Monster Hunter:Horizon   作:ちくわ

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Episode1 「海の街の物語」
目覚め


道行く者

それは放たれた矢 去り行く鳥

見えざる果てまで辿ろうと 道未だ絶えず

歩み未だ止まず

 

 

 

…………

 

?「…ーぃ」

 

………………

 

?「ぉーぃ」

 

………………………

 

?「おーい、朝だぞー」

 

………………………………

 

?「…。」

 

………………………………………ベシッ

 

「グェッ!」

 

船員さんの理不尽な平手打ちにより、寝起きのまどろみが一瞬で覚める。

夜遅くまで本を読んでいたせいか、どうやら寝すぎたみたいだ。

 

船員「起きろエルフォ。もうそろそろ到着だぞ」

 

エ「…ぶたなくてもいいじゃないですか…」

 

重い体を無理やり起こし、ぐぐぐと体を伸ばす

スゥ―っと鼻から息を吸うと、徐々に意識がはっきりとしてきた

 

エ「もうすぐ到着かあ…!」

 

東シュレイド地方、共和国最大の都市であり生まれ故郷のリーヴェルを離れ一週間。

ミナガルデを経由し西竜洋を渡るこの航海は、旅のワクワクと未だ慣れない船酔いで、いい意味でも悪い意味でも腹持ちの落ち着かない時間であった。

そんな航海の記憶を反芻しつつ、エルフォは荷物を鞄に詰め込み到着の準備をする。

 

エ「剥ぎ取り用のナイフと、砥石と、双眼鏡と、あと…」

 

足元にある荷物にぽんぽんと手を当て、首を動かし視界をそちらに移す。

そこには一冊の本と、一対の片手剣。

 

エ「…。」

 

片手剣の名前は「ブルーソード」

安直な名前だが、刃にマカライト鉱石を使用した青く輝く片手剣であり、旅立ちに際して贈られた工房の特注品である。

そして、本の名前は

 

エ「…『ニーシァ諸島生物図録』」

 

「ニーシァ諸島生物図録」。ニーシァ諸島に生息する生物を描いた、所々破けていて内容も嘘か誠かわからない、そんな本。しかしそんな本になぜかエルフォは惹かれ、そして今ここにいる

そう、僕は「ニーシァ諸島」へ行くんだ。

 

エ「…。」

 

エルフォは深く息を吸い、最後の荷物を鞄に放り込んだ。

 

…ザブン…ザブン…

 

波の音が耳に心地よく響く。

外の空気を吸いたくなり、エルフォは甲板へと移動した。

 

船員「おっ、荷物まとめ終えたか?」

 

エ「はい」

 

船員「よし。そしたらあと少しで着くから、それまでゆっくりしておけ」

 

エ「了解です」

 

エルフォは船の端に体を預け、外を眺める。見慣れたような、見慣れていないような海。

ふと、目を凝らすと、70メートルほど先に何かが群れをなして泳いでいるのが見えた。

 

エ「あれは?」

 

船員「?」

 

エ「あ、あそこにいる群れているモンスターは何だろうと思って」

 

船員「ああ。あれは『ケルプス』だ。草食の海竜種で、ここらの海域にはよくいるやつだよ」

 

エ「へえ」

 

 

ー水駒竜 ケルプスー

ニーシァ諸島の海域に生息する小型の海竜種で、十数匹の群れで行動する。

素早い遊泳に特化した身体構造をしており、捕食者から素早く逃げながら海藻を食んで生活している。

 

 

船員「ここらの海域ではよく繁殖していてな。そのせいでここらへんじゃエピオスが生息していないんだ。」

 

エ「なるほど」

 

早速ニーシァ諸島の生態系の一端を目撃したエルフォは、正直心の底からワクワクしていた。

 

しかし、そんなワクワクは長続きしなかった。

 

「大変だ!大変だあ!」

 

別の船員が大声を出して警告する

 

船員「どうした!何かあったか!!」

 

「4時の方向、遠くのほうに大型モンスターを観測!」

 

船員「なに!何のモンスターだ!」

 

「リオレウスだ!」

 

一瞬にして船内の空気が凍り付く。

なんせ、「空の王者」のお出ましだからだ。

 

船員「…まずい。かなりまずい」

 

エ「…。」

 

船員「エルフォ!何か考えはないか!」

 

エ「待ってください!今考えてます!」

 

どうすればいい。

ここは広大な海の上。

相手は強大なワイバーン。

 

………………

 

エ「…とりあえず、必要最低限の人以外は船内に避難してください!そして…閃光玉はありますか!」

 

船員「なるほど!海に落とす作戦だな!」

 

エ「閃光玉は、ありますか!!」

 

船員「ある!…よし、俺とエルフォ以外は避難しろ!舵は俺がとる!」

 

他の船員を避難させ、船上にいるのは二人だけ。

緊張感が走る。

このころには、リオレウスは目測できるほど近づいていた。

 

50メートル、40メートル、30メートル、、、

 

エルフォは閃光玉を握りしめる。

ついに20メートルほどの距離になり、エルフォは構え、

 

リオレウスはエルフォの頭上を通り過ぎた。

 

エ「!!?」

船員「なっ!」

 

てっきり止まって咆哮でもかますと思っていたエルフォは、拍子抜けと予想外の出来事で大きく驚く。

当のリオレウスは船を通り過ぎて海にザブンと突っ込み、

ケルプスの一匹を捕まえた

 

エ「!」

船員「おお!」

 

ケルプスを捕まえたリオレウスは、そのまま遠くへ飛んで行く。

水平線の遠く、かすかに見える島に向かって。

 

エ「ニーシァ諸島…!」

 

船員「…よかったぁ」

 

 

 

「…どうなった?」

 

避難していた船員の一人が顔を出す。

 

船員「立ち去ったよ。それよりほら、見えてきた。」

 

エ「ですね…」

 

船員「違う。あっちだ」

 

エ「…!…あれが…!」

 

エルフォは船首に身を乗り出し、遠く彼方を見つめる。

水平線の向こう、かすかに見えてきた。

物語の始まりの地

僕の始まりの地

 

「海の街 セルマー二ェ」が。

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