボレーがたじろぎ悲鳴を上げる中、背中のスラスターを最大に噴かせて、満身創痍のキャノンシャに向けて一気に加速する!

 

 

 

『ライトニング・スラァアーーーッシュッ!!』

 

 

 

デュランブレイバーはエネルギーの纏われた刀身でスラスターの推進力が加わった一撃を袈裟懸けに叩きつけ、キャノンシャは一刀両断された!

 

「じゃ、じゃぞ~~~!?」

 

クシーフが悲鳴を上げると、キャノンシャは爆発四散!爆炎の中から、球体型の脱出ポットが飛び出した。

 

『ガァアーーーッ!!』

 

デュランブレイバーが爆炎を背に残心するとデュランソードを納刀する。その直後、胸の獅子が勝利の勝鬨の如く雄叫びを上げた。

 

「ぐ、ぐぬぅ………」

「はひぃ~………」

 

地面に落ちた脱出ポットのハッチが開き、黒煙と共にボロボロで煤だらけになったクシーフとコボレーが這い出てきた。すると、そんな彼らの目の前にフローレントや草介、ティッケイン、ラナシィたちが、剣の切っ先を彼らに突き付けていた。

 

「さあ、今度こそ神妙にお縄についてもらうぞ!!」

「うぐ!?」

 

突き付けられたクシーフがたじろいでいると、背後にはデュランブレイバーたちが立っていた。前門にフローレントたち、後門にはデュランブレイバーたちマシンメイル。逃げ場はないと悟ったのか、がくりと肩を落とす2人であった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――良かったのですか、姫様?このまま退いてしまって………」

 

撤退するイーグルジェットの機内で、カラがキアラに聞いた。キアラはフン、と鼻を鳴らすと、髪をかき上げて言った。

 

「良いのよ。グランダートは動かなくなったし、それに、あのまま戦ったら、「人間を助ける」ことになっちゃうじゃない。」

「それもそうダスな………」

 

キアラの一言に2人は納得をする。ふと、キアラは雲が流れる窓の外に視線を移した。

 

(それにしても………)

 

思い出すのは、先ほどクシーフに啖呵を切った人間の少年、たしか『ソウスケ』と呼ばれていただろうか。今までその人間の事は「勇者(デュラン)の周りをチョロチョロついているやつ」程度にしか思っていなかったが、意外と頭が回るし肝が据わった、人間で言うところの「勇気がある」のだと、思った。

 

(ああいう人間も、いるのね。というか、私って『人間』の事、あまり知らないかも………)

 

人間と戦っているというのに、今まで人間の事は人伝に聞いた程度の知識しかない事に気づいた。あの少年をきっかけに、魔王姫は人間の事に興味がわき始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり2時間ほど。

レヴァンティの転移魔法で駆け付けた王都の騎士団により、クシーフとコボレーをはじめとした数名は逮捕され、没収された資産や裏帳簿と共に護送用の馬車に次々と乗り込まされていた。

転移魔法には行き先に専用のポータル魔法陣を設置する必要があるため、直ぐに転移できなかった。今回はシャスティにより魔法陣が設置されたため、転移が出来た。

 

「色々ありがとうございました。」

「いや、いいよ。任務で来たのだからね。」

 

頭を下げるティッケインやラナシィ、セツィアたちに、フローレントが微笑んだ。

 

「クシーフが違法に搾り取っていた分のお金は、裏帳簿を確認後に領民の皆さんに返される予定です。少し、時間はかかるけれど………」

「そうか、よかった………」

 

兵士たちと共に来ていたリジルが報告すると、セツィアはホッとしたように胸をなでおろした。

 

「ソウスケ、それに皆さんも、本当にありがとうございました!」

「いや、そんな……」

 

ラナシィが草介に頭を下げて礼を言うと、草介は照れくさそうに頭をかいた。デュランたちは、笑いながらその様子を見ていた。

ふと、フローは縄で腕を縛られたクシーフを見かけた。一同に「ちょっと失礼」とだけ言うと、彼の元に小走りで向かって行った。

 

「クシーフ。」

「む?」

 

話しかけられたクシーフは足を止めて、フローの方に顔を向けた。

 

「父上からの伝言だ。「お前の事は以前から知っていた。こんな事になって、本当に残念だ。できるなら、“あの頃”の不屈の闘志を、思い出してほしい。」と………」

「………!」

 

クシーフは少し驚いたものの、俯いたまま馬車に乗り込むと、馬車は走り出した。

 

「………さて、そろそろ私たちも行こうか。」

「ああ。」

「そうっスね。」

「できれば、車内で事情を聞かせてほしいでござるな。」

「そーアルね。」

 

デュランがそう言うと、草介やレピオが返事をした。礼を言いながらいつまでも手を振って見送るラナシィたちを後に、バトルトレインは走っていった。

 

 

 

 

 

【つづく】




ベロースリット領編、完結。

トライメイルは三段変形ロボ。モチーフから分かる通り追加戦士搭乗フラグ立ってます。

トライトータスのオロチアンカーは、名前の通り玄武の蛇に当たる武装。玄武モチーフのキャラって蛇を省かれがちだなって思い設定しました。「玄武の蛇を忘れないで」活動やってます(何
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