異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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第23話 邪悪なる、炎の暴君竜

異世界勇者ロボ 第23話

邪悪なる、炎の暴君竜

 

 

 

 

 

「―――そういう事でしたのね………」

 

ベッドから上半身を起こした年配のシスターが、話を聞き終えて頷いた。この修道院の院長、シスター・マギーである。年を召しているというのに、その目は鋭く、威厳に満ちていた。修道院の2階にある院長の部屋に通された草介たちは、マギーとリサーナに事情を話したのだった。

部屋にいるのは院長の他に、草介、ニール、ロン、レイェン、シャスティ、それにリサーナとトッタたち3人だ。大勢で押しかけても悪いので、アルスたちは酔って体調の悪いデュランを介抱すべく礼拝堂で待機中だ。

 

「まったく、私たちのためとはいえ、また盗みを………」

「「「ご、ごめんなさい………」」」

「まあまあ………」

「約束を破ってまで私たちの助けになりたいって気持ちだけでも、受け取っておくわ………」

 

ギロリと院長に睨まれて縮こまる3人。その様子を草介とレイェンは苦笑しながら宥めると、リサーナも苦笑しつつも3人に優しく諭した。院長は少し考えると、3人に話しかけた。

 

「ではトッタ、ギッタ、スッタ、ここからは大人、と、………そちらの魔導師さんと話をするので、あなたたちは下がっていなさい。」

「あ、はい……」

「分かりました……」

 

3人は院長に言われ、部屋を出て行った。3人が出て行ってドアが閉まると、リサーナはドアの外の様子を少し伺うと、院長に目配せをして頷き合った。

 

「さて………あなたたちは、彼らから私たちが魔導師を必要としていると聞いたのですね?」

「はい。そちらのリサーナさんが言ったのを聞いたとか………」

「あの子たち………」

 

草介が言うと、リサーナはうっかりしたな、と自分のミスを反省した。院長はそんなリサーナを横目で見ると、草介たちに向き直って言った。

 

「確かに私たちは魔導師を必要としています。私とリサーナも、カシンバルト学校を卒業した、それなりに優秀な魔導師と自負をしております。」

 

ですが、と院長は話を切ると、リサーナの方を見た。リサーナはそれに気付くと、真剣な眼差しで院長に向き直る。

 

「院長、私の知る限り、こちらのシャスくん、シャスティくんは、私以上に優秀な魔導師です。それに、口も堅いと保証します。」

「なるほど………」

 

リサーナの話を聞いて、院長は少し考えている様子であった。草介はそれを見て、進言をした。

 

「あの、俺らにできることがあれば、力になりますよ?」

「しかし……」

 

院長はその言葉に、少し考えてから口を開いた。

 

「………分かりました。リサーナ、皆様をあそこへ。」

「………はい。」

 

院長に言われ、リサーナは草介たちを連れて部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、大丈夫でありますか………?」

「あ゛ー………ダメだ………起きるのもツラい………」

「隊長………」

「これはダメそう。」

 

同じ頃、顔を青くしたデュランは、礼拝堂の長椅子で横になってアルスに介抱されていた。横で見ていたフェイやレピオは、デュランの様子を心配と困惑、それに呆れが混ざった表情で見ていた。

 

「………」

「?」

 

ふと、フェイは気が付いた。デュランが青い顔で寝た姿勢ながらも真剣な眼差しで礼拝堂の床や壁、ステンドグラスを見まわしていたのだ。

 

「どうかしたの?」

「い、いや………ちょっと、ゔぅ…違和感というか………気になる事があってな………」

「え?」

 

フェイがデュランに聞こうとしたその時、トッタたち3人が礼拝堂の方にやって来た。

 

「オイオイ、大丈夫かよその兄ちゃん………」

「あれ、君らどうしたの?」

「大人で話し合うってさ。」

「ゔあー………」

 

トッタたちが説明するが、デュランが気持ち悪そうなうめき声を上げたのを聞いたハバキリが、彼らに頼んだ。

 

「すまぬが、水を持ってきてござらぬか?」

「あ、うん。」

「私が持ってくるねー」

 

スッタが返事をすると、キッチンの方に速足で駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

草介たちが案内されたのは、1階の隅にある少し狭い物置であった。

 

「こんな部屋に、何が………?」

「いえ、この部屋は『入口』なんです。」

「入口………」

(つまり、この件には隠してあるものが関係しているって訳か………)

 

リサーナの話を聞いたロンが内心考えていると、リサーナはドアを閉めて、しっかりと鍵をかけて、窓がきちんと閉まっているか確認し、カーテンをとじた。

 

「部屋の中央から、離れてください。」

 

リサーナはそう言うと、立てかけてあった掃除用具をどかして奥にある壁を震える手で触れたかと思うと、何やら小声で古代エルフ語とは少し違う言葉をぶつぶつと言う。すると、部屋の中央の床が静かに左右に開いて、地下に続く螺旋階段が顔を見せた。

 

「これは………!?」

「この下です。着いて来てください。足元に気を付けて。」

 

リサーナはそう促すと、懐から小さな杖を出して“トーチライト”で明かりを灯すと、階段を降り始めた。草介たちは少し戸惑ったものの、彼女の後に続いて階段を降り始めた。

 

「この階段、どこまで続いているんだ……?」

「結構深いアル……」

 

階段を降りながら草介とレイェンが呟く。螺旋階段をしばらく降りると、地上から大体50m程だろうか、一番下の方から青い光が漏れているのが見えた。

 

「何だ、あの光………?」

「あれが、この修道院の隠された『役割』です。」

「役割?」

 

草介が聞き返すと、ちょうど階段の一番下まで辿り着いた。

辿り着いた先の広めの空間、その中央には、168cmの草介よりも少しだけ大きな、青く光る半透明の結晶が浮かんでいた。

 

「これって………!?」

「魔力結晶だべ………!!」

「何でこんなものが………!?」

 

魔力結晶の光と大きさに草介たちが圧倒されていると、リサーナが神妙な面持ちで口を開いた。

 

「あれは、この街を守る魔力障壁の要となる、5つの魔力結晶の1つです。」

「魔力障壁だって?」

「そうか、この街は軍事工場も多いカマリサの重要地点だ。それで城壁だけではなく、魔力障壁まであるのか………」

 

リサーナの説明を聞いたロンが納得のいった様子で言うと、リサーナは頷いた。

 

「この教会は、定期的にこの魔力結晶に魔力を込める役割を担っています。これまでは院長が魔力を込めていたのですが、肺の病で倒れてしまいまして………現在は、私が代理で込めていました。」

 

しかし、と、リサーナは表情を暗くさせて話を続けた。

 

「しかしここ数日、北の城壁の辺りをほぼ毎晩、それはもう、「赤ちゃんの夜泣きじゃねーんだぞ」ってくらい、何者かが重点的に攻撃をしてきていまして………その影響で、ここの魔力結晶の魔力の消耗が激しく………そのせいで、私もほぼ毎日魔力を込めていて………」

「そ、そうだったのか………」

「それで、そんな疲れてたべか………」

 

暗~い表情で薄ら笑いを浮かべながら言うリサーナに、草介とシャスティが若干引きながらも同情する。連日の魔力注入で、体力と魔力が回復しきれていないのだろう。そこで、レイェンがリサーナに聞いた。

 

「だけど、これだけの重要な拠点なら、街のお偉いさんに言えば助けてくれると違うアルか?」

 

レイェンが素朴な疑問をリサーナにぶつける。しかしリサーナは首を横に振った。

 

「街の長や、国の魔導師連盟には話をしました。しかし、今は魔王軍の侵略に備えていて魔導師を派遣できないと……魔導師の派遣や装備には、お金がかかるのもあるらしく………一応、北側の警備を増やしてくれることにはなりましたが………」

「世知辛いネ~………」

 

レイェンが苦い顔をしながら言う。しかし、これでこの修道院の現状は分かった。

 

「しかし、北の城壁を重点的に、ってことは………」

「この街を襲おうって魂胆の奴ら……十中八九、魔王軍の仕業って考えられるな………」

「現状、魔力結晶の魔力は十分ではあります。これ以上込めたら、魔力に耐えられなくなって損壊する恐れがあります。しかし、次に大きなダメージを受ければ、魔力は空になってしまうでしょう………」

「奴らの狙いはそれだな。」

 

話を聞いていたロンが、口を開いた。

 

「おそらくは、院長の病気を知って、ここを狙えば障壁を敗れると踏んだのだろう。夜にこっそりやってるのは、バレにくくするため、ってところだね。」

「なるほどネ………」

 

ロンの推測に、草介やレイェンが納得して頷く。シャスティが、おそるおそるといった感じで口を開いた。

 

「そ、そんじゃあ………もし次に襲撃してくるとしたら………」

「今夜だな。」

 

草介がそう言うと、一同は目線を合わせて頷き合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういう事だったか………」

 

地上に戻った一同は、院長の許可のもと。リサーナと共にニールたちに事の次第を伝えた。トッタたち3人は、レイェンたちトライヤーズと共に庭に出されていた。たとえこの修道院に住んでいるとはいえ、要の事は彼らには明かせなかった。

 

「そうか、それでだったのか………」

「何?」

「何の話?」

 

話を聞いたカールたち3人はハッとした顔になった。草介が聞くと、フェイが答える。

 

「デュランが言っていた。手入れされているとはいえ外観はボロボロなのに、礼拝堂の長椅子のいくつかと演台が新品で、最近新しく買い替えられた形跡があったって。それに床や壁、ステンドグラスを何回か綺麗に修復した跡も見えたって。」

「ここが修道院である以上、寄付やお布施は当然あるだろうが、とてもそれだけで賄える範疇とは思えない。それ以外で『出所不明の資金』がここにはある、と私たちも考えていたが………」

「なるほど。街の重要拠点なら、それだけの予算がもらえるってワケね。」

「あんな状態なのに、すごい観察眼ですね………」

 

フェイに次いでニールと草介も口に出す。リサーナは驚いた顔になっていたが、ロンたちは納得をしていた。賑やかな声が聞こえて庭を見てみれば、レイェンが拳法の型を実演しており、それをトッタたち3人が見様見真似で真似をしていたが、ギッタがバランスを崩して尻餅をついたところであった。

 

「………あの子たち、戦争や工場での事故で親御さんを亡くしているんです。」

「え?」

「私も、親の事で色々と苦労しましたから……彼らの気持ちが、分かるんです。」

「もちろん、この街の人もそうですが、あの子たちを守りたい一心で、ここまでやってきたのですが………」

「リサーナさん………」

 

トッタたちの方を見つめながら、リサーナは呟いた。それを聞いて、草介たちは少ししんみりとした気持ちになった。リサーナは振り返ると、少しぎこちないながらも笑みを浮かべた。

 

「すみません、湿っぽい話をしてしまって。」

「いや……こちらこそ、すまないな……」

 

リサーナの謝罪にニールがそう返すと、草介たちに顔を向けた。

 

「とにかく、今夜に向けて全員備えるとしよう。」

「ああ……」

 

ニールの言葉に、草介たちは頷いて答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、街の北側、城壁の外の茂みに隠れていたらしき5,6つの人影が出てきた。城壁を見てみると、何度も攻撃を受けたのか所々に最近ついたらしい傷や焼け焦げた跡が確認出来た。人影たちは顔を見合わせると頷き合い、手にした小型のバズーカ砲や鍵爪等を構えて、壁に向かい始めた。

 

「―――やはり現れたな………」

『『『!?』』』

 

しかしその時、人影の目の前に5人の人物が現れた。ニールを筆頭に、トライヤーズと草介、そしてロンとフェイたちであった。人影、頭部に狼の顔のようなペイントを施された黒いボディのウルフロイドたちは目の前のニールたちを赤く光るカメラアイで草介たちを睨むと、手に持った武器を構えた。

 

『先手必勝ダ!!』

「同意だ!!」

 

先頭に立っていたウルフロイドはそう言って、他の1体と共にバズーカ砲で草介たちを狙う!しかし、引き金が退かれるよりも先に、ニールが手にしたマシンガンをウルフロイドたちに向けて発砲!他のドロイドが避ける中、バズーカを構えた2体は無数の弾丸を受けて機能を停止させて地面に伏した!

 

「おらぁッ!!」

「ぬん!!」

「うおりゃああッ!!」

「アチョーッ!!」

『『『『!?』』』』

 

残ったウルフロイドたちは着地をして体制を立て直そうとしたが、それよりも先に草介、ハバキリ、レピオ、レイェンが飛び出して、ウルフロイドたち3体をそれぞれ斬り捨て殴り飛ばし、地面に倒れた!

 

「とりあえず、ここにいるのはこんだけか………」

「みたいだな………」

 

ウルフロイドが機能停止になったのを確認した草介がため息を1つついて言う。

 

草介たちは院長やリサーナの話から襲撃してくる時間帯を聞き、夜襲を待ち構えていたのだ。

シャスティは地下の魔力結晶に魔力を供給するため、カールとドラムには念のため護衛として残ってもらい、リサーナたちと未だ二日酔いから回復しないデュランを守ってもらっている。

 

「こいつら、モルホン基地に出てきたウルフロイドだよな?てことは、ウルフが主犯ってことか?」

「奴は、マカロンティーヌちゃんの破壊を目的としていた。この街の襲撃は、その作戦の一環と考えていいだろう。」

「ナルホド、部品の供給を断とうって魂胆アルね~」

 

ニールの推測を聞いたレイェンが、手にした棍棒で自身の肩をトントン叩きながら言った。

 

「前に比べて、強くないように思えたが………」

「以前は、ウルフという司令塔がいた。司令塔不在で、本来の力が発揮できていないように見えた。」

「ま、司令塔不在はこっちも同じだがな………」

 

戦いを見ていたロンが感想を呟くと、フェイが自分なりに分析して答える。草介も肩を落として呟いていると、レピオが手を叩いて口を開いた。

 

「とにかく、油断は禁物だ。襲撃はこいつらだけじゃないだろうよ。」

「うむ。こやつらがやられたのは、連中も気づいている頃でござろう。」

「念のため、バトルトレインをこの付近に移動させておこう。」

 

レピオの推測を聞いて、ニールはGPデバイスを操作しはじめた。

 

「やっぱり来ていたわね、あんたたち………」

「「「「「!?」」」」」

 

その時、一同に向けて声をかける者がいた。振り返って見れば、草介にとっては見覚えのある赤髪の少女がいつの間にか立っていた。

 

「お前は!?」

「誰だ?」

 

草介とニールがキアラの登場に驚く。一方、キアラと面識のないトライヤーズやロンは、怪訝な顔をしていた。それに気づいたのか、キアラは少し姿勢を正した。

 

「あら、初めましての人の方が多いみたいね?自己紹介させてもらうわ。私はレイヴン魔帝国魔王・ダインズ・レイヴンが娘、キアラ・レイヴンよ。以後お見知りおきを。」

「何だと!?」

「魔王軍の姫が自ら……!?」

「いや、うちのフローレント様もけっこう前線出てるから、お互い様。」

「それもそうネ………」

 

自己紹介をしてきたキアラに対して、その身分を聞いたレピオやハバキリが驚きの顔となる。一方でフェイは、冷静にツッコミを入れた。すると、キアラの後ろからゴブリンとオーク、青と緑の双子が顔を出した。

 

「キアラちゃんさー、自己紹介とかよくない?」

「あ、アイツら!!」

「何を言っているのよ?たとえこれが最初で最後の出会いであっても、無礼を働いていい理由にはならないわ。」

「あー、はいはい。」

「あれ、今日はブレイバーいないのか?」

 

キアラとポーラがそんなやり取りをしていると、シャークがデュランの姿がない事に気が付くと、レピオがそれに答えた。

 

「隊長なら、体調不良で欠席だ。………いや、ダジャレじゃないぞ?」

「えー、アイツいないの?」

「フローレントは?」

「今回は、公務で来てない。」

「えー、フローレントいないの?」

「露骨に不満そうでござるな………」

「ダジャレじゃないからな?」

 

デュランとフローレントの不在を知り、あからさまに残念そうな顔で不満を漏らすキアラとポーラ。ハバキリはそれを見て、呆れた顔になっていた。念押しするレピオはスルーされた。

 

「まあ、俺はお前に用事があるけどな。」

「何?私、アンタみたいなのはタイプじゃないんだけど?」

「俺もお前はタイプじゃねーよ。その『聖なる石』を返してもらわないといけないからな。」

 

草介がポーラに言うが、ポーラは不機嫌そうに返した。

 

「ま、ブレイバーがいないなら好都合だ。」

 

その時、キアラたちの後ろから、赤いジャケットを着て赤とオレンジの混じった短髪の、軽薄な印象の青年が姿を現した。新手の出現に草介たちは剣を構えるが、しかし、その青年が猛獣を思わせる金色の瞳でこちらを睨んだ瞬間、背筋に氷をいくつも詰め込まれたような冷たい感覚が走った。

 

「ッ………!?」

「な、何だ、アイツは………!?」

 

青年の異様な雰囲気に呑まれそうになり、思わず1歩後退ってしまう。青年はそれに気が付いたのか、わざとらしく丁寧にお辞儀をしてみせた。

 

「これから死ぬ連中にも礼節を、ってのが、ルールらしいからな。初めましてGPの皆々様に勇者クン、それとこの星の原住民諸君。俺は炎のティラノ。ワルンダイツの一員にして、六魔獣将の総大将だ。」

「総大将………」

「要は、6人の中のリーダーって訳か………!!」

 

ティラノは草介たちをどこか見下したかのように名乗ると、草介たちはそれ程の者と知って身構えた。しかし、ティラノは不敵な笑みを浮かべた。

 

「悪いが、お前らに構ってる暇はないんでね。シャーク、ポーラ、さっさとおっぱじめるぞ!」

「はいはい。」

「初っ端から巨大化って、負けフラグじゃね?」

 

ティラノの指示に、ポーラとシャークは面倒くさそうに答える。ティラノはキアラの方に視線を移した。

 

「お姫様も、頼んだよ?」

「分かってるわよ。行くわよカラ、ボルグ!」

「はい!」「ダス!」

 

キアラはカラとボルグと共に茂みの方に駆け込むと、ティラノたち3人は手を掲げて「パチンッ」と指を鳴らした。すると、遠くの方から黒いエネルギーの道が現れて連結されたシャークライナーとポーラライナーが走って来た。更に、遠くの方から甲高いサイレンの音が聞こえてきたかと思うと、赤い警光灯を光らせながら、赤いボディの梯子消防車が走ってきた!

 

「しょ、消防車!?」

 

草介は消防車に驚くが、そのボンネットにワルンダイツのエンブレムが刻まれているのを確認して、それがティラノのビーストメイルであると瞬時に察した。

 

「「「フュージョイン!!」」」

『チェンジ!シャークダイト!』

『チェンジ!ポーラダイト!』

 

ティラノたちは飛び上がるとそれぞれがマシンと一体化、シャークライナーとポーラライナーは瞬時に変形をした!

 

『チェンジ!』

 

次いで、消防車からティラノの声が響くと、車体の後部側面がパネルとなって前方に反転し鋭い爪を持った両腕が出現、後部が変形して逆関節の両足となって地面を踏みしめ、更に運転席辺りがグルンと反転すると鋭い牙を持った恐竜の頭部が出現、車体の梯子が反転して大きな尻尾となった!

 

 

 

 

 

炎魔獣将(えんまじゅうしょう)!ティラノダイト!!』

 

 

 

 

 

赤いボディのティラノダイトが、地面を踏みしめて咆哮を上げた!その瞬間、周囲を燃え上がるような熱気が走り、草介たちは顔を歪めた!

 

「な、何だあれは!?」

「ティラノサウルス………俺のいた世界で、大昔にいた「恐竜」って生き物だ!」

「キョウリュウ………!?」

 

草介が説明をすると、ロンとフェイはティラノダイトを見上げた。シンナセンでは竜、ドラゴンの存在は確認されてはいるが、ロンたちは一度もそれを目にした事はない。それでも、シンナセンに存在したかどうか不明の恐竜を模したビーストメイルを前に、2人は圧巻されていた。

でも、と、草介はティラノダイトを改めて見上げた。ティラノダイトは、真っ直ぐに直立した姿勢で立って、こちらを見下ろしていた。

 

「ティラノサウルスって、そんな風にまっすぐにじゃなくて、前に傾いた姿勢じゃないのか?」

『え?そうなの?』

 

草介の指摘にティラノダイトがキョトンとした様子で聞いてきた。

 

「30年くらい前まではそういう直立姿勢の予想だったらしいけど………」

『今って、そうなんだ………』

『ビーストメイル作る時のデータが、古かったんじゃない?』

『うーん、帰ったら改修できないか相談してみようかな………』

 

ティラノとポーラが、どこか暢気に話し合う。

そもそも、ビーストメイルが地球の動物がモチーフである事もよく考えたらおかしいことだな、と草介が考えていたその時、周囲の木々が折れて倒れる大きな音が聞こえてきたかと思うと、巨大なカニのような機怪魔獣がそこに立っていた!

 

「機怪魔獣か!?」

『このカルキザースD3で相手よ!』

「さっきの姫か!?」

 

目に当たるカメラアイを青く光らせるカルキザースから聞こえてきた声にロンが反応する。その時、遠くから汽笛が聞こえてくると、バトルトレインがこちらに向けて走ってくるのが見えた。

 

「来たか!全員、マシンメイルにフュージョインするんだ!ソウスケたちは離れていてくれ!」

「「「了解!!」」」

「頼むぞ!」

 

ニールの指示を聞いたトライヤーズが返事をすると、バトルトレインが連結を解除、キャリアからフェニックスジェット、トータスドリル、タイガーアクアが射出されると、それぞれのマシンに向けて驚異的な跳躍力で飛び乗った。

 

「「「フュージョイン!!」」」

 

ニール、ハバキリ、レピオはそれぞれのマシンに飛び乗ってフュージョインを果たす。レイェンもタイガーアクアの上に飛び乗ると、右拳を左掌に当てた、中国拳法の『抱拳礼』に似た構えを取った。

 

「フュージョイン!!」

 

掛け声と共に、レイェンはタイガーアクアとフュージョインを行った!

 

轉換(ジュアンホワン)!!』

 

タイガーアクアから声が発せられると、タイガーアクアの機首部分が射出され、起き上がって左右のスクリューが前後に分離、機体の前半分が左右に開いて大きな肩アーマーとなって両腕が飛び出し、後ろ半分が反転するように変形して両脚となって着地をすると、機首が反転するように虎の顔に変形して、右肩と合体した!

 

『深海格闘士!トライタイガー!!』

 

トライタイガーがビャッコロッドを構えて名乗りを上げると、同じくチェンジを果たしたトライフェニックス、トライトータス、バトルパンサーも並び立ち、3体のビーストメイルと1体の機怪魔獣と睨み合った!

 

『ティラノダイトは任せろ!』

『御意!』

 

バトルパンサーが指示を出すと、トライフェニックスはシャークダイトに、トライトータスはポーラダイトに、そして、トライタイガーはカルキザースD3に向かっていく。

トライフェニックスのスザク丸とシャークダイトの吻が鍔迫り合いをして火花が散り、ポーラダイトとトライトータスが手四つで力比べに挑む。

 

『はぁああッ!!』

『来い、スペースパンサー!!』

 

ガングパンサーを手にしたバトルパンサーがティラノダイトに向けて駆け出す。ティラノダイトは尻尾になったラダーを振るうと、尻尾が伸びてバトルパンサーに迫った!

 

『ラダーテール!』

『!?グッ………!』

 

バトルパンサーは咄嗟にガングパンサーで防御するが、その威力に100m以上横に吹き飛ばされてしまった!

 

「バトルパンサー!!」

『だ、大丈夫だ………流石は総大将、といったところか…………!』

 

ロンの悲痛な叫びに対して、起き上がったバトルパンサーが何とか答える。

 

『ハイハイハイハイハイーーーッ!!』

「く、この………!」

 

一方で、キアラの駆るカルキザースと戦闘するトライタイガー。カルキザースは自慢の両腕のハサミを振るい連続で斬りかかってくるが、トライタイガーはビャッコロッドを巧みに振るって相手の攻撃を防ぎ、隙を見てはビャッコロッドを振り回して反撃していた。

 

『むぅ、このカニさん、甲羅が堅くてビャッコロッドじゃ大したダメージにならないアル………!』

「よく言うわよ、こっちの攻撃一切受けてない癖に………」

 

少し余裕そうに言うトライタイガーに対して、キアラはカルキザースの攻撃をすべていなすトライタイガーに内心冷や汗を流していた。コンソールの辺りに設置されたゴーレムコアがランプを規則的に光らせる中、キアラは周囲に視線を配っていた。

 

「す、すごい戦いだな………」

「私たちが入り込む余地もない………」

 

4極の戦いを見ていたロンとフェイが、呆然とした様子で呟く。草介も同様に見ていた前でシャークダイトがトライフェニックスに何度も突進を仕掛けて吻で斬りかかってくるが、トライフェニックスはスザク丸で受け流す。

トライトータスはポーラダイトが鋭い爪で連続で引っ掻いて来るのをキッコウシールドで防御しつつゲンブアックスを振るうが、ポーラダイトはそれを回避する工房が続いていた。

ティラノダイトはバトルパンサーの銃撃をものともせずに接近し、大きな口を開いて噛みつきを仕掛けてくる。バトルパンサーはそれを回避しつつ、ガングパンサーで突つく。

しかし、ここで草介はある事に気が付いた。

 

「………ちょっと待て、どういう事だ?」

「え?」

「どういう事って、どういう事だ?」

「この間のウルフダイトと同じように、ビーストメイルは特殊能力が搭載されている。あいつらは、それを一切使っていない………」

「何!?」

 

草介の指摘を受けたロンとフェイは、改めてビーストメイルを見た。いずれも接近戦をしかけており、氷や水といった属性攻撃をしてくる気配がない。草介は咄嗟に腕のGPウォッチで4人に通信を入れた。

 

「みんな、気を着けろ!こいつらビーストメイル特有の特殊能力を使ってない!何かおかしい!」

『何!?』『そういえば………?』

 

草介の通信に一同は驚くが、問い詰めるよりも先に先ほどカルキザースが出現したあたりから少し離れた地点の木々が倒れて、別の機怪魔獣が姿を現した!

 

『何!?』

『新手!?』

 

その機怪魔獣は、一言で言い表すならば「馬の頭」だった。馬の頭の首のあたりから直接4本脚が生えたような奇妙なフォルムをしており、巨大な一本角がその額に当たる部分から後頭部にかけて貫くように生えていた。

 

「十分引き付けたわ!そっちは頼むわよ!」

「御意!」

 

カルキザース内のキアラが新手の機怪魔獣に向けて叫ぶ。機怪魔獣内でカラが返答をすると、操縦桿を握るボルグが機器を操作しながらぼやいた。

 

「連中を引き付けてから、このパイルコーンC1で城壁を攻撃する………いくら姫様の発案でも、大分危険な作戦ダスな………」

「だが、効果は絶大だ。行くぞ!」

「ダス!」

 

ボルグが操縦桿を勢いよく倒すと、パイルコーンは城壁に狙いを定めた。

 

『しまった!?』

『マズい、早くあいつを………!』

『させねぇよ!』

 

トライフェニックスとトライトータスはパイルコーンを見て向かおうとしたが、それをシャークダイトとポーラダイトが噛みついてそれを阻んで来た!

 

『ぐあッ!?』『こいつら!?』

『2人とも!?』

 

バトルパンサーが止められる2機に向かおうとしたが、そこにティラノダイトはラダーテールを上から叩きつけると、そのまま抑え込んでしまう!カルキザースもトライタイガーのビャッコロッドを両腕のハサミで掴んでしまい、動きを封じてしまった!

 

『な、何と!?』

 

トライタイガーが困惑する中、パイルコーンは城壁に向かって突進した!

 

「マズい!2人とも避けろ!」

 

ロンが叫ぶと、草介とフェイはハッとしてその場から飛び退く。その直後、パイルコーンの角は城壁に突き刺さり、周囲に衝撃が走った!

 

「うわ!?」

 

草介が衝撃に身を屈める。パイルコーンの角が突き刺さったものの城壁には大したダメージを負ったようには見えなかったが、城壁の上部から光る魔力障壁がドーム状に展開するのが見えた。

 

「パイルバンカー、点火!」

 

カラが宣言と同時に引き金を引くと、パイルコーンの角の後方で火薬が点火、爆発音と共に突き刺さった角が『杭』のように高速で撃ちこまれ、城壁と魔力障壁がその衝撃で大きく揺らいだ!

 

「ま、マズい!今のを何度もやられたら、魔力障壁が持たないぞ!?」

「何とかしないと………!?」

『くッ………!?』

 

草介たちが慌てる中、カルキザースに捕らわれたトライタイガーは苦い顔で睨んだ。

 

 

 

 

 

【つづく】




マギー院長の名前は、マギー・スミスさんから拝借。自分の中でシスターと言えば「天使にラブ・ソングを…」のイメージが意外と強かったので。.

あんなべろんべろんな状態なのに洞察力スゴイデュランは流石ってことで。デュランは敏腕刑事のイメージで書いてますが、トライヤーズは交番のお巡りさんのイメージで書いてます。今回のレイェンはまんまですね。

重要拠点防衛戦。ウルフロイド再登場ですが、あんまり活躍できず。

ティラノダイトが一昔前の直立姿勢なのは、変形の都合+昔の文化保存的な感じです。変形は『マイトガイン』のファイアダイバーを参考にしました。

カルキザースD3登場。元ネタはギリシャ神話に登場するカルキノスという巨大な蟹。パイルコーンC1は分かりやすいので割愛。
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