異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ 第19話
影の狼、地の猛牛
「にゃにぃ~~~!?ワルンダイツ共がモルホン基地を!?」
モルホン基地から数km離れた山間、そこに停泊していたフライング・ダッチマン2世号では、部下に叩き起こされて報告を受けたバルベエの素っ頓狂な声が響いていた。
「は、はい!モルホン基地を見張っていたゴーストからの報告です………機怪魔獣の軍勢が、基地を襲撃しているとのことでして………例の2人の姿も幽霊船内になく………!」
「アイツらめ………何を考えとるだがや………これでは交渉しようにも、ワシらの立場ってもんが………!」
「いかがいたしますか、バルベエ様………!?」
頭を抱えるバルベエに、ボロボロの海賊のような服装で額に黒く短い角が3本生えたスケルトン、フライング・ダッチマン2世号の船長でもあるキャプテン・キューダが聞く。バルベエは唸っていたが、被っていたナイトキャップを脱いで王冠を被り直すと走り出した。
「ヤツらを止めるだがや!キューダ!主砲の準備をするだがや!」
「アイアイサーっ!」
バルベエが走りながら指示を出すと、フォウリーと共に少し後ろを走りながらキューダが返答した。
「まったく、寝ぐせ直す時間もないがや………!」
「「いや、髪ないでしょアンタ!!」」
が、バルベエのボヤキを聞いて、2人揃ってツッコミを入れた。
†
「は、早く!こっちだ!」
「治癒魔法を使える兵は、負傷者の手当てを!」
―――時間は十数分ほど遡って、草介たちが格納庫でウルフたちと対峙していた頃、シャスティとフローが兵士の避難と負傷兵の手当てをする中、モルホン基地の正門前ではデュランダー、バトルパンサー、トライタイガーが、シンパンジャンD3との戦闘を開始しようとしていた。
「頼んだよ、デュランダー………」
負傷兵の1人に治癒魔法をかけながら、フローはデュランダーたちの方を横目に小さく呟いた。口火を切ったのはシンパンジャンD3部隊であった。戦闘の1体がカメラアイを赤く光らせたかと思うと、口から火炎弾を発射した!デュランダーたちはジャンプして回避をした。
『アームシューター!!』
『クローバルカン!!』
デュランダーが両腕のビーム銃を、トライタイガーが両肩のバルカン砲を車輪型機怪魔獣に向けて放つ!しかし、シンパンジャンのボディに着弾したはずのその弾は、後方の地面に着弾をして、爆発を起こした!
『何だ!?』
『避けた………わけではなさそうだが………!?』
『何が起きたネ!?』
着地と同時に、目の前で起きた現象に困惑するデュランダーとトライタイガー。何かおかしいと感じたバトルパンサーは頭部に内蔵されたセンサーでシンパンジャンのサーチを試みる。しかし、サーチをしようとすると、カメラにノイズが入ってしまい、上手く調べられなかった。
『サーチができない………レーダーを阻害するシステムが搭載されているのか………!?』
『どうりで、接近されても気づかなかった訳ネ………!!』
トライタイガーが、シンパンジャン部隊が密かに接近出来たことを察した。バトルパンサーはシンパンジャンの奇怪な機能について思考するが、それを阻むかのように3機のシンパンジャンの二連砲がバトルパンサーに向けて火を噴いた!
『!?くっ………!!』
バトルパンサーが横に飛んで回避すると、先ほどまでいた場所が爆発を起こした。バトルパンサーはアーマリートレインからガングパンサーを呼び出すと手に取り、ライフルモードに変形させてシンパンジャンの頭部を狙い引き金を引く。しかし、銃口から放たれた光線はシンパンジャンの眉間のど真ん中を通り過ぎて、後方の夜空に消えていった。
『どういう事だ!?』
『コイツ、ただの機怪魔獣じゃないのか!?』
目の前にいる機怪魔獣の持つ未知の機能に、デュランダーたちは戦慄する。十機以上のシンパンジャンD3は、長い首で見下ろすかのようにデュランダーたちを睨みつけていた。
†
同時刻、格納庫前ではウルフダイトとバッファローダイトが、今にも飛びかからんとしていた。
『さあーて!とっととぶっ壊しちまおうぜ、ウルフ!!』
『ふん、言われずとも!!』
バッファローが、マシン故に吐けないというのに鼻息荒くウルフダイトに言うと、ウルフは鼻で笑いながら返した。
「な、何だアイツらは………!?」
「機怪魔獣だけでも厄介なのに………牛の方は武骨でカッコいいけど………」
「言ってる場合じゃないでしょ主任………」
ケイリーやロンたちは2大ビーストメイルを目の前にして1,2歩後退る。しかし、ハバキリとレピオは睨みつけながら得物を鞘や背中に納めると、GPデバイスを取り出して操作をした。
「ソウスケ、ロンたちを頼む!」
「分かった!」
「2人とも、何を………!?」
『やってやらぁあッ!!』
ハバキリの指示を草介が了承するが、ロンは何をする気なのか分からず困惑する。しかしその時、バッファローダイトが雄叫びと共に突進を仕掛けてきた!
「マズい!?逃げるぞ!」
「間に合わな………!!」
ロンたちが駆けだそうとしたが、バッファローダイトの突進は早く間に合わない!そう思われた瞬間、バッファローダイトの進行方向の地面が爆ぜたかと思うと、トータスドリルが飛び出してきて、その余波でバッファローダイトを吹き飛ばしてしまった!
『うおお!?』
『バッファロー!?』
「何だ!?」
吹き飛ばされたバッファローダイトと飛び出したトータスドリルにロンたちは驚くが、レピオはトータスドリルに向かって駆け出した。何事かとロンが困惑していると、上空から轟音と共にフェニックスジェットが飛来してくると、ハバキリは接近と同時に開いたコックピットに飛び乗った!
「まさか、あれがケイリーさんの言っていた、デュランさんたちの『機動兵器』………?」
「ええ、私も報告書で見ただけでしたが………!」
「「フュージョイン!!」」
現れた2機のマシンを見たフェイが困惑気味に聞くと、ケイリーも頷く。そんな中、搭乗した2人はフュージョインを行うと、飛びかかろうとしていたウルフダイトに威嚇射撃を行って動きを止めた。
『くっ………!?』
『チェーンジ!トライトータス!!』
『変身!トライフェニックス!!』
「こっちも変形した!?」
トライトータスとトライフェニックスが変形をすると、草介たちを背中にして守るように着地をした。ロンたちは圧巻されたように、ケイリーはプルプルと震えながらその背中を見上げていた。
「う………」
『ソウスケ、こっちは任せてお前らは………』
「うっひょーーー!かぁーっこいいーーーー!!」
「「「え?」」」
『『は?』』
トライトータスが振り返って話しかけようとしたが、突然ケイリーが感極まったように叫んだ。ケイリーの豹変ぶりに草介たちは呆然とし、トライトータスとトライフェニックスも呆気に取られていると、ケイリーは2機を、厳密にいえばトライトータスを見上げて目を輝かせていた。
「何あの見るからに力強いがっしりしたフォルム!?あの回ってたの(=ドリル)も無限軌道も、もう全部カッコいい!武器も斧と盾って!武骨でカッコよすぎ!!ヤバすぎ!ああ、隅々まで触って叩いて調べつくしたい~~~♡」
『お、おう………?』
『ケイリーどの………』
ケイリーの豹変ぶりと発言にトライトータスとトライフェニックスは困惑し、草介たちも唖然としていた。なお、この世界にはまだドリル(削岩機)はない。
「主任………」
「好みの武骨なメカが出てきたからって、はしゃぎすぎですよ………」
「やっぱ、ああいうタイプのメカが好みなのか、あの人………」
「すいません、主任も俺らもメカオタクなんすけど、主任は特にひどくて………」
はしゃぐケイリーを見てヒュージとキリコが呆れた様子で呟く。草介はマカロンティーヌちゃんで何となく察してはいたが、流石にここまでとは思わなかった。
『何をしているんだ、アイツらは………?』
『おいウルフ、いつも通りで行くぞ!』
『そうだな………それでは、いざ参る!』
ウルフダイトはトライトータスとケイリーたちのやり取りを見て呆れていたが、バッファローが軽口のように話しかけると気を引き締めたのか、ウルフダイトは足元の影に沈み隠れてしまった!
「あ!アイツまたあの術を!?」
『お主らは下がれ!』
「わ、分かった!」
「ほら主任、行きますよ!」
「え?あ、そ、そうね………」
消えたウルフダイトを見た草介が、また影に潜って奇襲を仕掛けるつもりだと察する。トライフェニックスが草介たちに下がるように促すと、ヒュージに引っ張られたケイリーも正気に戻ったのか名残惜しそうにしながらも渋々下がり、ロンたちも格納庫の中に戻る。
『さて、どっから来る!?』
『俺から行くぜぇえ!!』
『何!?』
トライトータスがウルフダイトに警戒をしていたその時、バッファローダイトが雄叫びを上げながら突進を仕掛けてくる!トライトータスは前に出て受け止めようと、キッコウシールドを構えた。
『させぬわぁ!!』
『何!?』
だがその時、トライトータスの足元の影からウルフダイトが、鋭い牙を持った
『トライトータス!!』
『む!?』
しかし、咄嗟にトライフェニックスがスザク丸を『刺突』の要領で伸ばすと、ウルフダイトはその刀身に噛みついてしまい、攻撃を防がれてしまった。その次の瞬間、バッファローダイトがトライトータスの構えたキッコウシールドに突進してきた!
『ブオオオオオ!!』
『ぐぉおッ!?』
飛び出して来たウルフダイトに一瞬気を取られたトライトータスは、踏ん張りが間に合わずバッファローダイトの突進をまともに受けてしまい、トライフェニックス諸とも吹き飛ばされてしまった!
『ぐあ!?』『ぬぅッ!?』
「2人とも!?」
2人は吹き飛ばされて格納庫にまで衝突しかけるが、何とか踏み留まって衝突は避けることができた。草介やロンが心配をして駆け寄り、2人に声をかける。
「だ、大丈夫か!?」
『ああ……だが、今のは効いたでござる………』
『こっちもだ………あの野郎……ッ!!』
草介の呼びかけに2人は衝撃に顔をしかめながら立ち上がる。衝突前に離脱したウルフダイトは再び影の中に隠れ、バッファローダイトは再度突進すべく助走の準備に距離を取っていた。
『次で決めてやるぜぇ………!!』
『あのウシ公1匹ならオレでも何とかなるが、問題は影の中の犬っコロだ!影の中からの奇襲で隙を作られちまう………!』
「フェイ、さっきみたいに“トーチ・ライト”で影を消せないか?」
バッファローダイトが気合を入れている中、トライトータスは2機の連携を破るべく考えを巡らせる。ロンは隣にいるフェイに問いかけるが、フェイは難しそうな表情で首を左右に振った。
「難しい………格納庫の外にまで吹き飛ばしたのは失敗だった………外は夜で、隠れる影だらけ………」
「あっ………!」
「しまったな………“トーチ・ライト”でちょっと照らしいた程度じゃ、影は消せないな………!」
フェイの指摘にロンやカールはしまったといった表情を浮かべる。そんな中、バッファローダイトは前足を何度も踏みしめて、いつでも飛び出せるように構えていた。
「ど、どうすれば外の影を消せる………?」
「………いや、影を消す必要はない。」
「え?」
ロンが頭を抱えて呟くが、そこに今まで何かを考えてた草介が口を開いた。
「トライトータス!もう一回シールドでヤツの突進を受け止めろ!トライフェニックスは次にウルフが飛びかかってきたら、今度は捕まえて離すな!」
『何?』
『「離すな」?………!そうか!!』
トライトータスとトライフェニックスは草介の案に一瞬困惑したが、すぐにその意味を理解したのか立ち上がりながら盾を構え、その後ろにトライフェニックスが立つ陣形を取った。
『背中は任せろ!』
『おう!!』
『ブオオオ!!』
トライトータスが返事をしたその時、バッファローダイトが先ほど以上の勢いで突進を仕掛けてきた!物凄い勢いで迫ってくる鋼鉄の塊を前に、トライトータスは何が何でも受け止める覚悟で構えた!
『同じことだァッ!!』
その瞬間、トライトータスの右後方の影からウルフダイトが飛び出してくると、背中にマウントされていたパワーショベルのバケットを展開して突き刺そうとしてきた!
『今度は違う!!』
『む!?』
しかし、すぐさまトライフェニックスが瞬時に動いてバケットをスザク丸で弾くと、右脚の蹴りを顔面に目掛けて放つ!
『その程度………!?』
ウルフダイトはその蹴りを受け止めようとしたが、その瞬間、トライフェニックスの右脚から鉤爪が展開すると、ウルフダイトのボディを掴んだ!
『何!?』
『このような隠し武器は趣味ではないのだがな!!変身!!』
ウルフダイトが鉤爪に驚くが、トライフェニックスは瞬時にトライスザクに変形し、両脚の爪でがっしりと掴み飛び上がった!
『うおおおお!?』
「そうか!上空ならヤツの隠れる影はない!」
飛び上がっていくトライスザクを見上げたロンが、感心したように声を上げた。その時、ウルフの現状に気づいていないのか突進をしてきたバッファローダイトを、トライトータスが受け止めた重い音が周囲に響いた!
『ぐぅっ、うおおおおお!!』
『ブォオッ!?』
受け止めたトライトータスが気合いの声を上げると、バッファローダイトを弾き返した!
「レピオさん、避けて!!」
『!?』
その時、背後からケイリーの声が聞こえた。トライトータスが横に飛び退くと、そのすれすれの地点を3つの砲弾が通り過ぎて、バッファローダイトに着弾した!
『うぎゃあ!?』
『今のは!?』
トライトータスが振り返ると、そこには右肩の三連砲から硝煙を吐き出すマカロンティーヌちゃんの姿があった。いつの間にかマカロンティーヌちゃんに乗り込んだケイリーたちが、大砲を撃ったのだ。
『ぐええ………』
「あいつ、あんまダメージないみてーだな…………」
「結構丈夫………」
砲弾を受けて吹き飛んだバッファローダイトであったが、少し焦げ跡ができた程度で唸っていた。草介とフェイはバッファローダイトの頑丈さに感心と恐怖の入り混じった声を上げた。
バッファローダイトが砲弾受けたその頃、上空では飛び上がったトライスザクが、ウルフダイトを空中に放り投げていた。
『し、しまった!?』
『ここならば、貴様も術を使えまい!』
トライスザクがトライフェニックスに変形をすると、三日月を背にウルフダイトを見下ろし言い放つ。逃げ場のないウルフダイトが焦っていると、トライフェニックスは距離を一気に詰めて密着をする!
『ぐぅ!?』
『流星一刀流剣術 序段伍剣が一つ!』
トライフェニックスは密着をした状態で腰のスザク丸に手をかけると、一気に抜刀して斬りかかった!
『ごぁっ………!!』
『参ノ太刀―――
密着状態からの居合斬りを受けて、ウルフダイトは地面に向けて吹き飛んだ!
『今の手応えは………!?』
今の攻撃の際の手応えに違和感を持ったトライフェニックスが見下ろすと、吹き飛んだウルフダイトは地面に頭からめり込んでピクピクと震えていたが、切断のダメージはないようであった。
(あ、危なかった………攻撃の瞬間………俺にかかったヤツの影を利用し、影の防御幕を作る忍法『
『ウルフ!?』
めり込んだウルフが危機一髪の状況だったと思っていると、バッファローダイトが悲鳴にも似た叫び声を上げた。
『てめえらぁ!!ウ・ウ・ウルフの仇だぁあ!!』
(いや、死んどらんぞ?)
怒りの雄叫びを上げるバッファローであったが、勝手に死んだことにされたウルフは声を出せないままにツッコミを入れた。そんなこと知る由もないバッファローは、角にエネルギーを溜めると地面に突き刺した!
『喰らえ!バッファロー・クエイ―――』
「そこまでだがやーーー!!」
ドッカーーーン
『グぇえ!?』
『!?』
『何だ!?』
バッファローダイトが何か技を放とうとしたその時、突然飛来してきた何かがバッファローダイトの背中に激突した!バッファローダイトは飛んできたそれの衝撃にバランスを崩して倒れ、角のエネルギーも霧散してしまった。
「今の声は………!?」
突然の出来事に一同が呆然としていると、倒れたバッファローダイトの背中に何か小さい者が立っていることに気が付いた。
「あいたたた………おみゃー、ワシの石頭と同じくらい頑丈だにゃー………」
「バルベエ!?」
「何でお前が………?」
頭を押さえながら立ち上がったバルベエの姿を確認した草介が、思わず声を上げた。バルベエは王冠を被り直すとバッファローダイトから降りてプンスカ怒ったように言った。
「コイツらがワシに断りなく勝手に襲撃したって聞いてにゃー、昼間に交渉の約束取りつけたっちゅーのにそんなことしたら悪いと思って、止めに来たんだがや!」
「そ、そうか………」
『普通に律儀だな、アイツ………』
『だが、どうやってここまで………?』
バルベエがここに来た理由に草介たちが納得していると、地上に降りてきたトライフェニックスが疑問を口にした。
「なに、フライング・ダッチマン2世号の主砲で、砲弾代わりにワシ自身を撃ち出してもらったんだがや。いつもやっとるがや。」
「割と無茶な移動方だな!?」
「でも、そうか、あのサイズなら可能なのか………」
バルベエの答えにロンが驚き、草介は呆れながらも納得して呟いた。その時、バルベエの背後ではバッファローダイトが起き上がり、ウルフダイトも背中のショベルを利用して地面から抜け出していた。
『バ、バルベエ!貴様、どういうつもりだ………!?』
「それはこっちのセリフだがや!おみゃーら、なに昼間のワシの約束を反故にして勝手に攻めとるんだがや!!」
『だ、だが、我々にも任務が………』
「だまらっしゃい!!」
バルベエはウルフとバッファローの言い訳を突っぱねると、2人に向けて両手を伸ばした。
その瞬間、バルベエの両腕に黒っぽい紫色の、おどろおどろしい人魂のようなものが集まって、まとわりついてきた!
『!?』『何だ!?』
驚くのもつかの間、バルベエの両腕から放たれた人魂はバッファローダイトとウルフダイトの周囲を包囲した!
「怨念呪縛―――」
包囲した人魂は蛇や縄のように形を変えると、2機のボディをまるでとぐろを巻くように縛りつけた!
「
「「「「「!?」」」」」
『ぐお!?』『うぉお!?』
捕縛され倒れた2機はもがくが、人魂の縛る力は強く抜け出すことができない!よく見ると、人魂は骸骨のような亡者が群がってできているらしく、それがしがみついているせいで2機は抜け出せないようであった。
バルベエは両腕を下げながら、2人に言い放つ。
『ぐぅ………!』『う、動けねえ………!』
「この周辺を彷徨っていた怨念や残留思念なんかを集め、操らせてもらったがや。ちょっとやそっとじゃ、抜け出せんぞ。」
「ま、まじかよ………!?」
「ダメージを負っているとはいえ、ビーストメイル2機をあんなにあっさり………!?」
「これが、霊族長………」
『あんな見た目とキャラで、あんな実力なのかよ………!』
バルベエは、もがく2機に向けてまるで残業を終えたサラリーマンのように肩を回しながら言う。
その一方で草介たちは、たった今見せつけられた『霊族長バルベエ』の実力に戦慄し、そしてその肩書が伊達でも不相応でもないことを実感させられた。
「じゃあ、コイツらはワシが連れ帰るがや。いやー、今回は本当に申し訳ないだがや………」
「あ、い、いや………アンタが謝る事じゃないけどな………」
「いや、こっちも知らんかったとはいえ、襲撃したのは事実だがや……」
草介とバルベエはお互いに申し訳なさそうに頭を下げるが、その時、基地の正門の方から大きな爆発音が聞こえてきた!
「今のは!?」
『まさか、隊長たちが!?』
『ククク………』
草介たちが爆発に困惑していると、縛られていたウルフダイトが突然笑い始めた。
『わ、我らを捕えたとて、まだシンパンジャンD3部隊がいる………奴らの力、貴様ら程度では止められんぞ……!』
「何……?」
「あー、こいつらはワシが押さえとくから、向こうに行くといいだがや。これ以上は、手助けする訳にもいかんからにゃー…」
「いや、それだけで十分だ。」
草介はバルベエに小さく頷いて言うと、ロンたちと共に基地の正門へと走っていった。
トライフェニックスも飛び立ち、トライトータスも走って向かおうとしたその時、格納庫内でマカロンティーヌちゃんが歩き始めたのに気が付いた。
『おい、流石にまだ実戦は早いだろ!』
「しかし、何もしないわけには………!」
トライトータスがマカロンティーヌちゃんを止めようとするが、コックピット内のケイリーが叫ぶ。先ほどのレピオのメモを元に多少改修はできただろうが、実戦投入にはまだまだ程遠い。正門まで行くまでに夜が明けてしまいかねない。トライトータスはそれを心配して止めたのだが、コックピットのフロントガラスから見えるケイリーの表情を見て止めても聞かないと察したのか、トライトータスは頭を掻いてやれやれと呟いた。
『しゃーねーな………分かった。足りない機動力を補う手段がある。』
「え?」
トライトータスの申し出にケイリーはキョトンとした顔で声を漏らす。同乗していたヒュージとキリコも、顔を合わせて首を傾げていた。
【つづく】
バルベエは大分律儀な骸骨。実力の一片を見せたけど、族長は機怪魔獣相手でも普通に強い感じです。
シンパンジャンD3の謎機能。こういう謎を持った敵って驚異的で好き。