異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ 第20話
黒鉄の豹、三日月に吠える
『うああッ………!!』
『ぐぅッ………!!』
『2人とも!!』
シンパンジャンの砲撃を受けたデュランダーとトライタイガーが吹き飛んで地面に倒れた。ボディの所々に焦げ跡や傷ができて、火花が散っていた。バトルパンサーは2機に比べて軽傷ではあったものの、シンパンジャンへの攻撃が通じずに苦戦を強いられていた。
『コイツら、何かおかしい………さっきから何を………!?』
倒れたデュランダーは、シンパンジャンの起こす奇怪な困惑していた。首を伸ばしてデュランダーたちに追撃をしようとしてくるシンパンジャンに対してバトルパンサーが銃撃を仕掛けるが、全てすり抜けてしまい、直後、シンパンジャンの両眼から赤いレーザーが放たれた!
『くっ………!!』
デュランダーとトライタイガーは咄嗟に身体を転がして回避をするが、地面にレーザーが直撃をして爆発が起きて吹き飛ばされてしまう!
『『うわああ!?』』
「デュランダー!!」「お兄ちゃん!!」
「何なんだ、あの機怪魔獣は………!?」
吹き飛ばされた2機を見て、シャスティとアルスが悲鳴を上げた。フローは目の前でシンパンジャンへの攻撃が聞かない現象に、疑問と恐怖から呟いた。
シンパンジャンたちがデュランダーへ追撃せんと二連砲の狙いを定めるが、その時、上空から銃撃が飛んできてその動きを止めて、十数m後退した。
「今のは!?」
『隊長!トライタイガーも!無事でござるか!?』
『トライフェニックス!!』
『助かったアル………』
「よかった………」
「おーい、フロー!」
上空よりフェザーガンを手に飛来したトライフェニックスは、デュランダーとトライタイガーを背にするように地面に降りた。フローたちはホッとしていると、後ろから草介たちが走って来た。
「みんな!」
「デュランダーたちは大丈夫か!?」
「いや、かなりピンチだべ………あの機怪魔獣に攻撃当たってんのに、すり抜けちまって当たらねぇんだよ………!」
「すり抜けるだって?」
シャスティがシンパンジャンたちを見ながら慌てたように説明すると、草介は首を傾げた。どういうことかと思っていると、トライフェニックスが目の前の機怪魔獣の首筋目掛けてフェザーガンを放つが、その弾はそのボディをすり抜けてはるか後方に消えていった。
『本当にすり抜けた………!?』
「どういうことだ?」
「通常ではありえない。何かからくりがある……」
実際に目の前で攻撃がすり抜けたのを見たトライフェニックスが困惑と驚愕の声を出し、ロンとフェイが疑問を口にする。一同が困惑していると、ふと、フローがある事に気が付いた。
「そういえばレピオ………トライトータスは?」
「ん?そろそろ来ると思うけど………」
草介が後ろを振り返りながら答えるが、まだ来る気配がない。
「さーて、帰る前に勇者たちの実力でも見ようかにゃー♪」
『意外と余裕だな、お前………』
草介たちは気づいていなかったが、周囲に人魂を浮かべたバルベエと彼に捕えられた2大ビーストメイルが、闇夜に紛れて浮遊しながら戦いの様子を観戦していた。文字通り「高みの見物」である。
バッファローは苦しそうにしていたが、ウルフはシンパンジャン部隊に苦戦するデュランダーたちを見て、嘲笑うような笑みを浮かべていた。
(無駄だ………仮にシンパンジャンの『あの機能』を見破ったとしても、もう1つの方を突破するのは困難だろう………)
ウルフが内心で嘲笑っていると、砲弾と光線、火炎弾を掻い潜り、その爆発から飛び出したバトルパンサーがシンパンジャン部隊を睨みつけて悪態をついた。
『埒が明かない!デュランダー!こうなったら『
バトルパンサーが言いかけたその時、シンパンジャン部隊の周囲に砲弾が飛来して爆発が起きた!
『何だ!?』
シンパンジャン爆発から逃げるように後退をしていると、ふらふらと立ち上がったデュランダーが砲弾の飛んできた方を振り返った。そこには、こちらに猛スピードで向かってくる四角いシルエットのロボット―――マカロンティーヌちゃんだった。
『マカロンティーヌちゃん!?』
「何だあの速度は!?ちょっとメンテナンスした程度であんなに向上するのはあり得ない………!?」
駆けつけてきたマカロンティーヌちゃんに草介たちが驚くが、それ以上に昼間見た動きとは全く違う速度で移動することに疑問を覚えた。どういうことなのかと思っていたが、接近してきたマカロンティーヌちゃんを見て、その疑問はあっという間に解消された。
『オラオラオラァ!轢かれたくなきゃ退きやがれぇ!!』
何故ならマカロンティーヌちゃんは、トータスドリルの上にまたがる形で乗っていたからだ!
「………なるほど、こーゆーこと?単純ね……トータスドリルに乗ってきたのね?」
『重量ギリギリだったが、こいつの馬力を嘗めんじゃねぇぜ!!』
「確かに、現状これが最善の策ではありますが………」
草介が呆れたように言うと、マカロンティーヌちゃんのコックピット内でケイリーも呆れと納得の混じったように呟いた。
『レピオ!こいつらは………!』
『ああ!通信で大体の事は分かってる!』
トライフェニックスがトータスドリルの方に叫ぶが、当のレピオは状況を把握していたのか、目の前のシンパンジャン部隊を睨みながら返答をした。
『バトルパンサー、『α89炸裂パルス弾』を使ってくれ!それで連中の化けの皮を引っぺがす!』
『む………?そうか!分かった!』
レピオの指示を聞いたバトルパンサーは一瞬考えたものの、指定された武器の特性を思い出すとその意図を察して、直ぐに行動に移った。
『デュランダー!さっき言った通り、『アレ』を使わせてもらうぞ!』
『分かった!だが、あまりやりすぎないでくれよ!』
『無論だ!来い、アーマリートレイン!!』
バトルパンサーが叫ぶと、アーマリートレインの下部からブースターが点火して飛び上がり、バトルパンサーの元まで飛来してきた。
『アームズコンバイン!!』
バトルパンサーの掛け声と共に空中でアーマリートレインの車体の三分の一が分離をすると、前部分にジョイントが展開してバトルパンサーの背中に合体、「バシュッ」という音と共に上と左右方向に展開し、右肩に大型バズーカ、左肩に分離した後方が接続されて9連ミサイルポッドが展開、更に、両腕にアーマーと共に二連装のガトリング砲、腰にアーマーが装備された。
最後にヘッドギアが飛び出して頭部に接続されると、一本角のようなアンテナを持ったバイザーとマスクが装着されて、バイザーを青く光らせて、合体が完了した!
『重装合体!アームドパンサー!!』
全身に重火器を装備したフルアーマー形態、バトルパンサー改めアームドパンサーは、ズシンッという重低音と共に着地をすると、右手に持ったガングパンサーを構えて高らかに名乗りを上げた!
「合体した!?」
「アームドパンサー………!」
「み、見るからに火力重視だな、ありゃ………!」
「カッコいい………!」
アームドパンサーの合体を目の当たりにした草介たちが、口々に感想を述べる。
アームドパンサーは右肩のバズーカ砲でシンパンジャン部隊を狙うと、先ほど指示された炸裂弾を装填した。
『α89炸裂パルス弾、発射!!』
アームドパンサーの掛け声と共に、バズーカ砲から砲弾が発射された!砲弾はシンパンジャン部隊の頭上で炸裂すると、周囲に電磁波が放たれて、周囲を青白い光が照らした。
「あれは!?」
すると、シンパンジャン部隊のボディがノイズの様に歪みだしたかと思うとその巨体が消え失せてしまい、代わりに車輪形態になった20m前後のサイズのシンパンジャンがその場に現れた!
『こ、これは!?』
『まさか、
攻撃が通じないカラクリを暴かれてしまい、困惑したようにオロオロと挙動が乱れ出すシンパンジャン部隊を見て、その正体を知ったデュランダーが声を上げた。そこに、レピオも補足する。
『ああ、ホログラムで10mも大きく見せていたんだ。その10mのギャップで自分への攻撃を回避していたってワケだ。』
『レーダー阻害機能も搭載されているから、その事実に気づかれることはない、という事か………』
『あのタイプのホログラムは、特殊な電磁波で解除されるからな。電波に干渉する作用がある電磁パルスを発生させるα89炸裂パルス弾をニールさんが持っていて、助かったぜ。』
「デュランダーたちは、幻と戦わされていたのか………!」
レピオの説明を聞いて、アームドパンサーとフローが呟いた。そこで、シャスティが「あ、」と声を出した。
「そういえばあの機怪魔獣、光線とか大砲ばっかで、噛んだりとかしてなかったべ………あんな牙やトゲがあんのに………」
「い、言われてみれば………」
「直接攻撃をしたら、自分が幻だとバレてしまう。感づかれないようにするには、遠距離攻撃しかできなかった。」
シャスティの指摘に、フローやフェイも納得したように呟いた。
『バカな………シンパンジャンの『リアリティホログラム』が………!?』
「あーりゃりゃ、おみゃーさんご自慢の機怪魔獣、ピンチみたいだにゃー」
一方ウルフダイトは、シンパンジャンのホログラムがあっさりと暴かれてしまったのを見て絶句をしていた。バルベエが他人事のように笑うのを聞いて顔をしかめたが、直ぐに平常心を取り戻した。
『いや、まだだ………ホログラムを暴いた程度で勝てるほど、シンパンジャンD3はヤワではない………(だが、何故だ?まるであのホログラムの弱点を知っていたかのような対処だったぞ………?)』
ウルフダイトはホログラムを暴かれた事に疑問を持ちながらも、簡単に敗れはしないだろうと高を括っていた。
『タネが分かれば、こちらのもの!!』
フェザーガンを腰にマウントしたトライフェニックスが叫ぶと、腰からスザク丸を抜いて一番近くにいたシンパンジャンに斬りかかった!
ガギンッ
『!?』
『何!?』
しかし、その刀身は車輪弾かれてしまい、数cmも食い込むことはなかった。
『こ、こいつの車輪……いや、装甲か?相当に硬いぞ!』
トライフェニックスが驚きの声を上げたのも束の間、シンパンジャンは車輪を回転させてトライフェニックスを弾き飛ばした!
『ぐわぁっ!?』
「トライフェニックス!!」
『ホログラムだけじゃなくて頑丈な装甲……接近戦でも十分厄介だ………!』
弾き飛ばされたトライフェニックスが地面に倒れて、デュランダーの元まで身を滑らせると、デュランダーはシンパンジャンを見て呟いた。その間にも、シンパンジャン部隊は車輪を回転させてこちらに向かってくる!
『狙い目があるとすれば、ヤツが頭を出した時だ。たとえ車輪が固くても、内部はそうはいかないだろう。』
『だが、どうやって頭を出させる!?』
『1体であれば拙者の中段肆剣で倒せるとは思うが、この数相手では………』
突進をよけながらアームドパンサーが言うが、デュランダーが疑問を口にする。トライフェニックスも少し不安そうに呟いた。
「車輪と車輪の間を斬るのはどうだ?」
「いや、恐らく敵もそれを想定して、そこの防御は固くさせてるだろう………」
「そ、そうか………」
カールが提案するが、それをドラムに反論されて少し落ち込んだ。すると、マカロンティーヌちゃんを正門前に降ろしたトータスドリルが、トライトータスに変形をした。
『いや、手はある!』
「トライトータス、何をする気だ?」
『奴らが顔を出すまで、ひたすら撃って殴りまくる!』
「わー、シンプル………」
「脳みそ筋肉。」
トライトータスの提案を聞いた草介が呆れたように言うと、フェイも無表情でポツリと呟いた。しかし、それを聞いたトライフェニックスとトライタイガーは顔を見合わせてフッと笑みを浮かべた。
『………そうだな、お前らしい作戦だ。』
『それなら、いつも通りアルな♪』
2人がそれぞれ得物を手に構えた。デュランダーとアームドパンサーはそれを見て呆れたように笑った。
『まったく、あいつらは………』
『だが、他に手もない。やりましょう!』
『ああ!』
デュランダーは指示を出すと、そう言って2人は目の前のシンパンジャンに狙いを定めた。
『奴らを一か所に集めて動きを制限させるんだ!』
『了解!!』
『ブレイバード!!』
デュランダーは指示を出すと、ブレイバードを呼び出すべく叫ぶ。それと同時に、天に向かって額から光が放たれた。ほどなくして、夜空を斬り裂くようにブレイバードが飛来、デュランダーの真上まで飛来すると合体モードに入って変形をした。
『ギガ・コンバイン!!』
デュランダーが飛び上がってデュランカーに変形し合体、デュランダーの掛け声と共に機首の根元から赤い兜が飛び出して機体上部に接続、180度反転するとデュランダーの頭部がせり上がり、口元を面頬のようなマスクパーツが覆うと、額に金色の角を持った頭部となる。最後に、胸部が反転して獅子の顔が現れた!
『勇者合体!デュランブレイバー!!』
デュランブレイバーが合体と同時に名乗りを上げると、すぐさまシンパンジャンの群れに向けて飛んでいく。
『エースランチャー!!』
デュランブレイバーの両足のハッチが開いてミサイルが発射されると、シンパンジャンの周囲に着弾して爆発を起こし、シンパンジャンは進行方向を変えて回避をする。
『変身!トライスザク!!』
『
『オラオラオラァッ!!』
瞬時に変形をしたトライスザクとトライビャッコは、シンパンジャン部隊の周囲を飛び回り、或いは飛び跳ねるような素早い動きで翻弄、トライトータスはシェルバズーカを連射して、シンパンジャンたちの動きを誘導する。
「よし!俺たちも手を貸そう!」
「ん、んだ!」「分かった!」
草介が言うと、シャスティとロンが返答し、フェイも頷いた。
「「“アクアバレット”!!」」
シャスティとロンが水弾をいくつも発射してシンパンジャンの車輪を攻撃、フェイも矢を射ると着弾地点が爆発するかのように発火し、その衝撃で進行を妨げ方向転換させた。
「“エアロ・クッション”!!」
草介が呪文を唱えると、シンパンジャンの進行方向に風が集まってクッションになると、それを踏んだシンパンジャンが躓いたように反発して、向かう方向を変えてしまった。
「我々も行くぞ!
「「了解!!」」
そして、マカロンティーヌちゃんのコックピットでケイリーが指示を飛ばすと、マカロンティーヌちゃんの三連砲を頭部、右肩、胴体、左肩の順で連射を行い、シンパンジャンたちの周囲に砲弾が着弾して爆発を起こした!
『
全員の連携を受けて、シンパンジャン部隊は一ヶ所に集まってきていた。お互いに身がぶつかり合い、その衝撃で装甲が破損している個体も何体か見受けられた。
『同じ素材の装甲同士なら、傷つくということか………!』
『既に、あまり動けるようではないでござるな。』
それを見たデュランブレイバーとトライスザクが呟くと、接触と衝突を繰り返した機怪魔獣たちはたまらずに装甲をスライドさせて頭部を伸ばした。
チャンスは今だ。後方で準備をしていたアームドパンサーはそう判断して、一同に向けて叫んだ。
『全員下がれ!一気に決める!!』
『!分かった!総員退避!!』
デュランブレイバーが指示を飛ばすと、全員が攻撃の手を止めてその場から飛び退くように撤退、草介たちも攻撃をやめて、基地の方まで下がった。
『喰らうがいい!!』
攻撃が止まって体勢を立て直そうとしたが、それよりも先にアームドパンサーは行動を開始していた。両肩のバズーカとミサイルポッド、両腕のガトリング砲と右腕のガングパンサー、更に腰アーマーが展開してマイクロミサイルポッドが展開し、目の前の目標に狙いを定めた!
『フルバースト・スマァアアアッシュ!!』
掛け声と共にその引き金が引かれ、全砲門から弾丸やミサイルが一斉に放たれ、シンパンジャンが動く間もなく頭部や車軸部分、破損した装甲の穴に全弾が直撃!次々にその身を爆発させていき、爆炎の中に消えていった!
「うわ!?」
爆発の衝撃波に草介やロンは驚き腕で顔を庇った。アームドパンサーの砲門からの掃射が止まると、一層大きな爆発が起きた!
『………フッ。』
爆発を背にしたアームドパンサーのバイザーとマスクが開き、不敵な笑みを浮かべていた。
「や、やったべ………!」
「スゴイ………!」
「何つー火力だ………!」
『流石は我が隊一の重武装機………!』
シャスティやカールが感嘆の声を上げる一方で、草介がアームドパンサーの火力に驚愕交じりに感嘆を漏らすと、トライトータスが感心したように呟いた。デュランブレイバーやトライヤーズがアームドパンサーの元へ駆け寄った。
「カッカッカッ!おみゃーら、やるにゃー」
「「「「「!?」」」」」
その時、空の方から高笑いが聞こえてきた。見上げてみれば、そこには怨念で縛られたウルフダイトとバッファローダイトを連れたバルベエが、胡坐をかくような姿勢で浮遊しているのが見えた。
「バ、バルベエ………!!」
「いたのか………」
「おみゃーらの戦い、見学させてもらったがや!いやぁ、おみゃーらなかなかやるにゃー!機怪魔獣相手にあれだけ戦えるとは、キアラ姫様が苦戦するわけだがや………」
デュランブレイバー達の戦いを素直に称賛するバルベエに、少し複雑そうにするデュアルブレイバーたち。
『まさかあんなものを持っているとは………不覚!』
『フ、戦力分析があまかったようだな。』
(アイツら、リアリティホログラムまで使いやがって………!)
一方で、縛られながら悔しそうにするウルフダイト。その呟きが聞こえたのか、デュランブレイバーがフッと笑みを浮かべる。一方で、トライトータスはウルフダイトを睨みつけていたが、それに気づいたのはアームドパンサーのみであった。
「それじゃあ、ワシはそろそろこの辺でお暇させてもらうだがや。お邪魔しただがや~」
「ま、待ってください!」
「みゃ?」
バルベエはそう言って、その場から浮遊して立ち去ろうとした。すると、コックピットから出てきてマカロンティーヌちゃんの右肩に出たケイリーが彼に声をかけた。バルベエが振り返ると、緊張した表情ながらもこちらを見据えるケイリーと目が合った。バルベエが
不思議そうにしていると、ケイリーが意を決したように口を開いた。
「あ、あの!今回の件、確かにこちらに非があります。しかし、基地を放棄する訳にはいかなくて………そ、それで、話し合ってお互いに妥協点を見つけたいとおもいまして………!」
「ほう………?」
ケイリーの申し出を聞いたバルベエは、興味深そうに目を細めた。『敵』である自分にもこのような提案をしてきたことが少し意外に思い、少し考えてから口を開いた。
「………おみゃー、意外と肝が据わってるにゃー………そういう提案をしてくれるのは、ワシとしてもありがたいがや。」
でも、と、バルベエはケイリーを真っ直ぐに見据えた。
「その案、上には通してあるがや?」
「え?あ、いや、まだですけど………」
「ちゃんと通さないで勝手に決めたら、おみゃーが困ることになるぞ?ちゃんと上に許可取ってから、話し合いしたいがや。」
「は、はい、わかりました………」
(((((すごい真っ当に注意された………)))))
バルベエの注意に声を少しトーンダウンさせながら落ち込むケイリー。一連のやり取りを見ていた草介たちは、内心で呆れのような感情を抱いていた。
「それじゃあ、また改めて3日後に来るがや。」
バルベエは短く挨拶をすると、今度こそ浮遊して立ち去り、直ぐにその姿は見えなくなった。
「行っちゃったな………」
「ああ………」
「大分話の分かる人でよかったね………」
飛び去って行くバルベエを見ていた草介が呟くと、ロンやフローも頷いた。そこに、トライヤーズがビークルモードに変形をすると、降りてきた3人が口を開いた。
「だが、話し合いで済んでよかったって本気で思うぜ………」
「何故だ?」
「さっきのバルベエの実力………あれ見る限りでは、今の拙者たちが束になっても、ヤツに勝てる気がしない………」
レピオとハバキリの言葉に、一同は冷や汗を垂らして頷いた。
先ほどのバルベエの実力を見る限り、バルベエと戦っては勝てないだろう。おまけに、彼と同等かそれ以上の実力を持った族長が後3人、更にそれすら従える魔王がいると考えると、途方もないと思った。
「ビーストメイルだけじゃなくて、厄介な機怪魔獣も出てきてるし………これは、やっぱり『
「確かに………でも、まだアレは………」
「まだ1度も成功はないアル………でも………」
「必要なことでござる………」
「だな………」
レピオ達3人は、小声で話し合っていた。
†
3日後―――
カマリサ帝国ローン・キータ城の謁見の間では、1人の女性が玉座に座していた。
金髪をまとめ上げ蒼い切れ目の妙齢の女性、白いドレスに黄色い宝石の付いた銀色のティアラを頭につけた30代後半ほどの女性で、その端正な顔立ちは気品を感じさせた。
彼女こそ、カマリサ帝国の女帝・エルディラーナⅠ世である。その美貌と人々を導く様から、『光る女神』と敬意をこめて呼ばれていた。
「では、モルホン基地の問題に関しては、折り合いがついたのですね?」
「はい。元の廃村に住んでいた魔族には、ほど近い空き地に住み処を用意し、訓練や工事を行う際は通達する等、いくつか取り決めになったそうです。」
目の前で報告書を手にエルディラーナに応えるのは、薄い茶髪の角刈りにV字のカイゼル髭を生やした筋骨隆々の大男であった。胸に勲章をいくつも付けた軍服を纏ったその人物は、ケイリーの父でもあるダンケッダ・ヴォ・ウェイガー将軍である。
「話し合いを提案したのは、あなたの娘さんだそうですね、将軍?」
「ええ、提案を聞いた時は驚きましたが………お恥ずかしい限りで………本来であれば、魔族相手にそこまでの配慮をする必要はないと思うのですが………」
ウェイガー将軍は少し恥じた様子で様子で頭を掻いた。エルディラーナはクスリと笑みを零した。
「いえ、力で押さえつけて黙らせることは簡単です。しかし、それがいつまでも続くわけではない………今回のように、こちらに返ってくる………私が何度も見てきた光景です………」
「エルディラーナ様………」
エルディラーナの呟きに、ウェイガー将軍は感慨深そうに呟いた。
†
同じ頃、王都に帰還した草介たちは、モルデュア城で王と謁見をしていた。
「この度は、大変なことに巻き込んでしまったな………」
「いえ、とんでもございません……」
王の前で跪き、頭を垂れる草介たち。王は玉座でため息を1つついた。
「まったく、会議が夜まで続いている中でいきなりブレイバードが発進したときは、魔王軍が約束を無下にしたのかと思って肝を冷やしたぞ………」
「そ、それは申し訳ありません………」
クリセイ王が呆れたような顔で言うと、草介は冷や汗を垂らして謝罪した。
「まあ、とにかくだ、モルホン基地の問題解決の協力に加え、機怪魔獣を撃退してくれたことに感謝するぞ。」
「いえ、そんな……」
王が感謝の言葉をかけると、草介は頭を上げて恐縮する様子を見せた。草介たちは謁見の間を後にすると、廊下でロンたち4人が話しかけてきた。
「お疲れ様、ソウスケ。」
「ああ、そっちこそな。」
「ケイリーさんたちは、しばらくこっちにいるそうだね。」
「ああ、『パンツァー』の改良と改善に尽力するって。」
廊下を歩きながらロンたちと会話をする草介。(まだ試作段階のため、「マカロンティーヌちゃん」の名前は公表できない。)すると、ロンの後ろからフェイが顔を出して、デュランに話しかけてきた。
「それで、聞きたいことがある。」
「そうだな………君たちが駆るあの機動兵器の事とかね………」
「あー………」
フェイに賛同するように、ロンも口を開いた。カールとドラムも同意するようにこちらを見ているのに気が付いたデュランたちGP組は、頬を掻きながら口篭もった。
言い訳ができないと判断したのか、デュランが観念したようにため息をついた。
「ここでは、話しづらいかな………」
「良ければ、これから別荘に来るか?」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
ロンが答えると、一行は城の出口に向けて歩き始めた。
【つづく】
シンパンジャンD3は、ホログラム機能持ちだった、というオチ。でも装甲堅くて一筋縄じゃいかない地味な強敵。
バトルパンサーの合体形態アームドパンサー登場。合体シークエンスは、背中にパーツを接続させるとバシュッてバネで展開する玩具のイメージで書いてます。
バルベエさん、ギャグキャラ寄りなのに普通に上司として良い感じになってますねw書いててびっくりしてます。
モルホン基地の問題はとりあえず解決。この後、ロンたちにはフューゾニアの件等を明かしました。
それでは、よいお年を。