ニンジャ・サプライズド・ニューエリドゥ 作:ニュービー・ニンジャ・ドージョー
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六分街の一画にある、奥ゆかしい佇まいのビデオ屋「Random Play」。
所狭しと陳列されたビデオ群は、マニアでも満足するであろう素晴らしいラインナップだ。
だが、しんと静まり返っている店内に人影はない。客はおろか、店員までも。一般人であれば定休日かと推測するであろう光景だ。
しかし、読者の中にニンジャ感覚をお持ちの方がいるならば、このビデオ屋に隠された秘密がお分かりになるだろう。
カウンターのすぐ脇にある、STAFF ONLYと書かれた何の変哲もないドア。
一見するとただの物置部屋かなにかにしか見えないが、一度ドアを開ければ巧妙に隠された事実がウキボリとなる。
『近頃、ホロウレイダーの出頭が相次いで──』
「ンナナ……」
思いのほか広々とした部屋にはテレビ、ソファ、作業机……なんだ、スタッフの休憩室か。そうお思いではないだろうか。実際そうではない。
ニンジャ感覚をお持ちでない読者も安心して欲しい。部屋に入ればすぐに思い知らされることになる……物置めいたこの部屋の異様さに!
一際目を引くのは、壁一面を埋め尽くすモニター! 間接照明めいて室内を薄暗く照らしている。何かを分析しているのか、専門家ですら読み解くのに難儀しそうな数字の羅列が現れては消える。スゴイ級ハッカーでもここまでの設備は有していないだろう!
はたして、ただのビデオ屋にこのレベルの設備が必要なのか……否! アキラカにオカシイ! この部屋の主人は一体ナニモノなのだ!
『──速報です。十四分街で共生ホロウが突如発生……』
「ンナンナ!」
ビデオ屋にあるまじき室内には3人の……正確にいえば、2人と1匹の影があった。灰色の髪の青年と紺色の髪の少女、そしてウサギのヌイグルミめいた姿をした世間一般にボンプと呼ばれるロボット。
そう、彼らは……表の顔はビデオ屋「Random Play」の店長、そして裏の顔は数多のプロキシの中でもヤバイ級と名高い伝説のプロキシ……「パエトーン」その人であった!
「ンナンナ! ンナンナー!」
「ん? うーん……」
テレビで報じられているニュースを見てボンプ──
この不気味な球体こそ、旧都陥落以前から人々の生活圏を脅かす超自然的災害、ホロウだ。
何の前触れもなくしめやかに発生し、その場にいたあらゆるものを飲み込む。飲まれれば最後……「キャロット」と呼ばれるホロウ内部の構造を記録したマップデータがない限り、脱出は困難を極める。
突如発生したホロウともなれば、マップデータなど存在するはずもない。今回のホロウ災害の救助活動が難航することは想像に難くなかった。
「お兄ちゃん。このニュース見て」
「どうした?」
イヤホンをしてテレビから意識を逸らしていた少女──リンが、背後で片付けに勤しんでいた青年──アキラへ声をかけた。
ニュースキャスターは繰り返し近隣住民への避難を促す。管制レベル3を突破、ホロウ調査協会が緊急対応……テレビから流れる言葉の端々から、緊急的アトモスフィア*1に包まれた現場の様子が伺える。
「ヤヌス区で治安局が今日捜索をしている。避難は手こずるだろうな……」
「それって……」
モニターに向かって何かを調べていたアキラの言葉に、リンはボンプを抱きしめながら振り返った。
プロキシという立場上、ホロウとは切っても切り離せない関係だ。何かが起きる、そんな予感がした。
せっかくの商機を伝説のプロキシが逃すわけもない。早速2人は仕事の準備に取り掛かった。
テレビ中継に映りこんだ、色付きの風には気づかないまま。
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一方その頃、ヤヌス区十四分街のとある高層ビル内では。
「逃すな! 追えっ!」
「見失った!」
「ドコイッタンデスカ!」
慌ただしくビルの中を駆け回る赤牙組の構成員達。彼等は今、混乱極める状況に置かれていた。
ある研究所から盗み出してきた金庫が、何でも屋である3人組「邪兎屋」に奪われた。さらにその最中、高層ビルの足元にホロウが発生してしまったのだ。ミヤモト・マサシが詠んだ「弱ってきたらさらに棒で叩く」*2のコトワザを地で行く災難だ。
しかし、それだけでは終わらない。二度ある事は三度四度と続くものだ。
もう一つの災難、それは今まさに──彼等を影から睥睨していた! だが赤牙組は気づくことができない! なんたる卓越したニンジャ野伏力か!
『すぐに足取り掴んで〇〇〇〇! 〇〇〇からなコラ!』
コワイ! 廊下に山積みになったテレビから、ニュース記者のレポーター・スラングが響き渡る! モータルであれば失禁は免れない。
しかし、カオスめいた高層ビル内にいる彼等は気にも留めなかった。今はそれどころではないのだ!
「デテッコラー!」
「ツカマエンゾ!」
コワイ! 廊下を駆け回る赤牙組から、脅しめいたヤクザ・スラングが響き渡る! モータルであれば失禁は免れない。
しかし、目的の人物は姿を現さないどころか、物音ひとつ立てなかった。なんという肝っ玉か! ヤクザが怖くはないのか!
「スッゾコラー!」
ナムサン! 痺れを切らした赤牙組の1人が、無造作に置かれたテレビを手当たり次第に破壊していく! 先程までテレビだったものが廊下一面に散らばった。
ひとつ、またひとつと記者の顔がポケットの中のビスケットめいて粉々になり、火花を散らして暗転する。余程ストレスが溜まっていたのだろう、目に映る全てのモニターを悉く破壊していき、残すはあと一山のみとなった。
「ん……?」
画面いっぱいに映る記者の顔目掛けて、獲物を振り抜く快感に取り憑かれかけたその時……彼はふと違和感に気づいた。
彼の背丈より少し高く積まれたテレビ。その画面に映るのは、機関銃めいてスラングを喚き散らす記者ではなかった!
「虚」「殺」と刻まれたメンポが画面を突き破る!
ホロウスレイヤーの貞子めいたエントリーだ!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
廊下に響く決断的カラテ・シャウト!
画面を突き破った頭突きが赤牙組の額へ直撃! 昏倒!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
アンブッシュ*3に動揺し動けない赤牙組へローリングソバットが突き刺さる!
壁に叩きつけられた3名の赤牙組がしめやかに昏倒!
「イヤーッ!」
「「「「アバーッ!」」」」
竜巻めいて回転しながら飛び上がりスリケンを乱射!
ヘルメットを粉砕され4人の赤牙組はそのまま昏倒!
「ひっ! ひぃっ!」
ゴウランガ! なんたる奥ゆかしいカクレミ・ジツからのアンブッシュか! この間、0.1秒未満! 意図して残された1人は、何が起きたか認識できず怯えることしかできない!
一瞬のうちに廊下をツキジめいた光景に変えたホロウスレイヤーは残る1人へ向き直り、目に宿る殺意はそのままに一礼した。
「ドーモ、はじめまして。ホロウスレイヤーです。シルバーヘッド・ミゲル=サンを探しに来ました」
丁寧なアイサツは、敵にさらなる恐怖心を植え付ける。ニンジャ存在感に当てられた赤牙組は失禁した。
「オヌシにインタビューをする」
「うぐっ! はな、放せッ!」
すっかり縮こまった相手にもホロウスレイヤーは容赦しない。
首根っこを掴み、宙吊りにしたまま窓へと押し付ける。プレス機めいたニンジャ腕力で押し付けられた赤牙組は、肺を圧迫され悲鳴を上げることすらできない。そんな彼の代わりに、弾丸を跳ね返すほど頑強なガラスが悲鳴を上げるように軋んだ。
眼下に広がる街並みとホロウ。アンモニア臭を放つ液体が窓ガラスを伝う。
「ヤツの居場所を吐け。さもなくば──」
しめやかにインタビューを始めようとした、その時である!
「──ヌウッ!」
爆発音を伴って高層ビル全体を襲う大きな揺れ。高層ビル付近に展開されていた攻撃ヘリからミサイルが射出されたのだ。
それだけなら特段気にすることではないが、タイミングと場所が悪かった。
けたたましい音を放ちながら砕け散る窓ガラス。爆発地点に近かったのか、ホロウスレイヤーの立っていたフロアが落とし穴めいて崩れ落ちる! インタビューに気を取られていたホロウスレイヤーは、瓦礫と共に高層ビルの外へ放り出された。キヨミズ!
(ぬかったな……俺もまだまだ甘い)
あまりにも、あまりにもウカツ! なんたる怠慢か!
ホロウスレイヤーは自身の研鑽不足を恥じながら、眼下で口を開くホロウに吸い込まれていった。
感想・評価・お気に入りアリガトウゴザイマス!
治安局への配慮上、ホロウレイダーにはミネウチが多め。
少し短めですが更新な。
◆追記◆
アンケートの結果に基づいて、そのままでは伝わりづらいものや現実のアイエエエの小説とで意味に違いがあるものにのみ注釈メントを追加しました。
◆重点したい◆
日本語がフルサポートされていないように思える……ので、忍殺語に注釈は?
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いる
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いらない