異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~ 作:オレの「自動追尾弾」
異世界勇者ロボ 第43話
その忍、姿なく、音もなく
『ソウスケ!?』
『しまった、追手がいたか………!』
背後の建物の屋根の上で、草介たちがファングリルとリビングローダーに取り囲まれたのを見たデュランダーとマーブラーは、草介たちの危機に気づいて振り返る。
マーブラー=アスカ丸は、ウルフは大量の機怪魔獣を『影渡りの術』で召喚しているために、大量のエネルギーを消費しているから、これ以上機怪魔獣を召喚することはできないと推測をしていた。しかし、あのサイズの機怪魔獣程度であれば呼び出せられたのか、あるいは最初から呼び出して隠していたのだと気づき、自分の失態を悔やむ。
慌てて向かおうともするも、周囲にランダートが取り囲んでいるために、直ぐには動けない。
『それならば………!』
『また地中には潜らせんぞ!』
トライトータスが両肩のドリルを回転させる。地中から草介たちの元に向かおうと思っての事であったが、そうはさせまいとウルフダイトが叫ぶと、上空からタランテナの群れが何匹も降り注いできた!
『こ、こいつ!!』
『マーブラー、さっきの音を―――』
トライトータスは顔をしかめるが、直ぐデュランダーがマーブラーに『サイレント・サイレン』を発動するよう指示を飛ばそうとする。しかし、落ちてきたタランテナの群れはマシンメイルのボディにしがみついてきたかと思うと、次々に自爆をしてきた!
『ぐぅおおお!?』
『こ、こやつら自爆特攻を!!』
『こんな使い方があったとは!?』
次々と降り注ぎ、次々と自爆してくるタランテナに怯むデュランダーたち。爆発の威力は大したことないものの、数が多く途切れなく特攻してくる。
『これは、先に大蜘蛛を退治しないといけないみたいだね………!』
『でも、このクモの雨霰からどうやって抜け出すネ!?』
マーブラーはタランテラの猛攻に耐えながらも、時計塔の上からタランテラを送り続けてくるアラクネットを睨みながら対応策を口にする。しかし、こうも連続で自爆をされては対処のしようがない。どうしようかとデュランダーが考えていたが、その時、ソードダート内のキアラがウルフダイトに向けて進言してきた。
「ウルフ、一度クモを止めて。」
『何?』
「デュランダーは私が相手するわ。止めるのは一瞬でいいわ。」
『し、しかし………!』
キアラの申し出にウルフダイトは難色を示した。相手には宇宙忍者であるマーブラーがいる。一時でも攻撃を止めれば、素早い動きで何をしてくるか分からず危険だ。
「早く!」
『う、うむ………』
『すっげー気迫………』
そう考えていたのだが、キアラの鬼気迫る気迫に負けて一歩後退ってしまう。止めている間はランダートに相手をさせればいいと考えて、タランテラの攻撃を一時的に止める事にした。
『止んだ!』
『今なら!!』
小型機怪魔獣の攻撃が止んだその瞬間、デュランダーたちはその場から動こうとした。しかし、周囲のランダートが飛びかかる勢いで襲い掛かってくる!
『やっぱりそう来るよね―――』
しかし、マーブラーは軽口を呟いて腰に手を回した次の瞬間、銀色の光が走ったかと思うと、ランダート達は瞬時に斬り割かれて地面に転がった!
『―――忍者刀・
マーブラーの右手にはやや短い直刀(地球でいうところの『小太刀』ほどの長さ)が、逆手で握られていた。マーブラーは腰に装備された忍者刀で、目にも止まらない速さでランダート数体を斬り捨てたのだ。
マーブラーは崩れ落ちたランダートを一瞥することもなく、刀を納めてその場で飛び上がると、両足裏に搭載された噴射機構から空気を噴出させて一気に上昇!あっという間に上空の蜘蛛の巣の上に飛び乗ってしまった!
『やっぱ、宇宙忍者ってのは素早いな………!』
『アイツは俺が相手をする!』
バッファローダイトが呆気に取られていると、ウルフダイトは後ろ脚の太腿のあたりからブースターを展開、点火してマーブラーを追いかけるように飛び上がって行った。
『よし、今の内にソウスケたちの元に………』
「そうはいかないわ!」
『む!?』
デュランダーは草介たちの元に向かおうとしたが、しかし、そこにキアラの駆るソードダートが剣を構えて襲い掛かってくる!デュランダーは咄嗟にDブレードを引き抜くと、振り下ろされた剣を受け止めると、周囲に火花が散った!
「あんたは、私が直接倒さないと気が済まないわ!」
『君か………!』
「本当はデュランブレイバーと相手したかったんだけど、この際贅沢は言わないわ!」
『隊長!』
キアラは操縦桿に力を込めてソードダートの剣を握る腕を押し込みながら、デュランダーを睨んでくる。2機は鍔迫り合いの状態で、その場から動けなくなった。トライヤーズは手助けに向かおうとするが、その前にバッファローダイトが現れて行く手を阻んだ。
『お前らの相手は俺だ!』
『バッファロー………!』
トライトータスが邪魔をするバッファローダイトを睨むが、バッファローダイトは両前脚で地面を穿つように踏み込むと砕けた石畳の破片が鋭い円錐型の岩となって、いくつも角の周囲に集まり歯車の如く回り始めた!
『ロックホーンランチャー!!』
『うおッ!?』
そしてバッファローダイトの宣言と共に、円錐型の岩はガトリング砲の如く回転しながら岩のミサイルとなって連射される!トライトータスが前に出てキッコウシールドで防御をするも、段々と後ろに押され始めて動けなくなってしまう!
『トライトータス!!』
ガガガガッ
『むむ!?』
トライフェニックスとトライタイガーは救援に向かおうとするが、ランダートの銃撃で阻まれてしまう。2機は悔し気にしながらも、ランダートの対処のためにそちらに向かっていく。
『うおおおお!!』
『ぐぉおッ!?』
バッファローダイトの猛攻が止んでトライトータスは動こうとしたが、今度はバッファローダイトが角を突き刺さんと突進をしてきた!トライトータスはキッコウシールドを盾にして防ぐも、凄まじい力に吹き飛ばされてしまう!
『ぐぁあッ!?』
『トライトータス!!』
『こ、こいつここまで………!!』
『これじゃあ、ソウスケたちの所に行けないアル………!!』
吹き飛んだ先の建物と激突し、破壊しながら停止したトライトータスを見て、トライフェニックスは思わず声を出してしまう。瓦礫の中からトライトータスが起き上がるも、バッファローダイトは狙いを定めたままで離れる事はできないと察した。
このままでは、と、ソードダートと鍔迫り合いをしていたデュランダーが考えていたその時、一同の背後、建物の屋根の上から爆発音が響いた!
†
爆発の起こる数分前のこと、草介たちはファングリルとリビングローダーに取り囲まれて動けないでいた。
「ま、マズいな、この状況………!」
「う、うーん………ん?」
周囲のファングリルに警戒していた草介が呟いていると、同じくリビングローダーを見ていたフローが『ある事』に気づいて、バイクから降りて腰の剣に手をかけた。
「………ソウスケ、あの大きな機怪魔獣は私が何とかするから、その間にシャスティと一緒にあの基点に向かって………」
「え?でも………」
草介が心配しながら声をかけるが、フローは剣をスーッと引き抜いて、彼に笑顔を見せてきた。
「私なら問題ないよ。ソウスケたちが思っているよりも、強いつもりだからさ。」
「フロー………」
「姫様………」
2人に笑みを浮かべて話しかけて振り返ると、その目をリビングローダーへと向けた。その眼は凛々しく、覚悟を決めたものとなっていた。フローは剣を目の前に構えると、その口で呪文を詠唱し始めた。
「
「身体強化魔法………!?」
呪文を唱えると、フローの身体を淡い光が包む。異変を感じ取った目の前のファングリルたちは口を開いて牙を剥き、一斉に襲い掛かってくる!
『『『ガァアアッ!!』』』
「ふッ!!」
『『『!?』』』
しかし、その牙が届くよりも先にフローの姿は一瞬で消えてしまう!機怪魔獣たちは突然の出来事にCPUがフリーズを起こしそうになるが、センサーが『頭上』に反応したのを感じて顔を上げてみれば、そこには体操選手かのように空中を舞うフローの姿があった!
「天風剣―――」
瞬間、フローの右腕が振るわれたかと思うと、3機のファングリルの脳天や胴体に無数の『刺突』が降り注ぐ!
『ギャ―――』
『キャィ―――』
「―――“雨のヴェローチェ”!」
フローがファングリルの背後に着地と同時に宣言をした瞬間、3機の機怪魔獣はスクラップと化して火花とオイルを散らしながら倒れこみ、屋根から地面へ向けて滑り落ちていった。
「つ、強い………それに速い………!!」
「天風剣………たしか、リグーン王国の騎士団で使われてるっつう剣術のハズだべ………!」
「マルティアさんに教わったっていう剣か………」
フローの剣技を目の当たりにした草介とシャスティが驚いていたが、フローの目の前にリビングローダーがわざとらしく大きな足音をたてて立ちはだかった!
「マズい!フロー!」
草介が慌てて叫ぶが、リビングローダーは刀剣になった左腕を振り上げてフローに向けて斬りかかってきた!
「ふっ!!」
しかし、フローはそれを華麗に飛び上がって回避、そして、そのままリビングローダーを操縦するウルフロイドの目の前にまで接近をすると、驚いた様子のウルフロイドの顔に横一線に剣を振るった!
「“風のメゾフォルテ”!!」
『ギャッ―――』
フローの一太刀を顔面に受けたウルフロイドは火花を散らす傷口を思わず押さえていたが、リビングローダーの肩に飛び乗ったフローによって操縦席から蹴り落とれてしまった!
「あ、そうか!」
一連のフローの行動を見ていた草介は、フローの考えを察した。リビングローダーF2は、操縦者を必要とするパワードスーツ型の機怪魔獣。操縦者がいなければ動かないのであれば、操縦者を狙うのは最適解だろう。
そう思っていた草介であったが、フローレント姫は目の前で剣を鞘に納めたかと思うと、操縦者が不在となったリビングローダーの操縦席に乗り込んでしまった!
「これ、奪っちゃえば十分戦えるよね」
「あ、ちょっと予想外………」
「姫様、操縦できるだか?」
「………うん、思ったより操縦は難しくないかも。まあ、キアラ姫やクシーフができてたくらいだし。」
まさかの行動に呆れたように呟く草介とシャスティ。フローがリビングローダーのコンソールをあれこれ弄っていると、両腕や足がガチャガチャと動いていた。その時、屋根の上にファングリルが数体、こちらに向かってくるのが見えた。
「え、援軍だか………!?」
「ソウスケ、シャスティ!早く基点に!」
「わ、分かった!」
フローの言葉を受けて草介が返事をすると、それに呼応してかガンマビークルが走り始めたため、慌ててハンドルを握った。フローの駆るリビングローダーの横を2機が通り過ぎるのを見ると、フローレント姫はこちらに向かってくる犬型機怪魔獣に目を向けた。
「さーて、慣れない機怪魔獣の操縦だけど、相手になるよ!」
フローは意気込んで言い放つと、コンソールにあるスイッチの1つを押し込んだ。
その瞬間、リビングローダーの背中に配された立方体型のバックパック2つがワニの顎の如く開いたかと思うと、中からミサイルが左右3発ずつ顔を出したかと思うと、空に向けて発射された!
「あれ?」
予想外の挙動に思わず間の抜けた声を発してしまうフロー。放たれたミサイルは、空中でドッグファイトを思わせる無駄に複雑な軌道を描きながら草介とシャスティの頭上を飛んで行った。
「え?」「へ?」
頭上を通り過ぎたミサイルと思われる飛行物体に呆気に取られていたが、飛んでいった先に自分たちの目指していたバリアの基点であることに気づいたのも束の間―――ミサイルは基点に見事命中した!
「「「あッれぇえーーー!?」」」
予想外すぎる状況に3人が素っ頓狂な声を上げてしまう。
数拍置いて、上空の景色が液晶画面に走るノイズのように歪んだかと思うと、次第に青空が澄んだ色に変わっていく。ガンマビークルを止めて見上げていた草介とシャスティは呆然としていたが、気まずそうな顔で振り返った先では、なんとも言えない表情で上空を見上げていたフローレント姫が、そそくさとリビングローダーから降りる最中であった。
「………や………やっぱり………慣れないことはするもんじゃないね………」
「「け、結果オーライ!!」」
恥ずかしそうに言うフローに対して、草介とシャスティは慌てたようにサムズアップで励ますことしかできなかった………
†
バリアが解除される少し前、ファリージャの街を覆う蜘蛛の巣の上に降り立ったマーブラーは、巣の中央に居座るアラクネットD3を睨みつけた。
『さーて、ここまで来たら一直線………』
『そうはさせるか!』
『おっと?』
真っすぐに向かって行こうとしたマーブラーであったが、下から飛び上がってきたウルフダイトがそれを阻む。
『ま、追ってくるよね、そりゃ。』
『気に喰わんヤツだ………その余裕ぶった態度が、いつまで続くかな?』
やれやれ、とかぶりを振るマーブラーに対して、多少苛ついたようにウルフダイトが睨み返す。しかし、マーブラーはウルフダイトを見据えて不敵な笑みを浮かべた。
『それはどうだろうね?この細い足場じゃあ、キミご自慢の影を媒介にした忍法は、十分な効果を発揮できないんじゃないかな?』
『ッ!!キ、キサマ………!』
マーブラーの指摘に一瞬たじろぐ。その指摘の通り、今自分たちのいる蜘蛛の巣は細いワイヤーでできている。(人間から見たら結構太いが、巨大なマシンメイルでは細い)地上と違い影のできる範囲は限られているため、自身の影を操るウルフダイトにとっては不利な場所であった。
『俺を誘い込んだのか………!』
『蜘蛛の巣だけにね。自分たちで張った巣にかかる気持ちはどうだい?』
『コイツ………!』
『悪いみたいだね。』
皮肉を込めたマーブラーの言葉に、ウルフダイトは忌々し気に歯噛みした。マーブラーは笑みを浮かべ軽く言いながら、両腕に配されたサイレントシャドーのタイヤ部分を指先で押し込むと、タイヤのホイールカバー部分が浮き上がってその手に収まった。
『ディスクエッジ
『むぅ!?』
宣言と同時に右腕を振るうと、ワイヤー付き円盤手裏剣『ディスクエッジ四四』がウルフダイトに向けて投擲された!咄嗟にウルフダイトは飛び上がると、ディスクエッジ四四は空を切る。マーブラーはワイヤーを引いて手元に戻したその時、爆発音がしたかと思うと上空の景色が変わっていく。
『バリアが解除されたのか。』
『しめた!』
マーブラーが呟くが、ウルフダイトは自分たちのバリアが解除されたというのに、何か思いついたのか口の端を上げていた。すぐさま上空に向けて電波を送信すると、街の外を飛んでいた飛行円盤型機怪魔獣アダムックD2の編隊がこちらに向けて飛んできた。
援軍か?とマーブラーは思ったが、アダムックは密集したかと思うと、その上にウルフダイトは飛び乗った!
『足場がなければ用意すればいいだけだ!』
『そうきたか………!』
ウルフダイトの咄嗟の判断に、マーブラーは少し焦った表情になる。ウルフダイトは円盤であるアダムックを足場にすることにより、自身の足元に十分な影を作ったのだ。
『今度はこちらの番だ!』
ウルフダイトが叫んだ瞬間、足元の影が蠢いたかと思うと、うねる大蛇のような形となってマーブラーに襲い掛かってきた!
『受けて見よ!魔獣忍法『黒オロチの術』!!』
『おっと………!』
影の蛇が襲い掛かってくるのを、マーブラーは咄嗟に飛び上がって回避をした。しかし、蛇は途中で複数に分裂をして、槍の如くマーブラーを突き刺さんと追いかけてくる!
『こ、これはちょっと………!』
『隙あり!!』
『!?』
マーブラーがぼやいたその瞬間、ウルフダイトの口が大きく開き、その奥から無数のクナイが空中で動きがうまく取れないマーブラーに向けて射出され、その身に突き刺さった!
『仕留めた!』
全弾マーブラーに命中したのを見たウルフダイトは勝利を確信して叫ぶが、その時、傷ついたマーブラーの姿が、まるでノイズが走ったかのように歪んで見えた。どうしたのかと思っていると、マーブラーの姿が消えて、そこには破壊されたランダートの残骸が現れた!
『変わり身だと!?』
ウルフダイトが驚愕と困惑の混じった声で叫ぶが、その時、ウルフダイトから離れた地点の空間が歪み、黒と紫のマシンメイルの姿を現してアラクネットに向けて走っていた!
『し、しまった!?』
ウルフダイトが自身の失態に気づくが、その時、ランダートのボディに薄いオレンジ色の小さな機械が貼り付いているのを見つけた。それがホログラム装置である事に気付くと同時にいつの間に入れ替わったのかと疑問に思うが、マーブラーが両手のディスクエッジ四四を腕に戻しているのを見て、先ほどの事を思い出した。
『(ヤツはあの時、両手にあのヨーヨーめいた手裏剣を持っていたのに、右の手裏剣だけで俺に攻撃してきた………その隙に、左の手裏剣で下のランダートの残骸を引き上げて飛び上がると同時に、すり替わっていたのか………!!) マ、マズい!アラクネット!』
慌てたウルフダイトがアラクネットに命じると、機怪魔獣はマーブラーに向けて子蜘蛛を無数に放つ!マーブラーは腰の忍者刀を逆手で引き抜き素早く振るってタランテナを斬り捨てると、アラクネットに飛びかかった!
『せいやぁあッ!!』
掛け声と同時に忍者刀が振るわれると、アラクネットの首と両腕、腰や脚が切断される!
『―――やっぱり、人間を操る事に特化している分、直接の戦闘は苦手みたいだ………脆いね。』
マーブラーが呟きながらワイヤーの上に着地すると、バラバラになったアラクネットは爆発四散する!爆発の衝撃を受けてか、街を覆っていたワイヤーの蜘蛛の巣は主を失い役目を終えたかのように千切れ垂れさがった。
『おっとっと………これで街の人を操ることも、自爆特攻もできないよね。』
『キサマぁ………こうなれば、アダムックだけでなく街の外にいるランダートも………!』
ワイヤーが落ちるよりも先に建物の屋根の上へ身軽に降り立ったマーブラーに対して、ウルフダイトがそう言いかけたその時、街を囲う城壁の外で爆発が起きた!
『い、今のは!?』
『どうやら、外にいたスペースパンサーさんがやってくれてるみたいだね。』
困惑するウルフダイトに対して、マーブラーは何が起こっているのか察したのか、笑みを浮かべていた。ウルフダイトは悔し気に顔を歪ませていたが、直ぐにマーブラーの方を睨んできた。
『お、おのれェッ!!』
ウルフダイトは叫ぶと同時にアダムックから飛び降りると、円盤型機怪魔獣の集団は鋭い牙を持った口を開き、マーブラーに噛みつかんと襲い掛かってきた!
『おっと!』
しかし、マーブラーは慌てる様子も見せずに腕を振るうと、その手から数枚十字手裏剣が放たれると、それらはアダムックの口の中へ吸い込まれるように入って行く!そして、マーブラーのいる地点を通り過ぎた数十メートル後方で、爆発した!
『ッ………!!』
『やれやれ………追い詰められて焦ると短絡的になるのは、気を付けた方がいいよ?』
『こ、コイツ………!!』
アダムック部隊が瞬時に破壊されたことに、ウルフダイトは悔し気に歯噛みをしていたが、背中にマウントされていたパワーショベルのバケットを展開させて、その先端をマーブラーに向かって襲い掛かってきた!
†
『む、巣が………!』
『ソウスケ、マーブラーもやってくれたか!』
同じ頃、バリアと巣がなくなったのを見たデュランダーたちは笑みを浮かべる。対照的に、ソードダートを駆るキアラとバッファローダイトは自分たちの有利な状況が崩れてしまった事に、少し焦りを見せていた。
『はぁあッ!!』
『アチョー!!』
『どりゃあッ!!』
『ぐぉおッ!?』
少し焦っていたその時、ランダートの軍団を全て破壊し終えたらしいトライフェニックスとトライタイガーがバッファローダイトと戦うトライトータスに加勢し、地魔獣将は吹き飛ばされて数十m吹き飛ばされた!
『て、てめぇら………!!』
『さっきの爆発音を見るに、外のランダートも、バトルパンサーが対処している頃だろう………』
「一気に反撃に転じてきたわね………はぁあッ!!」
『むぅッ!?」
トライヤーズの逆転を見てキアラが呟いたかと思うと、鍔迫り合いをしていたデュランダーを力強く押し返して20mほど距離を取ると、右手に持っていた剣の切っ先をデュランダーに突き付けた。
「こうなれば、ここであなたたちと決着をつけるまでよ!覚悟!」
『くっ!?』
キアラが宣言をすると同時に、距離を一気に詰めて何度も剣を振り下ろす!デュランダーはそれを受け止め防いでいたが、振り下ろされた一刀を受け流して背後に飛び退いた。
『ブレイバード!!』
その隙にデュランダーが叫ぶと同時に、天に向かって額から光が放たれる。数拍置いて、街の外で待機をしていたブレイバードが飛来してきた。
『合体するぞ!』
『『『了解!!』』』
デュランダーの指示にトライヤーズが応えると、飛び上がって合体の体制に入る。
『『『トライコンバイン!!』』』
『ギガコンバイン!!』
掛け声と共にトライメイルはトライディアンへと合体、デュランダーもブレイバードが頭上で変形をすると、飛び上がり合体を遂げた!
『『『三神合体!』』』
『トライディアン!!』
『勇者合体!デュランブレイバー!!』
ポーズと共に名乗りを上げ地上に降り立ち、ソードダートとバッファローダイトにそれぞれ対峙するデュランブレイバーとトライディアン!キアラは一瞬忌々しそうな気持になるが、気を取り直してデュランブレイバーに向けて叫ぶ。
「ええい!何で毎度毎度、合体の度にポーズと名乗りをかっこよくやってるのよ!!」
『動作とスピーカーに異常がないか、確認を兼ねている。』
「そーいうのって普通、出動前にやらない!?」
自身の八つ当たりにも似た叫びに律儀に答えるデュランブレイバーに対して、思わずツッコミを入れるキアラ。デュランブレイバーはそれを受け流しつつ、背中からデュランソードを引き抜いた。
『隊長!』
『この子は私に任せてくれ!元々、私との戦いをご所望のようだしな!みんなはバッファローを頼む!』
『ぎょ、御意!』
デュランソードを構えながらトライディアンに指示を飛ばすデュランブレイバー。トライディアンは少し戸惑いながらもそれに従う事にして、起き上がってこちらを睨んでくるバッファローダイトに向けてその手に握ったトライハルバードの切っ先を向けた。
「こちらの要望に応えてくれて、感謝するわ………」
『なに、私としても、この場はとっとと終わらせたいのでね………』
キアラがソードダートの剣を構えながら少し口の端を上げながらデュランブレイバーに言うと、デュランブレイバーも軽く返す。2機はじりじりと距離を詰めたかと思うと、一気に駆け出して剣を交わり火花が散った!
「くぅうッ………!」
『ぅおおおッ!』
単純な馬力はデュランブレイバーに分があるのか、段々と押されていくソードダート。キアラは一瞬焦ったが、咄嗟にソードダートの両肩に装備されたバルカン砲を掃射し、デュランブレイバーのボディに弾丸を浴びせた!
『ぬぅッ!?』
「不意打ち、ごめんあそばせ!」
弾丸に声を上げながら後退するデュランブレイバー。キアラは一切悪びれもなく謝ると、手にした剣を横薙ぎに振るって斬りかかってくる!
『なぁに、お互い様だ!レオフレイム!!』
「なぁ!?」
しかし、デュランブレイバーは胸の獅子の口から火炎放射を放つと、キアラはソードダートを停止させて剣で防ぎながらもたじろいでしまう。
『ブレイバーチャージ!!』
それを好機と見たデュランブレイバーは火炎放射を停止させてデュランソードを構えると、胸の獅子の口から緑色のエネルギーが放出されて刀身に纏わせると、振り下ろすように下に構えた。
「ま、マズい!?」
キアラが気づいた時には既に遅く、デュランブレイバーは背中のスラスターを最大に噴かせて、ソードダートに向けて一気に加速する!
『ライトニング・スラァアーーーッシュッ!!』
デュランブレイバーはエネルギーの纏われた刀身でスラスターの推進力が加わった一撃を袈裟懸けに叩きつけ、ソードダートの後方でスライディング気味に停止する!
背後のソードダートは袈裟懸けに斬られた傷から出血するかのようにバチバチと大量の火花を散らしたかと思うと、次の瞬間にはそのボディを爆散させ、爆炎の中から脱出ポットが飛び出した!
その少し前、トライディアンとバッファローダイトも激しく戦っていた。
『ヤロウ!負けてたまるかよ!!』
バッファローダイトが助走をつけてトライディアンに突進してくるが、トライディアンはその場で動かずに睨みつけていた。
『あの突進、利用できそうだな………』
『足元を狙えば、勢いよく転ぶアル♪』
『であれば、あの手を使う!』
『おう!』『あいあい~』
合体している3人はバッファローダイトに気づかれないように話し合うと、正面のバッファローダイトに狙いを定めて両腕を顔の前で交差させた。
『『『トリプルヘッドアタック!!』』』
トライディアンが叫ぶと同時に両腕を開くと、両肩と胸部の鳥、虎、リクガメの頭部パーツが高速射出され、バッファローダイトの脚部に突っ込んでいった!突進をしていたバッファローダイトは回避することが出来ずに転倒し、その勢いのまま地面に顔面を激突させてしまった!
『ぐゲェッ!?』
激突したダメージで情けない声を上げながら顔面でスライディングするバッファローダイト。トライディアンが滑ってきたバッファローダイトをジャンプで回避をすると、空中で3つの頭部が両肩と胸部に戻り接続される。トライディアンが着地をしてバッファローダイトの方を見れば、ようやく止まって身を震わせながら立ち上がろうとしていたのだが、その時、デュランブレイバーによってソードダートが斬り割かれて爆散するのが見えた。
『ぐぅ………あ、アイツもやられたか………!』
『ぐふぇェぇ!!』
バッファローダイトがおぼつかない脚で起き上がってソードダートが敗北したのを見ていたが、そこに遠くからウルフダイトが吹き飛んできて、バッファローダイトの傍に落ちてきた!
『ウルフ!?』
『おっと、少し吹き飛ばしすぎたかな?』
『マーブラー。』
遅れてトライディアンの傍に着地したマーブラーが悪びれもなく言ってみせた。ウルフダイトは悔し気な顔で起き上がりながらも、チラリと横を見れば脱出ポットから出てくるキアラにカラたちが手を貸しているところであった。
『ウルフ、これ以上は分が悪いぜ!?』
『くっ………おのれGPどもめ………次こそは!!』
バッファローダイトの言葉にウルフダイトは忌々しそうにしながら捨て台詞を言うと、自身とバッファローダイトの足元の影の中に沈んでいった。マーブラーとトライディアンが呆れたようにため息をつくと、キアラたちの足元の影が包み込むように飛び出してきた。
「やってくれたわね、デュランブレイバー………それでこそよ………それでこそ私が倒すべき………乗り越えるべき相手………!!」
『………』
影に包み込まれる直前、キアラはデュランブレイバーを悔し気に見上げて、しかし、その声はどこか嬉しそうでもあった。
『ガァアーーーッ!!』
影の中に消えるキアラたちを見ていたデュランブレイバーは少し何かを考えていたようだが、背中にデュランソードを納刀する。その直後、胸の獅子が勝利の勝鬨の如く雄叫びを上げた。
†
戦いが終わり数十分後、街中では機怪魔獣の残骸やワイヤーが撤去され、解放された街の人たちに健康被害がないか簡単な検査をし終えると、デュラン達は街の兵士たちに後のことを任せて、街の出入り口に停めたバトルトレインの前に集まっていた。
「ふいー………一時はどうなるかと思ったが………」
草介がホッとしたように伸びをしていると、ロンが自分たちの後ろにいたアスカ丸に向きなおった。
「アスカ丸のおかげであの子蜘蛛を止めて、街の人を解放出来てよかったよ。」
「いやいや、そちらのレピオさんが解析してくれたからできたことだよ。」
「いや、オレは偶然見つけただけだし………」
ロンの言葉にアスカ丸は謙遜したように返すと、レピオは少し照れたように頬を掻いた。それをフローやニールが微笑ましい感じで見ていると、バトルトレインから降りてきたアルスがキョロキョロと周囲を見渡していたが、こちらにいるアスカ丸に気づくと、パァっと顔を明るくさせて駆けてきた。
「アスちゃ~ん!!」
「あ、アルちゃん!」
「「「え?」」」
手を振りながら駆けてくるアルスと、それに気づいて表情と声を明るくさせて駆け寄るアスカ丸。草介たちが突然の出来事に呆気に取られていると、2人は両手を合わせて笑いあった。
「久しぶり~♪元気だった?」
「はい!アスちゃんも元気そうでありますね♪」
「うん!」
何とも明るい声と表情で笑いあうアルスとアスカ丸。先ほどまでの余裕のある飄々とした態度から打って変わって容姿相応に明るい声で話すアスカ丸に、草介たちはポカンと口を開けて固まってしまった。
「ア、アスちゃん、って………?」
「な、なんか………随分と仲いいみたいだな………?」
「さっきまでと態度全然違うし………」
草介とフローが、思わず呟いた。デュランだけは何か知っているのか、苦笑しながら口を開いた。
「あー………アスカ丸とアルスは、幼馴染なんだよ………」
「そ、そうなんだ………」
デュランの説明を聞いたフローが呆れも混じった声で小さく頷く。そこでふと、草介は以前アルスから聞いた話と、先ほどのアスカ丸とのやり取りを思い出した。
「あー、そういえば言ってたな………幼馴染から地球の歌を教わったって………アスカ丸も地球の歌が好きって言ってたし………」(第9話参照)
「それが、アスカ丸さんだったべか………」
呆れたような草介の呟きに、シャスティも同じような表情となった。トライヤーズやロンたちも微妙な表情で2人のやり取りを見守っていたが、ようやく2人はその視線に気づいたのか、慌てたように離れると、互いにそっぽを向いた。
「え、えーと、その………」
「ボ、ボクとしたことが………まだ職務中なのに、気が緩んで………」
2人は恥ずかしそうに頬を染めて、ごにょごにょと小さく呟いている。
「………ぷッ、あはははは!」
「ふっ、ふふっふふふふ………」
「あはははは!!」
草介たちは何とも言えない表情で顔を見合わせていたが、不意にフローがと噴き出したかと思うと、肩を揺らして笑い始めた。それにつられて草介たちも笑いだし、その場に一同の笑い声が響き渡った。
【つづく】
キアラはデュランブレイバーを乗り越えるべき相手と考えてライバル視していますね。
読み返したらフローの本格的な戦闘描写ってあまり書いてないなと思い、今回書いてみました。技名は天候、気候+音楽用語に。
そして、パワードスーツ型機怪魔獣を奪い取って動かそうとするフロー。割と破天荒だけど、キアラほど上手くはいかないというオチに。この辺もキアラと対照的ですね。
マーブラーとウルフダイトの忍者バトル。敵と味方に忍者キャラがいるわけですが、アスカ丸は史実に近い忍具を扱う忍者、ウルフはフィクションの派手な忍法使う忍者として差別化しています。ちなみに『ディスクエッジ四四』は『ヨーヨー』の語呂合わせ。『風六宮』はまだ内緒。
ラストでアルスとアスカ丸が幼馴染だったと判明。一応、所々でほのめかしていましたが、結構仲良しな感じ。