ライブでーす。やっとアニメの内容三分の二でーす。進行速度カスすぎ!
ザァァァ……激しい雨は窓ガラスを叩き、アラームよりも早く俺の意識を覚醒させた。
寝起きの拙い動きで腕を必死に使い体を起こした。ベッドの横にあるカーテンをゆるゆると開くとそこには空一面に雨模様が広がっている
「マジか……」
枕元にあるはずのスマホを手探りで探し出し、時間を確認する。スマホのロック画面に映っていたのは今日の日付でありそして結束バンドのライブの日でもある8月14日、そして……台風による大雨警報だった
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時刻は午後2時過ぎ、台風が来たからといって特に何も変わらずリビングで新しく買った文庫本に目を落としていた。
まあ今日はシフトが入ってるからあと1時間もすれば家を出なくちゃいけないんだけど
小説もいよいよ終盤に差し掛かり、主人公が今までに散りばめられたヒントからひとつの結論にたどり着く。この事件の真相が主人公の口から語られそうになった時、ピンポーンと来客を知らせる電子音が家中に鳴り響いた。
「今めちゃくちゃいいとこなのに」
読んでいたページから1ページ前に遡り、栞を挟む。小説を読むときに勢いと没入感を大事にする俺は読むのを中断するとき1ページ遡るのが癖だった
なんかこの前もこんな事あったな。なんて思いつつすぐにインターホンまで向かい、画面越しに来訪者を確認する。そこに映っていたのは喜多……喜多?え、なんでいるの??
インターホンから最短ルートで玄関まで向かう。開けた扉が喜多にぶつからないように少し勢いを殺して押し開いた
そこにはやはり傘を差している喜多の姿があった。しかしこの雨を傘だけで防ぎ切ることは困難だったのか所々濡れている
「濡れてんじゃん。早く家入れ」
「えっ、あ!?」
すぐに手首を掴み家の中に引き入れる。マジで何やってんだこの子は
「あーもー濡れてんじゃん。タオル持ってくるから待ってろ」
「う、うん」
急いで洗面所からバスタオルを引っ張って来て、喜多の体を包み込む。玄関にある段差のおかげでいつもよりも身長差が分かりやすくなっており、抵抗せずに髪を拭かれている喜多が可愛らしい。
そんな事を考えていると少し顔を赤くした喜多が上目遣いで凄い見つめてきた
「……アクト君、自分で拭けるから…その…」
「え?ああ」
すまんすまん、そう言って喜多の体から離れる。どうしよう。お風呂沸かすか?でも今から沸かしたら家出る時間が後ろ倒しになるし…
いやそんな事より聞かなきゃならないことがあったわ
タオルを首にかけ髪の水気を丁寧に拭き取っている喜多に話しかける
「つーか何で来たの?」
「えっと…今日の朝に太宰君から『アイツのことだから台風を言い訳にしてサボろうとすると思う。迎えに行くといいよ』ってロインが来たの…」
「何言ってんだアイツ」
つかなんで喜多は照れてんだよ。照れる要素あった?可愛いから良いけど
「まぁ上がりなよ。シャワー浴びたいなら浴びても良いし」
「う〜ん、シャワーは大丈夫。そこまで濡れていないし、スターリーに着いたらどうせ着替える予定だったから」
取り敢えずリビングに案内し冷蔵庫から取り出したピッチャーから麦茶を注ぐ。ゴクゴクゴク。……間違えて飲んじった…
別のコップを取り出し、麦茶を注ぐ。そのままそのコップをリビングのテーブルに置いた
「冷えてるからおいしいぜ」
「ありがと」
大雨が降っているとはいえこの季節だ。思っていたよりのどが渇いていたのだろう。喜多はコップをどんどんと傾けていく
麦茶を嚥下するのに合わせ、俺のそれより小さい喉仏が上下に動く。その様子がどこか扇情的で目が離せなかった
「そんなに見られると恥ずかしいわ…」
「ごめん」
何でライブ当日にこんな事してるんだろう…
「あはは」「うふふ」
「いやホントなんで来たの!?」
「いやさっき説明したじゃない」
「あんなんで納得できると思う!?」
何だよ台風だからサボりそうって、確かに8月始めぐらいは行きたくないって思ってたけど!なんなら逆さに吊るす用のてるてる坊主作ってたけど!ちゃんと一昨日から普通に吊るしてるし!
「でもほらあれ以上説明のしようがなかったから」
そして見せられた喜多のスマホには祐希とのトーク画面が映っていた。
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『喜多さん。今日のライブだけどアクトのヤツ家まで迎えに行ったほうがいいと思うよ』
『どうして?』
『アイツ雨嫌いだから。無理やりにでも引き摺って行きな』
『そうなのね、知らなかったわ』
『ありがとう!』
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「これを信じたのかよ…!」
なんっだこれ、俺って雨嫌いなのかよ知らなかったわ
夏休み明けたらアイツマジでぶっ飛ばす。
「え、アクト君って雨嫌いじゃないの?」
「一昨日の夜雨の中あったの覚えてないのかよ…」
結構凹むんだけど、今ちっちゃい声で確かに…って言ったの聞こえたからな?
なんか面倒くさくなった俺は文庫本に手を伸ばした。もういい、俺続き読むもんね
「いいし、別に悲しくないし…俺と雨の中会ったことより祐希のロイン信じてることなんか何とも思ってないし」
「えぇ〜…そういう感じになるのね…えっと実はこれ大した理由じゃなくて、私がアクト君と一緒に行きたかったからっていう方が大きくて…」
「……………あごめん本読んでて聞いてなかった」
「むーー!」
「ごめんごめん!痛いから!無言で殴らないで!」
く…何がそんなに嫌だったんだ。ちょっとからかっただけだろう。まったく、乙女心とは難しい!
片手で喜多をあしらいながら文庫本の続きに目を走らせる。なんと主人公は逃げ回っていたのではなく犯人をおびき寄せていたのだ。病院の屋上で相見える2人…手に汗握る場面が字で表現されている。面白い。この小説当たりだな…!
ページを捲る手が止まらない。この小説は「ねぇ」どんな終わりを「ねぇ〜え」迎えるのか…
「さっきから何?喜多」
「いや、もう3時過ぎよ?もうそろそろ家でなくちゃ間に合わないと思うんだけど…」
「……マジだ!ごめんありがと。もう出よう」
家出る前に窓の外を見てみたが、一向に雨の勢いが弱まることはなかった。それでも電車が止まらなかったのは幸いだった
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「店長さん、PAさんこんにちは」
「あ〜アクトか…」
「こんにちは〜」
「店長さん凹んでますね」
「可愛いとこ有りますよね〜」
「うるさい…」
わ〜お、店長さんの声がこんなに弱く聞こえたの初めてだ。ちなみに店長さんは虹夏さんの初ライブが大雨だからかカウンターに突っ伏している。ホントにアラサーか?にしてはかわいいぞ。
「…これなんすか?」
店長さんのちょうど真上に吊るされているてるてる坊主を指差し聞いた
「虹夏たちが作ったてるてる坊主だよ…まぁてるてる坊主でどうにかなるもんじゃないけどさ…」
「この様子じゃチケット買った人も来ないかもっすね」
「そうですね〜。客の入り見て心折れなきゃいいですけど、あの子たち練習頑張ったのに可哀想ですね」
この前てるてる坊主作らされたけどここに吊るしてあったのか。確かによく見てみれば一体一体顔や完成度の違いがある。こっちのが喜多でこっちは虹夏さんのかな?
「バンド続けてたらこんな理不尽たくさんあるよ。だからそれを乗り越えられるようにならないと…」
「ハンカチありますよ?」
「あっち行ってよぉ…」
この大人たち仲いいな…なんか凄く居た堪れない。喜多たちにも言えるけどたまにこういう時あるからもう少し男の知り合いがほしい
「てかPAさんは今日その肩出しコーデで来たんですか?」
「ふふ、似合ってますか?」
「まぁ似合ってていいと思いますけど…」
「じゃあ何が気になるんです?」
「寒くないか気になっただけです。来るまでに雨に降られたんじゃないですか?」
「あら。心配してくださるんですか?」
「……PAさんには一生敵う気がしません」
これが大人の魅力ってやつかもしれない。……今まで気づかなかったけどこの人バチバチにピアス開けてるんだな。かっけ〜。俺も大学入ったらピアス開けようかな?
と、耳を触りながら考えているとポケットに入っていたスマホが通話が来たと震えている。誰だろ……げっ
「今げっ、て言いました?」
「言ってません。すいません電話出ますね」
スマホに映るのは廣井さんの文字。交換した覚えないんだけど?でも無視するのは申し訳ないし出てみるか
「はいもしもし」
「あ〜もしもし〜!きくりお姉さんだよ〜!今日のライブ見に行くんだけど傘忘れちゃってさ〜。駅まで迎えに来てくんない?」
「え、嫌ですよめんどくさい」
「そこをなんとかさ〜」
「他の人をあたってください。無理なら濡れてきてください」
「冷たいね〜!アクト君はお姉さんが風邪ひいてもいいの〜?」
「(めんどくせぇ…)はぁ、分かりました。今から行くんで待っててください」
「ありがとね〜!」
ピ、通話が切れる。確かあの人後藤からチケット買ってたけどなんで俺に迎えこさせるんだよ
「すいません。知り合い迎えに行きますね」
「分かった…事故遭うなよ」
「ありがとうごさいます」
傘を2本携えスターリーのドアを開けた。相も変わらず大雨が降っている。もしかしたら今日は厄日かもしれない
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「あれ?アクト君は?」
伊地知先輩の声につられ、スターリーの中を見回す。……居ない。どこへ行ったんだろう
「確かにいませんね」
「アクトの事だし女引っ掛けてきてるんじゃない?」
「流石にそれはないでしょ〜。私が見てきた話してる人だけでも女の人は……女の人ばっかだ…」
「あっ、芥川君なら……あり得るかも……」
「アクト君なら結構前に友達迎えに行くって言ってましたよ?」
会話が聞こえていたのだろうか。少し離れたところからPAさんが話しかけてくる
「どれぐらい前ですか?」
「もう二十分は経ってるんじゃない?たぶんもう少しで戻るよ」
「お姉ちゃん元気出した?」
「うるさい」
友達か…アクト君の女友達は私かさっつーぐらいだし、女の線はないかな?あっ、もしかしたら太宰君かも
しかしその予想を裏切りアクト君はスターリーに戻ってきた
「はぁ〜凄い雨ー!」
「廣井さんのせいで俺まで濡れたんですけど…!傘も飛ばされるし!俺着替え持ってきてないんですよ!」
「あはは〜ごめんごめん。あ!ぼっちちゃーん来たよ〜」
その人には見覚えがあった。私がアクト君のご飯を食べさせてもらった日の朝に家から出てきてたあの人だ。……なんだか面白くない。私は初ライブで不安だったのにアクト君は他の女の人のこと考えてたなんて…!
「……アクト君」
━━━━━━━━━━NOW視点切り替えing……
「……アクト君」
「うわっマジで女の人連れてきたよアクト君」
「え、なんすか唐突に。意味分かんないんスけど」
「アクトが女を引っ掛けてるって話してた」
「何スかそれ……」
女引っ掛けてるってなんだよ。こちとら急に呼び出されて戻る時には廣井さんに絡まれるし傘飛ばされてびしょ濡れになるし災難すぎるわ
虹夏さんは軽蔑の目線向けてくるし、喜多に至ってはなんか黒いオーラ出てるし
「お姉さん…?」
「お前ぼっちちゃん目当てで来たの?」
「そうだよ?いえぇ〜い」
それに比べてこちらはなんて平和なんだ。廣井さんピースしてる。てか店長ときくりさんって──
「お知り合いなんですか?」
俺の疑問を頭に浮かべると同時に後藤が口を開いた。後藤が店長さんに質問してる…成長したな…
「私の大学の時の後輩」
その呆れ口調から浅くはない関係性だということが感じ取れた。それにしても店長さん、PAさん、廣井さん。三人並ぶと顔面偏差値すげぇな。全員美人
「今日のライブ打ち上げするんだよね〜居酒屋もうきめたの〜?」
「お酒くさ…」
あ、きくりさんが店長さんに肩組みに行った。店長さんかわいそ
「ほらそんなダル絡……うざ絡……絡んじゃダメですよきくりさん」
「アクト君キミ思ったより口悪いね〜!」
「そうですか?オブラートどころかラップで包んで言ったつもりですけど」
「それでさっきのだったら元どれだけひどいんだよ」
流石店長。虹夏さんの姉だけあってツッコミできるな。ふと後藤たちの方へ目を向ける。後藤以外の結束バンドメンバーは呆気にとられているようだ。まぁ後藤以外と面識ないし仕方ないか
「いやいやいや私としてはなんでその人とアクト君が知り合いか知りたいんだけど!?」
「どう知り合ったのかを答えるなら…泥酔して倒れてる廣井さんを介抱したとき…かな?」
「あのときは泊めてくれてありがとね〜!まさかホントにアサリの味噌汁と干したての布団が出てくるとは思わなかったよ」
「あの日天気良かったですからね」
「お前未成年の家に泊まったのかよ!?お前は泊めたのかよ!?」
「まぁ後藤のチケット買ってくれた恩もありましたし」
あの時はマジで苛ついたがよくよく考えてみれば廣井さんも酒カスなだけで面白い人だということをあの後思い出したのだ。面白い人は好き。よってあの時泊めたのは結果的には正解だった
「えっちな事はしたの?」
………いやリョウさん何聞いてんの?男女比6対1の今聞くことか?(反語)
「…………してないです」
「間があるんだけど?」
「えっちな事はしてない、マジで」
「は?えっちな事はってどういう事なの?」
「さっきから喜多の食いつきが良すぎて怖い!」
何なんだ。いったい俺が何をしたっていうんだ。酔っ払い介抱しただけでなんでここまで責められなくちゃならんのだ
「ん〜っとね〜アクト君の裸見ちゃったぐらいかな〜」
「なんで言っちゃうんですか!?」
ほら、皆が!特に喜多とか虹夏さんがすごく冷たい目で見てくるんだけど!どうしてくれんの?
「もういーから!ライブすぐなんだから準備しろ!ほらアクトも!」
店長さんからの思わぬ助けに涙が出そうだった。やはり虹夏さんの姉、根本的に世話焼きだ
その声で虹夏さんたちは不満を漏らしつつも他の話題へと逸れていった。
とんとん。リョウさんに肩を叩かれる
「どうしました?」
「火遊びはよくない」
「……っ!?してませんから!」
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その後後藤の路上ライブでチケットを買っていた女性二人組が来たり色々あって、結束バンドの面々は控室へ入っていった
「アクト〜来たよ〜」
「お〜祐希。来たか」
「どう?喜多さんに引きずられてきた?」
「テメェまじぶっ飛ばすからな」
雨の影響もありいつもより少ないの数の受付をこなしていた時、祐希がやってきた。チケットを貰いソフトドリンクなどの説明をする
「アクトは前行かないの?」
「受付あるし、演奏なんてどこで聞いても一緒だろ」
「いーや距離っていうのは馬鹿にならないよ?音圧を肌で感じられるんだ」
「それ含めてここからでも一緒だって言ったんだよ」
「わからず屋〜♪」
軽口を叩き合う。やはりこれくらいの距離感が一番やりやすいな。どれだけ仲良くても女性というだけで壁が1枚増えるからな
「それにしても…客少ないね」
「仕方ねぇよこの天気じゃ。ま、始まったら増えてくるさ」
さっき買って来ていたコーラを一口含み、飲み込む。栓を開けて十分程だがもう既に温度は上がり炭酸も弱くなり、味のピークは過ぎ去っていた
少し遠くから女性二人の話し声が聞こえてくる
「1番目の結束バンドって知ってる?」
「知らなーい。キョーミない」
「観とくのたるいね」
「いーの?あんなの言われてるけど」
「そもそも初ライブだしな。バンドマンなら音でねじ伏せるもんだろ」
「そーゆーもんなの?」
「そーゆーもんだよ」
時計の短針はローマ数字の6と7の間を指し示していた。ライブ開始時間が迫り、結束バンドの面々がステージに上がる。薄暗い照明の中学期の最終調整を行っているようだ。
みんなが背後からライトに照らされる。とうとう始まる
「始めまして、結束バンドです!本日はお足元の悪い中お越しいただきありがとうございます〜!」
「あはは、喜多ちゃんロックバンドなのに礼儀正しすぎ〜!」
ははは。
「失敗だね」
「うるさい。……面白くなかったのは認めるけど」
そしてライブが始まった。一曲目は『ギターと孤独と蒼い惑星』オーディションでも聴いた曲だ。
とてもいい演奏とは思えない、なんならオーディションの時よりも出来が悪い。
しかしそれも仕方がない。初ライブに台風が直撃、誰にも知られていないアウェーでの演奏。練習通りにいくはずがなかった。
不安定な喜多の声、音程がズレてるし息継ぎが上手くいってないのか弱々しい印象を与える。
ベースやドラム、ギターも似たようなものだ。音楽に詳しくないので評論家のようなコメントはできないが、他のバンドを目当てに来た人たちがスマホから顔を上げるほどの演奏ではない。現に今も客の一人がトイレへと向かっていった。
「『ギターと孤独と青い惑星』でした」
「やっぱパッとしないね」
「早く来るんじゃなかった」
「酷い言われようだね」
次の曲が始まるまでの合間に、祐希は俺にだけ聞こえる声で話しかけてきた。内容はさっきの女性客の会話についてだろう
「そうだな」
「冷たいね。もう少し不機嫌になるかと思った」
「喜多たちには悪いけどあの感想は間違っちゃいないからな」
別に思うところがないわけじゃない。だけど今俺があの人たちを注意した所で音楽が変わるわけじゃない。さっきも言ったがバンドマンなら音でねじ伏せてこそだからな
ジャーン……2曲目、『あのバンド』の紹介が終わった所で後藤が弦を鳴らした。瞬間、空気が変わる。足元にあるペダルを踏み込み、どんどんと後藤の音は勢いを増しスターリーの中で弾けまくった
喜多も、虹夏さんも、リョウさんも呆気にとられている。もしかして……
「アドリブかな?」
「……だろうな」
後藤のアドリブから繋がるように2曲目が始まる。思い出したかのように頭が痛んだ。
さっきとは演奏のレベルが違う。緊張は抜けきっていない。だが後藤のアドリブでさっきまでの空気をぶち壊した。そして後藤につられ結束バンドの音がまとまり始める
感情の乗った音に全員がぶん殴られた様な衝撃を受けていた
「凄い」
思わず溢れた言葉だった。頭痛は今までに無いレベルで今すぐにでもトイレに駆け込んで胃の中身をぶちまけてしまいたい。けど、後藤の演奏に心を掴まれ、足を動かすことすらできなかった
2曲目も無事に終わり、二十にも満たない客の全員が拍手をしていた。一曲目の時とは大違いだ。
ラスト、三曲目の紹介が入る。スターリーの中に、もうスマホを観ているものは誰一人としていない
こうして結束バンドの、俯き下を向いたヒーローの初ライブは終わりを迎えた
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次回 『小休止、1月と2日』
アクト、バイト休むってよ