異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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デュランサイドのプロローグになります。
先にプロローグと第1話を読むことをお勧めします。


プロローグ サイド:B

異世界勇者ロボ プロローグ サイド:B

斯くして勇者は、彼の地へ旅立った

 

 

 

 

 

それは、勇薙草介とデュランがシンナセンへ召喚される数十日ほど前の物語―――

 

 

 

 

 

地球から見て、しし座のレグルス辺りの宙域に、直径が約6,500㎞にも及ぶ超巨大宇宙ステーションが浮かんでいた。(参考までに、地球の月の直径は約3,470㎞である。)

周囲を大小の宇宙船が出入りし、内部でも何百万人もの多種多様な姿の宇宙人や、マシンメイルが行き交っている。

この宇宙ステーションこそ、銀河連邦警察本部『ギャラクシーベース』である。

 

ギャラクシーベースで一番高いタワーの最上階の長官室。

円形の赤い飾りを中心に3つの突起が付いた肩当てを着けた白い制服を着こみ、毛先が青くグラデーションになった銀色の長髪を持った男性、銀河連邦警察長官エクスロードは、窓の外から無限に広がる宇宙を眺めていると、机の通信機が着信音を鳴らした。

 

[長官、ブレイバー・デュランが来ました。]

「入ってくれ。」

 

エクスロードが返事をすると、100m先にある部屋の自動ドアが開いた。

 

「失礼します、長官。」

 

そう言って長官秘書のクレシュと共に入って来たのは、薄紫色の短髪で白い制服の上から胸に銀河連邦警察のエンブレムが付いた赤いジャケットを羽織った男性隊員―――数ヶ月前、銀河連邦警察隊員の中でも特に優秀な隊員に与えられる『ブレイバー』の称号を史上最年少で獲得したブレイバー、デュランである。

デュランは100mの距離を歩き、エクスロードの机の前に立ち止まると、敬礼した。

 

「ブレイバー・デュラン、ただ今参りました。」

「よく来てくれたな、デュラン。まあ、掛けたまえ。」

 

エクスロードは敬礼を返しながらそう言い、デュランは机の向かいに置いてあるソファーに腰掛けた。

 

「早速だが、君に聞きたい事がある。」

「はい、何でしょうか?」

 

向かいの席に座ったエクスロードが、神妙な面持ちでデュランに聞いた。デュランはその表情に少し緊張しつつ、エクスロードの次の言葉を待つ。

 

「この部屋、広すぎると思わない?」

「………それは思います。」

「やっぱり?」

 

100m四方もある異様に広い部屋で、デュランは同意をした。

 

「2代前の長官が、マシンメイルでも入れるようにって広く作ったらしいんだけど、やっぱり、動く歩道とか導入したほうがいいかな………」

「わかりました。改装の予算が通るか相談しておきます。」

「お願いするよ。」

 

エクスロードがクレシュに目配せすると、クレシュは手元のタブレット端末を操作し始めた。少し呆れた様子のデュランであったが、エクスロードは再度デュランに向き直った。

 

「さて、本題に入ろう。」

「あ、はい。」

 

エクスロードはそう言って手元のGPデバイスを操作すると、目の前に画面が投影された。画面には、蝙蝠の羽根と2本の角が生えてひび割れた惑星のようなエンブレムと、機怪魔獣と呼ばれる機械兵器の写真が写っていた。

 

「君も名前や事件を聞いているとは思うが、ここ最近『暗黒星団ワルンダイツ』が宇宙の各地で戦乱を引き起こしている。彼らの機怪魔獣によって滅んだ惑星がいくつもある。」

「はい。それは聞き及んでいます。」

 

真面目な顔で語るエクスロードに対して、デュランは神妙な面持ちで答える。

 

『暗黒星団ワルンダイツ』

機怪魔獣と呼ばれる機動兵器の軍勢を幾つもの惑星に送り込み蹂躙し、最終的には惑星を『死の星』に変えている宇宙犯罪組織だ。ここ数十年で勢力を拡大し、更に滅亡まで行っていないまでも別の宇宙犯罪者が機怪魔獣を利用して犯罪を行う事例まで出ている。

 

「知っての通り、現在多くの『ブレイバー』がワルンダイツの起こす事件の対処に当たっている。しかし、その内20名が犠牲となり、回復が見込めない状況だ。だが、無駄ではなかった。」

 

エクスロードはそう言って再度GPデバイスを操作すると、写真の添えられた報告書らしきものが映された。

 

「先日、ワルンダイツ首領『デスダイト』と6人の幹部『六魔獣将』が、半年ほど前から『チーポン』という惑星に集結しているという情報をキャッチした。」

「1つの惑星に、首領と幹部が………!?」

 

エクスロードの言葉にデュランは息を呑む。次いで、クレシュが、手元のタブレットを操作しながら口を開いた。

 

「直ぐにでもブレイバーの率いる部隊を向かわせるべきなのですが、先述の通りブレイバーの多くが動けないため、ワルンダイツ本隊へ向かう者がいない状況となっています。」

 

クレシュがそこまで言うと、エクスロードは「そこで、」とデュランに顔を向けた。

 

「デュラン、君には部隊(チーム)を組んで『チーポン』の現地に向かい、デスダイト以下幹部の逮捕に向かってもらいたい。」

「……えっ?」

 

エクスロードの言葉にデュランは思わず素っ頓狂な声を上げた。

 

「あの……私が、ですか?」

 

デュランが戸惑った様子で尋ねると、エクスロードは神妙な面持ちで頷いた。

 

「そうだ。君はブレイバーに任命されてから日が浅いが、任命前からいくつかの捜査チームで活躍し39件の事件解決に尽力、単独でも『スルフラート事件』をはじめとした200件以上の事件を解決し、その内9件は惑星滅亡級の犯罪者逮捕を成し遂げている。任命後の数ヶ月の間にも22件の事件を解決している。そんな君だからこそ、頼みたいのだ。」

 

エクスロードがそこまで言うが、デュランはまだ戸惑っていた。

 

「し、しかし、私にそのような重大任務を………」

「大丈夫だ。今までの功績だけじゃあない。私は君の活躍を聞いて直接会ってから、君には『優れた素質』があると思っている。それは、力や頭脳、数字だけでは推し量れないものだ。」

「長官………」

 

少し考え込んだ後、デュランはエクスロードに顔を向けた。

 

「わかりました。その任務、引き受けます!」

 

デュランの答えを聞き、エクスロードとクレシュは安堵したように微笑んだ。

 

「ありがとう。早速だが、チームの一員に推薦したい人物がいるんだ。」

 

エクスロードがそう言うと、長官室のドアが開いて1人の人物が入ってきた。

深緑色の髪をポニーテールにした色黒で長身の女性で、デュランと同じ白い制服を着ていた。

 

「彼女は………!」

「久しぶりだな、デュラン。数年前の惑星C‐20での任務依頼だな。」

 

入って来た女性はエクスロードの隣にまで歩いてくると、笑みを浮かべながら挨拶をしてきた。

 

「知っているとは思うけれど、彼女はニール。私が信頼する隊員の1人だ。」

「今回、君の部隊に加わることになった。よろしく頼むよ。」

「は、はい!よろしくお願いします!」

「そう堅くならないでくれ。君が上官なんだからな。」

 

デュランが慌てたように立ち上がると、敬礼をして挨拶をする。ニールはそんな彼に苦笑しながら、デュランと握手をした。

 

「それと、君が部隊を組むと聞いて、是非とも加わりたいという3人がいてね。オートくんの所にいると思うから、後で会いに行ってくれ。」

 

エクスロードがそう言うと、デュランは「わかりました。」と頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、デュランとニールの2人は、『短距離ワープ装置』を乗り継いでギャラクシーベース内にある銀河連邦警察開発局に向かっていた。

 

『広大』という言葉では収まらない程の規模を持つギャラクシーベースでは、居住区からオフィスに移動するのにも400km近くもあるため、短距離ワープ装置を使用することになる。しかし、あまり長い距離のワープや個人が好きな場所でワープをすると事故を起こしてまったく異なる場所や宇宙空間に放り出されてしまう事故の危険性があるため、地球の電車のように装置を乗り継ぐ必要があるのだ。

新入隊員が、装置の乗り継ぎが分からず迷子になるのは、一種の風物詩となっている。

 

「えーと、開発局は『RX‐78エリア』だから………こっちのポートか。」

「乗り継ぎが分かりづらいのは、何とかしてほしいよな………」

「ほんと、直通のポートとかあればいいんだけど………」

 

2人が雑談をしながら約1.2m四方(一般的なエレベーターのかごと同じくらいの広さ)のワープポートに入り自動ドアが閉じると、数秒も掛からずに到着を知らせる電子音が響いた。

 

ドアが開くと、そこは巨大な格納庫のようであった。

車両やジェット機、宇宙船等のビークル形態やロボット形態になったマシンメイルに整備士が何人も張り付き整備や検査をしているのが見え、整備士の大声や整備をする道具の金属音で満ちていた。

 

デュランは「相変わらずここは騒がしいな……」と思っていると、1人の整備士が2人に大声で話しかけてきた。

 

「あ、デュランくんにニールさん!こんちわー!」

 

話しかけてきたのは、空色のぼさぼさの髪にゴーグルを着け、ツナギとTシャツを着た女性であった。油汚れまみれの顔でフレンドリーに笑いながら話しかけてきたのを見て、デュランも挨拶を返した。

 

「お久しぶりです、オート主任。」

「そんな畏まんなくていいよー!オートさんこそ、こんなカッコでごめんねー!」

 

マシンメイル開発主任のオートは笑顔で返すと、デュランとニールの2人を先導して歩き出した。

 

「君のブレイバードちゃん、君用に再チューンアップしておいたからねー!」

「ありがとうございます。」

 

デュランがオートに感謝を述べると、ちょうど目的の場所についたのか、立ち止まって台に安置されたマシンメイルを見上げていた。デュランとニールも視線を追うと、そこにはジェット機、ドリル戦車、潜水艦型のマシンメイルが並べられていた。

 

「これが、例の最新型ですか………」

「そう!私が開発責任を取る、『トライメイル』ちゃん!ビークル、ロボットに加えて、アニマルモードに変形できるんだよー!」

 

自慢そうに言うオート。デュランとニールは、それぞれマシンメイルを見ていると、別の声が2人にかけられた。

 

「デュランさん!」

「む?」

 

振り返ると、そこには藍色の長い髪を後ろで束ねた小柄な少女、明るいオレンジの短髪の筋肉質な少女、そして黄色い髪を左右でシニヨンにした女性の、白い制服を着た3人がいた。その3人を見たデュランは、見覚えのある顔であることに気が付いた。

 

「君たちは……『惑星トライヤ』の時の………!」

「ハバキリです!その節は、お世話になりました。」

「レピオです!お久しぶりッス!」

「レイェンアル!お元気そうネ!」

「ああ、久しぶりだな!」

 

ハバキリ、レピオ、レイェンの3人は、口々にデュランに挨拶した。

 

デュランと3人の出会いは、彼が追っていた詐欺グループの事件がきっかけだった。

当時、入隊したばかりの3人は『惑星トライヤ』でのサバイバル訓練中、偶然にも潜伏中の詐欺グループと鉢合わせしてしまったのだ。ボス以外のメンバーを拘束する活躍を見せたものの、残ったボスが繰り出す機怪魔獣に追われてしまう。

そこへデュランダーが駆けつけて機怪魔獣を撃破したことで事件は解決し、貢献を認められた3人は、デュランと共に表彰されたのだ。

 

「いやー、あれ以来、3人で組む事が多くなったんスよ!」

「拙者たち自身、意外と気が合うゆえ、チームを組んだのでござる。」

「3人合わせて、『トライヤーズ』ネ!」

「そうだったのか。」

 

デュランが3人の報告を聞いていると、オートも話に入ってきた。

 

「3人にはねー、トライメイルちゃんのパイロットにもなってもらったんだよー!トライメイルちゃんに組み込まれた『新システム』とも、相性よさそうだったしねー!」

「既に数回、実戦で動かしているでござる。」

「そうなのか………」

 

それを聞いたデュランが頷くと、あることに気が付いた。

 

「もしかして、部隊に加わりたいっていう3人っていうのは………?」

「はい、拙者たち、是非ともデュランどののチームに加わらせて欲しいのでござる!」

「ちょうど、トライメイルの本格的な実戦運用テストをしようって時だったし、それを兼ねてってお願いしたんス!」

「デュランさん、どうかお願いネ!」

 

3人が口々にデュランに頼み込む。デュランは一瞬ポカンとしていたが、少し考えてから口を開いた。

 

「わかった、君たちをチームに加えよう。」

 

デュランがそう言うと、3人は嬉しそうに手を取り合って喜び合った。

 

「うんうん!いいねー!私もトライメイルちゃんのテストも出来るし、うれしいよー!」

 

そんな様子を見て、オートも笑顔になった。すると、そんな一同の元へ可愛らしい声が響いてきた。

 

「お兄ちゃーん!」

「え?」

 

聞き覚えのある声にデュランが振り返ると、そこには薄ピンク色の髪と金色の瞳に丸い眼鏡をかけた少女が駆けてくるのが見えた。

 

「アルス!?どうしたんだ急に?」

「はい!今回の部隊結成、私も参加したくて来たのであります!」

「え!?」

 

アルスの突然の申し出に、思わず驚いて素っ頓狂なこえを出してしまう。突然現れたアルスに、トライヤーズの3人は首を傾げた。

 

「誰だ?」

「ああ、アルスだ。デュランの妹で、オペレーターの。」

「あ、そうでござるか。」

 

レピオが聞くと、ニールが小声で答えた。デュランはアルスと向き直ると、改めて尋ねた。

 

「アルス、お前どうして………」

「はい!私、どうしてもお兄ちゃんの役に立ちたくて、クレシュさんに直談判したのであります!」

「だが、お前は………」

「お願いです!私も連れて行ってであります!」

 

デュランが言いかけると、アルスは頭を下げて頼み込んだ。デュランはそんな妹を見て、少し考えてから「わかった」と頷いた。

 

「お兄ちゃん!」

「だが、無理だけはするな。いいな?」

「はいであります!」

 

嬉しそうに頷いて敬礼をするアルスに、デュランも思わず笑顔になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、結成された『デュランダー隊』は出発前に数回連携の訓練や物資の準備に勤しんでいた。

 

「さて、いよいよ出発だな。」

「ああ。」

 

デュランの呟きに、ニールが答える。デュランダー隊の面々の目の前では、最終調整を済ませた各メンバーのマシンメイルが直径50mの透明のドーム状の装置に収納されているところであった。

 

「マシンメイル、圧縮を開始します。」

 

職員がコンソールを操作すると、ドーム内部に光線がマシンメイルに放たれた。すると、マシンメイルは見る見るうちに小さくなっていき、最後には小さな光の玉になって消えてしまう。

 

[圧縮、完了しました。]

 

電子音が鳴ると、職員の手元の装置から5cmにも満たない大きさの銀色のプレート・ジップレートが排出された。職員は次々と事務的にマシンメイルを圧縮し、ジップレートをケースに収めてデュランの元に持って行った。

 

「全マシンメイル、圧縮完了しました。」

「ありがとう。」

 

デュランはジップレートを受け取って礼を述べる。職員が一礼して去っていくと、ニールはデュランに話しかけた。

 

「さて、マシンメイルの圧縮も済んだし、さっそくシャトルに乗るか………」

「ええ。」

 

デュランたちが頷くと、デュランダー隊は惑星チーポンへ向かうシャトルの待つスペースポートへ向かい歩き出した。

その時、デュランの持つGPデバイスが着信音を鳴らした。デュランがデバイスの画面を見ると、そこには『クレシュ』と表示されていた。

 

「すみません、ちょっと電話に出ます。」

 

デュランがそう言うと、ニールは「ああ」と頷く。デュランは通話ボタンを押すと、慌てた顔のクレシュの顔が空中に投影された。

 

[ああ、よかった!まだ出発前でしたね!]

「クレシュさん、どうしましたか?」

[実はたった今、六魔獣将の1人を追っていた『宇宙忍者隊』隊員から情報が入りまして………デスダイトたち幹部の所在地について、フェイクの情報をつかまされていたらしくて……『惑星チーポン』ではなく、『惑星シンナセン』にいると情報が入りました!]

「何だって!?」

 

クレシュの報告に、デュランは驚いた。ニールも驚きの表情でデバイスを覗き込んでいる。

 

「それは本当ですか!?」

[はい、以前から六魔獣将を追って潜入していた隊員からの報告なので、間違いないかと………]

「まいったな……ちょうど今、マシンメイルの圧縮終わったところなんですよ………」

 

マシンメイルは基本、その惑星の文明レベルに合わせてビークル形態の擬装を施す決まりとなっている。今から解凍をしてシンナセンに合わせた形態に変更し、再度圧縮するのでは時間がかかってしまう。

 

「………仕方ない、シンナセンへは、このまま向かうことにしよう。」

[すみませんが、よろしくお願いします。チーポンへは、念のため別の部隊を派遣することにします。]

「わかりました。」

 

デュランが頷くと、クレシュは通信を切った。デュランとニールは、顔を見合わせるとすぐにシャトルの発着場に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、スペースポートに集結したデュランダー隊の面々は、小型シャトルへの搭乗を開始していた。

シャトルのコックピットでは、デュランが自動操縦の行き先と航路の変更作業を行っており、後ろの席ではレピオ達が雑談をしていた。

 

「惑星シンナセン、イロッケント星系第3惑星で、文明レベルはD………結構な田舎の惑星じゃねーか……チーポンですら、『地球』と同じCランクだせ?」

「『マホウ』と呼ばれる独自の技術が発展しているそうだが、何故、ワルンダイツはそのような星に?」

「『マホウ』……興味深い技術ではアルネ~」

 

GPデバイスでシンナセンの情報を閲覧しながらレピオがぼやいていると、ハバキリとレイェン少し考えた。

現在、デュランダー隊のメンバーは銀河連邦警察の制服から、調査先の惑星の文明に合わせた服装に着替えていた。『地球』に似た文明のチーポン基準のためシンナセンでは多少目立つだろうが、時間がないためそのままの格好で行くことになった。

 

「お前たち、忘れていないとは思うが、これから我々は凶悪犯罪者の逮捕に向かうのだぞ?少しは気を引き締めろ。」

「わ、分かってますって……」

「しかし、常時気を張っては疲れるというもの。」

「リラックスも必要アル♪」

 

ニールが苦言を呈すとレピオは引きつった笑みを浮かべ、ハバキリは落ち着いたように、レイェンは呑気に返した。ニールはそれを見て、やれやれといった様子でため息をついた。

 

「こいつらは………」

「まあまあ、ニールさん………」

 

アルスがニールを宥めていると、設定を終えたらしいデュランが声をかけてきた。

 

「そろそろ出発をする。みんな、席についてくれ。」

「あ、はい。」

 

デュランが言うと、全員が席についた。それを見計らったかのように、シャトルの自動音声のアナウンスが流れた。

 

[惑星シンナセン、到着予定は現地時間17時05分です。星間ワープを行います。シートベルトを着用してください。]

「だいたい5分ってとこか………」

「現地到着後、衛星軌道上でシャトルを降りてマシンメイルを解凍、フュージョインして惑星に突入する。」

「「「了解!」」」

 

デュランが指示をすると、一同は返答をした。ほどなくして、シャトルの自動操縦システムが作動し、ゆっくりと進み始めた。

 

「ところでアルス?」

「はい?」

 

ふと、デュランが隣の席に座る妹に話しかけた。

 

「さっき、ワルンダイツの調査をしている宇宙忍者隊について聞いたんだが、アスカ丸らしいな?」

「ギク!?」

「どうせ志願した理由も、本当はあの()が目当てってところか………」

「えぅう………」

「まったく……(久しぶりに会いたいという気持ちもわからなくはないが………まあ、ちゃんと仕事してくれるからいいけど………)」

 

呆れた様子で問いかけるデュランに、アルスは頬を赤らめて小さく唸る。デュランはそんな妹を見てやれやれ、とため息をついた。

 

[まもなく、星間ワープに入ります。シートベルトを着用してください。]

 

アナウンスが流れて数秒後、シャトルがワープ空間に突入し、強いGがデュランたちを襲う。それに耐えるとすぐにワープ空間に入り、ある程度Gは軽減された。

 

「ぬぅ、ワープの時のGは、なかなか慣れないネ………」

「たしかに………」

 

レイェンの言葉にレピオが賛同する。デュランやニールは自分たちも昔はそうだったな、と少し懐かしんでいた。そんな雑談をしていると、自動音声のアナウンスが流れた。

 

[まもなく、ワープアウトいたします。ワープアウトまで、30秒―――]

 

そこまでアナウンスが流れたその時、シャトルを強い衝撃が襲った!

 

「何だ!?」

[警告!ワープ空間に次元衝撃波が発生!座席を離れず、衝撃に備えてください!]

「次元衝撃波だと!?」

 

思わずニールが聞き返すように叫ぶ。アルスたちが困惑の表情をしているも、シャトルに何度も衝撃が走る。

 

「みんな!直ぐにマシンメイルを解凍して、フュージョインを!」

 

デュランが自身のマシンメイル『デュランカー』の圧縮されたジップレートを取り出しながら指示を飛ばす。それに従ってニールやハバキリたちはマシンメイルを解凍すべくジップレートを取り出したその時、シャトルは衝撃波に耐え切れず、ついにはバラバラに分解してしまった!

 

「うわあああ!?」

「きゃあああ!?」

 

デュランたちはマシンメイルを解凍する間もなくシャトルから投げ出されてしまい、その衝撃でジップレートを手放してしまう。そして、シャトルの残骸と共に次元の渦へと飲み込まれてしまった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ぅうっ………!?」

 

気が付くと、デュランは石造りの広間にいた。それと同時に、周囲がザワザワと騒がしくなっていた。

 

「……せ、成功したのか………っ!?」

「おお、あれが例の………!!」

「な、なんだ……?何がどうなって……ッ!?」

 

周囲には『地球』という惑星の忠誠と呼ばれる時代を思わせる恰好の人物や、それに鎧を纏った騎士たちが立ち並んでいた。

そして、足元の床には淡く光る魔法陣。デュランはその中心に立っており、さらに同じように魔法陣の中には、黒髪の少年が混乱したようにへたり込んでいた。

 

(ここはどこだ?周りの人たちの服装や建物のつくりを見るに、惑星シンナセンの文明レベルと一致するが………それに、この少年は………?)

「あれが、勇者………!」

「召喚は、成功したのか………!!」

 

デュランが思考する中、周囲の人間の会話が聞こえてきた。

 

(召喚?勇者?もしや、先ほどの次元衝撃波はその際の?)

「お、王よ、見ての通り儀式は成功した………じゃ、じゃが………」

「う、うむ………ひとつ聞きたいのだが……」

 

王と呼ばれた、この中で一番偉そうな男性が困惑した様子でデュランの方を指さしていた。

デュランは今の会話から何とか現状を把握しようとするが、情報が足りない。今は現状を把握するべく、デュランは彼らに話を聞こうとした。しかし、それよりも先に、目の前にいる少年を立ち上がらせる方が先であると考えた。

 

「ど、どちらが、勇者殿なのだ………?」

「……え?」

「えーと………大丈夫かい、きみ?」

 

デュランが声をかけると、少年は今になって背後にいるデュランの存在に気づいたのか、振り返って驚きと困惑の混ざったような顔でこちらを見上げていた。

 

「立てるかい?」

「だ、大丈夫です………すみません……」

 

デュランが手を差し伸べると、少年はその手を借りて立ち上がった。立ち上がったのを見て、王様は2人に問いかけた。

 

「あー……と、とりあえず、自己紹介をさせてくれないか? 儂はロコロ王国国王、クリセイ・モルデュアと申す。」

 

クリセイ王が名乗ると、2人は王に向き直った。

 

「あ、勇薙 草介です。」

「私は、デュランと言います………」

 

 

 

 

 

こうして2人の勇者、勇薙草介とデュランは、惑星シンナセンで衝撃的な出会いをしたのであった。




長官の部屋が無駄に広いのは、『ウルトラセブン』の『第四惑星の悪夢』が元ネタ。後、昔のロボットアニメ(主に勇者シリーズ)見てたら、巨大ロボが入れる空間が都合よくあるよねっていうイメージから。

マシンメイル開発主任のオートさんが初登場。今後もちょいちょい出てくる予定です。

トライヤーズの3人の過去は、いずれ本編でも
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