異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ 第31話
吼えよ、玄武
移動要塞型の巨大機怪魔獣ザラートレスC3と爆撃機型機怪魔獣グリフォンバーC1による王都ロシロ爆撃計画を進行していたワルンダイツ。
しかし、レピオを狙う何者かにより機怪魔獣は乗っ取られてしまい爆撃計画は失敗、更に、自爆を仕掛けてきたグリフォンバーと共に、デュランブレイバーは遥か空の彼方で爆発に消えてしまった………
『隊長………』
「そんな………」
「お兄ちゃん………!」
デュランブレイバーが遥か上空で自爆するグリフォンバーと共に爆炎に消えた事に、草介たちは言葉を失っていた。
『オ、オレのせいで………隊長が………!』
『くッ………い、いや………これはお前のせいでは………』
膝から崩れ落ちるトライトータスに、変形して地上に降り立ったトライフェニックスが話しかけるが、その顔には悔しさが滲み出ていた。
「デュラン………まさか、本当に………」
「こんな………!」
「……ッ!」
フローとシャスティが呆然とした表情で呟いた時、ニールは運転席で拳を握りしめた。しかしその時、レイェンからの通信が入ってきた。
[ま、マズいネ!こっちのデカい方が止まらないアル!!]
「何!?」
デュランが消えた事に呆然としていた一同であったが、ハッと我に返って視線を沖の方に向けると、未だ健在のザラートレスC3が、進軍を続けていた。
[アタシの武装だけじゃあ、コイツを止めるのは難しいアル!]
「くそっ!悲しむ暇すらくれねーのかよ………!」
「あんなの、どうやって止めれば………!?」
草介はそれを見ると、小さく舌打ちをした。デュランがいない今、ザラートレスを止める手立ては草介たちには思いつかなかった。草介が悔し気にザラートレスを睨むが、その時、ある事に気が付いた。
「ハッチが開きっぱなし………?」
「え?あ、本当だ………!?」
草介の言葉に、ロンたちも気が付いた。確かに、ザラートレスの頭部の上部、グリフォンバーが発進した装甲のハッチが開いたままになっていたのだ。そこで、フローは口を開いた。
「あそこから乗り込めば、内部からあの要塞を止められるかも………」
「でも、あんな風に開けたままなんておかしい。おそらく罠………」
「確かに………」
フローの作戦は確かにあの要塞を止められる可能性はあるが、罠の可能性をフェイが指摘した。ロンやドラムも頷いて同意する。悩んでいる中、ザラートレスの装甲がいくつもスライドするように展開し、中から無数のビーム砲が顔を出し、こちらに向けてビームを発射してきた!
「うわあ!?」
『悩んでる暇もねえ!ニールさん!あの中に突っ込もうぜ!』
「あ、ああ!それしかないな!みんな捕まっていろ!これより、あの要塞に突入する!」
「ああ!」「分かった!!」
トライトータスの呼びかけにニールが頷いた。客車の草介たちに叫ぶと、雨霰のように飛んでくるザラートレスのビームを掻い潜りながらバトルトレインをザラートレスに向けて突っ込んで行く!
『我らも行くぞ!』
『おう!』
トライフェニックスはトライスザクへ変形すると、その両脚にトライトータスが捕まってバトルトレインを追うように飛んで行く。
レイェンはタイガーアクアとフュージョインをすると、海中でトライビャッコに変形し、ザラートレスに飛びついて、装甲を登ってハッチに向かって行った。
†
残されたデュランダー隊がザラートレスに向かっていく中、ティラノラダーと共に取り残されたティラノは、どこか冷めた目で一連の出来事を見ていた。そこに、上空からジェットエンジンの音が聞こえてきたので見上げてみれば、イーグルジェットが飛んでくるのが見えた。
[ティラノ、迎えに来たぞ。]
「イーグルか。」
イーグルと軽く通信をすると、イーグルジェットの機体下部からワイヤーにつながったクレーンが降りてきてティラノラダーと固定、引き揚げてドッキングを果たした。
「お前らしくない、醜い失態だな?」
「それはお互い様だ。だが、図らずもブレイバーを始末出来たのは幸運だ。」
「確かに。美しき誤算だ。」
イーグルジェットのコックピットに移ったティラノは、イーグルと笑い合っていた。
「それはそうと、デスダイト様から「この場は連中に任せて、一旦帰還するように」との命だ。ティラノラダーも故障しているだろうしな。」
「分かった。こればかりは仕方ないな………」
イーグルから言われて、少し悔し気に答えるティラノ。ティラノラダーとドッキングしたイーグルジェットは、戦場と化したタンセバコ入り江から離脱すべく飛び立った。
†
ザラートレスへ突入すべく、バトルトレインはビームを掻い潜りながら進んで行く。
「くそ!なんて数のビームだ!!」
「この中を突っ切るのは、冗談抜きで命がけだな………!!」
「できれば二度と経験したくない………!」
ビームを掻い潜るバトルトレイン内で、草介やフェイは冷や汗を垂らしながら呟いた。その時、ビームの1発がバトルトレインに向けて飛んでくる!
『させるか!!』
しかし、トライトータスがトライスザクから飛び降りてキッコウシールドを構えるビームを防御!防いだ際のノックバックの勢いで、バトルトレイン後部のキャリアーの上に着地した。
「トライトータス!」
「すまん!」
『いえ、これくらい!』
『このまま突入するでござる!』
ニールとトライトータスが短く会話をする中、ザラートレスのハッチまで目前となった。ニールはラストスパートとばかりにレバーを思いきり倒し、一気に加速させ最大速度でハッチに突っ込んでいく!それに続いて、トライスザクとトライビャッコもハッチに飛び込んでいった。
「到着!急ブレーキに備えろ!」
「ぐうう………!!」
ニールが急ブレーキをかけると、バトルトレインは火花を散らして急停止!次いで、トライスザクとトライビャッコもハッチ内に転がり込み、急停止したバトルトレインと並び立つと、キャリアーから降りたトライトータスが客車に向けて声をかけた。
『ソウスケ、無事かー?』
「な、何とか………」
若干痛そうな様子の声で草介が答える。後ろでは頭や腰を抑えたフローやロンがふらつきながら立ち上がっていた。トライトータスはその様子を見て小さく笑みをこぼすが、ザラートレスの格納庫を見て、既視感を覚えた。
『これは………』
『どうした?』
トライトータスの異変にトライフェニックスが問いかけるが、その時、格納庫奥のドアが開き、ゾロゾロイドが何体もなだれ込むように飛び出してきた。
「手厚いお出迎えだな………」
「倒して行くしかないな!」
草介やロンは客車から出て腰の剣に手をかけてゾロゾロイドを迎え撃とうとした。トライヤーズもビークルにそれぞれ変形してフュージョンアウトしてメンバーに加わり一触即発の雰囲気となるが、しかし、客車の窓が開いたかと思うと、中から声が聞こえてきた。
「み、みなさん、さがって!」
「ピンギィ?」
中から聞こえてきたピンギィの声に草介たちが振り返ると、窓から大きなパラボラアンテナのようなものがヌッと顔を出したのが見えた。
「なんだ!?」
草介が驚くのもつかの間、アンテナからゾロゾロイドに向けて「キーン」という耳鳴りのような音波のようなものが発せられ、ゾロゾロイドたちはその耳障りな音に動きを止め、まるで油か、あるいはエネルギーのどちらかが切れたかのように動きが鈍くなり、ついには次々と動きを止めて倒れていく!
「これは………!?」
「そうか!特殊低周波か!」
すべてのゾロゾロイドが倒れるのを見て草介たちが困惑する中、レピオはピンギィが何をしたのかをすぐに理解した。すると、アンテナの陰から顔を出したピンギィが、解説を始めた。
「リ………リモートゲルの、特性………0.033メガヘルツの、特殊低周波を浴びると硬化して、付着した機械の機能を………かん、完全に停止、させてしまい、ますの………」
「リモートゲル対策に用意していてくれたのか………!」
「ありがとうな、ピンギィ!」
「い、いえ………」
草介が感心しレピオが礼を言うと、ピンギィはアンテナの陰に隠れてしまった。
「さーて、これで楽にこいつのブリッジに行けるな………」
[流石だな………やはりリモートゲルに気づいていたか………]
「「「!?」」」
草介たちがザラートレスのブリッジに向かおうとしたその時、突如として格納庫に声が響いた。周囲を見渡していると、壁に埋め込まれたモニターが点いて、ノイズ交じりの歪んだ画面が映し出された。
[フフフ………ヒヒヒハハハ………]
画面の中で笑い声が響いたかと思うと、画面はノイズと歪みが直って行き、男性の顔になった。
[ヒヒヒ………この星の人と、銀河連邦警察の人は初めましてだねぇ………!]
映し出されたのは、少し癖のある深緑色の長髪に眼鏡をかけた、頬が少し痩せこけた神経質そうな男の顔であった。
「お前が犯人か!!」
「この機怪魔獣にフュージョインしているようだな………」
「誰だお前は!?」
[ボクかい?ボクはビュニー………近い将来、『偉大なるエンジニア』と呼ばれるはずだった男さ………]
「ビュニー………?」
ビュニーと名乗った男の移る画面を訝しめに睨む草介。すると、レピオは手斧を突き付けて怒鳴った。
「てめー!こんな事して何が目的だ!?」
[何が目的、だってェ………?]
ビュニーはそれを聞いて顔をピクリと動かしたかと思うと、ギロリと恨みの籠った眼で彼女を睨みつけた。
[それはァ!オマエがよォぉく知ぃイっているハズなんだけどねぇ!?オマエのせいで!せっかァァアく入社したハーキュリー重工業が倒産したんだぞ!あれだけ苦労して!ようやく入れたっていうのにィイーーー!!]
「何ぃ?」
「ハーキュリー重工業だと?」
ヒステリックに叫ぶビュニーに、草介たちは呆気に取られながらも聞き覚えのある社名に驚いていた。
「お前、ハーキュリー重工業の社員だったのかよ?」
[そうだよォ!頑張って新卒で入社したっていうのにィ!入ったその年度末に『オフューカス』が内通したせいで社長が逮捕なんていうスキャンダルが起きて倒産しちまったのさ!ボクの輝かしい未来が潰えてしまったんだよ!あの『オフューカス』のせいでねェエーーー!!]
「それは、気の毒というか何というか………」
「でも、それが何でレピオのせいになるネ………?」
ビュニーが発狂したかのように叫ぶのを見て憐れむ一同。だが、それで何故レピオを狙うのかがわからない。チラリと草介がレピオの方を見てみれば、どういうわけか愕然とした顔で冷や汗をかいていた。
「レピオ?」
「どういうことなんだ………?」
「そ、………それは………」
レピオが冷や汗をダラダラと流し言い淀んでいた。背後の客車の窓からピンギィも気まずそうに見つめていると、少し落ち着いたらしい画面のビュニーが肩で息をしながらそれに気が付いたのか、小ばかにしたように笑いながら口を開いた。
[なんだァ、教えてなかったのか?]
[自分が
「ッ………!!」
「………は!?」
「え!?………え!?」
「ハーキュリーの社長が………!?」
ビュニーが明かした事実に、草介たちは信じられないという表情で画面のビュニーとレピオを交互に見やった。これまで共に行動していたハバキリとレイェンですら知らなかった事実に困惑が走った。
「あいつ………余計なことを………!」
「い、いや、だが、『オフューカスのリーダー』とは、どういう………?」
ニールが苦々しい顔をして呟き額に手を当てて首を左右に振る。ハバキリが困惑しながらも疑問を口に出すと、ビュニーは続けた。
[ボクも知った時は驚いたよォ………何度か会社で見かけたことはあったけど、その時は社長であるお父さんの職場を見学に来た程度にしか考えてなかったからねェ………謎の覆面メカデザイナー『オフューカス』………その正体は、天才的頭脳を持った13人の少年少女で構成されたメカニックデザイナー集団………そして、そのリーダー格で『サーペント0-Ⅹ』を開発したのが、そこの社長令嬢というわけだ………]
「なんと………!」
「どうりで、あのエンジンやハーキュリー重工業のメカに詳しかったわけだ………」
ビュニーが続けて明かした事実に、ハバキリや草介はどこか納得していた。レピオは何も言えずその場に立ち尽くしていたが、ビュニーはそれに構わずに話を続けた。
[ああ、そうそう、そこで隠れているハリケーン社の令嬢!ソイツもメンバーの1人だったな!ついでにエサとして利用させてもらったよ!]
「ピンギィも!?」
「そういえば、昔同じグループに所属していたって………!」
「ッ………!!」
一同はピンギィの隠れた客車の方を振り返った。ピンギィは隠れながら体をびくりと震わせた。
[ボクはねェ!オマエラが許せなかったんだよ!ボクの未来を潰したヤツラに復讐をしないと、気が済まないんだよねェ!!まずはリーダーであるオマエを痛めつけてェ!後の11人も見つけ出して!ボクの気のすむまでボコボコにしてやるのさァア!!]
「な、なんと身勝手な………!?」
「そんなことのために、ここまでのことを………!?」
「そのせいで、隊長は………!!」
「もはや、救いようもない………!」
ビュニーの言動に、草介たちは言葉を失う。草介が悪態をつくと、俯いて立ち尽くしていたレピオが、はぁー、と大きく息を吐くと、イラついたように頭をかきむしった。
「………ったく、人が話し辛かったことをベラベラと喋りやがって………」
「レピオ………」
レピオが顔を上げて口を開くのを見て草介たちの視線が彼女に集まる。レピオは背中の手斧をビュニーに突き付けた。
「お前の境遇には同情するし、倒産にオレたちが関わっていないわけじゃあない………だがな、それでお前が破壊行動をしていい理由にはならねー!お前は許されない事をした!逮捕する!」
レピオが宣言するかのように叫ぶ。ビュニーは血走った目で睨み返してきた。
[許さない?逮捕?何を偉そうに!ボクはオマエにつかまる道理はないんだよ!!]
「いや、普通に危険兵器使用と破壊行為、後、公務執行妨害も適用されるからな?」
「真っ当な罪状!!」
「動機はともかく、やってることはテロまがいどころかその物だもんな………」
[そォれが何なんだよォ!オマエらに復讐できるなら!犯罪だろうとなんだろうと知ったことじゃないんだよォ!!]
ビュニーが叫んだ瞬間、ドアの奥からゾロゾロイドの軍団がまた現れた!
[言っておくが、ソイツラはリモートゲルではなく、この機怪魔獣の電波で操っている!さっきの特殊低周波は効かないぞ!]
「流石に同じ手は2度食らわぬか………!」
ハバキリが苦々しく呟いたその時、ザラートレス全体が大きく揺れた!一同が揺れに驚いていると、ビュニーが嘲笑うように言った。
[どうやら、上陸したようだねェ………このまま行けば、人里たどり着くのも時間の問題だねェ!]
「なッ………!?」
「貴様、どこまで………!」
[止めたければ、ブリッジまで来てごらんよ!無理だろうけどさァア!!ヒヒヒャハハハホハホヒョハホ!!]
ビュニーが笑う中、画面が暗転した。それと同時に、ゾロゾロイド達は襲い掛かって来た!
「ったく、親父やハーキュリー絡みとは思っていたが………まさかあんなヤツが犯人とか予想外だぞ………」
「レピオ………」
「悪かったな、中々言い出しづらくてさ………自分の作った物のせいで、クララみたいに苦しんでいるヤツを見たら、余計に、さ………」
心配そうにハバキリが話しかけると、当の彼女は困り顔で振り返り、少し照れくさそうに呟いた。それを見て、ハバキリとレイェンは顔を見合わせた後、フッと笑みをこぼした。
「いや、そんな事、言い出せないのも仕方ないネ………」
「おぬしが今までそのような闇を抱えていたとは知らず………こちらこそ、心情を察せずにすまない………」
「………いや、ありがとうな………」
レピオが笑みを零すと、背後で金属がぶつかり合う甲高い音が響く。振り返れば、ロンがゾロゾロイドのカギ爪をはじき返し、斬り捨てているところであった。
「レピオ!話は後だ!」
「今は、あのバカを止めるのが先決だ!」
「………ああ!そうだな!」
ロンと草介の言葉にレピオは頷くと、客車のピンギィに振り返った。
「ピンギィ、アルス、悪いけどこの機怪魔獣の内部構造を調べてくれるか?」
「え?あ、はい………」
「りょ、了解であります………」
レピオの頼みを聞いた2人は、戸惑いながらも頷いた。レピオはそれを見て「任せた!」とだけ言ってゾロゾロイドの群れに突っ込んで行った!
「アルスたちは私に任せてくれ!」
「カール、ドラム、ニールさんと一緒に頼む!」
「ああ!」「おう!」
「シャスティも頼むよ!」
「ん、んだ!」
ロンとフローが叫ぶと、ドラムとカール、シャスティはニールと客車を守るように並び、ゾロゾロイドを迎え撃つ。草介とロン、フローはトライヤーズの3人と共にゾロゾロイドに向かって行き、ザラートレスの内部へと侵入して行った。
「さーて、レピオに何か考えがあるみたいだけど………」
「それまで、2人を守るぞ!」
「それだけじゃなく、脱出手段でもあるからな。」
ドラムとカールにニールが言ったその時、ザラートレスに強い衝撃が走る!
「うわ!?」
「なんだ!?」
「今のは、外からの攻撃か!!」
衝撃が外部からの攻撃によるものと気づいたニール。ハッチから外を見てみれば、ザラートレスの進行方向に見覚えのある薄緑色の四角いロボットの姿があった。
「あれは………」
「マカロンティーヌちゃん!?」
「何で!?」
†
「着弾を確認!」
「ですが、あのサイズではあまりダメージはないようです………」
「倒す必要はないわ!少しでも足止め出来ればそれでいい!バトルトレインが入っているのだしね。」
マカロンティーヌちゃんのコックピット内で、ヒュージとキリコの報告を聞いたケイリーが返した。大砲から硝煙が立ち上る中、ケイリーはマカロンティーヌちゃんが乗った機体を見た。
それは下半身が大型の車両になった機動兵器であり、マカロンティーヌちゃんは機体後部の荷台部分に乗っていた。
「それにしても、モルホン基地からここまで思ったよりも早く到着出来た………ブッシュドローラーちゃん、思った以上の成果だわ。」
ケイリーが呟くと、機体の前あたりに白い明朝体テロップが表示された。
パンツァー弐号機
正式名称:魔導式半人型機動兵器試験機第弐号
コードネーム:ブッシュドローラーちゃん弐号
「まあ、輸送車両にマカロンティーヌちゃんの予備パーツとパンツァー用のエンジンを積んだだけで武装は何もないですが………機動力確保と機体の輸送にはこれ以上ないですね。」
ヒュージがそう話したその時、ザラートレスのビーム砲がマカロンティーヌちゃんに向けて火を噴く!
「ミケくん!」
「はい!!」
ケイリーが叫ぶと、ブッシュドローラーちゃんのコックピットに乗ったミケが叫ぶと、ペダルを踏みこんでエンジン全開で発進、ビームが降り注ぐ中を掻い潜るように走り出す!
走行するブッシュドローラーちゃんの上から、マカロンティーヌちゃんの大砲を発射させて、ザラートレスの装甲に着弾し爆発を起こした!
「聞こえますか皆さん!ここは私たちが足止めします!早く内側から止めてください!!」
ケイリーが外部スピーカーでザラートレスに向けて叫ぶ。それを格納庫から聞いたニールは笑みを浮かべて頷くと、背後から迫るゾロゾロイドに向かっていった。
†
「ケイリーたちが来てくれたか………!」
「この機怪魔獣の襲来を察知して、来てくれたって事か………」
ゾロゾロイドを斬り捨てながら、外の情報をニールからの通信で知った草介とレピオが呟いた。行く手を阻むゾロゾロイドの攻撃を盾で弾き、その隙に手斧で斬り捨てたその時、GPデバイスに通信が入った。
[レピオさん、よろしいですか?]
「ピンギィか!」
[機怪魔獣のCPUをハッキングして、内部構造を調べたであります!]
[それで調べて分かったのですが………この機怪魔獣、ルニルくんが設計した移動式避難用シェルター『TT110』の設計を流用しているようですわ………]
「やっぱりか………!」
レピオはそれを聞いて、どこか納得したように呟いてゾロゾロイドを斬り捨てた。その様子を見た草介がレピオに聞いた。
「レピオ、何か知っているのか?」
「ああ。コイツの見た目と格納庫の構造に見覚えがあってな。思った通り、
「避難用シェルターを、移動要塞にしたというのか!?」
「悪趣味アルな………」
レピオの話を聞いて、ハバキリとレイェンが嫌悪感を露にする。草介とロンも「確かに…」と呟きながらゾロゾロイドを斬り捨てた。
「だが、設計をそのまま流用しているなら、ヤツをコイツから引き剥がす事が可能だ!」
「本当か?」
「ヤツがコイツと一体化しているとしたら、それはコントロールを司るブリッジだ!そこに行けば!」
「そうと決まれば!」
「おうよ!」
レピオの話を聞いて、5人は顔を合わせて頷きあった。
[みなさん、調べるついでにその先20mの突き当りにあるブリッジ直通エレベーターのコントロールをジャックしたであります!そこまで走るであります!]
「分かった!いや待って?「ついでにジャック」って、何気にスゴイことしてない?」
「流石はアルスだ!」
「露払いは任せるアル!」
アルスの発言に草介は何か引っかかったものの、その辺の知識に疎いロンや、何か知っているらしいトライヤーズは聞き流していた。レイェンは床に手をつくと両脚をまっすぐ伸ばし、さながら地球の『カポエイラ』を思わせる連続回転蹴りを放つ!
「奥義、『
レイェンの連続蹴りを受けて、蹴り飛ばされたゾロゾロイドの群れは廊下の壁や天井に打ち付けられて動かなくなる!行く手を阻むものがいなくなり、草介たちはエレベーターまで一直線に進んでいく!追ってくるゾロゾロイドをフローとロンが斬り裂いて、全員がエレベーターへと飛び乗った。
「まだ追ってくるか!」
「下がってくれ!」
未だ追ってくるゾロゾロイドを狙い、ハバキリは刀を持った右手をさながらビリヤードのキューを突くような構えを取り、!
「飛突!!」
次の瞬間、ハバキリは刀を超高速で突き出すと、その衝撃波がゾロゾロイドの群れに直撃し、まとめて吹き飛ばした!
「今の内だ!」
草介が叫ぶとハバキリもエレベーターに乗り、直ぐに扉が閉じてブリッジへ向けて上昇を開始、1分もしないで到着し、扉が開いた。
「到着したか!」
[まさか、ここまで辿り着くなんてねェ………!]
開いた扉からブリッジに入ると、複数のモニターと制御用と思わしきコンソールに操縦桿が並び、アシガロイドが3体待ち構えていた。メインモニターにはビュニーの姿が表示されており、恨みの籠った血走った目でこちらをにらんでいた。
[外でも豆鉄砲を撃ってきてるヤツがいるけど、もうここまで来たら手遅れなんだよォ!]
「ヤロー………!」
「レピオ、アシガロイドはアタシたちで何とかするネ。」
「お主は、この機怪魔獣を何とかしてくれ。」
「ああ!」
ビュニーの発言に草介が怒りを覚える中、レイェンとハバキリは目配せをしてレピオに言った。レピオが頷くと、アシガロイドが一斉に襲い掛かってきた!
「レピオ!」「行け!」
「あんがとよ!!」
ハバキリとレイェンはそれぞれ1体ずつ、草介、ロン、フローが1体の攻撃をそれぞれ獲物で受け止めると、レピオはブリッジの中央にある操縦桿に駆け出した!
「やっぱり、システムはそのままか………これなら!」
[無駄だよォ!この機怪魔獣はボクが支配している!内部から操縦しようなんて不可能なんだよォ!!]
操縦桿を握り何かを調べていたレピオに対して、ビュニーは嘲笑うかのように叫ぶ。
「
[何?]
しかし、レピオはグリップの後ろにある2つのスイッチを押しながら操縦桿を上に持ち上げると、操縦桿の下から保護用プラスチックに守られた大きな赤いボタンが顔を出した。
「ぅオラァア!!」
レピオはそれを躊躇なく殴りつけるように押し込むと、保護用プラスチックが叩き割られてスイッチが押された!直後、ブリッジに警告音が鳴り響いた!
[な、なんだ!?]
ビュニーが戸惑っていると、モニターに宇宙語と思われる赤い文字がでかでかと表示され、ザラートレスはスピードが徐々に下がり、直ぐに完全停止した。
「止まった………!?」
[き、『緊急脱出システム』だと………!?]
「何?」
アシガロイドを倒したものの、何が起きているのか分からずキョロキョロと辺りを見回す草介たち。ビュニーが表示された文字を読み上げると、レピオはニヤリと笑った。
「コイツのもとになった『TT110』には、緊急時にブリッジを脱出艇として分離させるシステムが組み込まれていたんだ。機怪魔獣でもシステムがそのまま残っていたってわけだ。」
[それを今発動させたというのか!?]
「脱出システムはメインシステムから分離されていたからな。一体化したお前にもわからなかったんだよ。」
ビュニーは取り乱して聞き返す中、レピオが説明をすると草介たちに向けて叫ぶ。
「全員、何かに掴まっとけ!」
「え!?」
レピオが叫んだ瞬間、ズン!と大きな衝撃がブリッジに走り、ザラートレスの甲羅の頂点部分に当たるブリッジが、ブースターで射出された!
「「「うわあ!?」」」
草介たちが悲鳴を上げると、ザラートレスのブリッジは空中でブースターを吹かして、土煙を巻き上げながら地面に着地をした。
「レピオのヤツ、やったようだな!」
「ああ!」
格納庫のゾロゾロイドを片付けたニールたちは、ハッチからブリッジが着地するのを見てレピオたちの作戦が成功したことを知った。外から攻撃をしていたマカロンティーヌちゃん内のケイリーたちも、同じくザラートレスが止まったことを確認して、自然と笑みを浮かべていた。
「我々もあそこに向かおう。」
「はい!」
ニールがそう言うと、ドラムたちはバトルトレインに乗り込んだ。
†
「よし、最悪の事態は防げたな!」
ブリッジから外に出た草介がそう言うと、レピオたちはブリッジに振り返って叫んだ。
「さあ、お前にはもう逃げ場はないぞ!大人しく投降しろ!」
レピオがブリッジ内のビュニーに向けて叫ぶ。しかし、ビュニーがブリッジから出てくる様子はなく、ブリッジから駆動音が響き始めた。
[やってくれたねェ………せっかく乗っ取ったコイツに、こんなものが積み込まれていたなんてねェ………]
「何をする気だ!?」
レピオが叫ぶが、ブリッジのブースター噴射口からはさみのような4本のアームと両脚が出現して立ち上がり、背中に当たる部位からビーム砲と無数の
『だがァ!まだ手は残っていたァ!このブリッタンC1でオマエラを潰してやるよォ!』
「ブリッジ自体が機怪魔獣だったのか!?」
「ワルンダイツめ………ルニルの
ブリッジから変形した20m級の機怪魔獣・ブリッタンC1を見上げて驚愕する一同。レピオは仲間の設計したメカを悪用、改変された事に怒りを露わにする中、背後からバトルトレインの汽笛が聞こえてきた。
「ニールさん!」
『みんな、トライメイルに乗れ!』
「「「おう!」」」
[させるかよォ!]
ニールがトライヤーズに向けて外部スピーカーから叫ぶが、ブリッタンがバトルトレインに向けて背中のビーム砲を向けビームを発射する!
「
だが、バトルトレインの目の前に輝く魔力のバリアが生成されて、ビームは弾かれる!見てみれば、客車から顔を出したシャスティが杖を構えており、彼が魔法で防御をしたのだとすぐに分かった。
『何ィ!?』
「今の内だ!」
ビュニーが驚きの声を上げる隙にハバキリが2人に告げると、バトルトレインのキャリアーからフェニックスジェット、トータスドリル、タイガーアクアが射出されると、それぞれのマシンに向けて驚異的な跳躍力で飛び乗った。
「「フュージョイン!!」」
ハバキリとレイェンはそれぞれのマシンに飛び乗ってフュージョインを果たす。
レピオもトータスドリルの上に飛び乗ると、両拳を打ち付ける構えを取った。
「フュージョイン!!」
掛け声と共に、レピオはトータスドリルとフュージョインを行った!
『チェンジ!!』
トータスドリルから声が発せられると、トータスドリル上部のドーム部分が分離すると機体が立ち上がり、ドリル部分が左右にスライドして下部から両腕が伸び、額に亀の甲羅を思わせる六角形のマークを持った頭部が出現、両足が伸びて着地すると、分離したドーム部分から射出されたリクガメの頭部が右肩に合体、ドーム部分を左手に掴んだ!
『剛力戦士!トライトータス!!』
『変身!!』
フェニックスジェットの機首と尾翼部分が根元から分離すると、起き上がるように姿勢を正し、下部の赤いボディが見えるようになる。後ろ部分が伸びて両脚に、機体の下に折りたたまれていた両腕が伸びて頭部に翼の装飾を持った頭部が出現、背中の両翼がV字に跳ね上がると機首が下を向くように右肩に、尾翼部分が背中に装着されると、機首のキャノピー部分が反転して赤い鳥の顔が露わとなった!
『
タイガーアクアの機首部分が射出されると、起き上がって左右のスクリューが前後に分離、機体の前半分が左右に開いて大きな肩アーマーとなって両腕が飛び出し、後ろ半分が反転するように変形して両脚となって着地をすると、機首が反転するように虎の顔に変形して、右肩と合体した!
『天空武士!トライフェニックス!!』
『深海格闘士!トライタイガー!!』
『『『トライヤーズ!見参!!』』』
それぞれ胸に翼、甲羅、虎の額の模様のエンブレムが描かれた3機のトライヤーズが並び立ち、高らかに名乗りを上げる!
『カッコつけてるんじゃないよ!GPどもがァ!!オマエを潰して!ボクは明るい未来を取り戻すんだよォ!!』
ブリッタンはそれ見ると、怒声を響かせながら身を震わせた。トライトータスはそれを見ると、キッコウシールドからゲンブアックスを引き抜いてブリッタンに突き付けた。
『親父もハーキュリーも関係ない………身勝手な理由で人様に迷惑かけるお前は、ここで止める!!』
【つづく】
レピオの正体発覚。レピオ関連はピンギィ含めて伏線を張っていたのですが、大分衝撃的かと。
あと、リモートゲルの弱点は元ネタがあります。
今回の黒幕、ビュニー。小物なのにプライド高くて行動力がやばいタイプに書けたんじゃないかなって思います。
名前は新人を意味する「ニュービー」の逆読みから。ジョニーっぽくてちょっとお気に入り。
パンツァー弐号機ブッシュドローラーちゃん登場。完全に機動力と運搬に全振りな機体ですが、現状マカロンティーヌちゃんに足りない機動力を補えるくらいにはなるかなって。
機怪魔獣と化したブリッジ、ブリッタンC1との最終決戦。妙に可愛い響きの名前だけど、ザラートレスC3と同様にザラタンという亀の魔物がモチーフになっています。
名前は最初、ブリッジの位置と操縦席から変形するから「パイルタンC1」にしようと思ったけど、流石にやめました(笑)ブースターから手足が生えるのは、某亀怪獣から(笑)