異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

3 / 36
第2話 ともに行こうと、勇者は言った

異世界勇者ロボ 第2話

ともに行こうと、勇者は言った

 

 

 

 

 

ユーア村での戦いから数時間後、ズンケート平原に建てられたズンケート砦では、帰還したキアラ姫と従者のボルグとカラの3人は、通信用魔導装置で本国に連絡を取っていた。

 

[何?ユーア村の侵攻に失敗しただと?]

「は、はいお父様……とんだジャマが入りまして………」

 

通信装置の水晶には、キアラと同じ赤い髪にカイゼル髭、黒い大きな角を生やした男が映っていた。魔王軍のトップにしてキアラ姫の父、魔王ダインズ・レイヴンである。

 

[あのような小さな村1つの侵攻に失敗するとは……何があったのだ?]

「は、はい。突然現れた人間の1人が、機怪魔獣に似た機械の人型兵器に乗って、というか、一体化、憑依?のような事をして、あっという間にランダート隊と私のグランダートF2を撃墜されてしまいました………」

[機怪魔獣に似た人型兵器だと?人間どもが機怪魔獣への対抗手段を開発したなんて情報、聞いていないが………]

 

ダインズは娘からの報告を聞いて訝しんだ。キアラは少し申し訳なさそうにしていたが、通信相手のダインズは柔らかい口調で娘に話しかけた。

 

[………まあ、今回はお前にケガがなくて良かったよ。連中の目的は恐らく、その砦に囚われているフローレント姫だろう。姫の様子は?]

「今は牢屋で大人しくしています。話しかけても何も喋らないので、ちょっと心配になるほどです。」

[確かにそれは心配だな………]

 

キアラの報告を聞いて若干不安そうにするダインズ。後で人間共に恨まれても面倒だなと思いつつも、すぐに気持ちを切り替えた。

 

[そちらに援軍を送ってある。そろそろ着く頃と見て良いだろう。]

「援軍?」

[ああ、お前だけでも問題ないと思っていたが、念のためにと思ってな。その人間共の話を聞くかぎり、間違いではなかったようだ。]

 

ダインズは頷きながらそう言うと、キアラは首を傾げた。

 

[失った機怪魔獣の替えも送っておく。もし要望があれば聞くが?]

「そうですわね………」

 

キアラは少し考えると、ダインズにある事を頼んだ。

 

[―――なるほど、承知した。追加で送るよう手配しよう。]

「ありがとうございます、お父様。」

[なに、お前の頼みとあらばな。それにその国への侵攻に支障があってはならん。では、また連絡するぞ。]

 

ダインズはそう言うと通信を切り、水晶の画面が暗くなる。キアラは小さくため息を吐くと立ち上がった。

 

「はぁ、お父様の期待に添えるよう、頑張らないとね……」

「姫様。」

 

そう呟くキアラにボルグとカラが声をかけようとした。しかし、それよりも先に背後の出入口の扉が開いたかと思うと、2人の人物が入って来た。

 

「おじゃましまーす。」

「!?」

 

入って来たのは、水色のボブカットをした少女とライムグリーンのボブカットをした少年であり、2人ともほぼ同じ顔立ちをしており、双子であることが窺えた。

少女はチューブトップの黒いワンピースの上から半袖の黒いジャケットを身に着け、少年は白い長袖のパーカーの下に青い半袖のシャツを着ていた。

 

「お主らは………」

「いやー、私らが来なくてもいいとは思ったんだけどさー?お姫サマが戦ったヤツが気になってさー?」

「ま、俺たちとしてもそいつらを放置できないからなー。」

 

警戒するボルグをよそに、少女と少年はなんてこと無いようにそう答えた。2人の態度にキアラはキッと睨みつけた。

 

「ワルンダイツ………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワルンダイツ?」

 

同じ頃、焼け残った村に簡易的なテントを張って村人たちの介抱や怪我の手当てをし終えた草介たちは、デュランとアルスから事情を聞くことにした。その話の中で出てきた単語を、草介が聞き返した。

 

「ああ、『暗黒星団ワルンダイツ』。宇宙の各地で戦乱を引き起こし、星を破壊する犯罪集団だ。」

「犯罪集団………」

「デュラン殿達は、そのワルンダイツを追ってこの星に来たのですか?」

「ああ、その通りだ。」

 

ガラティンの問いにデュランが頷く。

 

「ワルンダイツの影響力は無数の惑星や他の裏組織にも及んでいて、私たち銀河連邦警察もてんやわんやなんであります。ようやく、最近になって親玉の『デスダイト』がこの惑星『シンナセン』にいることが分かって、お兄ちゃんと隊員数名のチームを組んで向かっていたのでありますが………」

「目的地までの星間ワープ、さっきの転移魔法のようなものなのだが、ワープ空間からの脱出時に突然突発的な次元衝撃波が発生して、私たちはバラバラに吹っ飛ばされてしまったんだ。気付いた時には私は草介とあの場所にいたんだが………」

「私は、この村の近くの森にいたのであります。」

 

アルスとデュランの説明を聞いた草介とガラティンは、そこまで聞いて気が付いた。

 

「もしかして、俺の召喚とデュラン達のワープが偶然同じタイミングでされちゃったせいなのか?」

「状況を鑑みると、それが原因と考えられるな………」

 

草介が顔を引きつらせながら聞くと、デュランは苦笑しながら答えた。2人の会話を聞いたガラティンとリジルはあ、と声を漏らすと、デュランとアルスに向かって頭を下げた。

 

「も、申し訳ないデュラン殿!我々が召喚したせいで、貴殿をこのような事態に巻き込むとは……」

「いや、2人が謝る必要はない。私も、事情を説明しなくて悪かった。」

 

そう言って頭を下げるデュラン。少し微妙な沈黙が下りたが、草介が別の事に気が付いた。

 

「って事は、本当の『聖剣の勇者』は俺ってことか………?」

「うーむ、まだ判断するのは早いかと思いますが……」

 

草介の発言にリジルが少し困った表情で答える。すると、頭を上げたデュランが口を開いた。

 

「それは別として、私が素性を説明しなかったのは、情報を得たかったからだ。自分の現在地や、そちらの事情をね。」

「情報を?」

「ああ。機怪魔獣は元々、ワルンダイツが保有する戦力だ。それに、我々の情報ではワルンダイツがこの星に来訪したのは、およそ半年前だ。」

「!半年前といえば、確か魔王軍の侵攻が始まったのと同じ時期……?」

 

リジルはデュランの言葉から、ある事実に気付いた。

 

「このことから、魔王軍とワルンダイツが手を組み、機怪魔獣を戦力として提供した、と考えていいだろう。」

「何という事だ………!!」

 

デュランが鋭い目をしながら言うと、ガラティンは拳を握りしめて怒りを露にした。草介とリジルも、動揺を隠せずにいた。

 

「だが、これで今後の方針がある程度決まったな。」

 

デュランはそう言うと、微笑みながら草介たちに向き直った。

 

「魔王軍とワルンダイツが手を組んでいるのならば、引き続き君たちに協力をする方が得策だろう。連中の懐に潜り込めるからな。」

「それと、私たちの仲間の捜索と、草介さんが元の星、チキュウでしたっけ?そこに帰れる手段を探す必要もありますからね。」

「!じゃあ……」

 

2人の話を聞いて、草介とリジルが顔を見合わせた。デュランとアルスは頷く。

 

「ああ。君たちに協力しよう。引き続きよろしく頼むよ。」

「ああ、これからもよろしく!」

 

デュランと草介は、固く握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この度は、本当にありがとうございました。」

 

翌朝、村の出入り口で村長がデュランたちに頭を下げていた。後ろには村人たちも集まり、同じように頭を下げている。

 

「お礼なんていいですよ。」

 

デュランは首を横に振った。アルスは満足そうに、草介も少し照れくさそうにしていた。

 

「それでは、私たちはこれで。」

「お達者で!」

 

そう言ってデュラン達は、村の外に停めておいたデュランカーのドアを開いた。

 

「この車で行くのか?」

「ああ、自慢ではないが、馬車よりも早く砦に着くことが出来るからな。」

「馬車の方は、村の人に頼んで預かってもらう事になったが………」

 

ガラティンの疑問にデュランが頷きながら答えると、運転席に座った。ガラティンとリジルは少し戸惑っていたものの、アルスに促されて道案内のためにリジルが助手席に、ガラティンは草介と一緒に後部座席に乗り込んだ。

 

「さて、それでは出発しようか。」

 

デュランがそう言ってエンジンをかける。エンジンの爆音にガラティンとリジル、それに見送りに来ていた村人たちは驚いていると、デュランは窓を開けて村人たちに手を振った。

 

「それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう!」

 

デュランが手を振ると、デュランカーは発進して村を去って行った。村人たちはしばらくの間、手を振って見送り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい速度だな。この調子なら、数時間でズンケート砦に着くぞ………」

 

数分後、デュランカー車内でガラティンが感心したようにそう言った。助手席のリジルも道案内をしながら、同じように感心している。

 

「このまま道なりに進めば、数時間でズンケート砦に到着する事ができますね。馬車でもあの村から1日はかかるから、大分早く着きますよ。」

「まあ、この星の文明レベルなら、驚くのも無理はないよなー………」

 

リジル達シンナセン人の感想を聞いた草介が呟く。草介からすれば地球の技術とあまり変わらないためそこまで驚きはないが、リジル達にしてみればありえない物なので、理解ができないのも無理はないだろう。

ふと、草介は気になったことを聞いてみることにした。

 

「そう言えば、デュランがこの車と一体化できたのって、何でなんだ?

「ああ、その事か………」

 

草介の質問にデュランが答えようとしたが、アルスが代わりに答えた。

 

「私たちは、『フューゾニア』という種族なんであります。」

「フューゾニア?」

「はい。機械みたいな生命(いのち)を持たないものと一体化して、活動できる宇宙の種族なんであります。」

 

アルスの説明に草介は軽く首を傾げた。デュランが運転をしながら続けた。

 

「この車、デュランカーは私専用の可変式戦闘用ロボット「マシンメイル」でね、機怪魔獣のような戦闘兵器を持った犯罪者への対抗手段として、銀河連邦警察隊員の標準装備になっているんだ。」

「へー、そうだったのか……」

 

デュランの回答に草介は感心していた。すると、リジルが車窓の外を指差す。

 

「あの大きな岩を超えたら、砦が見えてきます。」

「あれか………」

 

デュランは目印の岩を見据えると、速度をそのままに進んで行く。数分の内に岩の近くまで行くと、その場で車を止めた。

止まった場からは、数キロメートル先に平原の中央あたりに石造りの砦が見えた。周囲には雑木林や森が点在している。

 

「あれがズンケート砦か………」

 

車から降りた草介が呟く。アルスが双眼鏡で砦の辺りを見ると、高めの塀の内外にはランダートG3数機が配置され、ゴブリンやオークが敷地内を巡回していた。

 

「警備は厳重なようでありますね。当たり前でありますが………」

「正面からは普通に無理だろうな。かといって、裏手からの侵入も難しそうだな。さて、どうしたものか………」

 

デュランが考えながら呟いていると、ガラティンが口を開いた。

 

「デュラン殿、頼みたいことがあります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズンケート砦の地下牢。

暗く湿った空間の中、美しい金髪ストレートヘアで整った顔立ちをしたフローレント姫はベッドに腰かけ、碧色の目で手にした赤い宝石のペンダントを見つめていた。そんな彼女を、牢屋越しにキアラが話しかけてきた。

 

「……ねえ、そんな風に何も喋らないでいると、こっちも心配になるんだけどー?」

 

少しうんざりした様子で問いかけるが、フローレント姫は微動だにしない。キアラは少し表情を歪めていると、地下牢に来訪者が現れた。

 

「はぁい、キアラちゃん♪」

「あ、アンタ………!」

 

やって来たのは、ワルンダイツの一員である水色の髪の少女であった。少女は軽いノリで入って来るが、キアラはその態度に少しイラついた。

 

「なんかこっちにいるって聞いてさー、ヒマだし見に来たよー。」

「ヒマって……あの連中来るかもしれないから警戒態勢なんだけど?」

 

緊張感のない少女にキアラが呆れとイラつきの混ざった口調で返す。フローレント姫は現れた少女に一瞥しようとしたが、その時、手を滑らせたのかペンダントが零れ落ち、床を跳ね返り、牢の外の少女の足元まで転がって行った。

 

「あら?」

 

少女がペンダントを拾い上げた。チェーンを摘まんで赤い宝石をまじまじと見つめる。

 

「綺麗ねーコレ、もらっちゃおっかなー?」

「ちょっと……!」

 

キアラが慌てて少女を止めようとするが、牢の中のフローレント姫が声を上げた。

 

「そ、それをすぐけえすだべ!!」

「え?」

「はい?」

 

慌てた様子でようやくフローレント姫が口を開いた。しかし、その口から出て来た声は少女らしい可愛らしいものだったものの、訛りがひどかった。

 

「……あ!し、しまっただ………!」

 

フローレント姫は慌てて口を押えるが、すでに遅し。キアラと少女はキョトンとした表情で彼女を見つめている。数秒の沈黙の後、2人はフローレント姫に背を向けてこそこそと話し始めた。

 

「ねえ、あのお姫様の国ってああいう方言なの?」

「い、いや、そんな事聞いたことないけど……」

「じゃあ、なんであんな変な訛りなの?」

「なんでって………」

 

キアラ達はそーっと振り返ってフローレント姫の方を見る。当の本人は、焦った様子でオロオロとしていた。

 

(ま、マズいだぁ………バレたらオラ、何されっかわがんねぇべ………)

 

フローレント姫(らしき人物)は冷や汗をかきながら焦っていた。そんな様子を見たキアラ達は、この姫の正体に察しがついた。

 

「まさかアンタ、本当は―――」

 

少女が口を開きかけた、その時、地下牢の外から敵襲を知らせる警鐘がけたたましく鳴り響いた。

 

 

 

 

 

「何事!?」

 

地下牢から外に出たキアラは、カラに問いかける。カラも砦の高台から様子を見ていた。

 

「敵襲です!昨夜のデュランダーとかいう機械兵器が、正面から攻め込んできました!!」

「何ですって!?」

 

キアラは高台の窓から外を見る。窓の外からは、デュランカーが土煙を巻き上げながら砦に向かって来るのが見えた。

 

「転移魔法を使わずにあの村からこの短時間で!?」

「あの乗り物の速度を見れば、納得ではあるダスな………」

 

キアラ達は信じられない様子だったが、目の前のデュランカーを見て納得した様子である。キアラの後ろから双子もやって来て、外の様子を見ていた。

 

「あー、やっぱり銀河連邦警察(GP)が来てたか………」

「近い内に来るとは思ってたけど、意外と早かったなぁ………」

 

双子が呟くが、キアラ達には聞こえていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砦の警備をしていたランダート部隊は、こちらに向かって来るデュランカーをセンサーで感知、直ぐに迎撃すべくデュランカーに大型拳銃で狙いを定めると、一糸乱れぬ射撃でデュランカーを破壊せんとした。

 

「くっ………!!」

 

運転席のデュランはハンドルを巧みに操り、銃弾をかわす。ある程度接近したところで、デュランは両腕を交差させた。

 

「フュージョイン!!」

 

掛け声と共に、デュランは座席に沈み込むようにデュランカーとフュージョイン(一体化)、車体を高くジャンプさせると、デュランカーは『チェンジ』の掛け声と共に人型に変形した。

 

『デュランダー!!』

 

デュランダーは見栄を切るように名乗り、ランダート隊の前に着地をする。巨大な機械兵器の戦闘に巻き込まれてはたまったものじゃないとゴブリンやオークが避難のために走り回る中、簡易AIが組み込まれているランダート隊は一切恐れることなくデュランダーに銃を向けて発砲をする。デュランダーはジャンプをして銃弾を回避すると、腰からDブレードを引き抜いて一番近くにいたランダートを袈裟懸けに斬り裂いた!

 

『さあ、かかってこい!!」

 

デュランダーが啖呵を切るのに合わせるかのように、メイスを手にしたランダート隊は数機がかりで襲い掛かった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、強いダスな………!」

 

デュランダーとランダート隊の戦いを見ていたボルグが漏らす。カラも冷や汗を額から垂らしながら唇をかむが、キアラだけは何か気になったのか、冷静に見ていた。

 

「………妙ね?どういうつもりかしら?」

「姫様?」

 

キアラの呟きが聞こえたカラが聞くが、キアラは踵を返して歩き出した。

 

「ギリギリ追加戦力が届いて良かったわ。例の機怪魔獣で出るわ。」

「「はっ!!」」

 

キアラの言葉に、2人は敬礼をして返す。キアラは双子とすれ違う時、2人に話しかけた。

 

「せっかく来たのだから、あなた達にも手伝ってもらうわよ?」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュランカーが砦に向かう数分前、ガラティンに先導される草介たちは、近くの森の中を歩いていた。

 

「あったぞ、あれだ。」

 

森の中心付近まで歩くと、ガラティンは目の前にある石造りの井戸を指さした。

 

「この井戸から砦に行けるのか?」

「ああ。あの砦の中には、緊急時用の隠し通路があってな、この井戸はその通路に繫がっているのだ。」

「なるほどな……」

 

ガラティンの説明を聞いた草介が頷いた。ガラティンが先行して井戸に入り、リジルが見張る中草介とアルスが入り、全員が井戸に入った。井戸の底は4人が入っても余裕があるほど広く、水も全然溜まっていなかった。ガラティンが壁の一部の石を押し込むと、壁がスライドして隠し通路が出て来た。

 

「さぁ、こっちだ。」

 

ガラティンが先頭になり、草介たちは通路に入って行った。

 

「今ごろ、デュラン殿は砦で派手に戦っている頃だろうな。」

「ああ。デュランにばかり頑張ってもらって、申し訳ないな………」

 

ガラティンと草介が通路を歩きながら話す。

ガラティンは砦の隠し通路の事を思い出して、ある作戦を立てた。デュランに砦の機怪魔獣を相手取ってもらい、砦の外の戦闘に相手が気を取られている隙に隠し通路から砦に潜入して、フローレント姫を救出しようというものだ。

 

「とにかく、急ごう。デュラン1人に任せっきりにする訳にもいかないしな。」

「ああ。」

 

草介がそう言うと、一行は頷いて砦に向かって歩いて行った。

 

 

 

 

 

「なるほど、あそこから砦に入れるのか。」

 

同じ頃、森の井戸を見つめていた人物が、小さく呟いていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アームシューター!!』

 

デュランダーが右前腕部から展開したアームシューターが火を吹いて、ランダートの胴体が爆発して倒れる。既に、動けるランダートは2,3体程度しか残っておらず、残った機体も距離を取って様子を伺っていた。

 

(大分減ったな。草介たちはもう潜入した頃だろうか……とにかく、この場は気を引く事に専念せねば………)

 

デュランダーが内心考えながらDブレードを握る手に力を込めて周囲を睨むように見ていると、突如、砦の塀の向こうから轟音が聞こえてきた。

 

『何だ?』

 

デュランダーが砦の方に目を向けると、複数の影が空に向かって飛び出したのが見えた。見上げてみれば、そこには砦の上空を旋回する複数の影。

ランダートG3の系統ながらボディは濃い青色、背面に装備された銀色の翼とジェットエンジンが目を引く飛行型機怪魔獣・スカイダートG3部隊であった。

 

『飛行型だと!?』

『随分と派手にやってくれたわね?』

 

デュランダーが驚いていると、砦の城門の向こうから声が聞こえてきた。そちらに目をやると砦の門が開く。轟音と共に姿を現したのは、グランダートF2の発展型と思われる黄色いサンドカラーのボディに両肩に二門の大型キャノンを装備した大型の機怪魔獣・キャノンダートF3であった。

 

『昨夜の分と合わせて、借りは返してもらうわよ?』

 

キャノンダート内で、キアラは不敵に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、地下牢の奥の床が一部持ち上がると、顔をのぞかせる者がいた。ガラティンだ。周囲を見渡し誰もいないのを確認すると、隠し扉を開いて外に出た。

 

「……よし、大丈夫だ。」

「分かった。」

 

ガラティンに言われて草介たちも外に出て来た。地下牢の牢屋を片っ端から覗き込むと、アルスが一番奥の牢屋に金髪ストレートの少女がいるのを見つけた。

 

「みなさん、こっちにいたであります!」

 

アルスが声を上げると、全員が集まって来る。突然の来訪者にフローレント姫は驚くが、そのなかにガラティンの姿を見つけるとハッとしたように駆け寄ってきた。

 

「ひ、あ、ガラティン様………!」

「姫、お怪我はありませんか!?」

 

フローレント姫が牢の鉄格子越しに縋りつく。その様子から、ガラティンに全幅の信頼を寄せているのが見て取れた。

 

「け、怪我はないだ、です。しかし、さっき来た人に、『聖なる石』が………」

「何だと!?」

 

草介はフローレント姫の話し方のイントネーションが少し気になったが、ガラティンは姫の話に驚きと焦りからか声を上げた。

 

「聖なる石?」

「我が国に代々伝わる宝石です。聖剣の在り処を示し、力を解き放つために必要なものと言い伝えられています。」

「何だって!?」

 

草介がそう叫ぶ。とにかく、今は姫の救出が先決と判断したガラティンは腰の剣を抜き放ち、牢の錠前に斬りかかった。

 

「はっ!」

 

金属音とともに錠前が砕け、鉄扉が開く。

 

「姫、こちらへ!」

「は、はい………!!」

 

フローレント姫が戸惑いながらも牢から出てくると、

 

「おいおい、勝手に脱走とはずいぶん元気じゃないかぁ?」

 

皮肉たっぷりの声が地下牢に響き渡る。

現れたのは、水色のボブカットをした少女とライムグリーンのボブカットをした少年だった。

 

「バレた……!?」

「キアラちゃんの言った通りねー、いくら機怪魔獣がいるとはいえ、GPが単独で突っ込んでくるなんて流石におかしいって言って、私らにお姫様の方に行くよう言って来たもんねー」

 

少女が小馬鹿にしたように笑う。草介はキアラが意外と鋭い事に内心感心したが、姫の手を引いて隠し通路に逃げようとした。

 

「おっと!」

 

しかし、少女が手を翳すと手の平から青白い光弾が放たれると、草介たちの顔の横をすり抜けて床に着弾!弾けると同時に、目の前に氷の壁が現れて行く手を阻んでしまった!

 

「な、何!?」

「この惑星(ほし)の魔法って言うのを試してみたけど、意外と使えるわねー♪」

「いいなそれ、後で俺にもやらせろよ?」

 

双子は笑いながらそう話すが、草介たちは氷の壁に阻まれて前に進めなくなってしまった。

 

「これが魔法でありますか………!!」

「アイツ、「この惑星」って言った?まさか………」

 

アルスは初めて見た魔法に驚くが、一方の草介は、少女の発した言葉に引っ掛かるものを感じ取っていた。それに気が付いたのか、双子は草介達を見て可笑しそうに笑った。

 

「ああ、そーいやー自己紹介してなかったなー」

「ま、GPの連中から話は聞いてるでしょーけど、初対面で名乗らんのはシツレーよねー」

 

双子は嘲笑いながら、草介たちに名乗って来た。

 

「改めて、ワルンダイツ幹部・六魔獣将が一人、海のシャーク!」

 

ライムグリーンの少年・シャークが名乗る。

 

「同じく、氷のポーラ!」

 

青い髪の少女・ポーラも続いて名乗った。

 

「六魔獣将……!?」

「よろしくね?多分、直ぐに「さよなら」しちゃうだろうけど♪」

 

ポーラはそう言って嗤った。

 

 

 

 

 

【つづく】

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。