デート・ア・Re:ビルド   作:砂糖多呂鵜

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戦兎「てぇんさい!物理学者の桐生戦兎は、地球殲滅を目論む【エボルト】との戦いを繰り広げ、熾烈な戦いの末に、全てを救済する【新世界】を創造した!しかし、目覚めた世界は全く知らない別の世界であった___
 そこで出会ったシスコン少年の五河士道の妹を探す最中、俺と五河は謎の災害、【空間震】に巻き込まれてしまう___!」

士道「誰がシスコンだ!え~っと、巻き込まれた先で俺たちが出会ったのは、玉座に佇む謎の美少女だった。さらには同級生の鳶一折紙が謎のスーツを身に纏って現れたり、謎の怪物が現れたりで、絶体絶命のピンチを迎える!」

戦兎「そんなピンチに現れたのが……誰だと思う?気になっちゃう?気になっちゃうよねぇ~?」

士道「んぁあ~引っ張り方がうっとおしい!」

戦兎「そうっ!我らが正義のヒーロー!仮面ライダァー…ビルドッ!!みんなが待ち望んだ復活ってことで、ここから大活躍していきますよ!」

士道「凄い自信だなぁ……」

戦兎「あ、今回お前の見せ場無いぞ」

士道「エ!なんでだよっ!?」

戦兎「さぁ何でしょうかねぇ~?どーなる第三話!」


第三話:少年と仮面ライダー

 

 ____その日、ただの少年であった五河士道の運命は変わった。

 

「_____桐生、さん……?何ですか、それ____」

 

仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のBUILDだ。以後、お見知りおきを!」

 

 赤と青の仮面を被りながら、桐生戦兎が言う。

 

「仮面……ライダー……」

 

 この日、四月十日。

 五河士道と、仮面ライダー(ヒーロー)が出会った。

 

 そして、少年の運命の歯車が回り始めた。

 

 

 ◆

 

 

 変身した戦兎___仮面ライダービルドが現れた瞬間、吹き飛ばされた怪物が雄叫びを上げ走り出す。

 

「AGUUUhhhhooooooo!!」

 

 大顎をだらしないほどに開き、尻尾の砲門から、幾多もの光弾をマシンガンの如く放った。

 

「随分と野蛮だ___なッ!!」

 

 迫りくる光弾を、ラビットハーフボディの脚部に備えられたバネ、【ホップスプリンガー】の俊敏性で以ってリズミカルに躱す。ポンポンポンと、リズムゲームのように小気味良く跳ね回り、一気に間合いを詰めた。

 

「ハアッ!」

 

 ____ガッ!ガガガッ!!

 

 大地を踏みしめ、タンクハーフボディのパンチで畳みかける。強靭な装甲に覆われたタンクのパンチが、まさに砲弾のような重みで怪物の装甲を削り取っていく。

 

「hgyuhaaaaaaa!!」

 

 しかし怪物もまた雄叫びを上げながら、無数の棘と鋭い爪が生えた両腕を伸ばし、ビルドの体を引き裂いてきた。ライオンを思わせる苛烈な攻撃が、堅牢なタンクの装甲をも砕こうとしてくる。

 

「デカブツのわりによく動くじゃねえか」

 

「guaAAAAAaaaaaa!!」

 

「うお、やっべ!」

 

 間合いを詰められた瞬間、ティラノザウルス風の巨大な大顎がバックリと開き、ビルドの全身を包むように食らい付いてきた。

 たまらず上顎と下顎を掴んで止めようとするが、恐ろしい怪力で食い破ろうとするパワーにほんの少し焦る。

 

「痛ってえ!こいつ、硬いな……!」

 

 ラビットタンクのままでは、突破されるのも時間の問題。

 

「そんな時には___」

 

 一瞬のスキをついて下顎を蹴り、ジャンプで間合いを取る。

 ベルト脇のホルダーから水色のボトル、【ダイヤモンドフルボトル】を取り出し振った。タンクボトルをドライバーから外し、代わりにダイヤボトルをセットする。

 

「やっぱこれだね」

 

ダイヤモンド!

 

 

「bnGaaaaaaaaa!!!」

 

 

 食い損ねた獲物を再び捕らえようと、怪物が凄まじいプレスで迫る。

 

 

【Are You Ready?】

 

 

「ビルドアップ!」

 

「Gaaaaaaaa!!」

 

 掛け声と、怪物がビルドの腕に噛み付いたのは、ほぼ同時だった。

 

「桐生さんッ!!」

 

 呆然としていた五河が、彼の危機に叫ぶ。

 しかし。

 

「a!?」

 

 怪物の顎は、確かにビルドに嚙みついた。だが、それだけだった。怪物が噛み付いたビルドの腕は一滴の血はおろか、歯の先端の少しも装甲を傷つけていなかったのだ。

 噛みつかれたビルドの半身___タンクハーフボディが蒸気ともに、水色に変わっていた。

 

「美味いか?よーく嚙んで味わえ____よッ!!」

 

「juhuuaaaaaaaaaaッ!?」

 

 【ホップスプリンガー】のバネを生かした蹴りで、再び怪物を引きはがす。

 

 【ラビットダイヤモンド】フォーム。

 

 トライアルフォームと呼ばれる、ビルドの余りにも膨大な数を誇る戦闘形態の一つである。タンクだった場所は、煌めく宝石をまぶした水色の装甲、【ダイヤモンドハーフボディ】に覆われていた。

 

「ハッ!」

 

「aaAAAAaa!?」

 

 ダイヤモンドボディが光り、怪物の視界が白く染まる。

 そしてすぐさまホップスプリンガーで距離を詰め、ダイヤモンドの拳で敵の装甲をタコ殴り。攻撃を加えながら、ビルドは再びホルダーからボトルを取り出した。

 

「ダイヤなら、こいつで」

 

 今度は茶色い、【ゴリラフルボトル】。ラビットボトルを取り出し装填した。

 

ゴリラ!

 

 

BEST MATCH!

 

 

 トライアルの時と異なり、ダイヤモンドとの相乗効果____即ちベストマッチの組み合わせとなり、ドライバーの中心が光りだす。

 

 

【Are You Ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

 再びライドビルダーがビルドを挟み、新たな姿へと変化させた。

 

【輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!!イェイ……ッ!!】

 

 プロレスの入場のような謳い文句と共に、ラビットハーフボディが茶色い丸太のような剛腕を誇る【ゴリラハーフボディ】へと変わり、ビルドが攻防一体のパワーフォーム、【ゴリラモンド】になった。

 

 

 

 

「……さ、さっきからどんな組み合わせだよ、兎と戦車、ゴリラにダイヤ……」

 

 戦いに圧倒されてばかりの五河士道が、呆然となりながらツッコむ。

 しかし彼の目に映る感情の色は、困惑の色ではなかった。

 

「ハアッ!!」

 

 ゴリラの剛腕、【サドンデストロイヤー】が大地を殴りつけ、浮かび上がった土くれがダイヤボディの腕により、無数のダイヤモンドへと姿を変える。

 そのダイヤの群れへ剛腕を殴りつけると、さながらマシンガンの如くダイヤの雨が怪物へ放たれた。

 

「_______」

 

 五河士道は、その戦いをじっと見つめる。

 彼の目の前に広がる戦いの景色_____テレビの向こうに広がるアニメじゃない、本当の戦い。

 あの怪物はあまりにも恐ろしいし、戦いだって好きなわけじゃない。

 だが、それ以上に_____

 

「_____カッケぇ……」

 

 あの仮面の戦士____仮面ライダービルドの姿が、五河士道にとってどうしようもないほど眩しくて、格好良くて_____それは幼いころに憧れていた、人々を()()から救い出すヒーローそのものだった。

 

 

「gggg_____gararararaaaaa!!!」

 

 ゴリラモンドの苛烈な攻撃に耐えかねたのか、怪物は再度雄叫びを上げながら尻尾のキャノン、更には体中に伸びた棘や刃を、ミサイルの如く矢鱈めったらに撃ちだした。

 

「っ、五河!」

 

「!?」

 

 その中の一団が五河の元へ迫るのを見るや、ビルドは全速力で前に踊りだし、ダイヤボディの肩にある【BLDプリズムショルダー】の能力で生成したダイヤの壁を展開する。あらゆる物理攻撃を完璧に防ぐダイヤの盾は、五河の元へ来た針や刃を見事に防ぎ切った。

 

「怪我はねえか?」

 

「っ____は、はい!」

 

「すぐに終わらせる。あのデカブツも、そろそろネタが尽きたようだからな」

 

 そういうとビルドは今度はボトル____ではなく、まるで炭酸飲料の缶のような形をした、ビルの顔の意匠が施されたアイテムを取り出した。

 

「一気にケリをつける」

 

 一言いい、手に持った缶を振った。

 

 

 ブンブンッ、ブンブンッ(缶を振る音)

 

 

「………」

 

「………」

 

 

 ブンブンッ、ブンブンッ(再度缶を振る音)

 

 

「…………?」

 

「…………?」

 

 

 ブンブンッッ!ブンブンッッ!(三度缶を振る音)

 

 

「「………………………???」」

 

 

【しかし なにもおこらなかった!】

 

 

「_____炭酸抜きか。大したもんだな」

 

「言ってる場合ですかっ!?」

 

 五河がたまらずツッコむ。何か分からないが、多分ボケるところじゃないだろうことは想像できた。

 実際その通りで、ビルドのパワーアップアイテム___【ラビットタンクスパークリング】は、何度振っても活性化した時のシュワシュワという音が聞こえず、反応を一切示さなかったのだ。とはいえ、ビルドは半ばそれを予想していたように。

 

「やっぱ使えないか~……しゃーなし」

 

 溜息を付きながら、再びラビットボトルとタンクボトルを手に取る。

 

ラビット!タンク!

 

BEST MATCH!

 

【Are You Ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

ラビットタンク!!

 

 再びビルドの体が挟まれ、元の赤と青の姿、ラビットタンクに戻る。

 すぐさま、ドライバーのボルテックレバーを再びぶんぶんと回した。

 

「これでフィニッシュだ」

 

 

 

【Ready Go!!】

 

 

「ハアッ!!」

 

 腰を深く落とし、【ホップスプリンガー】が収縮する。

 強靭なバネの運動がビルドの体を上空へ持ち上げ、彼を基点にグラフ型の標的固定装置が実体化、怪物を完全に拘束する。

 その放物線のレール___最も効率的にエネルギーを相手に叩き込める軌道に乗り、右脚の【タンクローラーシューズ】の無限軌道が、怪物のボディを圧砕する必殺技____

 

 

VOLTEX FINISH!!イエーイッ!!】

 

 

「ハアァァァァァァッ!!」

 

 【ボルテックフィニッシュ】が、怪物の正中線上を捉えた。

 右脚の無限軌道と、最大まで活性化されたラビットタンクのエネルギーが、怪物の肉体をゴリゴリと容赦なく削り取り、ドリルの如く貫通した。

 

 

「Goiuyhjkgfcvbnmkl__________!!??」

 

 

 断末魔の叫びを上げて、怪物が爆散する。

 炎と煙が上がり、そこには怪物の破片しか残らなかった。

 

 

 

「_____すっげぇ……」

 

 士道はただ、ぽかんと口を開けて感嘆の声を漏らしていた。

 地面に着地したビルドが、爆心地を見る。

 

「……人間がない」

 

「え?」

 

「ん?ああいや……そんなことより、大丈夫か?ずっと座ってるけど」

 

「あ、その……こ、腰が、抜けちまって」

 

「おいおい。ま、無理もねえか……ほら」

 

 ビルドが差し伸べた手を掴み、士道は何とか起き上がった。様々な疲労が重なり、相変わらず足はがくがく震えていたが、差し伸べられた力強い手に支えられながら、彼の肩に組まれた。

 

「そうだ……あの子は?」

 

「!そうだ、どこに……」

 

 士道の言葉に、はっとした様子でビルドが周囲を見回す。

 未知の怪物との戦闘に気を取られていたが、あの少女の正体もわかっていなかった。

 しかし。

 

「____いない。消えた……?」

 

 どこをどう見渡しても、少女の姿は無かった。彼女の傍に在った玉座もまた、同じく消えていた。

 

「いつの間に………五河?おーい」

 

「……」

 

 ふと、肩に組んでいた士道の方を見る。

 彼は眼を閉じて、規則的な呼吸をしていた。恐らくさっきまでの出来事で、蓄積していた疲労が解放されたのだろう。

 

「ふっ、カワイイやつ。……さて、早いとこずらかるか___」

 

 ビルドフォンを取り出そうとした、その時。

 

「え_____」

 

 奇妙な浮遊感と共に。

 視界が、急に真っ白に染まっていった。

 

 ◆

 

 

 その後。

 

Scooby(スクゥビィ), Dooby(ドゥビィ), Doo(ドゥウ)ウ~…………ん~?いやはや、見事なもンだ

 

 二人がいなくなった瓦礫の後に、奇妙な人影があった。

 調子よさげな鼻歌を歌いながら、ノイズ交じりの声を発する。

 

あ~あ~あ~あ~……消しカスみたいにボロボロじゃないか……ま、お試し品じゃあこの程度が関の山か

 

 毒々しい黄色と黒の模様に、()()()()()()()()()()ようなマスクの体が、爆心地へと歩いていく。腕についた無骨なブレスレットが、逆に浮いていた。

 怪物の破片の数々____その中に落ちていたチップを拾い、土埃を丁寧に落とした。

 

まあ、データは取れたんだ。良しとしよう____あー、データは回収されたよ。残念ながら試作機はダメになったがね。撤退してくれて構わないよ

 

 おどけたような口調をしながら、通信を切る。

 チップをしまい、よっこらせと立ち上がると、ハチ男はすたすたと歩いて行った。

 

会える日が楽しみだよ、仮面ライダービルド_____()()()

 

 

 

 

「_____っ、ここ、は」

 

 気が付くと、ビルドと士道は見慣れぬ空間の中にいた。

 淡色の金属質な壁に覆われ、所々にライン状の青い光が伸びている。さながら、スペースオペラの宇宙船内部のよう。その正面には、大きな扉があった。

 ビルドが状況を確認する間もなく、コツコツと複数の足音が聞こえる。

 

 タタタタタッ_______

 

 脇の通路から複数の人間が躍り出てきた。戦兎とそう年の変わらなそうな年若い女性から、皴の刻まれた妙齢の男性など、幅広い世代の人間がいる。

 その全員が軍服のような服を着ており、ビルドの存在に戸惑う様子を見せながらも、統制の取られた動きをしていた。

 

『ワープ技術……』

 

「町から急に、移動した……!?」

 

_____ようこそ、【フラクシナス】へ

 

 困惑するビルドと巧の耳に、正面ドアの開閉音と、年若い女の声が聞こえてきた。

 ビルドと士道の前にできていた人の群れが、その人が来るのを待ちわびたかのように退き、良家の使用人のように道を作る。

 コツ、コツと、些か軽い革靴の鳴る音と共に、声の主は姿を現した。

 

「____子供?」

 

『この世界は、男性の出生率が低いのかい?』

 

 心の中の巧の理屈っぽい皮肉が聞こえたが、そんなことよりも驚いたのは、その相手がどう考えても中学生にしか見えない点であった。

 赤い髪を黒のリボンで束ね、口には白い棒のようなもの。小柄な体格には分不相応に見える、君色と同じ真っ赤な軍服を肩にかけ、左には金髪の美丈夫、右には無造作な薄水色の髪と目の下の隈が目立つ、美女。

 大人だらけの空間にあって、あまりにも異質。

 しかし周囲の人間達は、彼女の意思が出てくるのを待っている様子であった。それが当たり前だという空気が、この空間に漂う。

 

「まずは、()()()を助けてくれたことに礼を言わせてもらうわ。___ありがとう」

 

「____兄?」

 

「ええ。でも話を前に進める前に……まずは、そのヘンテコな仮面を外してもらえるとありがたいのだけれど」

 

「____この世界一カッコいいマスクを見てヘンテコとは、センスが合わないねぇ」

 

 眼前の少女の目が、キュッと鋭く細められる。

 

「安心しなさい、危害を加えるつもりはないわ。あなたに抵抗する意思がなければ、ね」

 

 少女の言葉と目が、少しかみ合っていなかった。

 言葉には何があっても油断しないという決意と余裕が。目にはそれらに覆い隠された、ほんの少しの恐怖が。

 

「私たちはそこで伸びてる()()……五河士道を助けるために、あなたたちをここへ転送した」

 

「___子供がそんな肩肘張るもんじゃないよ」

 

 ため息交じりにそう一言言うと、ビルド____戦兎は士道を一度降ろして、ドライバーからボトルを外し、変身を解除する。

 

「うはっ、イケメン……」

 

 並んでいた大人の誰かが呟いた。

 

「おっ、サンキュー!」キラッ☆

 

()()を回収して、医務室にぶちこみなさい」

 

「はっ!」

 

 少女の一声に、あたりにいた大人たちが用意していた担架を持ち出し、士道を載せて速やかに運んでいく。

 

令音、ついていきなさい」

 

「ああ…」

 

 少女の右にいた()()の目立つ___ポケットに継ぎ接ぎだらけのクマの人形が入っていた。ダブルミーニングだ___女性が、気だるげな声を発する。そのままフラフラとした足取りで、担架の進んでいった方へ歩いて行った。

 

『著しい睡眠不足だな。不眠症ここに極まれり、というやつさ』

 

 巧は変わらず頭の中で好き勝手に言っていた。

 

「さて___ご挨拶になっちゃったけど、改めて、自己紹介させてもらうわ」

 

 

「私は五河琴里(イツカコトリ)____この空中艦【フラクシナス】の司令にして、五河士道の妹よ」




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