最後に、尺調整をミスった結果今回ホロライブのタレントが誰一人として出ません。できれば次話まで読んで頂けると幸いです。
0話/転生したら最強になるんじゃないんですか?
———目が覚めると、俺は死んでいた。
何を言っているか分からないと思うが、俺も何を言っているか分からない。とりあえず状況を整理しよう。
俺は高校1年生の都宮 光(みやしろ こう)。目が覚めるとなんかよく分からん場所にいた。しかも目の前には、「天界役所」とデカデカと書かれた大きいビルがあった。さらに今俺は何故か「自分が死んだ」という情報以外の記憶がない。こんなもんか。
……何も整理できてねえじゃねえか!というか情報が少ない。とりあえず誰かに何が起こってるのか聞きに行くか。
俺は近くにいたライトブラウンの髪の天然そうな、いかにも職員っぽい人に話を聞こうとする。
「あのーすみませ——」
『あの列の最後尾に並んで下さい。順番が来ましたらご説明致します』
「…いや、ちょっと」
『順番が来ましたらご説明致します』
えー…この人なんでずっと同じこと言ってんの…しかも満面の笑みで。
彼女の指差す方向には、某夢の国にも劣らない長〜い列が組まれていた。しかもさらにちらほら人が追加されている。どうやら並ぶしかないようだ。
見た感じここにはあの「天界役所」という建物以外に建造物はないらしく、よく見てみると地面はアニメでよく見る雲のような感じだった。見れば見るほど自分が異質な場所にいるんだと、そしてやっぱり自分は死んだんだと思わされる。
てかこのビルでかいな。総工費27億とかかかってるんじゃない?めちゃくちゃ適当だけど。
などと考えているとそろそろ自分の番だ。列の先頭では、これまたいかにも役所の職員のような男性がかなりのスピードで対応をしている。おっと、いよいよ自分の番か。
『はい。えーと、都宮光さんですね。あなたは…えぇ…うーん…』
さっきまでパッパッと指示を出していた男性は、急に自分の番悩み出してしまった。え、俺もしかして生前なんかやらかした?
彼はたっぷり5秒ほど唸った後、内線電話をかける。
「もしもし。ちょっと対応お願いします。……そうです。……はい。……お手数おかけしてすいません」
すると数十秒後、メガネをかけた女性が建物から現れた。髪色が紺色であることを除けばとても真面目そうだ。彼女は俺の元に来ると、
『ついてきて下さい』
と踵を返して俺を誘導し始めた。まじで何されるんだ。本当に怖くなってきた。ていうか順番が来たのに何も説明されてないんだが。
「あの…これはどういう状況なんですかね…」
『ああ、そうですね。到着したらご説明させていただきます』
今知りたいんだが。と言いたい気持ちをぐっと堪え、誘導に着いていく。
そして、彼女はひとつの部屋に入った。続いて入ると、中はテーブルがひとつと椅子が2つだけの簡素な作りの部屋だった。ワンチャンのVIP待遇の可能性がなくなったなぁ…と心の中で絶望しながら、職員の方に誘導されるまま向かい合って椅子に座る。
すると、職員の方がどこからともなく取り出したパソコンを見ながら話し出す。
『では、一から説明させて頂きますね。まず、現在あなたは死者が今後進む道を決める場所、天界役所にいます。先程の受付ではこちらに渡されている資料を基にどこに行くかざっくりと決めています。本来あなたは神様への信仰を熱心に行っていたので———』
その瞬間、光の脳内に溢れ出した"存在する"記憶。
———俺は田舎の山の方で生まれ育った。もとより周辺に住んでいる人もほとんどおらず、特に友達もできなかったので、俺は近所にある神社によく遊びに行っていた。神主のおじいさんがとても優しく、おじいさんが亡くなり継ぐ人がいなくなっても、出来る限り存続させたいという一心で境内の掃除などを行っていた。家族で都会の方に引っ越そうとなった時も何故か離れたくなくて自分だけ残ることにした。もう人が来ない、廃れた神社になっていたことなんて分かりきっていたのに———
こんな大事な事を何故今まで忘れていたのか。
『大丈夫ですか?』
職員の方の心配そうな声で我に帰る。
「ええ。大丈夫です」
『すみません。ここで暴れる人が出ないように天界役所に来た人全員の生前の記憶を消しているのです。何かしらのキーワードで思い出すこともありますが。まあとりあえず神社に関する記憶は戻ったようですね。では話を戻します。本来あなたは神様への信仰を熱心に行っていたので天国の方で暮らすようになるはずだったんですが…』
「ですが?」
『どうやら最後の最後でやらかしたそうで…とりあえず山火事があった事を思い出してもらっていいですか?』
その瞬間(以下略)
———ある日、朝起きて家を出ると、付近の山が燃えているのを発見した。どうやら山が近くで山火事が起きたようだ。しかもかなり大きい。風向きを考えるとここまで燃え広がる可能性も高いだろう。そう考えた瞬間、体は神社の方へ動き出していた。今思うと何故あんな事をしたのか本当に理解できない。だが何故か神社を、せめて御神体だけでも守りたいと思っていた。
俺は全力で神社まで駆け抜けると中にある御神体を取り出し、そのままダッシュで下山しようとした。そして石段に一歩踏み出したその時。
「へ?」
俺は小石につまづき、宙に放り出された———
「あぁ、俺はそれで死んだのか。あれ?ということは…」
『はい。そうです。あなたが石段から転げ落ちた時の衝撃で御神体は壊れました。それもバッキバキに。本来なら問答無用で無間地獄送りですが、守りたいという気はあったことと普段の行いでギリギリ許されて今ここにいます。まあどっちみち火事で燃える運命でもありましたし』
思ったよりやらかしてたわ。俺。さっきまでVIP待遇かもとか思ってた自分を殴りたい。
『で、本題に移りますが、あなたには今から転生してもう一度地上に戻って頂きます』
「はい。…はい⁉︎」
『ではまず——』
「ちょっと待って下さい!えぇ!?どういうことですか!?」
『そのままの意味です。本来は生前の善行が多ければ天国で、悪行が多ければ地獄で過ごして頂くのですが、あなたは先程の通り叙情酌量でプラスマイナスゼロになっています。故に今から転生して頂きます。で、肝心の決める方法なんですが……ダイスです』
…情報量が多すぎる。もういいや。脳死で従おう。(ヤケクソ)
『では、これを振って下さい。ちなみに数字が小さい方が出目が良いと思って下さい』
そういって彼女はどこからともなく6色の100面ダイスを取り出した。なんで持ってるんだよ。
「…じゃあ振りますね」
(いい目を)当ててみたいでしょ〜(うん見た〜い)行きますよ〜、せーの、(あ〜ダイスの音〜)
心の中で茶番を唱えながら人生で初めて振った6d100は…
「……へ?」
『……は?』
4, 2, 5, 3, 1, 4。そう。見事に全部クリティカルなのである。
「あのー別に忖度とか不正はいらないんですが——」
と横を向き、口をポカンと開けて固まっている職員の方を見て本当に自力で引いたんだと理解する。
『ちょ〜っと待って下さいね〜』
職員の方は我に帰るや否やどこかに電話をかけ出す。電話を切ると、
『えーっと…ではあなたには、ヤマトの世界に行って頂きます』
職員の方の説明によると、ヤマトとは俺がもといた世界とは別の世界に存在する日本に似た国らしい。しかも色んな種族が入り混じった、まさにアニメのような国。そして俺はそこにチート能力を持って、しかも高校生の年齢で転生できるらしい。ご都合展開すぎんか。俺別に生前で大した徳積んでないぞ。
『@#&*かぁ…』
職員の方は何かをボソッと呟いた後、こちらに向かい直す。
『最後の1つを振ってもらうんですがその前に…いくらなんでも出目が良すぎませんか。最後の1つを振る前にここで何回か振って下さい』
と言ってきた。疑いの目を向けられながら、俺は何度か100面ダイスを振る。結果は22, 30。
「これでいいですか。そもそも100面ダイス一気に6個振って不正は流石に無理ですよ」
『…そうですね。最後は何年後の世界に行くかなんでちゃちゃっと振っちゃって下さい』
さあ、これで本当のラスト。飛ばされる未来は1d100年後!ダイスロール!結果は…100!俺の運どうなってるんだ。まあここで100ファン出したとこで何も影響はないので大丈夫だ。問題ない。
『…最後に100ですか。』
よほど嬉しかったのか、職員の方がすごいニヤニヤしてる。やっぱ大問題だ。
『じゃあ転生の準備をしますね。最後に何か質問などありますか?』
「まだ記憶全然戻って無いんですが。早く返してもらっていいですか?」
さっき思い出した記憶以外まだほとんど分からないのだが。家族構成も通っていた学校も神主のおじいちゃんの名前も、なんなら持ち出した御神像の形すらも思い出せん。
『それはめんd…無理ですね。そもそも高校生の状態で転生すること自体が特例中の特例ですから。まあどこかしらできっかけがあれば思い出すと思いますよ。』
今面倒くさいって言おうとしてたぞ。これクレーム案件だろ。
『もういいですか?』
「全然よくないですよ。他にも聞きたいことだらけなんですが』
『えぇ…こっちも忙しいんですよ。特に私はさっさと全部終わらせないと…とにかく、もう飛ばしますね』
そう言って明らかに面倒そうな職員の方がボタンを押すと、俺の目の前は眩い光に包まれた。目を開けると、俺は天界から山の中へワープしていた。
「えぇ…って痛って…なんだ?」
唐突なご都合ワープに驚いていると、不意に脳に違和感を覚えるような頭痛を感じる。
まあおそらく偏頭痛かアレルギーだろう。両方あるのかどうか思い出せないが。もしくは記憶を無くしているせいか。
そんなことよりこれからなろう系のような俺の最強モテモテ人生が始まるのか…思えばこの十数年間…そういえばまだ記憶ほとんど戻ってないんだった。
とりあえず個人情報から思い出すか。現時点で覚えているのは顔と名前ぐらいか。とりあえず誕生日を思い出そう。・・・・・・思い出せん。多分キーとなる言葉を聞く必要があるんだよな。よし!1から全部言っていこう!まずは1月1日!…しっくりこないな。1月2日!———
心の中で月日をブツブツと数え上げること20分。ようやく俺は自分の誕生日が12月22日だと思い出せた。なんでこんな年末の方なんだよ。というかこの方法で全てを思い出そうとするのは無理だな。一旦諦めよう。
それより誰か人に会いに行くか。こういう時こそチート能力の出番だ!飛ぶくらいできるだろ!
「そーれっ!…あれ?」
足に力を込めてピョンっと飛んでみるが、残念なことに俺の体は30センチほど跳ねただけだった。何度かやってみるが、全て同じ結果に終わる。…しゃーない。歩いて探すか。
今は山の中なので辺りを見回しても建物はほぼ見えないが、どうやら山の上の方に大きい和風の建物があるようだ。神社かなんかかな。とりあえずそこを目指して進んで行くか。
ホイサホイサと登り続けること1時間と少し。見えてる割にかなり遠かったな。山道なのもあってかなりしんどかった。頭痛も酷くなったし。やっぱ偏頭痛かなこれ。山暮らしで偏頭痛持ちはキツいぞ前世の俺。
そして目の前の建物はやはり神社だった。山の中にポツンとありほとんど人は来ないはずなのにボロボロというわけではなく、むしろ人が生活しているような感じさえする。
……トコトコトコ
「なんだコレ。」
神社の前にいたのは、歩くタケノコだった。そのタケノコは俺を見ると嬉しそうに、着いてこいというように神社の中に向かい出した。
タケノコは神社の中からおにぎりを2つ持ってくると、俺の元に持ってきた。
「ちょうど腹も減ってたし、頂くとするか。」
一口ほおばると、塩味と米の甘みが口に広がる。シンプルながらとてもうまい。こういうのでいいんだよ、こういうので。
あっという間に2つ食べ終わり、お腹も膨れたなと感じていると、
「———ッ!?」
これまでとは格が違う頭痛に襲われ、呼吸もままならなくなる。やべえ。おにぎりに毒盛られてたか?いや、それにしては早すぎる。ならアレルギーか?いや、前世の記憶に米の入った袋があったはずだし、2個とも具材は入ってなかった。
——やばい。視界が霞んできた。ああ。二度目に死ぬのは早かったな。
そうして俺は意識を手放した。
この話を読んでくださりありがとうございます。もしよろしければお気に入り登録、感想、評価をお願いします。これまで全く小説を書いたことがなかったので指導コメント、添削コメントもどしどしください。