異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ 第32話
三つの獣、守護者とならん
『―――ぅう………?』
気が付くと、デュランブレイバーの目の前には真っ白な雲と、青い海が広がり、身体を浮遊感が包んでいた。
何故このような事態になっているのかと、直前までの記憶を辿り始めた。
確かあの時、自爆寸前のグリフォンバーC1を抱えて周囲に爆発の被害が及ばない上空まで運び、爆発の直撃を受けて………そこまでは覚えている。爆発のダメージで気を失ったのだろうと思い、ボディの損傷を調べてみたが、表示されたデータに驚きが隠せなかった。
『損傷レベル、1%未満………!?馬鹿な、あの爆発で………!?』
『不思議だよね、あれだけの爆発でほぼノーダメージだなんて。』
『む?』
デュランブレイバーが驚きを呟くと、その時、地震の頭上から何者かの声が聞こえてきた。そこで彼は、自分が何かに背後から捕まれて飛んでいることに気が付いた。見上げてみれば、それは巨大なデルタ翼を持った飛行機のようであったが、エンジンらしきものは見当たらない。それを見て、彼は気づいた。
『これは、反重力ハンググライダー?ということは………?』
『お久しぶりですね、ブレイバー・デュラン。』
『アスカ丸か………!』
デュランブレイバーは、反重力ハンググライダーと呼ぶ飛行体から聞こえてきた少女の声に小さく声を弾ませた。
『すみませんね、あの爆発に気づいて駆けつけたら、吹き飛ばされて落っこちていく隊長さんを見つけたものでね。すぐにこの『ナイトターボ』で拾ったものの、元いた地点から遠く吹き飛ばされちゃったし、気を失ったあなたを戦地に送るのは気が引けたからね。』
『いや、助かった。ありがとう。だが、ダメージがないのは………?』
ナイトターボとフュージョインしているだろうアスカ丸の話を聞いたデュランブレイバーだが、自身がほぼ無傷である理由が分からない。どういう事なのかと考えていたが、目の前の視界に陸と巨大な機怪魔獣の姿が入った。
『機怪魔獣は止まっているようだが、今は考える暇はなさそうだな………!』
『ボクはまだ調べることがあるから、ここで失礼するよ。隊長さん、ご健闘を。』
『ありがとう!』
デュランブレイバーはそう言ってナイトターボから分離をすると、背面ウィングのスラスターを吹かして仲間たちの元へと飛んでいく。それを見届けると、ナイトターボは静かに風に乗り、その場を離脱した。
†
デュランブレイバーがナイトターボと別れる十分ほど前、トライヤーズと狂気の新卒社員ビュニーの駆るブリッタンC1の戦いが始まろうとしていた。
『潰れろォ!オフューカスゥ!!』
ブリッタン内でビュニーが叫ぶと、ハサミで突き刺さんと4本の腕が伸縮して襲ってくる!トライフェニックスとトライタイガーが飛びのいて回避するが、トライトータスは背後にいる草介たちを庇うようにキッコウシールドを構えて防御をした!
『大丈夫か!?』
「す、すまない!」
「早くこっちに!」
草介がトライトータスに礼を言うと、背後から来たバトルトレインに飛び乗ってその場から離脱、それを確認すると、トライフェニックスとトライタイガーは左右から両腕にそれぞれ獲物を振り下ろすが、直撃した瞬間に弾かれてしまった!
『アイヤ!?』
『意外と頑丈だ………!?』
『あの伸縮性と頑丈さ………GZ449が使われているっていうのか!』
アームの伸縮を見て、使われている素材に気づいて怒気を強めるトライトータス。トライフェニックスとトライタイガーはトライトータスの元へ集まった。
『邪魔するんじゃないよォ!用があるのはソイツだけだァ!!』
ビュニーが叫んだ瞬間、背中の棘がミサイルとなって3機を襲う!
『フェザーガン!』
『クローバルカン!』
『シェルバズーカ!』
トライヤーズは手にした武器で棘を撃ち落とす。しかし、撃ち漏らした1発がトライトータスに迫ってくる!
ドォン
『!?』
だが、彼女らの背後から飛んできた砲撃によって棘は空中で爆発を起こした!
『今のは!?』
「大丈夫ですか、レピオさん!」
『ケイリーか!』
背後からこちらに向かってくるマカロンティーヌちゃんとブッシュドローラーちゃんを見て、ケイリーたちが撃ち落としたのだと直ぐに分かった。
「間に合ってよかったです!」
『サンキューな!』
『ええい!次から次へと邪魔者がァア!』
トライトータスがケイリーに短く感謝をするが、ビュニーはイラついたように叫んだ。瞬間、ブリッタンの口が大きく開き、喉の奥から先端が青いミサイルが顔を出した!
『ゔぅっ………ゔおえッ!』
『気持ち悪そうだなそれ!?大丈夫か!?』
気持ち悪そうなビュニーの声と共に、ミサイルが発射、というか、吐き出された!心なしか顔も青ざめているように見えたため思わずトライトータスが心配をするが、しかし、ミサイルの行く先はトライトータスでもマカロンティーヌちゃんでもなく………
『何!?』
『あー、気持ちわる………二度とやらんわ………』
ブリッジを失い、停止していたザラートレスC3のベース部分であった!ミサイルは装甲に突き刺さるが、爆発することはなく側面のランプが赤く点灯し、何かが内部から注入されているようにも見えた。
何が起きているのか一同が確認しようとした次の瞬間、ザラートレスの両の目が赤く光り、動き始めたではないか!
『動き始めただと!?』
『まさか………リモートゲルか!!』
『そうだよォ!退職金の代わりにいくらか貰っておいたのさァ!開発者はボクなんだから、問題ないだろう!?』
『開発お主なのか!?』
『新卒1年目であんなの開発させてもらえるのは、確かに将来有望アルな………』
『そのせいでリコール騒ぎになったけどな!?』
ビュニーの発言に妙な納得と感心をするが、今はそれ所ではない。動き出したザラートレスの走行が開き、無数のビーム砲が展開!マカロンティーヌちゃんやトライヤーズに向けてビームが雨霰と降り注いだ!
「か、回避!!」
「うおおおお!!」
ケイリーが叫ぶと、ミケがアクセル全開でブッシュドローラーちゃんを走らせて、ビームを回避する。トライフェニックスやトライタイガーもビームを回避し、トライトータスはシールドで防御するが、身動きが取れなくなってしまった!
「マズい!このままじゃあ………!」
「ピンギィ、さっきの特徴低周波を!」
「は、はい!」
バトルトレイン内で戦闘の行方を見守っていた草介たちが、トライヤーズのピンチに思わず声を上げた。フローは咄嗟にピンギィに向けて指示を飛ばすと、ピンギィは慌てながらも先ほどの装置を操作して特殊低周波を発した。
「………あれ?」
「効いてない………?」
「な、何で!?装置は最大出力でちゃんと起動しているのに………!?」
しかし、特殊低周波発生装置が起動しているというのに、ザラートレスが動きを止める気配がない。ピンギィが慌てながら装置をあれこれ操作をしていたが、それでも止まる気配はなかった。
「そ、そんな……!?どうして……!?」
『フヒヒャヘヒョホ!無駄だよ無駄ァ!』
困惑するピンギィに対して、ビュニーが嘲笑った。そこで草介は、ザラートレスの装甲に突き刺さったままのミサイルに気が付いた。
「まさか、あのミサイル………!?」
『リモートゲルの欠点は、作ったボクが熟知している!あのミサイルはリモートゲルを注入するだけじゃなく、特殊低周波を防ぐ防音シールドを発生させるのさァ!!』
「そんな………!?」
「用意周到な野郎だ………!」
ビュニーの言葉にピンギィは絶句し、草介が苦々しい表情を浮かべる。その直後、ザラートレスのビームがバトルトレインにまで迫ってきた!
「ちぃいッ!みんな掴まっていろ!!」
「うわああ!?」
ニールが舌打ちをしてバトルトレインを走らせてビームを掻い潜って回避する。草介たちは左右に揺れる客車内で悲鳴を上げていた。
「このままじゃあ、アイツを止める手段がないぞ!?」
「どうすれば………!?」
ロンと草介が苦言を言いながらも、どうすれば止められるのか考える。しかし、ザラートレスのビームの雨は緩まず、マカロンティーヌちゃんは砲撃する暇がなく、トライトータスにはブリッタンのハサミ攻撃まで加わって、防戦一方であった。
打つ手なしか、と思われていたその時―――
『うおおおおおーーー!!』
突如として上空から雄叫びが聞こえたかと思うと、無数のミサイルがビーム砲に着弾して爆発を起こした!着弾と爆発の衝撃か、ビームの乱射が一瞬止んだ。
『な、何ィ!?』
「今のは……!?」
上空からの攻撃にビュニーが驚き、トライトータスも思わず空を見上げると、そこには、胸に獅子の顔を携えた、雄々しき獅子の勇者―――デュランブレイバーの姿があった!
「デュ、デュラン!」
「お兄ちゃん!!
『『『隊長!』』』
デュランブレイバーの無事な姿を見た草介たちが、嬉々として彼の名を呼んだ。デュランブレイバーは、地上のトライヤーズとバトルトレインに目を向けた。
『みんな、無事か!?』
『それはこちらの台詞にござる!』
『見たところ、全然ダメージはなさそうアルが………』
『オレはダメージ多少ありますが、何とか動けますよ………』
「よかった、デュラン………!」
デュランブレイバーの無事を確認したトライヤーズと草介たちは、安堵の息を漏らしていた。その時、再起動したらしいザラートレスがこちらに狙いを定めた事を察知して、デュランブレイバーはそちらに顔を向けた。
『あのデカブツは私が引き受ける!そちらは任せていいな、レピオ?』
デュアルブレイバーが地上のトライトータスに向けて問いかける。トライトータスは一瞬、自分の上司たるデュランブレイバーの意図を察してか、未だに混乱気味のブリッタンの方を見てから、隊長の方を見上げて答えた。
『はい!こいつは、オレが片付けなきゃいけないっすからね!』
『レピオ!』
トライトータスが答えたが、直ぐにトライフェニックスとトライタイガーが駆け寄って来たのを見て、再度デュアルブレイバーの方を見上げた。
『………訂正『
『………分かった。頼んだぞ!トライヤーズ!!』
『『『はい!!』』』
デュランブレイバーは3機の返事を聞くと、ザラートレスの方に向きなおりブースターを吹かして向かって行った!ザラートレスは自身を狙うビーム砲に両手を向けると、手甲からツインカッターが展開した。
『ツインカッター・シュート!!』
掛け声と共に、ツインカッターが手裏剣の如く射出されてビーム砲2門に直撃、爆発を起こした!次いで、デュランブレイバーは両脚の装甲を展開、ミサイルを連射させてビーム砲を次々と爆破させていく!
『オノレェ!どこまでもボクの邪魔をォ!!』
ビュニーが怒り狂って叫びをあげる中、トライヤーズは並び立って睨みつけた。
『ヤツを止めるとしても、どうする?』
『アタシらの連携だけじゃ、アレは止められそうにないネ?』
少し不安そうに問いかけるトライフェニックスとトライタイガー。しかし、トライトータスは口角を上げると、2人に提案をした。
『止められるとしたら、合体しかねーだろ?』
『!?本気か?』
『一度も、成功した事ないのに?』
『ぶっつけ本番だが、今なら出来る気がする!』
2人はトライトータスの言葉の意味を察して、少し驚いたような反応を見せる。だが、トライトータスが迷いのない目をしているのを見て、2人は顔を見合わせて頷きあった。
『………分かった、やるぞ!』
『おう!』『アイアイ!』
トライフェニックスの号令にトライトータスとトライタイガーが答え、3機が同時に飛び上がると、それぞれ変形を始めた!
『何をなさる気か存じはしないがァ!』
3人の行動に気づいたビュニーが叫びながら、背中のビーム砲で3人に狙いを定めた。だが、そのビーム砲が火を噴くよりも先に、目の前に砲弾が着弾して爆発が起きた!
『何だ!?』
『ケイリー!』
「3人とも、今の内です!!」
『ああ!』
砲撃を行ったマカロンティーヌちゃんからケイリーが叫ぶと、トライヤーズは合体を続行する。
『ぬぅううッ!!』
トライフェニックスから機首と尾翼が分離すると、頭部と両腕が格納され、両脚が真横に開くように展開して肩と腕に変形をした。
『ワチャァアッ!!』
トライタイガーの右肩から虎の頭部が分離、頭部と手足が格納されると、両脚部分が太股に変形した。
『うぉおおおッ!!』
トライトータスの右肩からリクガメの頭部が分離すると頭部と手足が格納され、胴体が左右に分離して巨大な両脚に変形をした。
『『『トライコンバイン!!』』』
掛け声と共に3機は合体の所定ポジション―――トライタイガーの背後にトライフェニックス、下位置にトライトータス―――にそれぞれつくと、トライタイガーの背面にトライフェニックスが、太股にトライトータスが合体、右肩に虎の頭部、左肩にリクガメの頭部が、胸部に赤い鳥の頭部がそれぞれ合体し、最後にフェニックスジェットの尾翼パーツが変形して、額に六角形、牙、翼を組み合わせたような前立てが付いた頭部となって合体した!
『『『
『トライディアン!!』
3機のトライメイルはついに合体を果たし、高らかに名乗りを上げた!
『!?な、なんだあれは………!?』
「合体した………!」
合体を果たしたトライディアンを見上げたビュニーが、1歩後退って困惑の声を出し、ケイリーも驚いていた。一方でトライヤーズは、トライディアンとなった自分たちのボディを見て、感動の声を漏らした。
『これが、トライディアン………!』
『す、すげー!』
『やったアル!』
「合体できた!!」
「あれが………!」
「レピオさん………!」
「やったな、あいつら!」
「んだ………!」
同じころ、バトルトレインでトライディアンの合体を目の当たりにした草介たちは、感激に満ちていた。そして、ザラートレスと対峙していたデュランブレイバーも、トライディアンを横目で見ながら内心笑みを浮かべていた。
『見事だ、トライディアン………!』
デュランブレイバーは視線をザラートレスに戻すと、攻撃を再開した。
トライディアンはブリッタンの目の前に着地をすると、ブリッタン内のビュニーは、戸惑いながらもトライディアンを睨みつけた。
『が、合体したからってなんだよォ!ボクの復讐は止められないんだよォ!!』
ビュニーが叫ぶと同時に、ブリッタンの4本のアームが伸縮して襲い掛かる!
『止めてやるよ!お前の下らない復讐なんてな!!』
トライディアンは叫ぶと同時に右手にビャッコロッドを持つと、その先端にゲンブアックス、更にその先にスザク丸が合体した。
『トライハルバード!』
『何ィ!?』
トライディアンは右手に持った合体武器・トライハルバードで迫ってくるアームをはじき返すと、左手にキッコウシールドを持ち、ブリッタンに切っ先を突き付けた!
『ハバキリ、指揮は任せたぞ!』
『それなら、パワー制御はレピオの担当ネ!』
『レイェンは機動力制御を頼む!』
『クラエェ!!』
3人はそれぞれ話し合うと、アームを戻したブリッタンが今度は背中の棘を発射してきた!
『2人とも、拙者の技を使う!負担をかけるが、耐えてくれ!』
『それはアタシも同じだろうし、構わないネ!』
『気にせずブチかませ!』
ハバキリの言葉に2人は返すと、トライディアンはトライハルバードを斜め下に構えた。
『流星一刀流剣術、中段肆剣が一つ!』
そして、迫ってくる棘を睨むと一瞬で斜め上に斬り上げると、衝撃波が棘に直撃した!
『竜ノ太刀―――
『何ィッ!?』
宣言をした瞬間、上空で棘が全て爆散した!ビュニーが思わず見上げ驚きの声を上げた。
『フム………慣れない長物では、威力が落ちるでござるな………』
『十分強いと思うけどな………』
『このッ………小癪なァ!!』
技の出来を呟くトライディアンであったが、ブリッタンはビーム砲の狙いをトライディアンに定めていた。叫びと同時にビームを放つがトライディアンは飛び上がって回避、トライハルバードとキッコウシールドを背中にマウントすると、空中で前転し逆立ちするような姿勢で両肩のビーム砲を掴むと、両足を背中側に反らせ、前に戻す反動で両つま先の蹴りを腹部に何発も突き刺した!
『奥義!
『ぐげァッ!!』
何発も蹴りを受けると苦しそうな声を上げながらその衝撃で肩のビーム砲が引きちぎれ吹き飛ぶブリッタン!トライディアンはブリッタンから離れて地面に降りると、ビーム砲の残骸を投げ捨てて背中のトライハルバードを抜き、まるで『演舞』かのように数回振り回してから石突を地面に突き刺して、胸の前で構えた。
『これで最後だ!』
『御意!』
『決めるネ!』
3人が叫ぶと、トライディアンの胸と両肩の動物の頭部の目が光り、稲妻のような赤、白、カーキ色のエネルギーが放たれて刀身に纏われた!起き上がったビュニーが見たのは、3色のエネルギーを纏った刀身をこちらに突き付け、背中のスラスターを全開にして向かって来る!
『う、うわああァアア!?』
叫びながら悪あがきでアームを伸ばすが、トライディアンはトライハルバードを横薙ぎに振るってアームを全て破壊した!
『なッ―――』
ブリッタンのアームを全て破壊されて、思わず言葉を失うビュニー。その瞬間、トライディアンは距離を一気に縮めて、袈裟懸けに振り下ろした!
『『『トラァアイッ!フィニィイーーーッシュ!!!』』』
『ぐぎェエエッ!?』
トライディアンの必殺技『トライフィニッシュ』を受けたブリッタンは袈裟懸けに斬り割かれ、ビュニーが悲鳴を上げると同時に爆発四散!
トライディアン残心するかのように斜めにトライハルバードを構えると、爆炎の中からブリッタンの頭部が飛び出して、地面に落ちて数回バウンドして止まった。
同じ頃、ザラートレスと対峙するデュランブレイバーも、終わりを迎えようとしていた。すでにデュランブレイバーの猛攻を受けて、ザラートレスのビーム砲の殆どが潰れ、装甲もボロボロになっていた。
『とどめだ!』
デュランブレイバーはそう言うと、両手の甲からツインカッターを、両脚のハッチが開いてエースランチャーをそれぞれ展開、更に胸の獅子の顔の両目が光った。
『ツインカッター!エースランチャー!ブレイバービーム!レオフレイム!一斉掃射!!』
宣言と同時に、デュランブレイバーの全身に装備された短剣、ミサイル、ビーム、火炎放射が一斉掃射され、ザラートレスの装甲を粉砕!それでも勇者の攻撃の手は止まらず、内部機構をも破壊して遂には完全に爆散させた!
「向こうも終わったか………」
吹き飛んだブリッタンの頭部の近くに停車したバトルトレインから下りたニールが、破壊されたザラートレスを見上げて呟いた。視線をブリッタンの頭部に戻せば、そこではボロボロになったビュニーが、ズルリと這い出るようにフュージョインアウトしている所であった。
「ぐゥ~………おのれぇ~………!」
「ここまでだ、ビュニー。」
「ひえ!?」
恨み節を吐くビュニーであったが、ニールが銃を突き付けて来たのに気付くと、情けない声を上げると尻餅をついて後退った。しかし、背後ではトライディアンが、さらに前ではニールとデュランブレイバーが仁王立ちしており、逃げ場はなかった。
『観念して、お縄につくんだな!』
「ち………ちくしょう………ちっくっしょォおおおーーー!!」
逃げ場も攻撃の手立てもない今、ビュニーは涙目で叫び声をあげることしかできなかった………
†
「お兄ぢゃああああああん!よがっだでありまずぅ~~~!」
「あ、あはは………心配かけてごめんな、みんな………」
「いや、無事で何よりだよ。」
ビュニーを逮捕して10分ほど、周囲が夕焼けに染まる中、マシンメイルとフュージョインアウトをしたデュランは、泣きじゃくるアルスに抱き着かれてしまっていた。微笑ましくも思えるその様子を、草介たちは苦笑しながら見ていた。
「いやぁ、さっきはありがとうな、ケイリー!」
「いえ、私たちもレピオさんのお役に立てて、うれしいです!」
「魔導池すっからかんになっちゃったから、途中で戦えなかったですけどねー………まだまだ課題は多いなー………」
「ついでに、いいデータが取れましたよー」
一方、そのそばでは、トライヤーズの3人がケイリーたちと話していた。代表してレピオが礼を述べると、ケイリーたちは笑いながら答えていた。
「しかし隊長、あの爆発から、どうやって?」
「それなのだが、私にも何故無事だったのか分からなくてな………」
ハバキリがデュランに質問をする。レイェンたちもその点が気になっていたため興味深そうにしていたが、デュラン自身、何故無事だったのかわからず首を傾げていた。
「ん?」
ふと、何気なくズボンのポケットに手を入れると、何かが入っていた。デュランがそれを取り出してみると、それは10cmほどの薄いピンク色の鱗のようなものであった。
「これは、昨日の………?」
デュランが手にした鱗を見下ろしている中、ふと、草介は顔を横に向けた。そこでは、両手に手錠をはめてがっくりと肩を落としブツブツと何かを呟くビュニーと、それをバトルトレインの客車に連行しようとするニールの姿があった。
「あいつ、どうなるんだ?」
「ん?ああ………彼の罪は決して軽いものではない。明日までには銀河連邦警察がピンギィを迎えに来るから、ついでに引き渡す予定だ。無論、別の宇宙船になるだろうがな。」
「そうか………」
鱗をポケットに戻して、泣きじゃくるアルスを宥めるように頭を撫でながら、デュランが草介に答えた。その答えを聞いた草介が頷くと、レピオは複雑そうな顔をしながら、デュランに話しかけた。
「………隊長、『あの件』、もう話していいですよね?」
「………ああ、既にこの星の時間で昨日の夕方ごろ、正式に発表があったからな。」
デュランがそう答えると、レピオは頷いてビュニーに向けて歩き出した。草介が少し不安そうにしていたが、デュランは彼の肩に手を置くと、無言で頷いて見送った。
「………あー、ビュニー、ちょっといいか?」
レピオは、哀れみとも取れる複雑な表情を浮かべながらビュニーの元に行くと、後頭部を掻きながら話しかける。だが、顔を上げたビュニーに恨みがましい目で睨まれて、顔を引きつらせながら思わず1歩退いてしまった。
「そ、そんなに睨むなって………いや、それよりも………お前含めて、ハーキュリー倒産に関して、色々と
「………デ、デマァ………?」
レピオのその言葉に、ビュニーは訝し気に聞いた。その反応にレピオは頷くと、話を続けた。
「噂とかでは、「『オフューカス』によって内部告発された」って話だったと思うけど………実際はちょっと違くてな。
「何………?」
レピオの話を聞いたビュニーが、小さく驚きの声を漏らした。草介やロンも、その話を聞きながら驚いたような表情を浮かべていた。
「それを親父に伝えたら、どうやら騙された形で、誰も何も知らず受注していたらしくてな………連中は巧みに証拠を隠していて、完全に無実だと言えなかったが………親父は責任を取るって、幹部数名と銀河連邦警察に出頭したんだ………オレたちは当時未成年だからって、後は大人に任せろ、なんて言われてな………」
「そ、それが………「ハーキュリー・スキャンダル」の真相だと言うのか………!?」
ビュニーが愕然として聞き返す。レピオは続けた。
「オレらは各地にバラけながらも、親父たちが無実だって証拠を集めていた。オレ自身は親玉をぶっ飛ばすために銀河連邦警察に入隊して、その情報網を使わせてもらったがな。」
「それでつい先月、匿名のタレコミを元にフロント企業数社が一斉摘発されて、ケイオン社長他数名の無実を示す証拠がいくつも見つかり、数日以内に釈放予定だ。これは、昨日の夕方に行われた会見で、正式発表された情報だ。」
レピオに続く形で、デュランも続けた。それを聞いて草介が、小さくつぶやいた。
「じゃあ、レピオの父さんの無実が、証明されたのか………!」
「よかったな、レピオ!」
「だけど………」
草介に次いでロンがレピオに言う。ドラムたちも笑いあっていたが、フェイだけは愕然とするビュニーに向けられていた。ビュニーはわなわなと震え、口を開いた。
「そ、そんな………じゃあボクは………ボクは何の………何のために………!?」
両手で顔を覆い、涙を流しながら呟くビュニー。草介たちがその様子を複雑そうに見ていたが、レピオは大きくため息をつくと、キッと睨んでビュニーの襟を掴みかかった。
「ぅ!?」
「いいか!?確かに連中がオレ達の設計やメカを勝手に使われた事や親父達に濡れ衣着せたことも許せねーがな!オレが一番許せねーのは、親父や仲間関係なく機怪魔獣で暴れまわって他人を傷つけてる連中なんだよ!お前みたいにな!!」
「………ッ!」
「レピオ………」
怒りをあらわにしたレピオに怒鳴られて、何も言えなくなったビュニー。レピオの本音を初めてしっかりと聞いたらしいハバキリやレイェンが悲痛な表情で見守る中、レピオは乱暴に放り投げるようにビュニーを手放した。
「………お前、本当にバカな事したよ………あんなもの作れるのに………改良すれば、もっと良くなっていたかもしれないのに………もったいないヤツだよ………!」
「………うぅ………ぐぅう~~~~~………!!」
俯きながら、心底残念そうに言い捨てるレピオ。ビュニーはその場で泣き崩れてしまった………
†
「貴様肝煎りの計画は失敗に終わったようだな、デスダイト?」
[………]
それと時間は前後して、ここはレイヴン魔帝国のリブアン城。通信用魔水晶でデスダイトと通信するダインズは、少し小馬鹿にしたように笑いながら、水晶の向こう側のデスダイトに話しかけた。
[………予想外の邪魔が入ったけれど、言い訳はしないよ。部下の失敗は、私の失敗だからね。]
「フン、部下思いなことだ。」
鉄仮面越しのためデスダイトの表情は読み取れないものの、明らかに失敗を悔やんでいるように見える。ダインズは皮肉交じりに鼻で笑うが、デスダイトは続けた。
[それよりも、あの機怪魔獣2体は作るのにコストがかかるからね………当分は爆撃作戦を出来そうにないよ………]
「世知辛いな………まあ、例の勇者たちの対処は、別の方法を考えるか。」
[そうだね………では、失礼するよ、魔王様。」
デスダイトが通信を切り、魔水晶は光を失って沈黙した。ダインズはため息をついて魔水晶を片付けるように近くにいた者に命じると、立ち上がって部屋を後にした。部屋から出ると、グンフィが待っていた。
「ダインズ様、例の勇者の件、いかがなさいますか?」
「ああ………3日後の魔王軍会議でも、議題に上げよう。どちらにしても、放置できない事態ではあるからな………」
「御意。」
グンフィは頷くと、その場を後にした。
「勇者、か………」
ダインズは廊下の窓の外から見える満月を見上げ呟いた。
【つづく】
無事だったデュランブレイバー、そして序盤から名前だけ出ていたアスカ丸がチョイ見せ。ラストで竜神の鱗が出てきたけれど、詳しい話は次回以降。
満を持してトライディアン登場。合体シークエンスは結構気合入れました。名前はトライ+ガーディアンから。
ハーキュリー・スキャンダルの真相。未成年者のグループだから仕方ないとはいえ、レピオたちは悔しかったんだろうと思います。