異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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第26話 薄幸少女と宇宙侍

異世界勇者ロボ 第26話

薄幸少女と宇宙侍

 

 

 

 

 

翌朝、王都ロシロの正門前でキャブキーラ村への物資を運搬する馬車が数台待機していた。草介たちがロンたち馬車の一団と合流すると、フローが話しかけてきた。

 

「おはようみんな、今日はよろしくね。」

「おはようフロー、よろしくな!」

 

フローは草介たちと挨拶を交わすと、周囲をキョロキョロと見まわした。

 

「そういえば、デュランとレピオは?姿が見えないけれど………」

「ああ、2人なら「デュランカーを馬車と一緒に向かわせるための偽装をするから後で行く」って言ってたよ。出発までには間に合うって言ってたけど。」

「確かに、あの車が一緒だとかなり目立つもんね………」

 

草介の説明を聞いたフローとロンは、納得したように頷いた。馬車とスーパーカーが一緒に走っては、確かに目立ってしまう。護衛に支障をきたす可能性を考えての対策だろう。

 

「かっけぇのになぁ………」

 

シャスティがそう呟いていると、こちらに向かってくる音が聞こえてきた。振り返って見れば、1台の馬車がこちらにやって来るのが見えた。

 

「おう、お待たせー!」

「レピオ!」

「それが、偽装した馬車か………」

 

馬車から出てきたレピオに、草介が問いかける。

レピオの乗る馬車は、他の馬車に比べて車輪が低い位置にあるように見えたものの、それ以外は特に目立つ部分はなく荷台は幌で隠され、2頭の馬に引かれていた。

 

「ああ。車体の下側にデュランカーを隠して、上に2,3人は乗れるぜ。」

「この馬は………?」

 

レピオが説明をすると、ロンは馬を指差して尋ねる。草介もそれが気になっていたのか、馬を見ていた。

 

「確かに、デュランカーが動力なら、馬はいらないよな?」

「ああ、それはな………」

 

レピオはニヤリと笑みを浮かべると、手元のGPデバイスを操作した。すると、馬にノイズが走ったかと思うと、その姿を消してしまった!

 

「あ!?」

「流石に馬がないのは不自然だからな。リアリティホログラムで馬を出しておいたのさ!」

 

レピオが自慢げに言うと、馬車の上の方を指さした。そこには、小さな丸い機械が接続されていた。レピオが再度デバイスを操作すると、再度馬が出現した。

 

「その装置で、外の様子を捕えるカメラも兼ねているからね。これで運転も大丈夫だ。」

「あ、デュラン。」

 

馬車からデュランが出てきた。草介が中を覗くと馬車の床の一部が開いており、そこから出入りできるようだ。

 

「わざわざ上物を作ったのかよ。」

「ホログラムなら、馬車に変装できたと思うけど?」

「それだと、誰も乗らなかったら不自然だろ?」

「確かに……」

 

レピオの返答を聞いて、草介は納得をした。ちょうどその時、運搬班の兵士の1人がフローに声をかけてきた。

 

「姫様、そろそろ出発です。」

「ああ、分かった。みんな、よろしく頼むよ。」

「ああ。」「承知。」

 

フローは草介たちに出発を促すと、草介たちは馬車に乗り込み始めた。物資を運搬する馬車の一団は王都ロシロを出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャブキーラ村へ向かう道中、他の馬車がガタゴトと揺れる中、草介たちの乗る偽装馬車はそこまで揺れなく、徐行に近いスピードで最後尾を走っていた。

 

「流石に、揺れは少ないな。」

「この人数と偽装部分を乗せてこれだけ走れるんだから、大したもんだよなー」

「ま、オレが直々に偽装を作ったからなー」

「流石だな。」

 

草介が軽口を叩き合う。ふと、ハバキリが質問をしてきた。

 

「そういえば、今回のキャブキーラ村は竜神山の麓にあると聞いたが、その山は何故そのような名前が?」

「ああ、そのことか。」

 

ハバキリの問いにカールが反応をする。彼は自身のバッグを漁りながら話し始めた。

 

「私も以前、本で知ったのだが、どうやらその山にはその名の通り『竜神』と崇められるドラゴンが眠っているとされているそうだ。」

「竜神?」

「そうだ。お、これだこれ。」

 

カールは言いながら、バッグからそこそこ分厚い1冊の本を取り出した。

 

「このティルヴィ出版刊『ドラゴンの伝承から読み解く民俗学』によれば………」

「そんな本あるんだ?」

「ティルヴィ出版の本は、冒険者や騎士の必読書だよ?」

 

草介が思わず声を出すが、ロンはそんな草介に説明をした。カールが続けた。

 

 

 

 

 

【竜神山のお話】

むかしむかし、ある山に大きな火を吐く竜が住んでいました。

ある時、山の東側に村をつくった人々が竜の姿を見ると、竜の力強く大きな姿に恐ろしさよりも神々しさに感じ、竜を『竜神様』と呼んで、崇め祀りました。

ある時、山の西側に村をつくったリザードマンが竜の姿を見ると、竜の大きな姿と力強さに恐れをなして、竜を『竜神様』と呼んで、畏れました。

ある時、東の村の人と西の村のリザードマンは、お互いに竜神様を崇めていると知ると、争いが起きました。お互いに竜神様は自分たちの神様だと言って、譲らなかったのです。

争いを見た竜神様は、人とリザードマンの両方に向けて、口から炎を吐き出しました。驚く村の人々に向けて、竜神様は言いました。

「私はどちらの神にもなった覚えはない。勝手に神と呼ぶのはいいが、私に断りもなく奪い合うなど言語道断。私は山で眠りについて、これからはどちらの味方にもならない。」

そう言って、竜神様は山に籠ってしまいました。

それ以降、2つの村は互いに争う事も関わり合うこともなくなり、今でも竜神様は山で眠っているとされています。

 

 

 

 

 

パタン―――と、話し終えたカールが本を閉じる音が馬車に静かに落ちた。

 

「この話で言えるのは、人も魔族も身勝手な理由で争うなって事か………」

 

カールの説明を聞き終え、レピオはポツリと呟いた。

 

「一部の人間や魔族は、今でもこの竜神を信仰していてね。この村には当時の祭壇が残っているらしくて、時折この村に人間の巡礼者が訪れるそうだよ。」

「なるほど、その村はいわゆる『聖地』という訳でござるか。」

「それに、そんな伝承のある村なら、魔族も下手に手出しできないアル。」

 

キャブキーラ村の事情と難民キャンプに選ばれた理由を知って、ハバキリとレイェンが頷いた。

 

「竜神信仰の舞台の村、か………」

 

馬車から外の景色に視線を移した草介が、ポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都から馬車で3時間ほど、草介たちは竜神山東の麓に位置するキャブキーラ村に到着した。村民およそ200人の小さな村だが、リグーン王国からの難民の一団を快く受け入れてくれた村だ。村には家屋が40軒程度建っており、村の中央の広場には竜神を象った飾りが付いた石造りの祭壇が建てられていた。

 

「ようこそおいでくださいました、フローレント姫様。」

「ありがとう。」

 

キャブキーラ村の村長とフローが挨拶を交わす。運搬の兵士たちが物資を馬車から降ろしている中、草介たちが視線を移すと、村の一角に人が身を寄せ合っているのが見えた。老若男女問わず、皆、薄汚れてボロボロの服を着て、不安そうな顔でこちらを見ている。

 

「あれが、難民か……」

「みたいだな……」

 

草介とレピオは共に眉を顰めた。彼らの表情から、どれだけ辛い日々を過ごしてきたか、目に見えて分かるようだった。

彼らの姿を見て、フローの口からため息をこぼした。

 

「はぁ………」

「つらいよな、そりゃ………」

「そうだね。あの国とは何度か交流があったし、女王になったソラスって子とは面識があったし、私に剣の手ほどきをしてくれた人もいたからね………」

 

苦笑気味に草介に言うフロー。彼女の表情からは、複雑な心境が見て取れた。

 

「不安そうだな………」

「保護されているとはいえ、祖国を追われて見知らぬ土地に来ているからな。無理もない……」

「不安なのは、それだけじゃなさそうだけどな。」

 

草介とデュランが辛そうな面持ちで話していると、レピオが話に入ってくる。

2人がそちらを見ると、彼女は一点を睨んでいた。顎で指した先には、村の柵の向こう、森の木々の間からこちらの様子を見ている者たちが見えた。

全高2m前後、二足歩行の大きな人型のトカゲのような魔物、リザードマンたちであった。

 

「例のリザードマンか………」

「襲ってくる様子はなさそうっすね。」

「そうなんですよ。」

 

草介たちの話に村人らしき男性が眉をひそめて入ってきた。

 

「数日前から村の周囲をうろついていて、ああやってこっちを見てくるだけで何もしてこないんですよ。竜神様の件でお互いに干渉しないってしきたりではあるんですけど、不気味で仕方なくて………」

「何故見ているんです?」

「分かりません。聞こうとしてもすぐに逃げちゃうし、言葉も独特で通じないから………」

 

困惑した様子の村人の答えに、草介たちは顔を見合わせて肩を落とした。 リザードマンたちの方を見れば、両眼をカメレオンの様に別々の方向へキョロキョロとせわしなく動かしており、何かを探しているようにも見えた。

 

「どうする、デュラン?」

「オレたちの任務は護衛っスけど、このままほっとく訳にもいかないですよ?」

「そうだな………」

 

草介とレピオが聞くと、デュランは腕を組んで考え込んだ。すると、そんな様子を見たフローが話しかけてきた。

 

「みんな、物資の配給はこっちでやっておくから、リザードマンの事で調べたいなら、行ってきてもいいよ?」

「そうか?すまない。」

 

デュランがフローに礼を言うと、草介とレピオも頷いた。

 

「とは言ったものの………」

「どうやって調べようかね?」

「あちらに聞けないなら、村の人に聞こう。リザードマンがうろつき始めた頃に、変わったことがなかったか聞き込みをしてみよう。」

 

デュランの発案に、2人は頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人が村人に聞き込みを始めようとしていた頃、ハバキリは馬車の辺りで村のどこからでも見える緑が生い茂った標高およそ1200mの高い山、竜神山を見上げていた。

 

「あれが竜神山か………思ったよりも、緑が美しいでござるな…………」

 

その山の大きさと美しさに感嘆し、呟きが口から漏れた。森の木々から鳥が飛んでくる光景に見惚れていると、右手の方で大きな物音が聞こえてきた。

 

「きゃあ!?」

「む?」

 

そちらを見てみれば、運ばれていた物資の木箱が倒れ、頭巾を被った少女が中に入っていたらしい大量の果物に埋もれているのが見えた。

 

「大丈夫でござるか!?」

「あ、は、はい………」

「すみません、手を滑らせてしまって!」

「い、いえ……大丈夫ですので………」

 

ハバキリが駆け寄り、少女に手を貸して立ち上がらせる。

 

「な………!!」

 

少女が恐縮したように謝りながら立ち上がると、ハバキリは露わとなったその全身に一瞬固まってしまった。

 

見たところ、草介たちよりも年下だろうか。158cmのハバキリよりも少し低く、薄い栗色のロングヘアで切りそろえた前髪で目元を隠し、少し汚れたチュニックワンピースを着て、背中には小さめのリュックサックを背負っていた。

 

しかし、ハバキリの視線はその少女の胸にあった。ワンピースの上からでも分かる、手に収まらないほど大きく、年齢不相応にも見える豊満な胸が揺れる様に、目が釘付けとなってしまった。

 

「あ、あの……何か……?」

「え!?い、いや!すまぬ!」

「クララ!」

 

少女がキョトンとした表情でハバキリに声をかけると、我に返った彼女は慌てて視線を逸らした。その時、少女のものと思わしき名前を呼ぶ声がして振り向けば、黒っぽい茶髪を夜会巻きにして、分厚い瓶底眼鏡をかけた女性がこちらに駆け寄ってきていた。

 

「あ、ロッティンさん………」

「1人で出歩かないよう、言っておいたでしょう?」

「ごめんなさい。でも、物資の配給の手伝いをした方がいいと思って………」

「気持ちは分かりますが、あなたは出歩くだけでケガして帰ってくるんだから!」

「ぇう………」

 

ロッティンというらしい女性が少女・クララに注意をすると、クララはシュンとした様子で謝罪をした。

 

「またあのクララって難民の子か………」

「あの子、出歩くたびに不幸な目に合って、ツイてないよな………」

「ロッティンさんも、他の難民まとめたりして忙しそうなのに、大変だよな………」

 

後ろから村人たちの呆れたような会話が聞こえてきた。しかし、ハバキリは表情が固いまま、クララを見ていた。

 

「あ、拾うの手伝います。」

「そ、そうか………?」

 

クララがそう申し出ると、兵士は戸惑いながらも一緒に散らばった果物を拾い始めようとした。しかし、落ちていた果物に足を取られ、クララが転びそうになってしまった。

 

「きゃあ!?」

「ッ!危ない!」

 

クララの悲鳴にハバキリは正気に戻ると、咄嗟に飛び出そうとした。しかし、ハバキリ自身も足元の果物に気付かず足を滑らせて転びそうになり、2人は頭をぶつけあってそのまま倒れ込んでしまった。

 

「ぐぇっ!?」「あぐぅっ!?」

「クララ!?」

「お、おい!大丈夫か!?」

 

頭をぶつけたハバキリとクララは頭を押さえてその場にうずくまった。その様子にロッティンが駆け寄り、兵士も慌てて2人に駆け寄った。ハバキリは仰向けに倒れて目を回し、クララはそれに重なるように倒れていた。

 

「!?あ、あの、大丈夫ですか!?」

「きゅぅ~………」

 

起き上がったクララがハバキリを揺さぶるが、彼女は目を回して気絶していた。

 

「あゎわ………ご、ごめんなさい~~~」

「と、とにかく、すぐに介抱を……」

 

クララが慌てて謝る中、ロッティンがハバキリを抱えて運び出そうとしていた。

 

「何やってんだ、ハバキリのヤツ………」

「アタシらも、行った方が良さそうネ。」

「そだな。」

 

そんな一連の騒動を遠くから見ていたレピオとレイェンは、速足でハバキリの元へ向かった。

 

 

 

 

 

「グゥ………」

 

 

 

 

 

―――この時、クララの背負っていたリュックサックが僅かに動いていた事を、背負っているクララ以外、誰も気づいていなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことがあったのか………」

「大丈夫か、ハバキリ?」

 

十数分後、聞き込みをしていた草介とデュランはレピオから事情を聴いて、難民たちの使っている小屋の1つに来ていた。申し訳なさそうなクララと呆れた様子のロッティンに介抱されて起き上がったハバキリの姿を見て、草介は呆れと心配の混じった表情で聞いた。

 

「………大丈夫でござる。心配をかけたでござる……」

「しかし珍しいな、ハバキリにしてはどんくさいっつーか………」

「いつもなら、足元の不注意なんてしないネ?」

「う、うむ………」

 

気恥ずかしそうに少し俯くハバキリに対して、レピオとレイェンが聞くと、彼女は気まずそうに頷くだけであった。2人が不思議そうに小首を傾げていると、そこでクララが頭を深く下げてきた。

 

「あ、あの!さっきは本当にすみませんでした!」

「い、いや、そんな………」

 

頭を下げるクララに対して、ハバキリが逆に申し訳なさそうに言う。ロッティンがため息をつくと、クララは顔を上げて話し始めた。

 

「私、なんていうか、不幸体質で………外に出れば鳥に糞を頭に落とされて、道を歩けば野良犬に噛まれて、木陰で休めば猫に引っかかれるくらいには………」

「それは………」

「ついてなさすぎアル………」

「難儀でござるな……」

 

俯き気味にクララが話す不幸体質ぶりにレピオたち3人は苦笑し、ハバキリも同情した様子で呟いた。

 

「こっちに来てからも、さっきみたいに転んだり鳥に糞を落とされたりして………しょっちゅう怪我をするから、治癒魔法が上達したのは唯一良かった事なんですけどね………」

「文字通り『怪我の功名』ってヤツか………」

「他の人に比べて服がボロボロなのって、それでか………」

 

自嘲気味に笑うクララに対して、草介とデュランが顔を引きつらせながら呟いた。ふと、ロッティンがため息を1つつくと、クララに話しかけた。

 

「でも、あなたの治癒魔法で何人も怪我を治してもらっているから、とても助かっているのよ?」

「ロッティンさん……」

「でも、それ以上に不幸体質でドジして怪我するから、あまり動かないでね?」

「あ、はい………」

 

ロッティンが仏頂面のままそう言うと、クララは項垂れながら頷いた。そんな2人のやり取りをハバキリたちは呆れとも取れない顔で見ていた。

 

「それにしてもハバキリ、さっきは本当にどうしたんだ?」

「え、あ、いや………それは………不意を突かれただけにござる!」

 

レピオが改めてハバキリに聞くが、当の本人は顔を赤らめて視線をそらしてバツが悪そうに言い訳をしていた。クララとロッティンは不思議そうに首を傾げるが、レピオとレイェンは何か察したのか、呆れたように口角を上げた。

 

「ん?」

 

一方、デュランはこちらに集まる複数の視線を感じ取って、そちらに顔を向けた。すると、少し離れた所からこちらの様子をうかがっている数人の難民が見えた。

 

(なんだ、あの難民たち?こちらの様子を探るように見てきて……)

「デュラン、どうした?」

「いや……」

 

草介に少し戸惑いつつ答えると、草介も視線に気づいたのかそちらを見た。まるでこちらを監視するかのようなその視線に妙な心地の悪さにデュランが顔をしかめていると、草介も怪訝そうに眉を顰めた。草介が問いただそうとしようとしたその時、遠くの方からけたたましい警鐘の音が聞こえてきた。

 

「な、なんだ!?」

「警鐘………何があったんだ!?」

 

草介が驚きの声を上げると、デュランも警戒態勢になった。外に飛び出すと、難民たちが怯え叫びながら逃げ惑って、村人が避難を呼びかけていた。

 

「魔王軍だ!」「逃げろ!」

「魔王軍だと!?」

 

逃げ惑う難民たちの叫び声を聞いたデュランが周囲を見渡すと、遠くの方からこちらに歩いてくるモスグリーンの機怪魔獣、ランダートが3体姿を現した!

 

「あれは………!?」

「ランダート!?けど、少し色が違うような………?」

 

ランダートの姿を見た草介が通常と異なるカラーリングに気付いて疑問を口にする。それを見て、デュランが叫んだ。

 

「ランダートF2、通常のG3と異なる高機動モデルか!」

「ただの色違いじゃないってことか………!」

 

草介は納得をするが、周囲の難民たちはランダートの姿を見て必要以上に怯えているように見えた。

 

「うわあー!」「ひぃー!」

「この怯えようは………!?」

「機怪魔獣への恐怖心か………!?」

 

その様を見た草介たちは、彼らが機怪魔獣によってリグーン王国を追われてここまで逃げ延びてきていたのを思い出した。それゆえに、機怪魔獣への深いトラウマが植え付けられていることは容易に想像できた。

 

「デュラン、どうする!?」

「とにかく、まずは避難を優先だ!機怪魔獣は私に任せろ!」

「わかった!」

 

草介が聞くと、デュランはランダートたちに向かって駆け出した。ハバキリたちは草介と共に、パニックになっている難民たちを避難させ始めた。その間に、デュランはGPデバイスを操作した。

 

「デュランカー、発進!」

 

 

 

 

 

同じ頃、物資の配給をしていた村の中心でもランダートの姿が確認されて、パニックを起こした難民たちが恐怖し、逃げ惑っていた。

 

「きゃあああ!!」

「逃げろ!」

「待って!落ち着いて!」

 

パニックを起こす難民たちをフローやロンが必死に誘導して避難させていた。そんな時、馬車の1つが起き上がったかと思うと、その下から姿を現したデュランカーのエンジンがかかり、緑色の光に包まれると、流星の様に飛んで行った!

 

「デュランカーが………」

「姫様、あっちはデュランダーに任せましょう!」

「ああ………」

 

難民たちが飛んで行ったデュランカーにポカンと呆気に取られる中、フローとロンは飛んで行ったデュランカーを見送りながら頷き合った。

 

 

 

 

 

「来たか!」

 

その数刻後、デュランカーが飛来してきたのを視認したデュランは、飛び上がってそのボンネットに飛び乗ると、両腕を目の前で交差させた。

 

「フュージョイン!!」

 

掛け声と共にデュランカーとフュージョインすると同時に空中でデュランダーに変形した!

 

『チェンジ!デュランダー!!』

 

変形をしたデュランダーは、ランダートたちの前に立ちはだかった!

デュランダーの姿を見たランダートたちは手にした機関銃を向けると、容赦なく引き金を引いた。

 

『Dブレード!』

 

デュランダーはDブレードを引き抜いて銃弾を地面に撃ち落した!デュランダーにとって避ける事は容易いが、まだ避難している難民に当たっては元も子もないと判断しての行動であった。ランダートたちは機関銃から腰にマウントされた折り畳み式の棍棒に持ち替えると、デュランダーに襲い掛かってきた!

 

『くッ!』

 

デュランダーが2機のランダートの棍棒を咄嗟にDブレードで受け止めるが、それによって動きを封じられてしまい、残った1体は村に向かおうとした。デュランダーはそれに慌てるが、しかし、そのランダートはその場を動かず、なぜか村の方を見つめていた。

 

『?何だ………?』

 

デュランダーはランダートの、まるで何かを探しているかのようなその動きに、疑問を感じた。それでも放っておくわけにもいかず、デュランダーは鍔迫り合いのまま両腕のアームシューターを展開させて目の前の2機に向けてエネルギー弾を発射!ランダート2機の胸部で爆発が起きると、胸を抉られた状態でデュランダーから数歩離れて片膝をついた。

 

その時、村を見渡していたもう1機が何かを見つけたのか、一点を見つめて単眼の焦点を絞るように赤く収縮させた。デュランダーがその視線を追うと、その先にはトライヤーズに守られながら逃げるクララとロッティンの姿があり、ランダートはそちらに腕を伸ばし始めた。

 

『!危ない!!』

 

クララたちがランダートに気付いて足を止めて振り返る中、デュランダーはランダートの頭部を回し蹴りで吹き飛ばすと、その胴体を袈裟懸けに斬りつけて地面に倒す!

 

「デュランダー!」

『大丈夫か!!』

 

倒れたランダートの斬り傷から火花を散らす中、デュランダーは振り返ると、クララたちを不安にさせないために努めて優しい笑みを浮かべて、クララに呼びかけた。

 

「ッ………!?」

 

しかしクララは、逆光になって緑の光を放つデュランダーの巨大な姿を目の当たりにして、脳裏に記憶がよみがえってしまう。

 

 

 

 

 

燃え盛る街、炎に照らされる機怪魔獣の軍勢。

街を破壊しつくし、逃げ惑う人々を追い回し、魔族たちが人々を捕えていく。

自分も逃げる中、振り返れば暗闇の中で、赤い単眼がこちらを見下ろし睨みつけるように光っていた。

 

 

 

 

 

「ひっ!?来ないで!?い、いや!いやああああああああああ!!」

「クララ!?」

「クララどの!?」

 

その瞬間、クララは頭を抱え激しく左右に振り乱すと、パニックを起こしたようにその場から走り去っていってしまった。ロッティンが呼び止めるのも聞かず、クララは森の中へと姿を消してしまう。

 

「くっ………!」

「ハバキリ!」

「デュランダー、あの子は俺たちが!」

『す、すまん………!」

 

クララを追ってハバキリも駆け出し、草介はデュランダーに一言言ってからレピオとレイェンと共に追いかける。ロッティンは不安そうに追いかけようとしたが、しかし、難民たちとぶつかりそうになり、難民の避難をさせるべきと思い他の難民数名と顔を合わせて頷き合い、難民たちの誘導を始めた。

 

(迂闊だった………私の姿が、あの子の恐怖を呼び起こしたのか……!)

 

デュランダーはその様子に歯がゆい思いをしながらも、目の前で起き上がったランダートたちに向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃッ!イヤァ!?」

「クララどの!」

 

森のけもの道を、クララは泣き叫びながら走っていた。後ろから走るハバキリも呼びかけるが、クララはパニック状態のまま走り続ける。

 

「イヤァ!!来ないで!やだァ!!」

「お、落ち着くでござる!」

 

追いついたハバキリがクララを落ち着かせようと肩を掴むが、パニックに陥っているクララはハバキリの手を振り払おうと暴れた。その拍子にクララの前髪がめくれて、隠れていた両目が露わとなり、涙を流すその目―――右目が青、左目が緑のオッドアイを見たハバキリは一瞬、息を呑んだ。

 

(この目は………?)

「イヤ、イヤァ!」

「あっ………!」

 

その時、暴れるクララが足をもつれさせてバランスを崩してしまい、ハバキリを押し倒す形で倒れてしまった。

 

「おーい、ハバキリー?」

「大丈夫アルかー?」

「うう………ふえ?」

「むぐぅ………」

 

直後、ようやく追いついた草介たちが声をかけるが、3人が目にしたのは、仰向けに倒れたハバキリの顔にその豊満な胸を押し付けるように倒れるクララのあられもない姿であった。

 

「ふええ!?だ、大丈夫ですかぁ!?」

「はひぃ………♡」

 

突然の事態にパニックから落ち着いたらしいクララが前髪を直してハバキリに呼びかけるが、当のハバキリはどこか恍惚とした表情で頬を赤く染めていた。

 

「どんな状況だよ?」

「とりあえず、クララが落ち着いたみたいで良かったアル。」

「それはそうだな。ハバキリ起こして、村に………」

 

帰ろう、と言いかけた草介だが、そこでふと、周囲を見渡して冷や汗をかいた。

 

「………レピオ、帰り道分かるか?」

「え?あ………」

「お、追いかけるのに必死で………」

 

3人は気が付いた。クララを追って走り回った結果、完全に自分たちがどこにいるのか分からなくなってしまっていたのだ。

 

「ここ、どこですかぁ………?」

「ぅうむ……?」

 

起き上がったクララもそれに気が付いて震えた声になり、ハバキリはようやく正気に戻ったのか起き上がって周囲を見渡した。

 

「がっつり迷子だな、こりゃ………」

「ミスったアル………」

「ど、どうしよう………!」

「あ、慌てるでない………」

 

困惑する草介たちであったが、頭を振って冷静になったらしいハバキリが宥めた。

 

「隊長のGPデバイスの現在位置を探すのでござる。まだ村にいるはずでござる。」

「あ、そうか……」

 

ハバキリがGPデバイスを取り出してそう言うと、レピオが納得したように頷いた。

 

「やっといつものハバキリって感じだな………何だったんだ、今日のは?」

「う、うむ………すまぬ………」

 

草介が呆れたように言うが、ハバキリは恥ずかしそうにするだけであった。

 

「あー、それな。多分だけど………」

「ぐぎゅ~………」

「ん?」

 

レピオが何か言おうとしたその時、どこからか何かの鳴き声が聞こえてきた。

 

「ぎゅみゅ~」

 

声の出所はどこかと周囲を見渡していると、再度声が聞こえてきた。それを聞いて、クララがあっ、と声を上げた。

 

「ご、ごめんね………うるさかったし、揺れちゃったよね………」

 

草介たちが小首を傾げる中、クララは言いながら背負っていたリュックサックを下ろして中を開いた。

 

「ぎゃが!」

「「「!?」」」

 

すると、中から赤いトカゲのようなものがひょこっと顔を出し、宝石のような青い目でクララの方を見上げていた。

 

 

 

 

 

【つづく】




デュランカーの偽装。実はちょっとした仕掛けがあったりします。

どっかのライダーみたいに見てるリザードマンたち。普通に不気味で好き。

クララとロッティン登場。実はキアラより大きいですwハバキリの不調は次回。
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