異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ 第3話
獅子の勇者は、翼を得る
砦の外では、デュランダーとスカイダートG3部隊が戦闘を開始していた。スカイダート部隊は地上のデュランダーに向けて上空からマシンガンを掃射してくると、デュランダーは弾丸の雨を掻い潜りながら、上空に狙いを定めた。
『アームシューター!!』
デュランダーは両腕のアームシューターをスカイダートに向けて放つが、スカイダート部隊はその場から散開して回避、再度マシンガンを放ってデュランダーを追い詰めた!
「ふふ♪やはり先の戦闘で見た通り、飛行能力は持たないようね。」
「飛行能力を持たぬ以上、上空からの攻撃には対処できない。」
「流石は姫様、的確な判断ダスな!」
キャノンダートの複座式コックピット内で、カラとボルグがキアラを称賛する。キアラは得意満面の顔で笑うと、2人に指示を出した。
「カラ、スカイダート部隊にヤツを誘導させなさい。ボルグはヤツが射程距離に入ったら、すぐに狙いなさい。」
「「はっ!!」」
キアラの命令を受けたカラとボルグが行動を開始する。カラの指令を受け取ったスカイダート部隊の銃撃に苦戦するデュランダーは次第に追い込まれ、まともに動けなくなってしまう。その隙を突いて、キャノンダートはデュランダーに照準を定めた。
「今ダス!!」
ボルグが叫ぶと、キャノンダートの両肩の大砲が火を吹き、デュランダーに向けて砲弾を発射する!
『!?アームシューター!!』
砲弾に気付いたデュランダーがアームシューターを放つと、砲弾は空中で爆発、爆発の衝撃波に腕で顔を覆うが、それに構わずスカイダート部隊はマシンガンの弾丸を雨霰とデュランダーに浴びせ続ける!
『ぐあッ!!こ、このままでは………!!』
数発ボディに弾丸を受けてしまい、火花が散る。
(こんな時に、『
『今の砲撃を回避したのは流石だと褒めてあげるわ。だけど、これでもうおしまいね!』
キアラが嘲笑うように言い放つ。スカイダートに包囲されたデュランダーは、悔し気に歯噛みした。
†
数分ほど遡り、地下牢では草介達がシャークとポーラと対峙をしていた。
(前にある出入口は2人が塞いでて、後ろの隠し通路は氷の壁で使えない………となれば………)
「戦うしかないか……!」
「リジル、姫様を頼む!」
「は、はい!」
草介が意を決し剣を抜くと、ガラティンも同じく剣を抜いた。それを見たシャークとポーラの双子は、笑みを浮かべながらペロリと舌なめずりをする。
「わざわざ俺たちと戦うだなんて、馬鹿だなお前ら!」
言いながら、シャークは自身の周囲に直径15cm程の水の球を3、4個程出現させた。ガラティンはシャークが何かを仕掛けてくる前に仕掛けるべきと考え、シャークに向かって斬りかかった!
「おっと!」
しかし、横のポーラがガラティンの前に割って入ると、手元に氷で剣を作ってガラティンの剣を受け止めた。
「あら、よく見たらあなたけっこーイケメンね。タイプだわ♡」
「な、何を!!」
ポーラが笑みを浮かべながらガラティンに言う。その隙にシャークは草介たちに狙いを定めた。
「えーと、なんつったけ?ああ、そうだ、”アクアバレット”!!」
シャークはうろ覚えな様子ではあったが、思い出したかのように魔法名を口にし、水の球を3つ草介達に向けて放った!
「くッ!!」
草介は辛うじて剣で水の球を2つ弾くと牢屋の奥に飛んで行くが、残りの1発は狙いが反れて天井に直撃、天井から大量の水が草介達に降り注いだ!
「うわ!?」
「きゃあ!?」
草介や姫が、水の冷たさと量に悲鳴を上げる。ずぶ濡れになってしまい困惑を隠せない草介に、シャークが少し残念そうな顔になった。
「ありゃー、外しちまったかー………」
「あーらら、残念。」
「テメェら……ッ!」
草介は頭を振って冷静さを取り戻すと、シャークに剣を向け直した。しかし、草介が動こうとしたその時、背後のフローレント姫の身体が光り出した。
「!?」
「な、何だ………?」
草介も気がついて振り返った先では、フローレント姫は光の中でみるみるうちに姿を変えていく。光が収まると、そこにはフローレント姫とはまったく違う、赤いくせ毛でショートカットの、小柄な少女だった。
「あ、ああ!?しまっただぁ……!!」
「シャスティ!?」
自分の姿が変わってしまった事に気がついた少女が頭を抱える。一同が唖然とする中、ガラティンがポーラから離れ、リジルが少女に声をかけた。
「な、なぜお前が!?姫様は!?」
「うう、オラぁ、姫様に頼まれて影武者さやってただぁ………」
「影武者だと!?」
訛った口調で話すシャスティにガラティンが驚く。シャスティはサイズの合わないぶかぶかのドレスの裾を持って、恥ずかしそうにしていた。
「この変身魔法、水さ濡れたら解けちまうって、お
「喋り方でバレないようにするために、黙りこくっていたのね………」
「ん?ちょっと待つであります、じゃあ、本物のフローレント姫は………?」
シャスティの明かした事実にアルスが首を傾げる。シャスティはもごもごと口ごもっていた。
「うう、それは……その……」
「………もういいシャスティ。」
そんなシャスティに声をかけたのは、ガラティンだった。全員の目線がガラティンに集まると、ガラティンはおもむろに着ていた服の襟のボタンを外すと、首に着けていた黒いチョーカーを外し、傍にあった水桶を手に取り、頭から水をかぶった。
「「「「「!?」」」」」
ガラティンは水を滴らせながら、ゆっくりと顔を上げる。金髪ショートヘアに碧の切れ目の美少女―――先ほどまでシャスティが化けていたフローレント姫の顔がそこにあった。
「ひ、………姫様!?」
「何!?」
「が、ガラティンさんが、お姫様!?」
「いかにも。私がロコロ王国第一王女、フローレント・モルデュアだ。」
ガラティン―――いや、フローレント姫が、先ほどまでの低い声ではなく、ハスキー気味ながらも凛とした声で名乗った。その美しくも気高い姿に、草介達は目を奪われていた。
「ガラティン……いや、フローレント姫、何で今まで………?」
「魔王軍の狙いが私と知ってね、連中を欺くために、怪我の治療のために戦線を退いたガラティン隊長の姿を借りて、シャスティには影武者になってもらっていたのだ。」
「そ、そうだったのか………」
フローレントの説明を聞いて、草介は納得したように頷いた。一同が呆気に取られていると、不意にポーラが口を開いた。
「イ、イケメン女子………マジでタイプ………♡」
「え!?」
「ポーラ………」
頬を紅潮させたポーラがフローレントの姿を見て、目をハートマークにしていた。突然のポーラの発言にシャークは額に手を当てて呆れ、もはやその場は混沌と化していた。その時、
ガンッ
「「「「「!?」」」」」
突然、背後の氷の壁から甲高い音が響いた。振り返ると、何か強い衝撃を壁の反対側から受けたのか、氷の壁にヒビが入っていた。
「な、なんだ!?」
草介が思わず声を上げるが、間を置かずに再度同じ音がしたかと思うとヒビの中央を突き破って小さな何かが飛び出すと、ポーラの頬を掠めて壁に突き刺さった。
「ひゃ!?」
ポーラは頬の痛みに我に返って振り返ると、背後の壁に小さな『弾痕』が空けられていることに気付いた。
「弾痕?銃か!?」
「おい、下がっていろ。」
「え!?」
氷の壁の向こうから声がしたかと思うと、次の瞬間、氷の壁を突き破って黒いブーツを履いた右足が突き出た。一同が驚愕する中、氷の壁の向こうから、自動小銃を持った色黒で長身の女性が現れた。
「え!?ニ、ニールさん!?」
「ニール?」
「驚かせて悪かったな。お前たちが使った隠し通路を使わせてもらった。」
ニールと呼ばれた女性は深緑色のポニーテールを揺らしながら、悪びれる様子もなくそう言って壁の穴を潜り抜けた。軍隊を思わせる緑色の服に小銃を手にしたニールは、目の前の双子を睨みつけていた。
「ニールって、「
「さて、ワルンダイツの諸君、そちらには『マホウ』とやらがあるようだが、流石にこの戦力差を覆すのは厳しいと思うが、どうする?」
ニールの名前を聞いたシャークがたじろいでいる間にニールが手にした小銃の銃口を2人に定めた。ポーラは頬を押さえて睨んではいるが、ニールに倣って草介とフローレント姫も剣を構えている。
(あの小僧とお姫様は何とかなりそーだが、ニールがいるのはちょいとキツいな………さて、どーすっかなぁ………?)
シャークは悩んだ。ここで手練れのニールを相手にするのは、かなり分が悪かった。どうしたものかと考えていると、外の方で大きな爆発音が聞こえてきた。
「今のは!?」
「まさかデュランに何か………!?」
草介たちが爆発音に気を取られたその瞬間、シャークはポーラの手を引いて、背後の出入口に向かって走り出した。
「ポーラ、退くぞ!!」
「え、でもイケメン………」
「いいから!!」
「あ、逃げた!!」
逃げたシャークとポーラを見て草介が追いかけようと飛び出すが、砦内のゴブリンやオークが慌ただしく行きかうのを見て足を止めて、物陰に隠れた。
「オイ、外でキアラ様が例の機械兵器を追い詰めているらしいぞ!」
「マジかよ!見に行こうぜ!」
「おう!!」
ゴブリン達が意気揚々と話しながら走って行くのを聞いて、草介はハッとしたように目を丸くした。
「デュランが……!?」
「これは、思ったよりマズい状況のようだな………」
外にいるデュランダーの危機を知って、フローレントが唇を嚙む。ニールはやれやれとため息をついて、懐から銀色の小さなプレートを取り出した。
「やはり、『これ』が手元になかったのは手痛かったか………」
「それって、昨夜の………」
「『ジップレート』だ。物を圧縮して持ち運ぶことが出来る。」
ニールが手にしたジップレートに気が付くと、ニールが簡単に説明をする。それを聞いて、フローレントやリジルも昨日デュランカーが出現した事を思い出していた。
「このジップレートには、デュラン用のサポートメカが圧縮されている。私が拾ったのを伝えたかったのだが、連絡が付かなかったからな……」
「じゃあ、それがあればデュランは助かるのか!?」
「何とも言えないが、まあ、追い詰められる事はないだろう。」
ニールが応えると、周囲に誰もいないのを確認した。
「とにかく、ここでは狭くて解凍には不向きだ。早く外に出よう。」
「ああ!」
ニールの言葉に草介も頷くと、砦の外に向かって走り出した。
†
砦の外、瓦礫と土煙が渦巻く戦場。
砲撃の着弾で地面がえぐれ、爆風で吹き飛ばされたデュランダーが膝をついた。
『くっ……!ここまでとは……!』
デュランダーは悔し気に上空を見上げた。上空にはスカイダート部隊が包囲し、キャノンダートもゆっくりとデュランダーに近づいて来ていた。
『うふふ♪昨日は不覚を取ったけれど、これであなたもお終いねぇ~!!』
キャノンダートのコックピットで、キアラが勝ち誇ったように笑う。デュランダーは諦めずにDブレードを手に立ち向かおうとしていた。
その時、デュランダーとキャノンダートの間に黒い何か数個が転がって来たかと思うと大量の煙が噴出し、キャノンダートの視界を奪った。
『な、何事!?』
『これは!?』
「デュランダー!こっちだ!」
『!!』
突然の事に驚くが、デュランダーは右手の方から自身を呼ぶ声を聞いてデュランカーに変形し、声のした方へ走り出した。数秒もしない内に煙幕の外側に飛び出すと、そこには草介達の姿があった。
『!みんな、無事だったか。』
変形したデュランダーは草介たちの無事を確認してホッとしたような顔をするが、直ぐにガラティンの姿がなく、見慣れない2人(フローレント姫とシャスティ)がいる事に気が付いた。
『ガラティンは?それに、その2人は……?』
「いや、えーっと………」
デュランダーの疑問は当然のことではあるが、あまりにも複雑な事情のためか説明に困る草介たち。デュランダーが小首をかしげていると、ニールが声をかけた。
「その説明は後だ
『!?ニ、ニールさん………!?』
デュランダーがニールの姿を見て驚くが、それに構わずニールは手にしたジップレートをデュランダーに見せた。
『それは!!』
「落とし物だ。今はこれが必要だろう?」
『あ、ああ!ありがとう!!』
ニールはデュランダーの大きな手の平にジップレートを乗せて言った。その時、背後で煙幕が晴れて、キャノンダートとスカイダート部隊がデュランダーの姿をようやく発見した。
『あ、そんな所にいたのね!?』
キャノンダートに乗ったキアラが言うと、デュランダーは身構えた。
『みんなは下がっていてくれ!ニールさん、みんなを頼む!!』
「分かった!」
デュランダーの言葉を聞いて、ニールたちはその場を後にする。デュランダーはキャノンダートに向き直ると、キアラが不敵に笑った。
『まだ戦う気?面白いわ!返り討ちにしてあげる!!』
『そうはいかない!ようやく本調子で戦う事が出来るのだからな!』
『なんですって?』
キアラが怪訝そうに聞き返すと、デュランダーの額の角の中央から光が伸びて、右手の上のジップレートが吸い込まれて行った。
[ジップレートのセットを確認しました。]
『ブレイバード、解凍!!』
[ブレイバード、エクストラクト!!]
デュランダーの宣言と共に、額から光が天に向けて放たれる。
『何の光ぃ!?』
『あれは、昨日と同じ………!?』
『なーんか、嫌な予感がするダス………!!』
デュランダーから放たれた光にキアラ達はたじろぐ。光が空に向かって行くと雲の谷間から光が差し、白を基調としたカラーリングの大型ジェット戦闘機―――ブレイバードが姿を現した。
『飛行メカですって!?スカイダート!撃ち落としなさい!!』
キアラが命ずると、スカイダート部隊はこちらに向かって来るブレイバードに狙いを定めてマシンガンを乱射する。弾丸の雨がブレイバードに襲い掛かるが、全て躱されてしまい、逆に機体下部に装備されたビームバルカンを食らって数機が爆発した!
『行くぞ!!』
デュランダーが叫ぶと、ブレイバードはデュランダーの真上まで飛来、機首が根元から後ろに倒れるように折れ曲がり機体後部の尾翼が格納、機体が上を向くと両翼が根元から180度回転、中央部のカバーが上に開くと前に跳ね上がるように中央のブロックが展開、左右に分かれ先端に両腕が出てくると、後部のエンジン部が伸びて脚部に変形した。
『トウッ!!』
変形を確認したデュランダーが飛び上がるとデュランカーに変形、車体の先端が下になるように中央の開いたスペースに合体するとカバーが下りてロックされ、両腕が下に下がった。
『ギガ・コンバイン!!』
デュランダーの掛け声と共に機首の根元から赤い兜が飛び出して機体上部に接続、180度反転するとデュランダーの頭部がせり上がり、口元を面頬のようなマスクパーツが覆うと、額に金色の角を持った頭部となる。最後に、胸部が反転して獅子の顔が現れた!
『勇者合体!デュランブレイバー!!』
ブレイバードと合体したデュランダー―――デュランブレイバーは、ポーズと共に名乗りを上げた!!
「合体した!?」
「デュランブレイバー………!!」
「か、かっこいいだぁ………」
デュランブレイバーの名乗りに、草介達は目を輝かせていた。リジルが呆気に取られアルスも笑顔を見せていると、ニールはニヤリと笑いながら言った。
「よく見ておけよ、銀河連邦警察でも一握りしかいない『ブレイバー』の真価をな!」
「が、合体したダス!?」
「あれが……勇者……」
一方、キャノンダート内のボルグとカラは、背面と両脚のスラスターでゆっくりと着地をしたデュランブレイバーを前に狼狽えていた。神々しいほどの姿と威圧感を放つデュランブレイバーに、ボルグとカラは気圧されていた。
「え、ええい!合体したからって何よ!!この数相手に勝てるわけがないでしょ!スカイダート部隊!かかりなさい!!」
しかしキアラもここで怯むわけには行かないと強気に言い放つ。魔王姫の号令でスカイダート部隊はデュランブレイバーに向かって一斉に襲い掛かる!
『行くぞッ!!』
デュランブレイバーが吠えるように叫ぶと、背面のスラスターを噴かし、その巨体からは想像できないスピードで宙を舞った。
「なっ……!? 空を飛んだ!?」
キアラが驚愕の声を上げる。
スカイダート部隊は包囲を崩さぬまま一斉にマシンガンを撃ち放つが、デュランブレイバーはその全てを回避、もしくは腕の装甲で受け止めながら突き進んだ。
『ツインカッター!!』
デュランブレイバーの両手の甲から刃が飛び出すと、スカイダートへ接近すると同時に斬りつけて行く!デュランブレイバーがその場を離れると同時にスカイダートが2体ほど爆散した!
「ま、マズイ!スカイダートは接近戦にはあまり向いていない機体………!」
カラが思わず呟く間にも、デュランブレイバーはツインカッターで次々とスカイダートを撃破していく!デュランダーが飛行出来ないところを突いてスカイダート部隊とキャノンダートの火力で追い詰める作戦であった。しかし、デュランブレイバーに飛行能力がある上にあれだけの出力を持っていては作戦など何の意味も為さなかった。
「ミサイルよ!ミサイルを一斉に放ちなさい!!」
「は、はい!!」
このままでは全滅すると判断したキアラが命ずると、スカイダート部隊は両翼に装備されたミサイルをデュランブレイバーに向けて発射する!
『エースランチャー!!』
しかし、デュランブレイバーの両脚の装甲が左右にスライドすると四連装のミサイルが顔を出しミサイルに向けて発射、空中で打ち落とされた!
ミサイルの撃墜を確認すると、デュランブレイバーの両脚の装甲が元に戻ると同時に、胴体の獅子の目が光り、スカイダート部隊に狙いを定めた。
『ブレイバービーム!!』
次の瞬間、獅子の目から緑色の光線が発射され、残ったスカイダートを全て撃ち抜いた!
「す、すごい………!」
「あれだけの機怪魔獣を、あっという間に………!!」
地上で戦いを見守っていた草介達が、感嘆の声を漏らす。
「流石は長官が認めるだけはある。あの程度の連中じゃあ、相手にならんな。」
ニールはデュランブレイバーの戦いぶりを見て、笑いながら感心していた。スカイダートが全滅すると、デュランブレイバーは着陸をして、キャノンダートを見据えた。
『残るはお前たちだ!!』
「お、おのれェ!!ボルグ!ヤツを撃ち落としなさい!!」
「は、はいダス!!」
キアラが命じると、キャノンダートの両肩の大砲が火を吹き砲弾がデュランブレイバーに向かって行く!
『デュランソード!!ぬぅんッ!!』
デュランブレイバーの掛け声と共に、背面にあるブレイバードの機首から剣の柄が出現。デュランブレイバーがそれを抜刀すると同時に、飛んできた砲弾が斬り裂かれ、後方で爆発した!
「剣ですってぇええ!?」
キアラが悲鳴の混じった叫びを上げる。
『ブレイバーチャージ!!』
デュランブレイバーはデュランソードを構えると、胸の獅子の口から緑色のエネルギーが放出されて刀身に纏わせると、振り下ろすように下に構えた。そして、背中のスラスターを最大に噴かせてキャノンダートに向けて一気に加速する!
『ライトニング・スラァアーーーッシュッ!!』
デュランブレイバーはエネルギーの纏われた刀身でスラスターの推進力が加わった一撃を袈裟懸けに叩きつけ、キャノンダートを両断した!!
「そ、そんなあああ!?」
「脱出ダスぅーーー!!」
コックピット内でボルグが叫びながら脱出ボタンを押した次の瞬間、キャノンダートは爆発四散!爆炎の中から脱出ポットが飛び出した。
『ガァアーーーッ!!』
デュランブレイバーが爆炎を背に残心するとデュランソードを納刀する。その直後、胸の獅子が勝利の勝鬨の如く雄叫びを上げた。
「やったぁ!!」
「あの胸のライオン、意思でもあるのか………?」
デュランブレイバーの勝利に草介が歓声を挙げる中、フローレントはデュランブレイバーの仕組みについて考え込んでいた。その時、キャノンダートから射出された脱出ポットが、草介達の近くに落ちてきた。
「あ!」
アルスが声を上げたその時、ポットのハッチが開いてボロボロになったキアラ達が這い出てきた。
「おのれェ……一度ならず二度までも………!!」
「!?ひ、姫様!アレを!?」
「な!?髪短いけど、フローレント姫よね、あれって………?」
忌々し気にデュランブレイバーを睨むキアラであったが、フローレント姫の姿を見て救い出されてしまった事に困惑した。
「やはり、アイツは囮だったのか………」
「姫様!!」
「ご無事ですか!?」
カラが唇を噛んでいると、ゴブリンやオーク達が駆け寄って来る。全員がキアラを守るように取り囲む。草介達は剣を構え緊張が走るが、デュランブレイバーがわざとらしく足音を立てて、魔王軍を見下ろした。
「ッ………分が悪いわね、仕方がない………」
キアラは肩を落とすと、全員に聞こえるように言った。
「撤退するわよ!この砦は放棄する!」
「し、しかし………!」
「これ以上戦っても、いたずらに兵を消耗するだけよ。それに………」
そう言って、キアラはデュランブレイバーを見上げた。
「アレを相手にするにしても、機怪魔獣なしではそれこそ無謀よ………」
「分かりました、全軍撤退!おい!」
キアラの言葉にボルグとカラが命じると、ゴブリンやオークは渋々ながらも撤退を開始した。キアラはデュランブレイバーを見上げた。
「……
キアラはそう言うと、カラに肩を借りながら、最後に撤退をしていった。去って行く魔王軍を見送ると、草介達は剣を収めた。
「とりあえず、この場は何とかなったな………」
「ああ。」
草介とフローレントが話していると、ニールが口を開いた。
「あのお姫様、的確な判断力だな。それに、目ざとい………」
「え?」
草介がニールの言葉に疑問を持ったその時、デュランブレイバーからボディの至る所がボロボロになったデュランダーが、倒れ込むように合体を解除した。
「デュラン!?」
「大丈夫か!?」
『あ、ああ……何とかな………』
「デュランダーの時に、相当ダメージを蓄積していたな。正直、あのまま戦ってたら、危ないところだったよ……」
草介とフローレントがデュランダーの心配をしていると、ニールが状況の説明をした。デュランダーはデュランカーに変形し、デュランが分離すると、ニールに話しかけた。
「さっきはありがとうございました、ニールさん。」
「いや、いいって。それより、現状を把握したい。」
「それもそうでありますね。」
ニールの言葉に、デュランや草介達は頷く。フローレントが口を開いた。
「一度、城に帰ろう。父上やレヴァンティに、私の無事やデュラン達の事、それに聖なる石の事を知らせる必要もあるしな………」
「ああ。ところで、そちらの2人は?」
「あー、うん、それも道すがら………」
デュランの疑問もごもっともだと草介は思った。デュランは首を傾げながらも草介達にデュランカーに乗るよう促すと自身はニールと共にブレイバードのコックピットに搭乗、ブレイバードの後部にデュランカーを接続した『Dキャリアー』となり、王都ロシロへ向けて飛び立っていった。
†
ズンケート砦放棄から1時間後
シンナセンの北の果てにあるティダマ大陸。大昔に魔族が住み着き建国されたレイヴン魔帝国が、そこにあった。
大陸で一番高い岩山・ツクパ山の麓に聳えるリブアン城の玉座の間に座る魔王ダインズは、頬杖を突きながら娘であるキアラからの報告を聞いていた。
「機怪魔獣を全て破壊され、ズンケート砦とロコロ王国の姫を奪還されたか………」
[も、申し訳ありません、父上………]
「いや、構わん。お前の判断は間違っていない。」
ダインズはキアラを宥めるように言った。すると、隣に立っていた右目に黒い眼帯を付けた灰色の毛並みを持った人狼の男性・ダインズの側近グンフィがフームと考えるように顎に手をやった。
「しかし、機怪魔獣をいとも簡単に破壊するとは……軍事国のカマリサ帝国ですら、機怪魔獣への対抗手段は限られているというのに………」
「確かにな。機怪魔獣の導入によって、我ら魔帝国は有利に戦えるようになった。それを脅かす存在が現れるとは………」
グンフィの呟きに、ダインズが同意するように頷く。通信装置越しにキアラも心配そうにしていると、ダインズはある事を思い出してキアラに聞いた。
「ところでキアラ、そっちに行ったワルンダイツの2人はどうした?」
[それが、気が付いたら姿がなくて………]
『フフ……』
突如、第三の声が会話に割って入った。不気味な笑みを含んだその声に、玉座の間の空気が一瞬で凍り付く。
『その二人なら、既に戻ってきているよ。キアラ姫の元での役割は、十分に果たしたからね。』
「お主らか………」
玉座の間の出入口、影の中から姿を現したのは、赤いジャケットを着て赤とオレンジの混じった短髪の、軽薄な印象の赤髪の青年。
その後ろには、全身を黒のマントに包み、顔を一つ目めいた赤いバイザーと牙のようなモールドの入った禍々しい金属仮面で隠した、身の丈が2m以上もある人物の姿があった。
「それよりも、機怪魔獣を破壊したのは、俺らを追って来た銀河連邦警察みたいだね。それも、かなりの実力者をよこしてきたみたいだよ。」
「ほう?」
青年の言葉に、グンフィが興味深そうに聞き返した。ダインズは無表情を装いながら、通信装置に映るキアラに向かって話しかけた。
「キアラよ、今は一度、本国に戻って体制を立て直すのだ。」
[で、ですが………]
「例の勇者とやらは脅威ではあるが、我らが世界を手にする戦いにおいては些事に等しい。今は傷を癒し、体制を立て直すのだ。」
[は、はい……お父様……]
渋々ながらも、返答を返したキアラ。通信が切れると、ダインズは青年と黒い人物に向き直る。
「お前たちワルンダイツと同盟を結んだおかげで、我々は先祖代々の積年の野望を果たすことが出来る。だが、その進軍を阻むものがいるのであれば………」
『あの連中なら、問題はないよ。』
ダインズの言葉を遮るように、仮面の人物が応えた。
『実力者と言っても、少数の1部隊しか来ていないみたいだしね。機怪魔獣に加えて私達が出れば、連中に邪魔される事はないだろうよ。』
「その言葉に、偽りはないな?」
『無論だよ。』
仮面の人物が答えると、ダインズは鼻を鳴らした。
「期待をしているぞ―――」
「―――デスダイト。」
『ああ、もちろん。』
魔王の言葉に、ワルンダイツ首領―――デスダイトはそう答えた。
【つづく】
衝撃の事実が連発した後に、ついに主役ロボの登場。次回は小休止回。