狂信者達   作:言うても

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もう6月か


突入

深夜、廃屋の扉が爆発的な衝撃で粉々に砕ける。

木片が飛び散り、錆びた蝶番が宙を舞い、鉄の破片が石畳に突き刺さる。

埃と血の匂いが混じり、外から響くのは馬車の車輪、馬の蹄、馬具のカランという不気味な音の連鎖。

風が吹き込み、ランプの炎が激しく揺れ、血の飛沫が光に映る。

 

セラフィス・ファミリアの拷問部隊が闇から姿を現す。

黒いローブは厚手の布で、肩に縫い付けられた鉄鎖がカチャリと鳴る。

深いフードが顔を覆い、鋭角的な黒い仮面の金色スリットは、血の匂いを吸い込んだように赤く輝く。

仮面の内側には過去の裁きの血が染み、冷たい鉄の感触が装着者の狂気を煽る。

黒い革のブーツは血と泥で汚れ、踵が石畳を踏むたびにコツンと鈍い音を立て、血の染みが床に滲む。

手袋は血痕で黒ずみ、指先が震えるのは【狂気の信仰】の昂ぶりか、過去の罪人の血の記憶か。

 

ガブリエルが先頭に立ち、右手に棘の鞭、左手に聖火の杖を握る。

鞭の棘は過去の血で黒ずみ、先端から赤い滴がポタリと落ち、石畳に血溜まりを作る。

聖火の杖の赤い宝石は心臓のように脈打ち、ヒュッという風切り音を立て、微細なひびが過去の裁きの炎を物語る。

「ソーマ・ファミリア、ザニス・ルストラ。神の名において、汝の罪を血と炎で浄化する。」

ガブリエルの声は氷のように冷たく、詩的だが底知れぬ残酷さを帯び、地下室の石壁に反響する。

 

襲撃は夜通し続く。

拷問部隊はソーマ・ファミリアの拠点—市場裏の隠し倉庫、ダンジョン入口の小屋、路地奥の廃屋—を次々に急襲。

最初の倉庫で団員を拘束後、馬車で他の拠点へ移動し、夜明けまで血と叫び声がオラリオの裏路地を支配する。

市場裏の二つ目の倉庫では、ソーマ酒の隠し在庫が発見され、血まみれの帳簿や偽造通行証が押収される。

ダンジョン入口の小屋では、団員が抵抗するが、拷問部隊の罪人鎖が彼らの体を切り裂く。

路地奥の廃屋では、ザニスの私室から血痕付きの革手袋、暗号化された手紙、血まみれのナイフが見つかり、密売と虐待の全貌が明らかになる。

 

髭面の男が斧を振り上げるが、拷問部隊の女騎士エレナが罪人鎖を放つ。

【鎖縛の福音】の黒い鎖が蛇のようにうねり、棘が男の右腕に食い込む。

棘は肉を抉り、筋を裂き、骨に引っかかる。

鎖は抵抗するたびに締め付き、ゴリゴリと骨を削る音が響く。

「ガアアア!」男の叫び声が地下室にこだまし、腕の肉が裂け、血が噴水のように噴き出す。

鎖の棘が骨に食い込み、肉片が床に落ち、血溜まりが広がる。

エレナの仮面の下で冷笑が漏れる。「神の意志に逆らうな。汝の血は贖罪の第一歩だ。」

彼女の手袋は血で濡れ、鎖を握る指が震える。

 

痩せた若者が短剣を手に逃げようとするが、拷問部隊の背の高い男ダリオが棘の鞭を振り下ろす。

鞭の棘が若者の背を切り裂き、皮がめくれ、血が噴き出す。

ジリジリと肉が裂ける音、パチパチと血が石畳に落ちる音が響く。

鞭の棘が背骨に引っかかり、骨が露出するまで肉を抉る。

若者は「助けて…!」と叫び、這うように逃げるが、ダリオが鞭を再び振り、背中の肉が剥がれ落ち、血と肉片がソーマ酒の瓶に飛び散る。

瓶のガラスが赤く染まり、酒と血が混じった匂いが漂う。

ダリオのブーツが血溜まりを踏み、濡れた音が響く。

仮面のスリットが血の反射で赤く光る。

 

中年男が棍棒を振り回すが、拷問部隊の另一人が聖火の杖を掲げる。

【聖火の審判】が発動し、赤い宝石から迸る炎が男の体を包む。

炎は罪に応じて燃え、皮膚が焼け焦げ、肉が溶けるような臭いが地下室を満たす。

男の叫び声は獣のようになり、皮膚がパチパチと弾け、目が白く濁る。

炎は腕を焼き尽くし、骨が黒く炭化、肉がドロドロと溶け落ちる。

「罪の重さを味わえ」とガブリエルが低く呟く。

 

【聖火の審判】の反動で、ガブリエルの手が震え、仮面のスリットが歪むように光るが、すぐに姿勢を正す。

男は黒焦げの体で崩れ落ち、血と灰の匂いが漂う。

 

傷だらけの女団員が逃げようとすると、別の騎士が罪人鎖を放つ。

鎖が彼女の足に絡みつき、棘が肉に食い込み、骨を削る。

悲鳴が響き、血が石畳に飛び散る。

鎖を握る騎士が無言で引き、足が不自然に曲がり、骨がバキッと折れる音が響く。

彼女は血溜まりの中で痙攣し、意識を失う。

 

ザニスが剣を抜き、ガブリエルに襲いかかる。「貴様ら、ただじゃ済まん!」

だが、エレナとダリオが同時に罪人鎖を放つ。

鎖がザニスの両腕と足に絡みつき、棘が肉に深く食い込む。

抵抗するたびに棘が骨を削り、血が噴き出す。

右腕は裂け、筋が露出し、服が血でぐしょ濡れ。

「くそっ…離せ!」叫びは虚しく、鎖が締め付き、肉が抉れるゴリゴリという音が響く。

ガブリエルが鉄の杖でザニスの顎を打ち、血と折れた歯が飛び散る。

杖が肩を叩き、骨の砕けるバキッという音が響く。

ザニスは血を吐き、膝をつく。

 

ガブリエルが杖を振り、ザニスの胸に一撃。

肋骨がバキバキと折れ、血を吐きながら倒れる。

「神に逆らう者は、血で贖う。」

ガブリエルの声は冷たく、仮面のスリットが血の反射で赤く光る。

拷問部隊がザニスを馬車に引きずり、罪人鎖の棘がさらに肉を抉る。

馬車には他の団員も繋がれ、血と汗で濡れた体がカチャリと鎖の音を立てる。

血溜まりが馬車の木板に染み、布の隙間から血の匂いが漂う。

車輪がゴロゴロと軋み、鉄鎖がカチャリと鳴る。

 

白と金のローブを着た一般団員が現れ、証拠を回収。

リディアが血痕のついた帳簿を手に、「取引量、200バイアル対ミノタウロスの皮50単位。市場価値の不一致は隠し金の証拠。ギルドに提出済み」と報告。

テオが血まみれの革手袋を手に、「リルカ・アーデの痣と一致。傷の深さ3.2センチ、角度45度。ザニスの鞭が凶器」と記録。

エリナが割れたソーマ酒の瓶を手に、「濃度20%増。依存を強める添加物が確認済み。成分分析はギルドに依頼中」と分析。

カシアンが血まみれの鞭を手に、「棘の構造が傷と一致。ザニスのイニシャルが刻印。虐待の証拠」と呟く。

証拠は血と埃にまみれた木箱に詰められ、馬車に積まれる。

 

 

 

         

 

 

 

リルカ・アーデは、路地の端、物陰のゴミ箱と壊れた木箱の陰に隠れ、恐怖で体が硬直する。

ぼろぼろのフードを握りしめ、震える手で口を押さえる。

セラフィス・ファミリアの拷問部隊の黒い装束、血を滴らせる罪人鎖、肉を抉る棘の鞭、焼け焦げるザニス・ルストラの叫び声—全てが彼女の心を粉々に砕く。

ザニスの血まみれの姿、ソーマ酒の瓶が血で濡れる光景、肉が焼ける臭い、骨が折れる音が、ソーマ・ファミリアでの虐待の記憶を抉り出す。

倉庫の血溜まりが朝霧に映り、松明の赤い炎がリリの瞳を焼く。

血の筋が石畳に続き、罪人鎖の列がカチャリと不気味に鳴る。

 

リリの脳裏に、ザニスの鞭が彼女の腕を打った記憶が蘇る。

棘が肉に食い込み、血が流れ、ソーマ酒の甘ったるい匂いで意識が朦朧とした日々。

団員たちの冷笑、暗い地下室での裏切り、盗んだ金で生き延びた自分。

「リリ…リリも、罪人…リリも、あそこにいた…!」

声は震え、涙が頬を濡らし、フードの端に染み込む。

血の匂いが鼻をつき、焼けた肉の臭いが喉を焼く。

ザニスの折れた歯、裂けた腕、黒焦げの体、血溜まりに倒れる団員が、頭を埋め尽くす。

腕の古い痣が焼けるように疼き、まるでザニスの鞭が今もそこにあるかのようだ。

 

拷問部隊の団員が路地の端に視線を向ける。

黒い仮面の金色スリットが朝霧を切り、リリの心臓が止まりそうになる。

スリットの奥で、冷たい目が彼女を捉えた気がする。

「見つかった…!」

リリは木箱の陰から這うように逃げ出し、広場に続く路地の奥へ走る。

足が血の染みた石畳に滑り、膝を擦りむき、ズボンに血が滲む。

フードがずり落ち、茶色の髪が乱れ、汗と涙が顔を濡らす。

心臓の鼓動が耳を支配し、血の匂いと肉の焼ける臭いが追いかけてくる。

「リリ、逃げなきゃ…でも、どこへ…!」

 

リリは市場の暗い路地を抜け、細い裏道を走り続ける。

ゴミの山から腐った果物の臭いが漂い、血の匂いと混じる。

足がゴミに引っかかり、転びそうになるが、壁に手をついて踏みとどまる。

壊れた木箱が足に当たり、爪先が痛む。

路地の石畳は湿り、血と酒の匂いが染みついている。

「リリ、あんな場所にいた…リリも、悪いことした…!」

涙が止まらず、フードの端を握る手が震える。

 

頭にベル・クラネルの笑顔が浮かぶ。

「リリ、大丈夫?」と差し伸べられた手が、血と罪の記憶を押し返す。

白い髪、赤い瞳、純粋な笑顔が、血溜まりの倉庫と対比される。

「ベル様…リリ、あんな血まみれの場所にいた…リリ、汚いんです…でも、変わりたい…!」

声は掠れ、フードの端を握りしめる。

ベルが助けてくれた路地裏、温かい手、優しい言葉が、胸をチリチリと焼く。

「リリ、ベル様なら…リリのこと、信じてくれますか…?」

「でもベル様に話したら…リリのこと、嫌うかもしれない…リリ、ソーマの罪、知ってたのに黙ってた…!」

ザニスの血まみれの姿—裂けた腕、折れた肋骨、黒焦げの体—がフラッシュバックする。

「リリ、怖い…でも、ベル様なら…リリを、信じてくれる…?」

リリは拳を握り、涙を拭う。

「リリ、逃げ続けたら…また同じ。ベル様に、話してみる…!」

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