シエルルルルル~ブラッド最強の嫁(仮)~   作:オパール

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レイジバーストとアニメ化を記念して

ヒロインはユノだけど嫁はシエル、異論は認める


嫁(仮)、自覚する

(この気持ちは何なんでしょう)

 

フェンリル極東支部。

ブラッドと呼ばれる部隊の副隊長を務める少女、シエル・アランソンはカピバラと戯れながらぼんやりと考え事をしていた。

 

(気付くと隊長を目で追っていて、その仕種やころころと変わる表情を見る度に、動悸が激しくなってしまう)

 

隊長。ブラッドの隊長。

シエルの初めての友達。

部隊にいまいち馴染めなかったシエルに声をかけ、他のメンバー達との橋渡しをして、友達になってくれた。

一度窮地に陥った時には、命令違反をして、その件で懲罰房に入れられて、前の隊長に怒られることになってでも、助けてくれた。

 

その後も、何度も大変なことや無茶なことをお願いしても、笑って付き合ってくれた。

それぞれ隊長と副隊長になってからは、助けてもらい、支えてもらった恩を少しでも返そうと頑張ってきた。

 

そして、いつの間にか任務や仕事以外でも彼の姿を追うようになっていたのである。

 

(だめですね、どうにも集中できないようです)

「キュー」

「あっ………すみません、カルビ」

 

心配するように鳴くカピバラに笑顔見せて軽く撫でる。

なんだかんだで一番このペットの世話をしてきたのも彼女なのだ。

 

「ふぅ………あら、シエルさん?」

「あ、アリサさん………」

 

カピバラの背中に顔を埋めてモフっていた彼女に声をかけたのは独立支援部隊「クレイドル」に所属する女性、アリサ・イリーニチナ・アミエーラ。

極東支部配属直後の自分(アリサ本人にとっては黒歴史)とシンパシーを感じるのか、何かとシエルと関わりのあるベテランゴッドイーター。

余談だが彼女の私室は「汚部屋」と称され彼女が入室を許可したごく一部の者しか入れない場所となっている。

 

「元気が無いみたいだけど………何か悩み事ですか?」

「い、いえ、その………」

「………座って、話しましょうか」

 

そう言うと、アリサはシエルの手を引いて窓際の席へと連れて行く。

 

「さて。聞かせてもらえますか?もちろん、無理にとは言いませんけど」

「………」

 

やや強引ではあったけど、そう言うアリサの口調と表情は優しくて、シエルが言いたくないと言えばすぐに引き下がるだろう。

が、シエル自身この悩みを誰かに聞いてほしい、けど聞いてほしくないというよくわからない感覚に思考回路はショート寸前だったわけで。

 

「………聞いて、いただけますか?」

 

それを皮切りに、シエルの口から堰を切ったようにどんどん言葉が溢れだしていく。

自分の友人、ブラッドの隊長。

彼への正体も原因もわからない感情の吐露が止まらない。

 

それを聞き、それを語るシエルの表情を見ていたアリサの顔は見るからに慈愛に満ちていっていた。

 

───端から見れば惚気とも取れるシエルの告白と体験談、それがアリサ自身の経験と被る所が多々見受けられたからだろう

 

「………そういう、わけなんです」

「───ふふっ」

「あ、アリサ、さん………?」

「あぁ、ごめんなさい。何だか被るなぁと思って」

「被る、ですか………?」

「ええ。私に、とても」

「アリサさんに?」

「………ねぇ、シエルさん」

 

身体を僅かに乗り出し、シエルの目を真正面から見つめながらアリサは続ける。

 

「その気持ち、よくわかりますよ。………私も、持ってますから」

「そっ、そうなんですか!?教えてください、この感情………隊長への、この気持ちは………」

 

「───恋だよ、恋」

 

告げたのは第三者。

振り向いた先にいたのは極東どころかゴッドイーターの中でもトップクラスの(残念な)イケメン。

クセのあるモスグリーンの頭髪に色々派手な服飾。

極東支部第四部隊隊長、真壁ハルオミが立っていた。

 

どや顔で

 

「………ハルさん。私達今、女同士の話をしているんですけど」

「わかるぜ………恋に悩む若者ってのはいつの時代もいるもんだ。俺もケイトに恋してた身分として、最初は思い悩んだもんさ」

「いえ、誰も聞いてませんから。ハルさん?」

 

アリサのツッコミなどどこ吹く風、悦に入ったかのようにハルオミはシエルを見つめながら熱弁していく。

 

「うら若き乙女の甘酸っぱい初恋………一度意識しちまえば、知らない感情に戸惑うのさ。朝、鏡を見る度に思う。今日の自分は変じゃないか、彼の目の前で愛らしく振る舞えるのか、変に思われたりしないのか………」

「そ、そんな………いえ、そういえば無意識の内に、私も………」

「シエルさん?これあまり参考にしちゃいけないやつですよ?聞こえてます?」

 

アリサはシエルの肩を揺さぶりながら語りかける。

だが当の本人は自分の世界に入り込み、その元凶は尚も熱く………寒気がするほど熱く語り続けている。

 

「気付けば考えるのはあの人のことばかり………やることも手付かずで、その内彼と愛しあう自分を空想するようになっちまう………」

「あ、あいし………」

「だが!それも恋の醍醐味さ。シエル・アランソン!」

「はっ、はい!」

「君のあいつへの想いは間違い無く恋だ、断言してやる。そして君なら!………あいつの立派な「嫁」になれる」

「嫁………男性と婚姻関係にある女性のこ、と………ふぁっ」

「思い浮かべて真っ赤になった。それが恋してる証拠さ。そう、嫁とは男………旦那を支え、癒し、共にあるもの!君なら良い嫁さんになれるさ!」

「ハルオミ隊長………」

「ハルさん、でいいさ。あいつもそう呼ぶ」

「………ハル、さん」

「道は開けた!想いも自覚した!さぁ行くんだ、あいつの嫁への、果てしない登り坂を!」

 

ビッシィっ!と明後日の方向へ指を指すハルオミとその方向を見つめるシエル。

それを見ていたアリサはその中にシエルが含まれるとわかっていても………言わずにはいられなかった。

 

「ドン引きです………」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

『いやー、終わったー!』

『たっだいまーヒバリちゃーん!』

『先輩先輩!今日のわたし、イケてなかった!?………やっ、もぅ。無言で撫でないでよねっ。嫌じゃ、ないけど………』

 

エントランスに響く複数の声。

男性が三人、少女が一人。疲れや今回の任務の成果等を各々口にしながら歩を進めていく。

 

「たいちょー!おかえりー!」

「お疲れさん」

 

そんな中、黒いブラッド隊の制服を着た少年を迎えたのは同じくブラッド隊のナナとギルバート。

ナナの手にはいつものようにおでんパンである。

 

「はい!お疲れさまのおでんパン!」

「ははっ、ありがと………」

「随分ハードだったみたいだな、今回」

「思ってたよりね………あれ、そういえばシエルは?」

「何かさっきラウンジでアリサさんやハルさんと………お?」

「?」

 

何かに気付いたギルバートの視線を追う。

そこには、ラウンジのドアから半分だけ顔を出して隊長を見つめるシエルの姿があった。

 

「シエルちゃーん、何してんのー!?」

 

ナナの呼びかけにビクリと身体を震わせると、意を決したように一歩ずつ近付いていく。

 

「………シエル?」

「あ、あの。隊長………」

 

その顔は赤く、ちらちらと目を合わせては逸らす動作を繰り返している。

 

「どうかしたの?」

「………その」

 

指と指をもにょもにょさせていたが、やがて顔を上げて………頬は赤いままだったが、それでも微笑みが浮かんでいた。

 

 

「………おかえりなさい、隊長」

 

 

(お嫁さん?)

(嫁か?)

(嫁だな)

(ヒバリちゃん………)

(先手打たれた!?)

(可愛い)

(天使?)

(女神だ)

(結婚しよ)

 

───こうして、始まったのである。

シエル・アランソンが愛しの隊長の嫁(ガチ)になるための闘いの日々が───




シエルのうなじと耳たぶふにふにして可愛がりたい欲求があるのは俺だけでいい

ハルさんは今後もガンガン出していきます
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