異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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第30話 勇者、天空に消ゆ

異世界勇者ロボ 第30話

勇者、天空に消ゆ

 

 

 

 

 

「メンパロン?」

 

昼前のモルホン基地。格納庫でマカロンティーヌちゃんの調整をしていたケイリーは、ヒュージとキリコからの報告を受けていた。

 

「はい、西海岸にある漁村なのですが、魔王軍に一度占領されて、昨日、また襲われかけたとか。」

「現在、ロコロ王国の騎士団、それとソウスケさんたち勇者さんたちが調査に動いているそうです。」

「わざわざ、奪還された漁村をまた襲うなんて、どうして?」

 

魔王軍の動きに疑問を抱くケイリー。ヒュージたち2人も気になっているのか、神妙な面持ちとなっていた。

 

「どうしますか、主任?」

「気になるけれど、マカロンティーヌちゃんの先ほどのテスト運転のデータの集計を優先しましょう。結果はどうだった?」

「はい、レピオさんのメモを元にエンジンの改善をしたところ、エンジンの出力は4倍以上、走力も時速4kmから28kmにまで向上しました。ここまで出力が上がって魔導池の消費がこれまでの1/4になったのだから、とんでもないものですよ………」

「走る速度が上がらないのは、武装の重量が影響していると思われるため、現在改善案を検討中です。しかし、それでも実践投入には申し分ないかと。」

「そう……… (レピオさん、本当にすごい人だわ………あの発想力と知識、技術力、どれをとっても私たち、いや、我が国のはるか上を行っている………)」

 

2人の報告を聞いたケイリーは、顔をほころばせてマカロンティーヌちゃんを見上げた。外見こそ変更点はなかったが、その内部は劇的に改善されていた。

 

「ただ、主任が希望していた『表情を変える機能』は、まだまだ先になるかと………」

「………それは急がないわ。マシンメイルを見て、表情が変えられれば市民への悪い印象も和らぐと思ったんだけど………それで、『プランB』の方はどう?」

 

ケイリーが聞くと、ヒュージが頷いて答えた。

 

「既に完成しています。と言っても、輸送用車両の改造で済みそうだから、当たり前ではありますけど………」

「それでもいいわ。あれが開発されれば、マカロンティーヌちゃんの強化にもつながるでしょうからね。」

 

ケイリーは頷くと、マカロンティーヌちゃんの隣にあるスペースを見た。

そこでは、巨大な車両のようなものに技術士たちが何人も取りついて、作業をしているところであった。

 

「メンパロンか、王国騎士団に何か動きがあったら、いつでも出撃できるようにしておきましょう。」

「「はっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――で、やっぱりメンパロンに行くんだな?」

「ああ。」

 

同じ頃、モルデュア城で草介とデュランは装備を揃えたロンたちと合流していた。歩きながら、一同は会話を続ける。

 

「僕たちが奪還した村が、また魔王軍に襲われかけたからね。いい気分ではないし、気になるからさ。」

「それもそうか。」

「私たちも向かう。バトルトレインに乗っていくか?」

「ああ。ありがとう。」

 

デュランの提案に、ロンは頷いた。向かった先の馬車の前で待っていたフローとシャスティと共に2両の馬車にそれぞれ乗り込むと、馬車は別荘に向けて走り出した。

 

「問題は、連中が何故再びメンパロンを襲おうとしたのか、ってことだ。」

「あそこは、漁をして一部の魚を近くの街に卸すだけの村。ゴブリンが襲う事はあっても、魔王軍がわざわざ機怪魔獣を持ち出してまで襲うような価値は、あの村にはないはず……」

「ゴブリンの忘れ物でも、あったのか?」

「それなら、機怪魔獣をわざわざ持ち出す理由はないと思う。」

 

馬車の中で、カール、フェイ、ドラムが疑問を呟く。ロンも首を傾げ唸っていると、そこで、同乗していたシャスティのGPウォッチが通信を伝え、出てみると草介からであった。

 

[それについて、俺もデュランたちと話していたんだが、可能性としては、『海に面していたから』ってのが考えられるな。]

「海?」

[ああ。恐らく連中は海から何か大きなもの、例えば機怪魔獣とかを運び出そうとしていたんだ。それであの村が邪魔だから、襲おうとしていた、って言うのが、俺たちの考えだ。]

「何という事だ………!」

 

草介の話を聞いたロンが、苦々し気に呟いた。だが、そこでハッと何かに気が付いたように勢いよく顔を上げた。

 

「待てよ?既に僕たちは、イーグルからメンパロンの事を聞いている。だとしたら連中は、もうメンパロンを襲わないのではないか?」

「た、確かに………俺なら、情報の割れた場所をまた襲撃はしない………!」

 

ロンの言葉を聞いて、ドラムも頷いた。全員が顔を見合わせると、フェイが地図を取り出して西側の海岸を凝視した。

 

「メンパロン以外で、大きなものを運び出すのに適した海岸は………!」

 

フェイが呟きながら、地図の海岸沿いを指でなぞる。そして当該する場所を見つけて、声に出した。

 

「メンパロンの南にある、タンセバコ入り江(ベイ)!ここの海岸なら………!」

「よし!目的地はそこだ!」

 

ロンの号令に、一同は顔を見合わせて頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後、占領したリグーン王国の軍港から発進し海底を進んでいた移動要塞型機怪魔獣ザラートレスC3は、目的地に向けて移動をしていた。

 

「この調子だと、タンセバコまで1時間ってとこだな。コイツやグリフォンバーは移動要塞型と爆撃機型だけあって、コストがバカにならないんだよなー………なるべく失敗はしたくねーな………」

 

ザラートレスの艦橋(ブリッジ)でボヤキながらも、操縦を続けるティラノ。その時、計器がけたたましいアラートを発する。ガラス越しに前を見てみれば、暗い海底の目前に10m近い岩が海底から突き出しているのが見えた!

 

「何ぃいーーー!?」

 

慌てて操縦桿を右に切り、岩にボディを擦りながらも間一髪で回避をした!

 

「あ、危なかったぁー………!」

 

ティラノはふうー、と息を吐いて額の汗を拭うと、自身も右前のコンソールに付いていたゾロゾロイドを睨んだ。

 

「おい!ソナーの担当はお前だったよな!?何で気づかなかった!そして教えなかった!!」

『ギギ、ウィーン………』

 

怒鳴って来たティラノに、そのゾロゾロイドは申し訳なさそうに後頭部に右手を当てながらペコペコと頭を下げた。ティラノは悪態をつきながらも、コースの修正をして目的地へと急いだ。

 

『ギチチチ………』

 

しかし、今のトラブルのさ中、ザラートレスから外部に向けて探知電波が短時間発せられていたことに、ティラノは気づかなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、タンセバコ入り江に向けて発車したバトルトレイン内では、デュランたちが話し合っていた。

 

「タンセバコまで、およそ40分といったところか………」

 

運転席で操縦するニールは、セットしたGPデバイスのマップを見ながら到着時間を予測する中、客車内ではデュランたちが作戦会議を行っていた。

 

「では到着後、我々は周囲の捜索、ハバキリはフェニックスジェットで空から、レイェンはタイガーアクアで海中を捜索してくれ。」

「ああ。」「御意。」「分かったアル。」

 

デュランが指示を出すと、草介たちはそれぞれ頷いた。しかし、とロンが切り出した。

 

「海から何かを運び出すとしたら、一体何を?」

「考えられるのは、海底を移動する乗り物で大量の兵士か、或いは巨大な機怪魔獣。」

「おそらくは後者だろうな………」

 

ロンの言葉にフェイと草介も頷きながら答える。デュランも同意見と頷くと、その時、フェイは振り返って後ろの車両の方を振り返った。

 

「どうした?」

「後ろから物音がした。」

「何?」

 

フェイの言葉に草介たちは首を傾げるが、フェイは客車の方を見つめたかと思うと、眼鏡のレンズ横に右手を当てると、レンズの周囲に小さな魔法陣が複数展開した。

 

「それは?」

「探査魔法。生命反応を探知できる………後ろの車両に、生命反応が一つ。密航者。」

「何だと!?」

「待て。」

 

フェイの言葉に一同は声を上げる。ロンたちは得物を手に後部車両に向かおうとするが、それをレピオが前に立って止めた。

 

「あー………オレ1人で行く。」

「レピオ?」

 

顔を引きつらせながら止めて後方車両に続くドアに向かうレピオ。ロンたちは小首を傾げていたが、そこで草介はある事に気が付いた。

 

(待てよ?密航できる隙があるとしたら、ブレイベースの格納庫内で、発射前の時間………だとしたら………)

 

草介が密航者の正体に思い当っている頃、呆れたようにため息をついたレピオが後部車両に入ると、物陰に隠れた人影、金髪縦ロールに長い触手の下半身の少女―――ピンギィの姿を見つけた。

 

「何やってんだよ、ピンギィ………」

「レ………レピオさんが、心配で………さっきの合体の失敗のこともありますし………」

「だからって、隠れてついて来るなよ………」

 

申し訳なさそうにするピンギィの返答に呆れた様子で返すレピオ。ピンギィは物憂げな表情で俯いた。

 

「とりあえず、みんなには大丈夫だからって伝えとくから。」

「は、はい……」

 

それだけ言うと、レピオは後頭部をかきながら車両に戻って行った。

 

「うん、大丈夫。ピンギィ、オレの知り合いだったからさ………」

「ああ、昨日言っていた………」

「やっぱりか………」

 

レピオが車両に戻って説明をすると、ロンたちはホッとしたような顔になり、草介たちも納得したような表情を浮かべた。レピオは少し気恥ずかしそうにしながらも、アルスに声をかけた。

 

「わりーけど、オレらが外いる間、あいつのこと頼めるか?さすがにここに1人置いてくわけにもいかないし………」

「りょ、了解であります………」

 

アルスはそう答えると、後部車両のピンギィの元へと向かって行った。レピオはため息をつくと、悪かったな、と頭を下げた。

 

[デュラン、いいか?]

「どうした?」

 

その時、運転席のニールから通信が入った。

 

[今、西の方向から電波が発信された。機怪魔獣の通信に使われているタイプの周波数だ。]

「なんだって?」

 

デュランが声を出した瞬間、車内の空気が一瞬で張り詰めた。

 

[すぐに消えてしまったが、場所はタンセバコ入り江から十数km沖合の沖合だ。]

「やはり、海底を移動していたのか!」

 

ロンが叫んで右拳を左手に打ち付ける。しかし、当のデュランはその情報に違和感を覚えていた。

 

「だが、海底を密かに移動していた奴が、自分の居場所をバラすようなヘマをするのか………?」

「確かに………」

「それを考える暇はない!このままでは魔王軍の進撃を許すことになってしまう!」

 

デュランの疑問に、ロンが焦りながら返す。デュランと草介は疑問を持ちながらも、一路タンセバコ入り江を目指して速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

陸を目指し進行するザラートレス内でティラノは、海上でこちらに向かってくる機影を発見した。サイズからして列車、バトルトレインであると直ぐに察する事ができた。

 

「連中め、もう来たのか………」

 

ティラノは小さく毒づくと、偵察用に海面付近を泳がせていた小型機怪魔獣・レモラッチG1(頭部に一つ目の様にカメラのレンズがはめ込まれた、オコゼを思わせる凶悪な顔の魚型の機怪魔獣)からの映像をブリッジの大型モニターに映し出した。モニターには、こちらに真っ直ぐ向かってくるバトルトレインが映っていた。

 

「あいつら、なんの迷いもなく真っ直ぐこっちに………?」

『ウィーン………』

 

バトルトレインの動きを見たティラノは、まるでこちらの位置が分かっているかのようなその動きに疑問を抱いた。なぜか、とティラノが考えていたその時、右前方にいたゾロゾロイドが、計器を操作していることに気が付いた。

 

「?おい、何勝手に操作している?そんな命令はしていないぞ?」

 

ティラノが咎めるが、ゾロゾロイドは止まらない。ティラノは何かおかしいと思い、ゾロゾロイドに近づいて止めようとした。

 

「おい!聞いているのか!?うお!?」

 

ティラノがゾロゾロイドの肩を掴んで止めようとしたその時、ブリッジ全体が揺れ始めた!ティラノがバランスを崩して床に倒れこんでしまい、腰を強く打ったのか、腰を抑えながら立ち上がった。

 

「な、何だ………!?」

 

ティラノが周囲の様子を見渡すと、ザラートレスが振動しながらも浮上し始めていることに気が付いた。

 

「こ、こんな所で、ザラートレスが浮上を始めているだと!?テメー、何を………!?」

 

ティラノがゾロゾロイドを問い詰めようとするが、振り返ったゾロゾロイドはティラノを睨みつけるように目を赤く光らせる。ティラノは一瞬たじろいだが、しかし、気が付けば他のゾロゾロイドたちも、ティラノを取り囲んで目を赤く光らせていた。

 

「な、何だ、お前ら………!?」

『ソイツらとこの機怪魔獣は、ボクのコントロール下にあるんだよ………低コストのために簡易AIにしていたから、簡単に支配できたよ………』

「何!?」

 

ティラノが困惑する中、ザラートレスの通信機からどこか神経質そうな男の声が聞こえてきた。ティラノがモニターに振り向くと、画面がノイズ交じりに切り替わり、その向こうに顔の見えない黒い影が映っていた。

 

「お前は………!?」

『やっと見つけたんだ………()()()を潰すついでに、キミらの邪魔をしてあげるよぉ………キミらに怨みがないわけじゃないからねぇ………!!』

 

男は興奮を抑えきれない様子でそう言うと、画面がブラックアウトした。呆然とするティラノであったが、ザラートレスの浮上を止める術もがなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトルトレインはタンセバコ入り江まであと少し、海が見える距離まで来ていた。

 

「まもなく、タンセバコ入り江だ。」

「では、先ほどの電波の発生地点付近を中心に捜索しよう。ハバキリ、先に出動して―――」

 

デュランが指示を言いかけたその時、運転席のニールから慌てた様子で通信が入った。

 

[デュラン!海底から何か巨大なものが浮上してくるぞ!]

「何!?」

[そっちに映像を出すぞ!]

 

ニールがそう言うと、デュランのGPデバイスのモニターに海が映し出された。その時、海面が大きく盛り上がったかと思うと、爆ぜるようにして海底から巨大なものが浮上してきた!

 

「こ、これは……!?」

 

モニターに映し出されたものを見て、デュランたちは驚愕した。海の底から現れたのは、高さ62メートル、幅が200mもある、巨大な「山」のような機怪魔獣であった。山の「頂」に当たる部分にはブリッジのキャノピーらしきものが付き、下の方には鋭い目つきの大きな顔、左右には蟹のような巨大なハサミを持った前足が生えた、巨大な『カメ』のような機怪魔獣であることが分かった。

 

「何てデカさだ………!」

「デュランブレイバーの3倍はあるぞ………」

「あれを上陸させるために、メンパロンを襲おうとしていたのか………!」

 

浮上した機怪魔獣に唖然とする一同。すると、機怪魔獣の頭部の上辺りの甲羅が一部展開した。どうやら機怪魔獣の発進口になっているらしく、奥から1機の機怪魔獣が顔を出した。

猛禽類を思わせる鳥の頭部に大きなジェット機の翼を持った四足歩行の機怪魔獣であり、翼や背中、前足に大小のミサイルを配備、首元にも4連ミサイルランチャーを装備した機怪魔獣であった。

 

「何だ、あの機怪魔獣は!?」

「見るからに爆撃機タイプの機怪魔獣だ……!」

「爆撃だと………!?」

 

出現した機怪魔獣を見てレピオとデュランが声を上げる。それを聞いたロンは、敵の目的を察した。

 

「もしや、連中は我が国の要所を攻撃しようとしているのか………!?」

「いや待て、様子がおかしくないか………?」

「何?」

 

草介がそう言った時、機怪魔獣の更に奥から真っ赤な梯子消防車が出てきた。草介はそれがゾミクノーチで見た、六魔獣将のティラノのビーストメイルであると気づくが、機怪魔獣はそれを掴むとジェットエンジンを噴射させてハッチから飛び立ち、海岸まで飛行するとポイ捨てするかのように放り投げた!

 

「ええ!?」

「何だあの投げ方………?」

 

機怪魔獣の行動に驚く一同。しかし、機怪魔獣はこちらを睨んだかと思うと、首元のミサイルランチャーを発射してきた!

 

「マズい!?」

「チィッ!!」

[自動迎撃システム、起動します。]

 

ニールは咄嗟に機器を操作すると、客車の屋根の1部が跳ね上がり、二連装のビーム砲が展開、ビームを放って空中でミサイルを撃ち落とした!ミサイルを撃ち落されたにも関わらず、機怪魔獣は飛び立ってこちらに向かってくる!

 

「ヤロー!何のつもりだ!?」

「ハバキリ、フェニックスジェットでヤツを引き付けてくれ!ニールさん、一度我々をあの消防車の辺りに降ろしてくれ!」

「御意!」[分かった!]

 

デュランが指示を飛ばすと2人は即答、ハバキリは後方のキャリアー車両に走り出した。

程なくしてフェニックスジェットが発進をすると、機首からのバルカン砲を機怪魔獣にむかい放つと、機怪魔獣は標的をフェニックスジェットに変更したのか機首をそちらに向けて飛び立った。

 

「よし、今の内だ。」

 

ニールはそう言って、バトルトレインの進行方向をタンセバコ入り江の浜辺に横たわったティラノラダーの元に変更をした。

 

バトルトレインが到着したちょうどその時、草介たちの目の前でティラノラダーのドアが開いた。

 

「く、クソ~………何なんだよ、いったい………!?」

 

中からはい出てきたのは、顔や腕に傷を作ったティラノであった。傷を庇いながら出てきた彼の姿を見て、草介は声を上げた。

 

「お前はティラノ!?」

「あ、お前ら!?」

 

ティラノがデュランたちに気づいて驚く。草介やロンたちは武器を構えながら、ティラノに問いただした。

 

「ティラノ、だったな?初めまして。一体何があったんだ?そんなボロボロで?」

「チッ………王都爆撃のためにザラートレスC3に爆撃機機怪魔獣グリフォンバーC1を搭載して密かに移動していたんだが、何者かに機怪魔獣を乗っ取られて、俺は追い出されちまった、って訳だ………お恥ずかしいことにな………」

「王都爆撃だと!?」

「それで機怪魔獣乗っ取られたって………」

「割とマヌケ。」

「ぐっ………!!」

 

悔し気に話すティラノの説明を聞いてロンは憤りを見せるが、草介は呆れた様子でため息をつき、フェイは冷静にポツリと一言言うと、ティラノは痛い所を突かれたのか顔を引きつらせた。

 

「ってことは、あの機怪魔獣たちは、お前らのコントロールから外れているのか………」

「昨日のイーグルの時と同じだ!」

「じゃあ、同一犯ってことか!!」

「おそらく、機怪魔獣には例の『リモートゲル』が使われている可能性があるな………それなら、ティラノがコントロールできないのも無理はねーか………」

 

草介たちがこの事件が昨日のイーグルの時と同じと気づくが、その時、上空で爆発音が聞こえて見上げると、機怪魔獣グリフォンバーC1がミサイルを発射して、それをフェニックスジェットが撃ち落したところであった。海の方に目を向けてみれば、移動要塞型機怪魔獣ザラートレスC3がこちらに向かって来ているのが見えた。

 

「………親切心で忠告しておいてやるが、あのグリフォンバーは王都爆撃のために、大量のミサイルや爆弾を積み込んでいる。下手に攻撃して爆発なんてしたら、ここいら一帯消し飛ぶぞ………」

「何だと!?」

「悪いが、今のでティラノラダーは動かせそうにない………後の事は頼む………」

「丸投げすんなよ!?」

 

ティラノが少し俯き気味に身勝手な事を言うと、レピオがツッコミを入れた。だが、今はティラノに構っている暇はなさそうだ。デュランはすぐに指示を出した。

 

「レイェン、あの移動要塞を頼む!レピオは私と一緒にハバキリを援護だ!」

「「「了解!」」」

「ソウスケたちは客車に戻っていてくれ。ニールさん、いざとなったらこの場から離れてくれ!」

「わ、分かった!」

 

デュランの指示を受けて、一同は返事をして動き出した。

 

「まったく、仕方がないとはいえ、機怪魔獣相手では無力なのはやるせないな………」

「機怪魔獣との戦う術はいくつかあるが、今回は相手が悪いな………」

「王都を容易く消し飛ばせる爆弾を積み込んでるようなヤツだもんな………」

「今は耐える時。デュランたちに任せるしかない。」

 

移動する中、ロンたちは少し悔し気に呟いた。草介やフローも同じ思いなのか、その顔には優れなかった。全員が客車に乗り込むと、バトルトレイン後部のキャリアーからデュランカー、トータスドリルが発進し、タイガーアクアが海に向けてカタパルトで射出された。

 

「「「フュージョイン!!」」」

 

発進してすぐに3人ともフュージョインを果たすと、瞬時にロボットモードにチェンジした。

 

『ブレイバード!!』

 

デュランダーは直ぐにブレイバードを呼び出すと、天に向かって額から光が放たれた。ほどなくして、空気を斬り裂くようにブレイバードが飛来し、デュランダーはその背に飛び乗ってグリフォンバーと戦うフェニックスジェットの元へと飛んで行き、タイガーアクアは海上のザラートレスの元へ向かった。

 

『シェルバズーカ!!』

『待て!迂闊に攻撃をするな!』

『動きを封じるだけです!』

 

トライトータスがキッコウシールドからシェルバズーカを展開してグリフォンバーを狙い撃とうとする。デュランダーが止めようとするが、トライトータスは短く応えて引き金を引くと、銃口から弾丸らしきものが発射されグリフォンバーの翼に着弾!

 

『む!?』

 

その瞬間、砲弾が破裂して中から液体状のものが噴き出してグリフォンバーの両翼に付着、瞬時に固まってジェット噴射を阻害した!

 

『あれは………』

『宇宙ステーションや宇宙船の外壁修復に使われる、瞬間硬化リキッドか!』

『こんな事もあろうかと思って、何個か積んどいてよかったぜ!』

 

フェニックスジェット内のハバキリとデュランダーが驚きの混じった声で感心する中、トライトータスはニヤリと笑ってみせた。推進力を失ったグリフォンバーは地上に向けて落下を始めた!ハバキリは直ぐにフュージョインを果たすとトライスザクにチェンジして、その鉤爪で落下するグリフォンバーを掴み、地面への衝突を回避した。

 

『あ、危なかった………落下の衝撃で爆発したら、一大事だぞ………』

『あ、ゴメン………』

『だが、飛行能力を封じる事が出来たのは、大きいってこら!暴れるな!』

 

デュランダーが汗をかけないというのに額の汗を拭う仕草をすると、トライトータスは苦笑しながら短く謝った。一方で、トライフェニックスに捕えられたグリフォンバーは藻掻いてトライトータスの目の前に降りると、睨みつけるように目を赤く光らせてきた。

 

『何!?』

 

次の瞬間、グリフォンバーはトライトータスに狙いを定めると、一直線に飛びかかって来た!トライトータスは咄嗟にキッコウシールドで防ぐが、前足の鉤爪で掴んでくる!

 

「トライトータス!」

「やっぱり狙いはトライトータス………いや、レピオか!!」

「何のために………!?」

 

トライトータスが重点的に攻撃を受けているのを見た草介たちが、グリフォンバーの狙いがレピオである事に気づく。その点に疑問を抱くが、後ろにいたニールは敵の正体に感づいていた。

 

(レピオを狙うような相手………もしや、『あの件』の関係者か………?)

「おい、アイツ変じゃないか!?」

 

ニールが考えを巡らせていたその時、草介がグリフォンバーの様子を見て叫んだ。見てみれば、グリフォンバーの赤く光る目が、ゆっくりと点滅を開始していたのだ。

 

『あれは………?』

「マズい!あれは自爆装置が作動した合図だ!!」

『何だと!?』

 

グリフォンバーの目を見たティラノが叫ぶとデュランダーが驚きの声を上げ、草介たちは顔を青ざめさせた。

 

「じ、自爆って………!?」

「そこまでしてレピオを!?」

「ニ、ニールさん!早くここから………!!」

「間に合うのか?今から動いて………!?」

 

フローたちが慌てる中、草介がニールに叫ぶ。ニールも運転席に走るが、ロンは不安を呟いた。外のデュランダーも同じ考えなのか、下唇を噛む。

たとえ自分たちのマシンメイルが無事でも、近くにいる草介たち、それだけではなく、メンパロンを含めた周囲の住民に大爆発の被害が及んでしまうだろう。

 

『コイツ………!!』

『ど、どうすれば………!?』

『………(手段があるとすれば………)』

 

トライトータスが悪態をつき、トライスザクが焦りの声を上げた。そんな中、デュランダーは黙ってグリフォンバーを見つめていたが、一瞬目を閉じるように両目から光が消えたかと思うと、何かを決意したのか、意を決したように眼光を鋭く光らせた。

 

『………ええい!やるしかない!!ギガコンバイン!!』

『隊長!?』「デュランダー!?」

 

デュランダーが叫ぶとブレイバードから飛び上がり、ブレイバードとデュランダーが変形をして合体シークエンスに入る。そして瞬時にデュランブレイバーに合体をすると、グリフォンバーに向かって飛びかかり、掴みかかってトライトータスから引きはがした!

 

『隊長!!』

 

トライトータスが叫ぶのも聞かず、デュランブレイバーはグリフォンバーを掴んだまま、スラスターを最大に吹かして上空に飛び上がった!

 

「デュランブレイバー!?」「まさか!?」

 

デュランブレイバーの意図に気づいたフローと草介が悲鳴にも似た叫びを上げた。デュランブレイバーは周囲に向けて通信を入れた。

 

『このままコイツを被害の及ばない上空で爆発させる!ニールさん!後は頼みます!!』

「デュランブレイバー!!」

『隊長!』

『危険だ!やめてくれ!!』

 

草介やトライトータスが悲痛な叫びを上げる。トライスザクが追いかけようとするが、エンジンの馬力が違うのか、デュランブレイバーに追いつけず、はるか上空まで飛んでいくデュランブレイバーの背中に叫ぶしかできなかった。

 

『うおおおおおーーーーーーッ!!』

 

デュランブレイバーが叫び声を上げたその瞬間、グリフォンバーの目が真紅に光り―――

 

 

 

 

 

ドォオオーーーン

 

 

 

 

 

空が白く染まるほどの閃光が放たれ、一瞬後につんざくような爆発音が轟いた………!

 

『ぐぅう………!!』

『あれは………!?』

『隊長ーーー!』

「デュラァアーーーン!!」

 

タイガーアクア内で上空の爆発に気づいたレイェンが唖然とし、トライスザクは爆発の衝撃に落下しそうになる中、その場にトライトータスと草介の叫び声が響いた………

 

 

 

 

 

【つづく】




マカロンティーヌちゃん、順調にパワーアップ中。実は最初、マカロンティーヌちゃんはボスボロットのつもりで書いてたんだけど、途中でセブンガーっぽい気づいてからは、そっちも意識するようにしています。

王都爆撃作戦を進める中、ザラートレスC3を乗っ取られる上に外にポイ捨てされるティラノ。自分の中では残忍な性格のはずなんだけど、何か不憫なキャラになってますね………

グリフォンバーC1、ネーミングは会心の出来だし全身ミサイルのロマン機で主人公機を生死不明にした功労者なんだけど、出番少なくなっちゃって残念。今後再登場させようかな。

実は、21話から『トライヤーズ編』としており、トライヤーズの各メンバーをメインにするべくデュランを戦闘不能にしたり別行動させていたのですが、今回は生死不明にするという究極系。

大ピンチのまま次回に続きます。
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