忘れてなんかやらない   作:アゲアゲ太郎

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部活と課題で執筆時間が取れません。ごめんねごめんね

二期が始まるまでに完結させたい。なぜなら二期の範囲の原作を持っていないから。今でも終わりが見えずに絶望してるのにコレ以上範囲が広がると絶対失踪する


第二話 バンドマンにマトモな奴はいない

「なんで、こうなったんだろう」

 

 俺の名前は芥川 亜久人(あくと)今年の春から秀華高校に通っている高校1年生だ。

 なんて高校入学から一ヶ月以上経ちクラスの人の名前を全て把握できた時期だってのに頭の中で自己紹介をしているのは別に俺が中二病を拗らせているからではない。ただの現実逃避だ。

 

「ふんふんふ〜ん♪」

 

 メイド服を身に纏い、鼻歌を奏でながらモップをかける喜多さんの姿を一瞥してまたため息をつく

 

「そんなにため息ついてると幸せが逃げちゃうわよ?」

 

 ため息の原因である喜多さんが話しかけてきた。可愛い。喜多さんへの返事もそこそこに俺はこうなった経緯を思い返すのだった。そう、あれは確か1週間ほど前のこと───

 

 

 

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 最近喜多さんの様子がおかしい。いや喜多さんの様子がおかしいのは別に今に始まったことでもないのだが、一目惚れした人と一緒にバンドしたいからって親にお小遣い前借りしてまでギター買うか普通?

 

 まぁ喜多さんは元から結構おかしいのだが最近は輪をかけて様子がおかしいのだ。例を挙げてみれば話しかけても反応がいつもより遅かったり、笑っていてもふとした瞬間に表情が曇るなど。

 喜多さんの笑顔が大好きな俺としては大惨事。喜多さんの笑顔がどれだけ見れるかでその日と翌日のモチベーションが大きく変わる

 まあ同じ学校で同じクラスで隣の席なのだ。悩みを聞くぐらい簡単である。4限目の終わりを知らせるチャイムが鳴り終わったあと俺はバッグから素早く弁当を取り出し隣の席の喜多さんに話し掛ける。

 

「なぁ喜多さん。一緒に昼メシ食べようぜ」

 

 喜多さんが目を見開いてこちらを見ている。祐希や佐々木さんを交えて談笑は結構しているが俺が喜多さんを昼食に誘うなんて初めてだし驚くのも当然だろう。昼休みに入り喜多さんに近付いてきた佐々木さんは大口を開けて驚いている。いや佐々木さん驚きすぎだろ。俺のことを好きな人を昼メシにも誘えないヘタレだとでも思っていたのだろうか。…いや実際そうだから何も言えないけど。

 

「あ〜、最近喜多さん元気なさそうだし?ほらこの前俺のこと心配して一緒に帰ってくれたじゃん?だから、その恩返し的な?」

 

 我ながら疑問形ばかりで自信のない弱々しい言い訳だとは思うが心配する理由の「好きだから」を隠せているのでまぁ及第点だろう

喜多さんは少し悩む素振りを見せたあと

 

「そうね、じゃあご一緒させてもらおうかしら」

 

 と快諾の返事をしてくれた。

 

「ありがとう。ここじゃ話しにくいかもしれないし別の場所に行こうか」

 

 別に俺はクラスの男子に喜多さんと一緒に昼ご飯を食べているところを見せつけてもいいのだが、一応相談を受けるという体なので別の場所に移動をする提案をする。

 喜多さんが落ち込んでいるというのにお昼ご飯を誘えた事実が喜びとなり俺の胸の中で広がっていった。

 

 

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「つまり、ギターも弾けないのにバンドに入っちゃってそのバンドのライブから逃げて来ちゃったってこと?」

 

 喜多さんの相談内容を要約して言葉にする。こうして聞き直すとだいぶアレな事してるなこの子。可愛いからいいのだけど。

 一方の喜多さんは俺の言葉を聞いてかさらに落ち込んでいた。落ち込んでる姿も可愛いな、って何考えてんだ俺、今は少しでも喜多さんのことをケアしなきゃ。と言っても俺にできることなんて限られているが

 

「今出来るのは面と向かって謝ることなんじゃない?」

 

「でも…怖いの。怒られるのが、幻滅されるのが」

 

 喜多さんにしては珍しい弱音が口から零れ出る。それは超絶一般人の俺にも共感のできるものだった

 

「じゃあ一旦離れてみよっか。喜多さんがそのバンドメンバーと今会ったとしても殺してください!とか言い出しそうだし」

 

 俺の発言が意外だったのだろうか喜多さんは驚いた顔をして俺の目を見ていた。

 

「離れてみるってどういう事かしら?」

 

 当然の疑問に俺は考えていた理由を話していく

 

「もちろん褒められたことじゃないけど、極論言ってしまえばこれからは会わない可能性のほうが高い相手だしそもそも謝りに行く必要もないと思うんだよね。ま、ホントに褒められたことじゃないけど」

 

「だけど喜多さんは謝りたいと心の底から思っているんだよな?」

 

「そうね」

 

 短い肯定の言葉を聞いてさらに続きを話していく

 

「だから離れてみる。心の準備ができるまで、誠心誠意謝れるようになるまで。もし謝りに行く時、心細いなら俺もついて行くから」

 

 くどいほどいうが謝罪するべき相手から逃げる、時間を置くなんてとてもじゃないが褒められたことじゃない。だけどこれは俺にしか提示できない選択肢。俺は今までいろんなことから逃げてきた。勉強から、運動から、恋愛から。だから俺がこの提案をする。

 

「ありがとう。芥川くん」

 

 やっと笑顔を見れた気がする。いや、俺が恥ずかしくてすぐ顔をそらしてしまうのが原因のひとつなのだけど

 

「そうね…じゃあ来週末は空いてるかしら?その時までに連絡をして謝罪の場をなんとか設けてもらうからその日途中まで着いてきてくれないかしら。1人じゃ心細いから」

 

「勿論だよ。元は俺から提案したことだったしな」

 

「ありがとう!芥川くんが居てくれて本当に助かったわ!」

キターン!!!

 

 久し振りに浴びる陽キャオーラに目が眩むが喜多さんの助けになれたことに安堵する。やはり喜多さんは怖いものから逃げなかった。ライブから逃げたメンバーなんて普通は責められるだろうし罵倒もされるかもしれない。でも彼女は俺に途中までついてきてと言った。つまり謝罪は自分ひとりで行うということだ。

 俺なら確実に逃げていただろう状況で立ち向かった喜多さんの姿を見て尊敬と同時に自己嫌悪に陥る。

 

 こんな俺なんかが喜多さんを好きになってもいいのだろうか。

 

やめろ。そんな事考えるな。頭を振ってネガティブな思考を頭から消し去る。喜多さんが悩みを抱え込まなくてよかったじゃないか。どうせ俺なんか好かれるはず無いのだから

 

 その日は大まかにその後ほ日取りを決めそのまま解散したのだった。

 

 

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 喜多さんと一緒に謝りに行く約束をした翌週の月曜日。終礼のチャイムが鳴り終わったあと喜多さんは何処かに行ったかと思えばすぐに戻ってきた。

 

「ライブハウスについてきて欲しい?」

 

 いつものようにバイトのため素早く教室を出ていく祐希の背中を見送ったあと机の上で持ち帰る教材を整理していたら廊下側の窓から喜多さんが話しかけてきた。後ろにピンクの何かがいる。

 

「ええ、後藤さんにギターを教えてもらえる事になったから今日ライブハウスに行くことになったの」

 

 経緯は分かったがなぜ俺もついていく必要があるのだろう。その俺の疑問が顔に出ていたのか俺が口を開く前に喜多さんが俺の疑問に答えていく

 

「それで芥川くんこの前バイト探してるって言ってたでしょ?後藤さんそこでバイトしてるらしいしちょうどいいかなと思って」

 

 あんな雑談の中で言ったことを覚えていてくれたなんて思ってもいたなかったからびっくりしてしまう。だがそれ以上にうれしさがあった。コレが陽キャである所以か…

 

「紹介するわね後藤さん。こちらの男の子が芥川 アクトくん

さっきも話した小中が一緒だった友達よ!」

 

 まだ行くとは返事をしていないはずなのに喜多さんは俺の紹介を始めてしまった。いや行くけど

 

「それでこっちが後藤ひとりさん! ギターがとっても上手なの!これから3人で仲良くしましょうね?」キターン!!!

 

 「「ゔっっ!!」」

 

 陽キャオーラを浴びたことででてしまった呻き声がシンクロする。とても女子とは思えないその声の主は先ほど紹介されていた後藤さんだった。

 ……なんか仲良くなれそう。

 後藤さんも一緒のことを思ったのかこちらを見つめてくるがすぐに目を逸らしてしまう。コミュニケーションが苦手なのかな?

 

「はじめまして後藤さん。紹介にあずかった芥川アクトです。バイトの件に関しては今すぐには答えが出せないけどこれからもよろしく。仲良くしてくれるとうれしいな」

 

 (恐らく)コミュニケーションが苦手な後藤さんが怯えてしまわないようにいつもより人が良さそうな笑顔を作り顔に貼り付ける。愛想笑いなんか現代人の必修科目だ。

 

「ゔっっ!!」

 

「えっ!?」

 

 何故か後藤さんが弾けてアチコチに散らばってしまった。どうなってんだこの人?というか人なのか?かなり怪しくなってきた

 

「ど、どうなってんの?」

 

 と一応喜多さんに聞いてみるのだが

 

「わからないわ…」

 

 と当然の答えが返ってくるのだった。

その後後藤さんのかけらを集めてなんとか整形したのだが、ブツブツと「陽キャ……小学校からの知り合い……爽やか男子………」この様なことを呟いていた。無表情で挨拶したほうが良かったか?

 

 

 

 

 

 そして下北沢駅で降りたのだが、

 

「バイト先って下北沢だったのね…」

 

 と喜多さんが若干落ち込んでつぶやいていた。

 

「あっ、来たことあるんですか?」

 

「後藤さんはもう知ってるかもしれないけど喜多さんが前やってたバンドが下北系だったんだよ。そのメンバーもこの辺に住んでるらしいし」

 

 すでにメンタルにダメージが入りつつある喜多さんの代わりに後藤さんに説明をする。なんかこの感じめっちゃ彼氏っぽくない?

 

 気付いたら喜多さんと後藤さんが前の譲り合い押し付け合いをしていた。仲が良いなぁと少し離れたところから観察していると、

 

「芥川くんが先頭に立ってよ!」

 

ターゲットというかヘイトがこちらに向いたらしい

 

「あっあの芥川さんに前を歩いて欲しいなって」

 

「なんでよ!恥ずかしいよ!なんで同級生の女子二人をドラクエの勇者よろしく引っ張っていかなきゃならないんだ!」

 

 当然の反論である。特に理由もなしに案内役が後ろに回るなんて普通に考えてどうかしてる。まぁしかし2人に押されては抗えるわけもなく俺が先頭、その次に喜多さん、最後に後藤さんという全く合理的じゃない順番で進むことになった。そうしてしばらく歩いていると後藤さんが目的地を俺に伝えた 

 

「あのっ場所はスターリーってとこで…虹夏ちゃんとリョウさんがもういるはず…」

 

その言葉を聞いた瞬間時が止まった。いやもちろん比喩なのだがそう言われても信じてしまうくらい俺と喜多さんの動きがピシリと止まった。ちなみに俺はあの日の夜喜多さんからスターリーについて教えてもらっている

 

「ごめんねやっぱり私帰る」

 

 先週謝りに行くと覚悟を決めていたのだが流石にいきなり会うとなると厳しいものがあるらしい。さっきまでしがみついてたくせに流れるような脚さばきでここまで来た道を戻ろうとする。

するとその瞬間───!!!

 

「お~い!ぼっちちゃ〜ん!なんだかよくわかんないけどエナドリたくさん買ってきたよ〜!!」

 

 この後藤さんを下の名前呼びしているという事はあの人が恐らく後藤さんの言う虹夏ちゃんなのだろう。

 腕に大量のエナドリを抱えこちらに小走りで走ってきた。あの量だと結構な値段するだろ。よく後藤さんを疑いもせずにあんな大量に買えるな

そして虹夏ちゃん(仮)は目線を後藤さんから喜多さんに移した瞬間大きな声でこちらに話しかけてきた

 

「ってあ〜〜〜〜!!!!逃げたギタ〜〜〜〜!!!」

 

「あひいいいいぃぃぃぃ!!」

 

 まさに叫び声というのが正しい声を上げる喜多さんを見て

 やっぱり喜多さんって変な人だな と今更ながらに思うのだった。

 

 

 

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 そしてそのまま喜多さんに引きずり込まれる形でスターリーに3人まとめて連れられて現在に至る。うん。この1日濃すぎるだろ

 

「え〜〜〜!喜多ちゃんギター弾けなかったの〜!?」

 

「だから頑なに合わせの練習避けてたんだね」

 

「はい…」

 

「いやよくバレなかったな当日まで。むしろそこまで隠せた喜多さんすげぇよ」

 

「えぇ〜っと、そっちの男の子は?」

 

 虹夏ちゃん(仮)が気まずそうに聞いてくる。まぁそりゃそうだよな。女子の会話に知らん男が入ってきたらそりゃびっくりするよ

 

「俺は芥川アクトです。喜多さんと同じ高校に通ってる1年で後藤さんがここでバイトしてるって聞いて喜多さんに連れてこられる形で来ました」

 

後藤さんでの失敗を経ていつものテンションに近い笑顔を顔に貼り付ける。

 

「まぁ流石にさっきの滅茶苦茶にして下さいにはびっくりしましたけど」

 

 そう。喜多さんはバンドメンバーに会った衝撃で道路の上で土下座しどうぞ私を滅茶苦茶にして下さい!と大声で謝罪したのだ。

 そしてその時の虹夏ちゃん(仮)のツッコミでもう既に常識人という点では喜多さんや後藤さんよりも信頼している。恋は盲目と言ってもライブ当日でバックレるのは流石に無視できない。

 

「そういえば私たち自己紹介してなかったね!」

 

「私は伊地知虹夏! でこっちは山田リョウ、よろしくね!」

 

 やはりこの金髪の少女が虹夏ちゃんだったのか。そしてこっちが山田リョウ…山田リョウ…リョウ?

 

「あっ…っ!?あ!?あ〜!?」

 

 俺は今自分でも分かるぐらい馬鹿みたいな顔をしているだろうそうか!コイツがあのリョウ先輩か!

 

「え…どうしたの」

 

 唐突に変な声を上げ始めた俺を見て山田リョウが若干びっくりしている。

 

「あなた…あなたが喜多さんの一目惚れした相手!」

 

「ちょ、ちょっと!恥ずかしいわよ芥川くん!」

 

 やっと会うことができた。喜多さんが一目惚れした人をまじまじと見つめる。キレイな顔と青色の髪、クールな雰囲気も相まって凄く美人という言葉が似合う人だった。

 

「くっ…認めたくないけどあんたなら喜多さんを任せられる!この赤髪陽キャは所々ぶっ飛んどるけどとっても可愛くていい子なんです。だから、末永くよろしくしてやって下さい!」

 

 気づけば俺は山田さんの手を握りこの一ヶ月の間胸の中で降り積もっていた思いをぶち撒けていた。あぁなんか涙出てきた。さよなら初恋。初めまして失恋

 

「その…芥川くん?」

 

 喜多さんが顔を仄かに赤く染めて、そして少し気まずそうに俺にこう言った。

 

「リョウ先輩は女の人よ?」

 

「え?」

 

 ピシリ。本日二回目の時が止まる。いや今回は俺だけだが。確かに言われてみればそうかも知れない。俺はあまり友達とスキンシップする方じゃないが今握っている手は男友達より一回り以上手が小さい気がする

 

「??女の人??え?だって一目惚れって??え?」

 

「あぁ、リョウはたまに男の人に間違われることあるけどれっきとした女の子だよ」

 

「いやん」

 

 全く色気を感じない山田さんの声と俺の勘違いを訂正する虹夏ちゃんの言葉で俺は喜多さんの話を聞かなかった後悔と早とちりしてしまった羞恥で机に突っ伏すのだった。

 

 

 

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 「あ゛あ゛ぁ、ばり恥ずい」

 

 その後はライブから逃げてしまった事への罪滅ぼしとして喜多さんがメイド服でバイトを、俺もその手伝いとしてバイト、喜多さんと一緒にモップ掛けをしている。

 

「まぁまぁ芥川くん。バイトの体験もできたし良かったんじゃないかな?」

 

 虹夏ちゃん(確定)が話しかけてくる。やっぱり喜多さんより常識的な人だ。バンドマンにこんなマトモな人がいるとは。

 

「下の名前で大丈夫です。一応年上なんでもうちょい遠慮なくていいですよ?俺の名前上と下どっちも似てるしどうせなら短い方が良いですし」

 

「一応って何?」

 

 おお、ツッコまれてしまった。普段俺がボケるのは祐希の前でだけなので新鮮な気分になる。一応を付けた理由は多分俺の方が胸囲が大き「なんか失礼なこと考えてない?」思考が読めるのか?まずい。 

 

「何がマズイの?言ってみてよ。」

 

 虹夏ちゃんが黒いオーラを醸し出しながらコチラをハイライトのない目で見つめてくる。

 

「あ、あはは〜」

 

 こっっっわ!やっぱバンドマンにまともな奴いねぇわ。笑って誤魔化したけど怖すぎて泣くかと思った。

 

「取り敢えず!俺の事は下の名前で呼んで下さい。」

 

「じゃあアクトくんも私の事下の名前で呼んでね?」

 

 俺の処世術の一つ、先輩とは仲良く、イジり会える関係になれ、だ。というか何だこの人、喜多さんとはタイプが違うがすげぇ可愛いな。しかも距離感がバグってる。今までどんだけ同級生泣かしてきたんだろう。

 

「じゃあよろしくお願いします?…虹夏さん」

 

 女の人の下の名前を呼ぶことなんて無かったからつい顔が赤くなってしまう。これを難なくやってしまう虹夏さんと喜多さんすげぇな

 

「芥川くん?何サボってるの?」

 

「うわっ!びびった…なに?喜多さん。別にサボってるわけじゃないよ」

 

 掃除を終えたらしい喜多さんが面白くなさそうな顔をして話しかけてきた。いや別に俺は今後の仕事が円滑に進むように先輩との距離を縮めていただけだ。下心はない。マジで。喜多さんしか勝たん

 

「つ、次!次何の仕事しましょうか!?虹夏さん!」

 

「そ、そうだね。じゃあアクトくんは受付、喜多ちゃんはドリンクしてみよっか!」

 

「そうですね。やりましょうか」

 

 喜多さんの様子がおかしいので早く仕事に取り掛かってしまおう。喜多さんは陽キャのつよつよメンタルがあるからほっといたら何とかなる。

 そうして俺が虹夏さんと、喜多さんに後藤さんが寄ってきた所で喜多さんが小さな声で呟いた。

 

「アクトくん…?」

 

 小さい声。だがしかしこの場にいる3人には聞こえる声量で喜多さんは呟いた。

 

「喜多ちゃんどうかした?」

 

「なんで…なんで今日会ったはずの伊地知先輩が芥川くんのこと名前呼びしてるのよ!」

 

「え?」「は?」

 

 ??何でそんなこと気にしてんだ?

 

 「何でそんなこと気にしてんだ?って顔しないで!何で伊地知先輩は芥川君のこと名前呼びしてるんですか!私もしてないのに!」

 

「??????????????」

 

「や、やばい!アクトくんが本格的に壊れだした!」

 

「またアクトくんって呼んだ!私は高校に入ってから一回も呼んだこと無いのに!」

 

「あっあの…3人とも…落ち着いて……」

 

「なんか面白いことになってるね」

 

「リョウ!見てないでなんとかして!」

 

 何だこのカオス空間…

 

そのあと店長さんに怒鳴られ無事に事態は収束した。

 

 




亜久人が喜多ちゃんに対して1話と比べ口調が砕けているのはこの一ヶ月で少し距離を縮めたからです。頑張ったね

キャラ設定

太宰 祐希(ゆうき)

 亜久人のたった一人の親友である人物。ふわふわした口調と雰囲気を持っており男にしては可愛い顔つきで女子から人気がある。中1の頃に亜久人と同じクラスになり、友達になる。亜久人が自分から遊びに誘った初めての相手でもある。
 かなりのバイト戦士であり今はスマホを機種変するために貯金している。
五人弟妹(きょうだい)の長男。出番は少ない

 次回 『ロックは何でもありかもしれない』

    アクト君、バイトを始めます
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