異世界勇者ロボ~勇者として異世界に召喚されたら勇者ロボも一緒だったんだが!?~   作:オレの「自動追尾弾」

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第7話 黒鉄の豹は汽笛とともに

異世界勇者ロボ 第7話

黒鉄の豹は汽笛とともに

 

 

 

 

 

サンルスター魔法国ホパクの街は、混乱に包まれていた。

突如として現れた機怪魔獣・ゾロゾロイドの軍勢が街を襲い、市民は逃げ惑う。冒険者たちが対処をするも、数が多くて対処しきれていない。

機怪魔獣トロルハンマーと2体のビーストメイル・ポーラダイトとシャークダイトと対峙するデュランダーは、街のあちこちから絶えず聞こえる悲鳴と戦闘の音に、内心冷や汗をかいていた。(マシンメイルは汗も涙も流さないし、流せない。)

 

「まずいな……ここの出入り口は解放出来たが、残り2ヶ所に逃げた人も多いし、街中にまだこの機怪魔獣が多い………!」

「デュランダー!このままじゃあ街が!!」

『ああ!分かっているが………!!』

『よそ見は禁物よ!!』

 

デュランダーは早く残りのバリケードを撤去しに行きたかったが、キアラが駆るトロルハンマーが腕を振り回しながら突っ込んでくる!デュランダーが咄嗟に後方へ飛び退くと、先ほどまでいた地点に向けてトロルハンマーの鉄球が振り下ろされて、石畳の地面を砕き陥没させた!

 

「うわあ!?」

「何てパワーだ!!」

 

トロルハンマーの一撃が生み出した衝撃波に草介達が怯む。着地したデュランダーに向けてトロルハンマーは追撃をしてくるが、デュランダーは何とか避けてから腕を掴んだ。

 

「デュランダー!!」

『草介、フロー!ここは任せて、街の人たちを避難させてくれ!!』

「でも……」

『早く!』

 

トロルハンマーの腕を掴みながら、草介達に向けて叫ぶ。草介達は心配な顔を浮かべるが、デュランダーは強い意志のこもった声で言い放つ。草介は苦い顔をするが、意を決したように頷くと、フローとアルスに向き直った。

 

「………行こう2人とも!」

「ッ、ああ!」

「お兄ちゃん、ご武運を!!」

 

草介が2人にそう言うと、フローとアルスも頷いて走り出した。デュランダーはトロルハンマーの鉄球を力づくで押し返すと、そのまま飛び上がって蹴りを入れた!

 

「どりゃあ!!」

『きゃあ!?』

 

蹴り飛ばされたトロルハンマーが後退りをする。キアラは体勢を立て直して攻撃を仕掛けようとしたが、それよりも先にデュランダーはDブレードを構えて斬りかからんと飛びかかった!

 

『くらえいッ!!』

『しまっ!?』

 

突然の攻撃に一瞬Dブレードの刃が迫る!

 

『させるか!!』

『何!?』

 

だが、デュランダーの攻撃は割って入ったシャークダイトによって阻まれた。Dブレードとシャークダイトのノコギリのような吻がぶつかり合い火花を散らす。

 

『コイツ………!!』

『私らを忘れるんじゃないわよ!!』

『うおっ!?』

 

シャークダイトと鍔迫り合いになりかけたところに、今度はポーラダイトが爪を振りかざして斬りかかってくる!デュランダーは回避をするが、そこにシャークダイトが追撃してくる!

 

『喰らえ!シャークスプラッシュ!!』

『ぐぅッ!?』

 

シャークダイトの口から無数の水弾が散弾状に放たれ、数発がデュランダーのボディーに着弾してしまう!ダメージはそこまでではないものの、全身が水浸しになってしまう。

 

『ポーラフリーザー!!』

『何!?』

 

次いでポーラダイトが口から猛烈な冷気を放った!全身が水浸しになっていたデュランダーは、周囲諸共全身が凍ってしまった!

 

『し、しまった!動けん……!!』

『見たか!これが『ビーストメイル』だ!!』

 

全身が凍ってしまい動けなくなってしまったデュランダーを嘲笑うシャークダイト。

 

『俺たちの知性と能力に猛獣の獰猛さとパワーが合わさり、真価が発揮される!俺たちが六魔獣将たる所以だ!』

『さあキアラちゃん、動けない今の内よ!!』

『え、ええ、ありがとう!』

『くっ………!』

 

ポーラダイトはキアラにデュランダーを仕留めるように促し、キアラはトロルハンマーの腕を振るってトドメを刺そうと駆け出した!

 

『ってあらーーー!?』

『え?』

『わ!?わ、わ!わああああ!?』

 

………が、トロルハンマーは凍った地面に足を滑らせて、デュランダーの横をツルーっと滑って通り過ぎると、建物の1つに激突して破壊しながら止まった。

 

『『ぐぇえ………』』

『ちょ、ちょっと!アンタたちが凍らせたせいで滑っちゃったじゃないの!!』

『あ、ご、ごめん………そこまで考えてなかった………』

『普段、コンビネーションで戦ってたから………』

 

倒れたトロルハンマー内でボルグとカラは頭を打ったのか悶絶し、キアラが双子に文句を言う。普段、双子ならではのコンビネーションで戦っていた2人だが、チーム戦であることにまで頭が回らなかったようだ。

 

『い、今の内だ………!』

 

この隙をデュランダーは見逃さず、アームシューターのエネルギーを腕の中に蓄積して発熱させると徐々に氷が溶け始めた。

 

『あ、ヤバイ!!』

『もう遅い!!』

 

シャークダイトたちが気付いた時には遅く、デュランダーを覆う氷はある程度溶けており、力尽くで砕きその場から飛び退いた!

 

『ブレイバード!!』

 

デュランダーが叫ぶと同時に、天に向かって額から光が放たれた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その同じ頃、ロコロ王国の王都ロシロのモルデュア城、王の執務室では、クリセイ王がリジルから書類を受け取っていた。

 

「王、お納めください。騎士団の報告書です。」

「うむ、ありがとう。」

 

王はそう言うと、書類を読み始めた。

騎士団長であるガラティンが療養中のため、現在騎士団はリジルが取り仕切っていた。

 

「ところで、姫様たちの冒険者登録を許可したとか?」

「ん、まあな。あの子の場合、止めても聞かなそうではあるがな………」

「まあ、確かに………しかし、レヴァンティ様もよく許可しましたね………」

 

リジルが呆れたように言うと、ちょうどその時執務室のドアが開いてレヴァンティが入って来た。

 

「あやつは引っ込み思案な性格もあって、実力を発揮できなかったからな。勇者と行動を共にして、多少は改善されると思うての。ま、修行の一環というやつじゃ。」

「そうでしたか………」

 

レヴァンティが執務室の応接用のソファーへ無遠慮に腰かけながらそう言うと、リジルは納得したように頷いた。

 

 

 

「!?」

「な、何じゃ!?」

 

――その時だった。

突如、城全体が大きく揺れ始めたのだ!

 

「地震か?いや、この揺れは………!?」

 

何事かと慌て始める王とリジル。レヴァンティはこれがただの地震ではないと察したが、執務室のドアが慌ただしく開いて兵士の1人が入ってきた。

 

「た、大変です!」

「どうした!?」

「し、城が……城がっ……!」

 

兵士の狼狽ぶりから、彼自身も何が起きているのか把握できていないのだと王は悟った。自分の目で確かめるべく三人が急いで執務室を飛び出すと、信じがたい光景が広がっていた。

 

「!?」「な!?」「こ、これは……!?」

 

なんと、城の東西の塔が地響きを立てて移動を始めており、城の中央部分までもが後方へスライドし、壁が変形し始めていたのだ!

王が言葉を失っていると、壁が45度に傾き滑走路が伸びると、城と壁の間に顔を出したハッチが開き、ブレイバードがせり上がってきた。

壁がなくなりがらんどうになった城の空間を透明な防御防音遮光シャッターが塞ぐと、目の前でブレイバードのジェットエンジンが火を吹いて、轟音を立てながら発進していった!

 

「「………」」

「な………」

 

凄まじい速度で空の彼方に飛び去るブレイバードを前に、その場にいた誰もが唖然とする中、やがて王はわなわなと怒りに震え出した。

 

「何してくれとるんじゃあの勇者ぁああああああああああああああああああああ!!」

 

王の怒りの叫びを背に受けて、ブレイバードはデュランダーの元へ向かって行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんな王の怒りなんて知る由もないデュランダーとキアラたち。空の彼方から猛スピードでブレイバードが飛来してくると、地上のトロルハンマーやビーストメイルに向けてビームバルカンを放った!

 

『きゃあ!』

『くそ、例のブレイバーユニットか!!』

 

ブレイバードの攻撃に3機が怯んでいる間に、デュランダーの元にブレイバードが飛んでくる。

 

『2人とも、あっちの飛行機を狙うのよ!!』

『あ、そうか!シャークスプラッシュ!!』

『ポーラフリーザー!!』

『何だと!?』

 

だが、キアラの号令でシャークダイトとポーラダイトが先ほどのコンビネーション技をブレイバードに向けて放つと、ブレイバードは凍り付いてそのまま墜落してしまった!

 

『し、しまった!』

『合体を封じてしまえば、こっちのものよ!』

 

ブレイバードを封じられてしまい狼狽えるデュランダーに向けて、トロルハンマーと2体のビーストメイルは爪と牙と鉄球を振りかざして襲いかかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、草介たちはゾロゾロイドを相手にしていた。

 

『ピピピピ………』

「くっ………はぁあ!!」

 

ゾロゾロイドの鉤爪に一瞬怯むも、草介はそれを回避して胴体を袈裟懸けに斬り捨てる。1、2体が倒れ動かなくなるも、後からゾロゾロと現れる。

 

「くそ、キリがないな………!」

「どうして戦闘員ってのは、こうも次々出てくるかなぁ………!」

 

次々に現れるゾロゾロイドにぼやく草介。すると、避難の誘導をしていたアルスが駆け寄って来た。

 

「ソウスケさん、フローさん!」

「アルス!」

「どうやら、さっきのギルドに逃げ遅れた人たちがいるみたいであります!冒険者さんたちが立て籠もって守っているであります!」

「そうなのか!?」

 

アルスの報告に草介が驚くと、ゾロゾロイドを斬り捨てたフローが頷いた。

 

「そっちに向かった方がよさそうだな………急ごう!」

「ああ!」「合点であります!」

 

フローの言葉に草介とアルスは頷くと、ゾロゾロイドを斬り倒しながら冒険者ギルドへと走り出す。

冒険者ギルドが目視出来るまでの距離となると、そこにはまるでエサに群がるアリの如く、数十体のゾロゾロイドが集まっていた。

 

「な、なんて数だ……!?」

「これじゃあ、近づけないであります!」

 

あまりの数に草介とアルスがたじろいでいると、ギルドの出入り口からけたたましい銃声が鳴り響いてゾロゾロイドが吹き飛んで倒れた!

 

「今のは!?」

「ニールさんか!!」

「お前ら、こっちだ!」

 

たった今の攻撃を見て、誰の仕業か察した草介達。出入り口付近のゾロゾロイドが倒れ他の機体が怯んでいると、マシンガンを構えたニールが草介達に気付いて声を出すと、草介達を手招きした。草介達はゾロゾロイドを倒しながらギルドに向かって走ると、合流してギルドに入った。

 

「無事だったか!」

「何とかな………」

 

ギルド内には、負傷をして手当てを受ける冒険者や一般市民が逃げ込んでおり、皆一様に不安や悔し気な顔をしていた。

 

「せっかくミノタウロスから解放されたというのに……」

「畜生………!」

 

一般人や冒険者たちが口々に悔しさを滲ませる。それを見たスキンヘッドでしゃくれた顎の冒険者も、金属製の宝箱を小脇に抱えながら悔しそうに顔を歪めていた。

 

「流石に、このままにしておく事は出来ないが………」

「装備も魔力も、もう残ってない……」

「オ、オラも、後1回使ったらもう終わりだべ………」

 

冒険者たちが口々にそう呟く。シャスティもうつむき、ニールも(さっきキレた時に撃ちすぎた………)と内心反省していた。どうするべきかと考えていたその時、シャスティの後ろにあるテーブルの影から物音がしたかと思うと、何者かが静かに現れると、鉤爪を振りかざした!

 

「!?危ない!!」

「!?」

 

草介が叫んだ瞬間、陰から出てきたゾロゾロイドの1体が鉤爪を振り下ろそうとしていた!

 

「くそったれぇッ!!」

『!?』

 

その時、スキンヘッドの冒険者が手にした宝箱を投げつけると、鉤爪が突き刺さってゾロゾロイドが怯んだ!その隙をついて草介が飛び出し、ゾロゾロイドの胴体を袈裟懸けに斬りつける!

 

「でやぁ!!」

『ピピピ………』

 

斬られたゾロゾロイドは短く電子音を発すると、倒れて動かなくなった。

 

「ふいー………」

「あ、ありがとうございますだ………」

「いや、良いってことよ。あんたも助かったぜ。」

 

草介は礼を言って来たシャスティと、スキンヘッドの冒険者に礼を言った。冒険者はゾロゾロイドの鉤爪に突き刺さった宝箱を引き抜いている最中だった。

 

「何、困った時はお互い様ってな。」

「こいつ、裏口から入ってきたのか?まったく気づかなかったな………」

 

ニールが倒れたゾロゾロイドを見下ろしながら言う。その時、冒険者の手の宝箱がバキッと音を立てて蓋が開くと、中に入っていたもの、金貨や宝石の原石、金属製のボタンなんかがジャラジャラと零れ落ちた。

 

「あ、中身が………」

「良いって良いって!鍵を開ける手間が省けたってもんだぜ!」

 

シャスティが慌てて床に散らばったものを拾おうとするが、冒険者は笑いながら言った。金貨や宝石以外はガラクタのようにも見えたが、その時、シャスティは中身のいくつかを拾ってアッと声を上げた。

 

「ニ、ニールさん!これ………!!」

「ん?」

 

声をかけられたニールが振り返ってシャスティの手の中の物を見た。草介とアルスも見てみると、それを見て3人とも目を見開いた。

 

「な!?ジップレート!?」

 

それは、ジップレートであった。見れば、宝箱の中身に3枚のジップレートが混ざっていたのだ。慌てたようにジップレートを手に取ったニールが確認をしていると、冒険者が声をかけて来た。

 

「ひょっとしてそれ、お前らの大事なモンか?」

「あ、ああ!まさか、その宝箱に入ってるなんて………」

「これ、ゴブリンの巣から見つけたモンなんだが、もしかしたら、ゴブリンが拾って集めてたのかもな。あいつら、光るものや金属の物を集める習性あるしな。」

「金属製の宝箱に入ってたから、ジップレートの位置情報が分からなかったでありますな………」

 

冒険者は顎に手を当てて推測した。アルスも呟くと、ニールはジップレートの1つを見つめて、どこか安心した笑みを浮かべた。

 

「だがありがたい、これがあれば………!」

「お前らの大事なモンなら、持ってって構わねーぞ?」

「いいのか?」

「ああ。俺にはソイツの価値なんてわかんねーからな。持ってても仕方ねーだろ。」

「ありがとう!礼は後で弾む!」

 

ニールはそう言うと、ジップレートをGPデバイスにセットした。

 

[ジップレートのセットを確認しました。]

「バトルトレイン、解凍!!」

[バトルトレイン、エクストラクト!!]

 

ニールが宣言した瞬間、掲げたGPデバイスから光が発せられると、飛び出した物がギルドの出入り口に集まっていたゾロゾロイドを吹き飛ばした!

 

「な、何だ!?」

「これって………!」

 

ギルドの前に現れたのは、黒光りする鉄の塊であった。円柱状のボイラーに煙突を持ち、駆動輪が3対付いたそれは、まさに蒸気機関車であった。

 

「何だ、これは!?乗り物なのか!?」

「スゲー!蒸気機関車だ!!」

 

初めて見た乗り物に困惑するシンナセン人に対して、草介はテレビやインターネットでしか見た事のない蒸気機関車を前にして、驚きと感動の混じった声を上げた。その間に、ニールは他のジップレートも解凍をすると、蒸気機関車の後ろに客車が5つ追加され、連結された。

 

「みんな、このバトルトレインに乗るんだ!脱出するぞ!」

「え?でも、ここ線路無いぞ?」

「安心しろ、バトルトレインには線路がなくても走れる機能がある!急ぐんだ!」

「分かった!」

 

草介が応えると、フローたちは戸惑いながらも客車に一般人を乗せ始めた。

 

「負傷者から先に乗せるんだ!」

「さっきの奴らがまた来るぞ!急げ!」

 

冒険者たちも手伝いながら、一般人が次々に乗車していく。しかし、そこに立ち上がったゾロゾロイドが再び迫って来ていた!

 

「させるか!!」

[GPデバイス、承認しました。バトルトレインへようこそ、ニール。]

 

ニールはバトルトレインの運転席に乗り込むと、GPデバイスをホルダーにセット、電子音声の後に計器を操作した。

 

[自動迎撃システム、起動します。]

 

音声が短く鳴ると、客車の屋根の1部が跳ね上がり、二連装のビーム砲が展開、ゾロゾロイドに向けてビームを連射した!

 

「うお!?すげえ!!」

 

無数のビームで次々に破壊されていくゾロゾロイドにスキンヘッドの冒険者が思わず感嘆する。その間に全員乗り込むと、それを確認したフローが声を上げた。

 

「全員乗ったぞ!」

「よし!バトルトレイン、発車!」

 

ニールはそう言うと迎撃用のビーム砲を格納、バトルトレインは汽笛と共に煙突から黒煙を吐き出す。

 

「レーザーレール、展開!」

 

宣言と同時にレバーを押し込むと目の前に緑色の光るレールが空に向けて出現、バトルトレインは動輪を回転させてレールの上を走り出した!

 

「このまま街を脱出するぞ!」

「分かった!」

「ひゃー!スゲーなこりゃあ!!」

「何という乗り物なんだ!!」

 

バトルトレインのスピードに冒険者とシャスティが驚きの声を上げる。フローも窓に張り付いて外を覗いていた。

 

 

 

 

 

数分後、バトルトレインは街から離れた地点で停車した。

 

「ここなら、安全だろう。」

「流石に、連中もここまでは来れないだろうな………」

「助かったぜ、ありがとうよ!」

 

スキンヘッドの冒険者が礼を言うと、ニールは首を振った。

 

「いや、礼なら………!!」

 

ニールが言いかけたが、街の方から爆発音が聞こえてきた。振り返ると、そこではデュランダーがトロルハンマーと2体のビーストメイルに追い詰められていた!

 

「デュランダーが!?」

「フロー、草介、みんなを頼む!」

「ニールさんは?」

 

ニールに草介はそう聞くと、ニールは不敵な笑みを浮かべた。

 

「デュランダーの元に向かう!」

 

ニールはバトルトレインに乗り込むと、先頭の2両が連結解除をして、再度走り出した!

 

「……?あれ?ソウスケとシャスティは?」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐぁあッ………!!』

 

トロルハンマーの一撃を喰らい、吹き飛ばされるデュランダー。シャークダイトとポーラダイトは、倒れたデュランダーを見下ろして嘲笑った。

 

『流石のブレイバーも、合体できなければこの程度よねー♪』

『もう諦めたらどうだ?あんたも、これ以上痛い思いはしたくないだろ?』

『くっ……!!』

 

デュランダーは歯ぎしりをしながら立ち上がった。だが、そこへトロルハンマーが腕を回し始めた。

 

『さーて、これまでの怨み、晴らさせてもらいましょうか!』

 

トロルハンマーがデュランダーにゆっくりと迫って来る。

 

 

 

 

 

ピンポンパンポーン♪

『ん?』『は?』

『何だ?』

 

その時、突然どこからともなくチャイムのような音が聞こえてきた。

何事かと周囲を見回す一同であったが、今度はアナウンスのような声が聞こえてくる。

 

[間もなくー、1番線に特急バトルトレインが参りまーす。白線の内側に下がってお待ちくださーい。]

『何このアナウンス!?白線ってどこよ!?』

『どこから聞こえてくる………!?』

『この声、ニールさん……!?』

 

突然のアナウンスに困惑する一同。何が起きるのか分からないでいると、デュランダーとトロルハンマーの間に緑色のレールが出現。次いで汽笛が聞こえると、そこに黒光りするバトルトレインが走って来た!

 

『バトルトレイン!!』

『何よあれ!?』

『なーんか、嫌な予感がするダス………』

 

バトルトレインの姿を見たデュランダーが感嘆の声を上げ、トロルハンマー内のキアラは驚きを隠せないでいた。

バトルトレインを操縦するニールは、右手の親指と人差し指を伸ばして銃に見立てた構えを取った。

 

「フュージョイン!!」

 

掛け声と共に、沈むようにバトルトレインと一体化する。そして、バトルトレインは後の車両との連結を解除した。

 

『チェーンジ!!』

 

掛け声と共に飛び上がると、動輪部分がスライドして両腕が展開、車体後部が180度反転して前部分が90度折れ曲がると、後部が変形して両足となる。更に車体上部から頭頂が黒豹を模した頭部が出現!胸の蒸気機関車と両腕の動輪が目を引くロボットとなった!

 

『バトルパンサー!!』

 

変形完了したバトルパンサーが宣言と共に地面に降り立つ!突然現れたバトルパンサーに、トロルハンマーは1歩後退った。

 

『バトルパンサー!』

『な、何よアイツ………!?』

『あの声、宇宙の黒豹(スペースパンサー)か!?』

『何でこのタイミングで!?』

 

バトルパンサーの出現に困惑するキアラたち。一方、デュランダーは立ち上がると、バトルパンサーが声をかけた。

 

『大丈夫か、デュランダー?』

『何とか……だが、ブレイバードが………!!』

 

デュランダーが口ごもる。バトルパンサーが目をやると、氷漬けになったブレイバードが2ブロック先に見えた。

 

『なるほど、状況は理解した!アーマリートレイン!!』

 

バトルパンサーが叫ぶと、分離した2両目の客車『アーマリートレイン』の屋根の一部が展開して、黒く細長い何かが射出されてそれをキャッチする。それは、大型のバズーカであった。

 

バトルトレインが牽引する2号車両アーマリートレイン。『武器庫(アーマリー)』の名の通り、バトルパンサーの武器を状況に応じて射出する役割があるのだ。

 

焼夷(ナパーム)弾、発射!!』

 

バトルパンサーはバズーカをブレイバードに向けて放つ!すると、放たれた弾がブレイバードの手前に着弾して炎が周囲に広がり、その熱で氷が溶け始めた!

 

『しまった!?』

『デュランダー、合体をするんだ!』

『ああ!』

 

デュランダーが応えると、遠隔操作でブレイバードを垂直離陸させた。それを見たシャークダイトは、小さく舌打ちをした。

 

『させるかよぉ!!』

 

シャークダイトはボディーの周囲に水を生成し、回転させて『渦潮』を生み出し自身も回転を始め、ブレイバードを捕えた!

 

『喰らえ!シャークシュトローム!!』

 

シャークダイトは回転をしたまま、鼻先の吻を突き刺さんと迫る!

 

『ぬおおおおお!!』

『何!?』

 

しかし、バズーカを投げ捨てたバトルパンサーは渦潮に突っ込んでシャークダイトを掴むと、渦潮から引きずり出した!シャークダイトは何が起きたのか分からないでいたが、気付いた時には自身はバックドロップの要領で地面に吻を突き刺されていた!

 

『うおお!?』

『デュランダー!こいつらは任せろ!』

『おう!!』

 

吻が突き刺さってしまいジタバタと藻掻いている間にブレイバードは合体モードに入り変形を開始する。機首が根元から後ろに倒れるように折れ曲がり機体後部の尾翼が格納、機体が上を向くと両翼が根元から180度回転、中央部のカバーが上に開くと前に跳ね上がるように中央のブロックが展開、左右に分かれ先端に両腕が出てくると、後部のエンジン部が伸びて脚部に変形した。

 

『トウッ!!』

 

変形を確認したデュランダーが飛び上がるとデュランカーに変形、車体の先端が下になるように中央の開いたスペースに合体するとカバーが下りてロックされ、両腕が下に下がった。

 

『ギガ・コンバイン!!』

 

デュランダーの掛け声と共に機首の根元から赤い兜が飛び出して機体上部に接続、180度反転するとデュランダーの頭部がせり上がり、口元を面頬のようなマスクパーツが覆うと、額に金色の角を持った頭部となる。最後に、胸部が反転して獅子の顔が現れた!

 

『勇者合体!デュランブレイバー!!』

 

合体したデュランブレイバーは名乗りを上げると、ブースターを吹かして地面に降り立つ!対峙したトロルハンマー内で、キアラは忌々しそうに睨みつけた。

 

「おのれぇ、カッコつけて!!ポーラ!シャーク!行くわよ!!」

 

キアラはポーラとシャークに向けて叫んだ。しかし、当のポーラダイトとシャークダイトは、動けないでいた。

 

『ちょ、ちょっと待って、これ、全然抜けなくて………!!』

『あー………』

 

振り返ってみれば、そこには吻が地面から抜けないシャークダイトを、ポーラダイトが何とか引き抜こうとしていた。キアラはその様子に呆れた。

 

『何やってんのよ……あーごめん、先にあっち手伝ってくるから………』

「あの、キアラ様………」

「何よ?」

 

キアラはそう言って手伝おうとするが、そこにカラが進言をしてきた。

 

「この機怪魔獣、指ないですよ?」

「……………あ。」

『『あっ………』』

 

それを聞いてキアラたちも気付いた。トロルハンマーは両手の先が鉄球になっており、物を掴む事が出来ない。その事を失念していたキアラの間抜けな声と共に、トロルハンマーは動きを止めた。

 

『………ごめん、そっちで何とかしといて?』

『えー………』

『とにかく、こいつら片付けるわよ!!』

 

仕切り直しとばかりにキアラが叫ぶと、トロルハンマーの両腕を回転させて鉄球を振り回し始めた!デュランブレイバーは飛び上がってそれを回避すると、トロルハンマーは追撃をしてくるが、デュランブレイバーはブースターを駆使して回避を繰り返す。

 

『避けられても攻撃は出来ないみたいねえ!!』

『ぐっ………!!』

 

キアラの一言にデュランブレイバーは下唇を噛む。トロルハンマーの連撃に彼は攻撃に転じる暇が無かった。

それを離れた場所から見ていたバトルパンサーは、シャークダイトを引き抜こうと四苦八苦するポーラダイトをちらりと見た。

 

『(あいつらは、とりあえず放置しても問題ないな………)ガングパンサー!!』

 

バトルパンサーが叫ぶと、アーマリートレインから黒い長槍・ガングパンサーが射出される!バトルパンサーはそれをキャッチして振り回すと、切っ先をトロルハンマーに向け、一気に駆け出した!

 

『でぇえいッ!!』

『何!?』

 

ガングパンサーの切っ先はトロルハンマーの右肩の付け根を貫き、胴体から切り離す!

 

『な!?しまった!?』

『私を忘れてもらっては困るな!!』

『あ、あっちがヤバイ!!』

 

片腕になったトロルハンマーに気付いたポーラダイトが、シャークダイトから手を放してバトルパンサーに向かう。

 

『ポーラアイシクルランチャー!!』

 

その口を開くと、バトルパンサーに向けて無数のツララを発射した!

 

『!?ぬぅんっ!!』

 

発射されたツララに気付いたバトルパンサーは、ガングパンサーを目の前でプロペラの様に回転させて弾き飛ばす。ポーラは一瞬それに怯むと、その隙にバトルパンサーはガングパンサーを持ち替えると、先端の五分の二が折れて銃口が露出した!

 

『ガングパンサー・ライフルモード!』

『銃になった!?』

 

ポーラダイトが驚くのも束の間、バトルパンサーはポーラダイトに向けてビームを放った!

 

『ぎゃん!?』

『うげぇ!?あ、抜けた………』

 

ビームを受けると爆発と共に後ろに吹き飛ばされてシャークダイトに衝突するポーラダイト!その衝撃でシャークダイトは地面から抜けたものの、重なった状態で倒れてしまった。

 

『アイツ!!ってうわっ!?』

『ば、バランスが………!!』

 

キアラはトロルハンマーでバトルパンサーに攻撃しようとするも、片腕を失ったせいで重心が片方に寄ってしまったためフラフラと左右に揺れてしまう。

 

『今だデュランブレイバー!!』

『おう!デュランソード!!』

 

バトルパンサーの声にデュランブレイバーはデュランソードを引き抜き、切っ先をトロルハンマーに向けた!

 

「ま、マズいダス!?」

「ええい!出入口を塞いでいるランダート部隊を、こっちに来させなさい!!」

「はっ!!」

 

自身の危機を察知したキアラは、カラに命ずる。程なくして、ランダート10体近くがデュランブレイバーとバトルパンサーに向けて銃口を向けた!

 

「ん?」

「何だ………?」

 

今にも引き金が引かれようとしていたその時、街の上空を黒い雷雲が渦巻き始め、ゴロゴロと雷鳴が聞こえ始めた。

 

天より(カイミンラスニ)振りし(クナスニトニ)雷よ(ニノチシナカニンラ)―――」

『!!』

 

声が聞こえ振り返ると、周囲にゾロゾロイドの残骸が転がる中、杖を構えるシャスティと、剣を振るってシャスティからゾロゾロイドを遠ざける草介の姿があった!

 

『あいつら、いつの間に!?』

我が(テチキチ)呼びかけに(ンラコニノチノイミニ)応え(ノラカチイ)その怒りを(トラミラニノチスニテラ)解き放ちたまえ(カラノニクチミチカニカチモチイ)!!」

 

シャスティが杖を振り下ろした瞬間、周囲のランダート達に向けて雷が降り注いだ!

 

「“サンダー・フォール”!!」

『!?』

 

雷を受けたランダートはショートを起こしたのか、カメラアイから光が消えて動かなくなる!

 

『バ、バカな!?あのチビが………!?』

『“サンダー・フォール”だと!?中級魔法とはいえ、あれだけの数を放つなんて!?』

 

ランダートを全て機能停止させたシャスティに困惑するシャークダイト。ゴブリンメイジであるカラは、その威力と精度に驚きを隠せなかった。

シャスティは力を使い切ったのか膝をつくと、残っていたゾロゾロイドを斬り伏せた草介が駆け寄った。

 

「大丈夫かシャスティ!?」

「な、何とか………」

『草介!シャスティ!』

 

駆け寄って手を貸す草介に対して、デュランブレイバーが声をかけた。草介は、デュランブレイバーに向けて叫んだ。

 

「こっちは大丈夫だ!早くそいつを!」

『!ああ!!』

 

デュランブレイバーは頷くと、トロルハンマーに向き直ってデュランソードを構えた。

 

『ブレイバーチャージ!!』

 

胸の獅子の口から緑色のエネルギーが放出されて刀身に纏わせると、振り下ろすように下に構えた。そして、背中のスラスターを最大に噴かせてトロルハンマーに向けて一気に加速する!

 

 

 

『ライトニング・スラァアーーーッシュッ!!』

 

 

 

デュランブレイバーはエネルギーの纏われた刀身でスラスターの推進力が加わった一撃を袈裟懸けに叩きつけ、トロルハンマーを両断した!!

 

「またしてもなのおおお!?」

 

キアラが悲鳴を上げた瞬間、トロルハンマーは爆発四散!爆炎の中から脱出ポットが飛び出した。

 

『あ、キアラちゃん!!』

 

起き上がったポーラダイトはジャンプすると、飛び出した脱出ポットを空中でキャッチした。

 

『キアラちゃん、これこっちが不利だし、退いた方がよくない?』

『キィー!二度ならず三度までもぉーーー!!』

『じゃあ、そーいう事で!!』

 

脱出ポット内でキアラが金切り声を上げる中、ポーラダイトとシャークダイトは新幹線形態・ポーラライナーとシャークライナーに変形をして、その場から走り去ってしまった。

 

『ガァアーーーッ!!』

 

デュランブレイバーが爆炎を背にデュランソードを納刀する。その直後、胸の獅子が勝利の勝鬨の如く雄叫びを上げた。

 

『これでこの場は一件落着、か………』

 

バトルパンサーはガングパンサーを肩に担ぎ、ふっと息を吐いてそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、無茶をして………」

 

戦闘終了から数十分後、ゾロゾロイドの残党がいないのを確認してから、機能停止したランダートと出入口のコンテナをデュランブレイバーとバトルパンサーが撤去し終えると、草介とシャスティにフローが軽く咎めていた。

 

「いやー、シャスティが役に立ちたいって言うもんだから………」

「ご、ごめんなさいだべ………」

「まあ、助かったからいいんだけどね………」

 

草介が苦笑しながら言い訳をして、シャスティは申し訳なさそうに謝る。デュランがフォローするようにお礼を言うと、フローも呆れてため息を吐いた。

 

(しかし、あれが魔法か………確かに強力だったな………)

 

草介は初めて魔法での戦闘を間近で見た草介は、隣のシャスティを見ながら内心思っていた。

 

「改めて、さっきはありがとう。これはお礼だ。」

「いやあ、そんな金なんて別にいいのによぉ………別に金のために渡したわけじゃないし………」

 

一方、ニールは先ほどの冒険者―――先ほど、彼はスキッドルと名乗った―――と握手をして、金貨の入った袋を手渡していた。スキッドルは逆に申し訳なさそうに後頭部を掻きながらも、袋を受け取っていた。

 

「街、ボロボロになっちゃったでありますね………」

「まあ、修復の資金は国やギルドからも出るし、俺も後で金物屋に『コレ』売り飛ばす予定でもあるから、それで少しは足しになるだろ。」

 

戦闘でボロボロになったホパクの街を見て、悲しそうな顔になるアルス。スキッドルは自分の後ろのリヤカーに積み込まれたゾロゾロイドの残骸を親指で指しながら言った。装甲を溶かして鎧や武器なんかに利用できるらしい。

 

「さて、後の事はこの国の兵士なんかに任せれば大丈夫だろう。」

「そうだな……」

「これからどうする?」

 

フローがそう言うと、デュランも頷く。草介が2人に聞くと、デュランが応えた。

 

「一度、ロコロ王国に帰ろう。3人の事は心配だが、マシンメイルの整備が必要だ。」

「そうだな………」

 

草介はそう言うと、バトルトレインに牽引されたコンテナ車に格納されたデュランカーとブレイバードを見た。先ほどの戦闘でデュランカーはダメージを負い、ブレイバードも凍結されたせいで内部機構に不備が出ているかもしれない。そう考えていると、リヤカーを引きながらスキッドルが挨拶をしてきた。

 

「んじゃ、あんたらとはここでお別れだな。お互い冒険者だし、またどっかで会おうや!」

「ああ!色々ありがとうな!」

 

スキッドルはサムズアップをして別れると、草介たちはバトルトレインの客車に乗り込んだ。ニールも運転席に乗り込むと、バトルトレインは汽笛を鳴らし、傾き始めた太陽を背に走り出した。

 

 

 

 

 

【つづく】




新ロボ登場回、そしてシャスティの活躍回でした。

どこぞの光るおじさんみたいなマネしちゃったデュラン達w発進シーンは割と気合入れました。

魔法の呪文に関しては、ある法則になっています。ヒント:PCのキーボード
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