異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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第28話 竜神の山が叫ぶ時

異世界勇者ロボ 第28話

竜神の山が叫ぶ時

 

 

 

 

 

トライヤーズがトロルネードF2とストームダートF1と対峙する数分前、キャブキーラ村でリザードマンたちが去るのを見送ったデュランたちは、突如として南の方で巨大な竜巻が発生するのを見た!

 

「竜巻だと?何で急に………?」

「不自然な竜巻………まさか、機怪魔獣が!?」

「何!?」

 

突然の竜巻を不自然に思いフローが口に出すと、デュランのGPデバイスが通知音を発する。急いで見てみれば、ニールから機怪魔獣が出現し、トライスクランブラーが発進したことを知らせるメッセージが届いていた。

 

「やはり機怪魔獣が………」

「デュラン、早くそちらに………あ!?」

 

ロンが救援に向かうよう言おうとしたが、その時、村の出入り口付近に数十体のゾロゾロイドが、まるで行く手を阻むかのように現れ、両手の鉤爪を見せつけるように構えた!

 

『ギチチ………』

『ウィーン………』

「な、何だと!?」

「我々をここから出さない気か………!?」

「デュラン、ここは僕たちが―――」

 

ロンたちが前に出てゾロゾロイドを相手取ろうとしたその時、村人やデュランたちを跳び越えて、難民の女性が十数名、ロンたちの目の前に躍り出た!

 

「「「!?」」」

「ここは任せていただこう。」

「ロッティンさん………!?」

「危険です、下がって!」

 

難民たちの先頭に立っていたロッティンがそう言うが、デュランとロンが慌てて彼女を下がらせようとする。しかし、フローだけは前に出てくると、苦笑しながらもデュランの肩に手を置いた。

 

「大丈夫だよ、あの人は………」

 

フローが言いかけたその時、先頭にいたゾロゾロイド数体が鉤爪を振りかざして向かって来た!

 

「あ!!」

 

危ない、とロンが言おうとするが間に合わず、振り下ろされた鉤爪がロッティンの体を切り裂かれ―――

 

 

 

 

 

シュンッ

「「「!?」」」

 

 

 

 

 

―――るかと思われたその時、ロッティンたちの衣服だけが鉤爪で貫かれ、『中身』の姿はこつ然と消えてしまう!?何が起きたかと思ったその時、頭上から何者かが降りてきたかと思うと、ゾロゾロイドは胴体を袈裟懸けに切り裂かれ、そのまま地面に倒れてしまう!

 

「何だと………!?」

 

ゾロゾロイドを倒した者たちは、身体に密着するボディスーツのように見える装備をした女性たちであった。手には細身の剣を1本のみで、胸部や腰部、肩などには小さなアーマーが装着されているだけの、少し目のやり場に困る軽装であった。

 

「あれは………!?」

「彼女たちはリグーン王国の『影の騎士』。『駿騎兵装(しゅんきへいそう)』を身に纏い、隠密活動や秘密裏に王族を護衛する事を任務とした騎士たちだ。」

「おお!」「あれが噂に聞く………!」

「初めて見たべ………」

 

デュランの呟きにフローが答えると、『影の騎士』の存在を知っていたらしいロンたちが感嘆の声を出した。だが、デュランはフローがあまり驚いている様子がなく、まるで最初から知っていたかのような口振りに疑問を抱いた。

 

「知っていたのか、フロー?」

「まあね………あのロッティンっていう人、さっき話した私の剣の師匠でね………」

「え!?」

 

デュランが驚きの声を上げる中、目の前でロッティンは髪をほどき、眼鏡を投げ捨ててこちらに振り返った。

 

「まったく、まさかこんなところで鉢合わせにするなんて思っていなかったけれどね………」

 

少しウェーブのかかった黒っぽい茶髪が風に舞い、ロッティンは振り返ってツリ目の深緑色の目でこちらを見てきた。

 

「改めて、私はリグーン王家秘密近衛騎士団『夜の剣』隊長、マルティア・フロッティン。彼女たちは、私の直属の部下よ。」

 

ロッティン、否、マルティア・フロッティンが名乗りを上げると、周囲にいる騎士たちは小さく頷いた。彼女たちの正体にデュランたちが唖然とするが、ふとそこで、デュランはある事実に気付いた。

 

「………待てよ?近衛騎士団隊長であるロッティン……いや、マルティアさんが傍にいたという事は、あのクララという子は………?」

「あなた、デュランと言ったわね?」

 

デュランがクララの事を聞こうとするが、マルティアがそれを遮るかのようにデュランの名を口にして彼を見た。

 

「さっきの機械兵器、あなたが操縦していたわね?機怪魔獣が近くにいるなら、さっき言ったようにここは私たちに任せて、早く行ってほしいのだけど?」

「!ああ、分かった!」

 

マルティアが急かすように言うと、デュランは頷いてデュランカーに向かって走り出した。

 

「隊長、よろしいのですか?あの機械兵器を“あの方”の元に向かわせて………?」

「………確かに、彼を見てまたパニックしかねないけれど、機怪魔獣を相手取れるのは、あの兵器くらいだからね……」

「そうですが………」

 

騎士の一人がマルティアに耳打ちをするように聞くと、マルティアはデュランの背中を見つめて答えた。騎士が何か言おうとしていたが、目の前のゾロゾロイドたちが襲い掛かってくる!

 

「今は目の前の敵に集中するのよ!」

「「「はっ!!」」」

 

マルティアの号令に騎士たちは剣を構えなおし、ゾロゾロイドを迎え撃ちはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャブキーラ村からデュランカーが発進したその頃、トロルネードが生み出した竜巻を前に、トライヤーズは竜巻との間に立ったストームダート軍団が立ちふさがっていた。

 

「ひぃっ………!」

『くそっ!こいつらの数に加えてこの竜巻………トライメイルの重量で何とか耐えられてはいるが………!』

『意外と厄介ネ………』

 

竜巻の強風に煽られトライトータスとトライタイガーが悪態をつく中。トライフェニックスは右手の中のクララを左手で風よけにして守りつつ、竜巻を睨みつける。しかし、手の中のクララが機怪魔獣に怯えていることに気が付くと、意を決したように声をかけた。

 

『………トライトータス、ソウスケをこちらに。』

『ん?ああ、分かった。』

 

トライフェニックスは右肩の鳥の頭パーツを分離させると、ジェット機の機首に変形させてキャノピーを開き、コックピットにクララと草介を乗せると、トライフェニックスは飛び上がって後方数百メートル付近の地面に機首部分を下ろした。

 

『………クララどの、安心してくだされ。』

「え?」

『拙者はそなたに畏れられても、嫌われても、蔑まれてもかまわぬ。だが………』

 

腰から名刀スザク丸を引き抜き、切っ先を機怪魔獣に向けてトライフェニックス、ハバキリは言い放った。

 

『たとえそうだとしても………そなたを守り、助けたいという思いは変わらぬ!』

「ハバキリさん………」

『下心なき、拙者の本心にござる!』

『ソウスケ、クララを頼む!』

「分かった!」

 

トライフェニックスはすぐさま、トロルネードと睨み合うトライトータスとトライタイガーと合流、各々が得物を構えた瞬間、トロルネードは回転を止めて、ストームダートと共に襲い掛かって来た!

 

『来るぞ!』

『『おう!!』』

 

迫ってくる機怪魔獣たちを見てトライフェニックスが叫ぶと、3機のマシンメイルは迎え撃つべく駆け出した!

 

 

 

 

 

………しかし、そこでだれも予想だにしていなかった事態が起きた。

 

 

 

 

 

『え………』

『なに………!?』

『全員こっちに来た!?』

 

なんと、5体の機怪魔獣はトライフェニックスとトライタイガーには目もくれず、全機トライトータスに向けて一直線に襲い掛かって来たではないか!

 

『コイツら、オレを狙って!?』

『トライトータス!!』

 

ストームダートが手にしたサーベルと、トロルネードの両腕のブレードによる猛襲に、トライトータスはキッコウシールドで防ぐことしかできず押されてしまう。トライフェニックスとトライタイガーは慌てて割って入る様にトライトータスからストームダートを1機ずつ引きはがすが、それでもトライトータスへの負担は大きい。

 

「な、何であの機械兵器………レピオさんですよね、あれって?何でレピオさんに………!?」

 

一方、後方から戦いの行方を見ていたクララが、機怪魔獣軍団の動きに疑問を口に出した。草介も同じく不可解に思っていたが、そこでハッと思い出した。

あの時、キャブキーラ村でランダートが腕を伸ばした先にはクララとロッティン、そしてトライヤーズの3人がいた。

 

「まさか………アレを操ってるヤツは、最初からレピオを探していたのか!?」

「ええ!?」

「ぐゆぅ………」

 

草介が機怪魔獣たちの動きから、敵の狙いがトライトータス、レピオであると察した。

 

「そのために犯人は、機怪魔獣を奪ったっていうの!?」

「まさか………!?」

 

同じ頃、離れた地点のキアラも『黒幕』の狙いを察して声を上げた。視線の先では、トライトータスが何度も振り下ろされるトロルネードのブレードをキッコウシールドで受け止めつつゲンブアックスで攻撃を試みているが、その時、トライトータスに張り付いていたストームダートが数歩離れると、両肩のタービンを回転させて突風を繰り出してきた!

 

『ぐおおっ!?』

『トライトータス!?』

 

重量級であるはずのトライトータスが突風に飛ばされかけてバランスを崩しかけるが、そのタイミングでトロルネードはブレードを振り下ろす!

 

『チェンジ!!』

 

その寸前、トライトータスはトライゲンブに変形してその甲羅でブレードを防御する!何度もブレードを振り下ろし、それだけではなく回転して連続で斬りかかり、その衝撃で周囲に火花が散った!

 

『くそ!動けねえ………!!』

『レピオ!!』

 

トライフェニックスは叫ぶと、対峙していたストームダートを斬り捨てて飛び上がると、フェザーガンを連射する。数発は回転するブレードに弾かれてしまうが、ボディに着弾して小さな爆発を数回起こす。しかし、それでもトロルネードは攻撃を止めなかった。

 

『こいつ………!』

 

トライフェニックスは追撃しようとしたが、その時、背後で起き上がったストームダートのタービンから突風を吐き出されて、トライフェニックスは吹き飛ばされてしまう!

 

『ぐぅッ!?』

「ハバキリさん!?」

 

思わずクララが悲痛な叫びを上げる。トライフェニックスは何とか上空で姿勢を直そうとするが、残った2機のストームダートたちも同様に突風を乱発しトライフェニックスに襲い掛かる!

 

『ぐぅッ!?』

 

何とかかわそうとするが、ストームダートたちは数で勝り、トライフェニックスはついに地面に打ち付けられてしまう!

 

「ハバキリさん!?」

「これじゃあ………!」

 

トライフェニックスの危機的状況に、クララと草介は思わず声を上げた。トライゲンブもトライタイガーも動きが取れない現状、どうすべきかと考えるが、あの突風が相手では小さな人間ではいとも簡単に吹き飛ばされてしまうだろう。その時、クララの肩に乗ったトカゲが、何かを訴えるように鳴き始めた。

 

「ぎゃう!ぎゃぎゃう!」

「え?ど、どうしたの………!?」

「何だ?」

 

クララと草介が何事かとトカゲを見るが、トカゲは前の席に座った草介の元に飛び移ると、コンソールをキョロキョロと見つめていた。そして、目的の物を見つけたのか前足を伸ばして1つのスイッチを押すと、キャノピーが跳ね上がるように開いた。

 

「あ、おい!?」

「ぎゃあう!」

「あ、危ないよ!?」

 

開いたキャノピーからトカゲが外に飛び出した。慌ててクララが追いかけるべく外に出るが、トカゲは素早い動きで森の中に消えてしまった。

 

「ああっ………!」

「おい、お前も危ないぞ!?」

「で、でも………!」

 

草介が手を引いてクララを戻そうとするが、クララはトカゲの行方を気にして戻ろうとしなかった。その時、

 

『エースランチャー!!』

「「!?」」

 

上空からミサイルの雨がトロルネードに降り注ぎ、直撃を受けて吹き飛んでトライゲンブから引きはがされた!

 

「今のは!?」

『待たせたな!』

『隊長!!』

 

上空からデュランブレイバーがトライゲンブの元に降りてくると、見上げたトライゲンブが歓喜の声を上げた。

 

『大丈夫か?』

『ああ!ありがとう、ウラシマタロウさん!』

『あれはウミガメじゃなかったか?』

磨羯昇(モージエシェン)!!』

 

トライゲンブから変形したトライトータスが軽口で感謝をすると、デュランブレイバーは呆れたように言った。直後、トライタイガーがストームダートの喉元に貫き手を突き刺し貫くと、直後に爆散させた!

 

『隊長!』

『遅れてすまない!』

『いえ、助けていただけたのですから………』

 

トライヤーズはデュランブレイバーの元に集まり体制を立てる。起き上がったトロルネードの周囲にも残った3機のストームダートが集結していた。

 

『………ハバキリ、不本意ながら先ほどの君の言葉、聞かせてもらった。』

『え?』

 

デュランブレイバーの突然の言葉に、トライフェニックスはキョトンとした顔で聞き返してしまった。デュランブレイバーは振り返り、小さく笑みを浮かべた。

 

『おかげで私も、迷いが消えたよ。畏れられる事を恐れては、何も守れないからな………!』

『隊長……』

 

デュランブレイバーの感謝にトライフェニックスは気恥ずかしい気持ちながらも、どこか嬉しく感じた。トライタイガーと手を借りて立ち上がったトライトータスも、それを見て笑みを浮かべていた。

 

『隊長、まだ数は多いけど、倒すのに苦労しない範疇っす。さっさと片づけて、こいつらを操ってるヤツをとっ捕まえてやりましょう!』

『ああ、そうだな!……ん?』

 

トライトータスの提案をデュランブレイバーが受け入れたその時、デュランブレイバーのレーダーがこちらに向かってくる機影を捕捉した。視線を移すと、遠くの方からこちらに向かって飛行してくる十数機のストームダートが視界に入った!

 

『何だと!?』

『新手………!?』

『まだあんなにいやがったのか!!』

 

迫ってくるストームダートの群れに驚き、悪態をつく一同。しかし、それを嘲笑うかのようにトロルネードは再度回転を開始して、竜巻が発生した!

 

『うぉお!?』

『こ、こいつ………!』

 

トロルネードの竜巻に吹き飛ばされないように踏ん張るが、竜巻の勢いに思わずたじろいでしまう。この状況であの数が加わっては流石に厳しい事は十分に考えられた。しかし、1人でもこの場から離れては、トライトータスへの集中攻撃を受けかねない。どうするべきか考えていた、その時である。別方向から黒いデルタ翼の戦闘機、イーグルジェットが飛来してきた。

 

『!!』

『チェンジ!イーグルダイト!!』

 

イーグルジェットは直ぐにイーグルダイトに変形、威嚇するかのように翼を広げた。

 

『イーグル!』

『貴様らを助ける訳ではない。これ以上、醜い失態を晒すわけにはいかないだけだ。』

 

イーグルダイトは目線だけデュランブレイバー達に向けて言うと、迫ってくるストームダートに視線を戻して睨みつけた。

 

『………これだけは言っておこう。トロルネードの回転は右回りだ。』

『え?』

 

イーグルダイトはそれだけ言うと、ストームダートの群れに向かって飛んで行った。トライヤーズはそれに唖然としていた。しかし、デュランブレイバー何か気づいたのかイーグルダイトの背中に小さい声で礼を言うと、トライフェニックスに声をかけた。

 

『トライフェニックス、私があの機怪魔獣、トロルネードの竜巻を封じる。そうしたら、中段肆剣の………えーと、確か『巨ノ太刀』だったか?アレを叩きこむんだ!』

『む?………承知!』

『トライトータスとトライタイガーは、すまないが、残りの連中を頼む!』

『それなら、オレを狙ってるのを利用する!俺に向かってる隙を突け!』

『合点アル!』

 

デュランブレイバーの指示を受けて、トライヤーズの3人はそれぞれ動き始めた。

トライトータスが前に出ると、読み通りストームダートは群がる様に襲い掛かってきた!振り下ろされたサーベルをキッコウシールドで受け止めた直後、トライタイガーはトライビャッコに変形するとストームダートの1体に噛みつきと引っ掻きで攻撃していく。1機ずつ確実に仕留めていくつもりのようだ。

 

『デュランソード!ブレイバーチャージ!!』

 

一方、デュランブレイバーは背中からデュランソードを引き抜き構えると、胸の獅子の口から緑色のエネルギーが放出されて刀身に纏わせると、振り下ろすように下に構えた。そして、背中のスラスターを最大に噴かせてトロルネードの竜巻に向けて一気に加速する!

 

『回転には回転だ!ライトニング・スラッシュ!ロオーーーォオリングビクトリィイーーー!!』

 

デュランブレイバーはデュランソードを水平に構え、トロルネードに向かいながら左向きに高速で錐揉み回転!竜巻が『ライトニング・スラッシュ・R(ローリング)V(ビクトリー)』とぶつかり合うと、激しい火花と突風をまき散らす!

 

『うおおおおおおおおお!!』

 

逆回転同士の2つの竜巻は双方ともに徐々に弱まっていき、やがて消滅した!

 

「逆の回転で竜巻を相殺したのか!」

『今だ!トライフェニックス!』

『は!!』

 

刀身のエネルギーを使い切ったデュランブレイバーが後ろのトライフェニックスに叫ぶと、手にしたスザク丸を両手で持ってトロルネードに接近する!

 

『流星一刀流剣術 中段肆剣が一つ!』

 

そして刀を真上に構えて『円』を描くように回し、その脳天に叩きつけた!

 

『巨ノ太刀―――災断(さいだん)!!』

 

力強い一撃を脳天から股にかけて叩きこまれたトロルネードは、その巨体が左右に分かれて地面に倒れ、爆発四散した!

 

『南無三………』

『見事だ、トライフェニックス。』

 

トライフェニックスが刀を血振るいし納刀し残心していると、同じく剣を納めたデュランブレイバーが称賛の言葉を送る。背後では、トライタイガーとトライトータスが残っていたストームダートにとどめを刺すところであり、直ぐに地面に伏して爆散した。

 

『やったアルな!』

『ああ!』

 

トライトータスとトライタイガーが笑みを浮かべて喜びを分かち合う。その時、遠くの方で爆発が連続して起きたのが見えた。

 

『イーグルもストームダート連中を破壊できたみたいだな。』

『まあ、アイツも言ってたけどヤツ自身の失態だしなー』

 

遠くの爆炎を見たデュランブレイバーとトライトータスが苦笑しながら軽口を叩き合う。すると、フェニックスジェットのコックピットから外に出た草介とクララも、デュランブレイバー達の元へ駆け寄った。

 

「やったな、みんな!」

『草介!』

「み、みなさん………ありがとうございました………」

『クララどの………』

 

草介が笑顔で一同に声をかける。クララはまだ少しおびえている様子ではあったが、その顔には笑みが浮かんでいた。

しかしその時、爆炎の中から3機のストームダートが飛び出してくると、猛スピードでデュランブレイバー達の元へ飛んできていた!

 

『何!?』

『取りこぼしてるじゃねーかよ!!』

『マズいな……今の攻撃で、エネルギーを大分使ってしまったぞ………』

 

向かってくるストームダートに悪態をつくが、4機ともエネルギーを消耗した状態となっていた。そんなことお構いなしに、ストームダートは迫ってくる!

 

『くッ………2人とも、拙者たちの後ろに………』

 

トライフェニックスが草介とクララにさがるように言って2人の前に出た。全員エネルギー残量が少ないながらも、2人を守るべく動いていた。

 

ゴウッ

『!?』

『な、何だ!?』

 

その時である。目の前に巨大な火柱が、いや、それは言うなれば『炎の竜巻』が発生し、デュランブレイバー達と迫ってくるストームダートの間を遮った!

 

「ひぅ!?」

「こ、これは………!?」

 

草介とクララが顔を覆いながら、驚きと困惑の声を上げる。全員の視線が炎の竜巻に集まる中、炎を突き破るようにして中から巨大な影が姿を現した。

 

「ゴアアアーーーッ!!」

『!?』

『こ、こいつは………!?』

 

それは、全身が真っ赤な鱗に覆われた、巨大なドラゴンであった。

全高は22メートルのデュランブレイバーの倍以上もあり、黒い4本の角を頭に携え、何十mもある翼を広げながら雄叫びを上げる様に、草介たちは圧巻されて1、2歩後退してしまっていた。

 

「な、何なんだ……こいつは!?」

『まさか……!?』

 

デュランブレイバーが困惑の声を上げる中、ドラゴンは迫ってくるストームダートを睨むと、大きく息を吸って口内に巨大な火球を生成し、それを一気に吐き出した!

 

『うわ!?』

「ガァアーーーッ!!」

 

火球はストームダートを飲み込むと、一瞬で爆散させる!爆発の衝撃波でその場にいた者たちは顔を歪めていたが、ドラゴンは勝鬨のように大きく咆哮を轟かせた。

 

『一撃で………!』

「流石はドラゴン、あそこまで強いだなんて………」

「いや、いくらドラゴンとはいえ、ここまで大きくて強い個体はそんなに多くは無いはずです………」

『じゃあ、こいつは一体……?』

 

ドラゴンの放った火球の威力に草介たちは圧巻されていた。ちょうどその時、隠れていたらしいキアラが草介たちの前に現れると、出現したドラゴンを見上げていた。

 

「まさか、このドラゴンは………!?」

 

キアラが呟くと、ちょうどその時、遠くからイーグルダイトが飛来してきた。

 

『な、何だ?この美しく神々しい原生生物は?』

外国(とつくに)の賊徒か………」

『喋った!?』

 

ドラゴンが青い目でギロリとイーグルダイトを睨みつけ、地の底から響くような低い声で吐き捨てる。ドラゴンが人語を放した事に驚く一同に対して、ドラゴンは鼻で笑った。

 

「フン、下賤な賊徒が………これ以上この地でのさばるのなら、貴様を焼き払ってくれる。」

『な………!?』

「とっととこの地から去れ!」

 

ドラゴンはイーグルダイトにそう吐き捨てる。イーグルは一瞬言葉に詰まるが、ドラゴンの貫かんとするような視線に、イーグルダイトは冷や汗を流した。

 

『(何というプレッシャーだ……!)……くっ!ここは退こう………!!』

 

イーグルダイトはそう言うとイーグルジェットに変形、スラスターを噴射して空の彼方へ飛び去って行った。ドラゴンはそれを見ると、鼻を鳴らして目線をデュランブレイバー達に向けた。

 

「さて………お主らには礼を言わねばな。此度の事は、誠に忝い。」

『え?』

 

ドラゴンがデュランブレイバー達に礼を述べた。いきなりの事でデュランブレイバー達は呆気に取られていたが、その時、草介はそのドラゴンの赤い鱗と青い目を見て、まさかと思い、息を呑んだ。

 

「(あの目の色………まさか………)もしかしてアンタ、さっきのトカゲか………!?」

「ええ!?」

「いかにも。あれは仮初の姿であり、これこそが我の誠の姿。近くの村の人間やリザードマンからは、『竜神』と呼ばれておるがな。」

 

草介の言葉にクララが驚くと、ドラゴンは頷いて肯定した。それを聞いて、キアラは慌ててその場にひれ伏した。

 

「りゅ、竜神様とはいざ知らず無礼な真似を………ほら、アンタたちも頭が高いわよ!」

 

キアラは草介とクララに頭を下げるよう促すが、竜神は慌てたようにそれを制した。

 

「いや、そんな風に畏まられると、逆にこっちが困っちゃうかなーって………」

『急に口調軽いな!?』

「いや、神と呼ばれている以上、我にだって威厳とかあるし………あの喋り方、結構疲れるし………」

『結構、体裁気にするタイプなのか………』

 

砕けた口調で話す竜神にトライトータスはツッコミを入れた。ノリの軽くなった竜神に草介たちが呆れているのに気付いたのか、竜神は少し恥じたように咳払いを一つした。

 

「コホン………あのトカゲの姿は、我がマナを消耗しすぎた時の休息形態でな。近くにこの地の外から曲者が土足で入り込んできたのを感じ取って目を覚ましたのと同時に威嚇をしたのはいいものの、寝ぼけてペース配分間違えちゃって………一気にマナがすっからかんになっちゃったのよ………」

「それで、あんな姿になってたってわけか……」

 

竜神の言葉に一同は感心と呆れの混じったような表情を浮かべた。

 

「我も神なんて呼ばれているけど、生物には変わらないからなー………それで、マナを蓄えるついでに、余所者の捜索をしようと思って山を下りたものの、つい転んで怪我を負ってしまってな………そこのクララという娘に助けられたのだ。」

「そ、そうだったんですね………」

「お主も、助けてくれて感謝するぞ。」

「い、いえ!そんな……!」

 

竜神はクララを見下ろして礼を言った。クララは慌てたように首を横に振った。

 

「これまでクララと行動を共にしていたのは、周囲の捜索とマナの回復、それに加えて、我が眠っている数百年ほどの間に人間の言葉が様変わりしていたから、それを覚えるためでもあったのだ。」

『なるほどな……』

 

竜神の言葉を聞いて草介たちは納得したように頷いた。竜神は右手で首筋をポリポリと掻きはじめた。

 

「さて、この地を守ってくれたお礼はしないといけないな………」

 

そう言って竜神は右手をデュランブレイバー達に伸ばすと、その手のひらを見せるようにした。手のひらの上には、10cmほどの赤い鱗が7枚乗っていた。

 

「はいこれ、『お礼の品』として受け取ってくれ。あ、1人1枚ね。」

「え?あ、ありがとう……でも、これは?」

「まあ、御守みたいなものだ。無くしたり壊れたりしても、新しいのはあげないから、大事にしてね。」

「私にもですか?特に何もしていないのに………」

「我を信仰してくれてるみたいだしね。」

 

竜神はそう言うと、デュランブレイバー達はその鱗を1人1枚ずつ受け取った。キアラは自分の分もあると知り、戸惑いながらも受け取った。

 

そうすけ は 『りゅうじんのウロコ』 を てにいれた!

 

「………え?何この唐突なRPGみたいな演出!?」

「細かい事は気にするな。」

 

いきなりのRPG的な演出に草介がツッコミを入れるが、竜神はさらりと流した。全員が受け取ったのを確認すると、竜神は数歩下がって翼を大きく広げた。

 

「では、我はこれで失礼する。ああ、そうだ、伝える事があったのだった。」

『え?』

 

竜神は飛び立とうとしたが、何かを思い出したのかデュランブレイバーに顔を向けた。

 

「あの竜巻を起こす機械人形が爆散する寸前、お前たちによく似た気配が抜け出るのを感じ取った。おそらくは、そいつが操っていた本体だろう。」

『何だって?』

『まさか、フューゾニアが………?』

 

竜神の言葉にデュランブレイバー達は訝し気な顔になった。草介たちも考えていると、竜神は翼を羽ばたかせて宙に浮いた。

 

「伝えたいことはそれだけだ。我は竜神山の洞窟にいる。力を貸す以外の用事なら来ても良いぞ。では!」

「うわ!?」

 

竜神は翼を羽ばたかせて飛び立ち、そのまま山の方へと消えていった。草介たちはその後ろ姿を見送りながら茫然としていた。

 

「行っちゃった………」

「まさか、竜神様と直接お会いできるなんて………しかも、竜神様の鱗まで………」

 

飛んでいく竜神の後ろ姿を見送りながら草介が呟くと、キアラは手の中の竜神の鱗を見つめ感動したように呟いた。だが、そこで何かを思い出したのか「あ!」と声を上げた。

 

「そうだわ、さっきの宇宙船の近くで、誰かいたんだったわ………」

「何?」

『宇宙船だって?』

 

キアラの発言を聞いた草介とデュランブレイバーが聞き返した。

 

『隊長、宇宙船の方はオレが行きますんで、一旦ソウスケたち連れて村に戻ってください。』

『ああ、分かった。ニールさんもこっちに向かっているそうだから、そっちに行くように言っておくよ。』

 

トライトータスはそう言うとトータスドリルに変形、先ほどの宇宙船の地点にまで移動を開始した。

 

「じゃあ、私もそっちに行くから。」

「お、おう………」

 

キアラもそう言って草介たちに背を向けて歩き始めた。

 

「………今回は、竜神様を助けてくれたことに免じて見逃すけれど、次に会った時は容赦しないわよ。」

「………ああ、そうだな。」

 

キアラはそれだけ言うと、その場から立ち去った。草介はその背中を見ながら、やれやれとため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと………」

 

それからほどなくして、先ほどの宇宙船の辺りまで戻ったレピオ。後からキアラもやってくると、2人は宇宙船の元へ歩み寄った。

 

「この辺で、誰かいたんだな?」

「ええ、と言っても、髪の毛の一部を見た程度だけど。」

「なるほどな。(竜神の話からすると、機怪魔獣を操ってたのとは別だとは思うが………)」

「グギャギャウ!」「ギギャウ!」

 

キアラからの情報を聞いて、レピオは周囲をキョロキョロと見渡した。ちょうどその時、近くの茂みの方から、リザードマンの鳴き声が聞こえてきた。

 

「何だ?」

「誰か見つけたみたいね。」

 

2人は声のした方に駆け出すと、草むらの向こうで2体のリザードマン(先ほどまでいた者たちのようだ)が、誰かに詰め寄っている様子だった。

 

「ギャギャ、ギキャギャ?(訳:どうしたの、あなたたち?)」

「ギュギャギャッギョキョ!(訳:怪しいやつを見つけました!)」

「ひぅう………」

 

キアラが声をかけると、リザードマンの1体が振り返って返答をした。見てみれば、2体の近くに誰かが尻餅をついて悲鳴を上げているのが見えた。

 

「多分、あの宇宙船の持ち主ね。」

「だな。さーて、一体どんな奴か早速顔を拝ませて………!?」

 

レピオがそう言いながら近づいてその顔が見えたその瞬間、足を止めて固まってしまった。

そこにいたのは、金髪縦ロールで金色の瞳を持った、黒いゴシック調のドレスを着た、怯えた様子の少女であった。

 

「?どうしたの?」

「レ、レピオさん………」

「お前………ピンギィ、か………?」

「え、知り合いなの?」

 

固まった表情のレピオとおびえた少女、ピンギィの様子を見て、キアラは不思議そうにしていた………

 

 

 

 

 

(見つけた………ようやく………)

 

 

 

 

 

そして、その様子を木々の間から見ていたものがいることに、誰も気が付いていなかった………

 

 

 

 

 

【つづく】




ロッティンさんたちの正体発覚。駿騎兵装はまんま対○忍w

たとえ特殊性癖持ちでも、本心から守りたいと宣言するハバキリ。それがデュランの迷いを消す結果となりました。『ライトニングスラッシュ・ローリングビクトリー」は言わずもがなw

トカゲの正体は竜神様でした。最初は威厳がある感じなのに気さくな性格になるのは割とお約束ですね。竜神の鱗の効果はいずれ。

機怪魔獣を操る黒幕の目的はレピオ。そしてラストに登場したピンギィと、それを見つめる謎の人物。次回からはその話がメインになります。
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