TS魔法少女イスズ JK6留   作:サイリウム(夕宙リウム)

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21:閉廷!

私が生み出した衝撃が収まっていくのを眺めながら、ゆっくりと思考を回す。

 

 

(にしても、クローンとしては結構な出来だったよねぇ。)

 

 

私が変身せず自然体でいる時と、大体同じか劣るぐらいの戦闘力。メスガキでも正面切って戦えば勝ち切るのが難しいかもしれない相手を300近く量産しているというのは、正直に考えてかなりの脅威だ。イスズちゃんに掛かれば秒で殲滅できるのは確かだけど、これが世界にばら撒かれれば結構な混乱が起きたことだろう。

 

まぁその時はその時でイスズちゃんが殺しに行くんだけど……。私が宇宙に出てる際にことを起こされれば困ったことになってたかもね。

 

 

(まぁその時は例の日本結婚が電話で『はよ帰ってこい阿呆』とか送って来るだろうし、なんやかんやで収まりはするんだろうけど、被害は確実に出ていただろうね。)

 

 

私のクローンのせいで後輩たちが傷つくのなんか耐えられないし、もし殺されでもしたら色々キレて地球丸ごと一回吹き飛ばしちゃうかもしれない。ほーんと、今この場で対処できてよかったよかった。

 

そんな風に考えていると、ようやく視界が晴れ隔離された空間の中で連鎖し続けていた私の魔力が消える。そしてパンと軽く手を叩いてやれば、一気に崩れ落ちる私のクローンたち。

 

さてはて、一応壊れないようにはしたと思うんだけど……。

 

 

「おーい、ボク君~。元気ですかー?」

 

「……ぁ、ぁあ……。」

 

「ありゃお話しできない感じか。……やり過ぎた?」

 

 

少し顔に足を乗せてぐりぐりとして見るが、帰って来たのは肺の空気が漏れ出る様な音だけ。何だろ、生きてはいるけど廃人になっちゃった感じかも。……自分の顔が300も廃人になってるのちょっと面白いな。

 

でもまぁ、『色々と利用価値』がある様な子達だ。直した方がいいだろうと思い、足裏から軽く魔力を流してやるのだが、何故か軽い反発を受ける。一瞬そのまま魔力の差で消し飛ばしてやろうと思ったが、急にかかって来た電話でその足を止める。普段使いしているスマホではなく、変身アイテムのガラケーに電話かけて来たってことは……。

 

 

「お前か。」

 

『はい、そうですよいすゞさん。今日もお元気なようで何より。』

 

 

やっぱり、例の日本結婚ネキだ。

 

相変わらず私の名前の発音おかしいよねぇ。

 

 

「何? 今忙しい……。もしかしてなんかした?」

 

『えぇ。少々面白そうなことをしていたので、少々お手伝いを。今は壊れていますが、後ほどお送りする構築式と合わせればとても良い結果になるかと。』

 

「あ~。旦那さんに胸張れる奴?」

 

『勿論ですとも。』

 

 

一瞬身構え警戒し、ちょっとカマをかけて見るが……。帰って来たのは気持ち悪いほど明るい声。

 

コイツ、たまにマッドサイエンティストの顔出すから怖いんだけど、旦那さん。いや日本の名前出してそう言う声が帰って来たと言うことは、そう悪くないようにしているのだろう。今のクローンたちを見れば誰もが『廃人になっちゃった』と言うだろうが、コイツが言う『後から送る魔法』と合わせれば、元通りになるって感じかな?

 

 

『自身も妻として、夫の身が危険にさらされるのは困っていたのです。いくらいすゞさんといえど常に夫を守って頂けるわけではありませんから。そんな時に複製体の彼女たちが現れた、ならば使わねば損でしょう?』

 

「理解はするけど賛成はしないよ。……変な植え込みしてないだろうな。」

 

『えぇ、綺麗に“お掃除”しただけです。』

 

 

一瞬、この子たちに施されている洗脳を掻き消し、新しく洗脳しているのかと思ったが……。一応こいつも私の逆鱗を知っているようで、そこまでは手を伸ばしていないようだ。

 

確かに狂人の言うように、この子たちを再洗脳して配下にすれば一気に国内どころか星の安全は保たれるだろう。けれどそれは倫理に反しているし、そもそも平和なんてイスズちゃんがちょっと頑張れば維持できる程度のものだ。

 

正直、『自分の意思で青春を捧げ誰かの為に身を挺している』魔法少女の現状にキレてるところがあるのに、そこに自分の意思すら介在しなくなったらもう、ね? イスズちゃんも大人ですから呑み込めるものは呑み込んで言葉にすることはないですけど、こっちも許容できない範囲はあるのよ。

 

 

『存じていますとも。いすゞさんも日本国民ですから、いわば私の愛娘……。にはちょっと思えませんが、夫の大事な隣人です。折角家族ぐるみで仲良くして頂いているのに、自身のせいで関係が崩れてしまえば妻失格でしょう?』

 

「……気遣いどうも。」

 

『お気になさらず。』

 

 

ま、とにかくコイツが上手くやってくれるならそれでいいや。

 

まだ隔離空間以外は時止めてるけど、それ解除した後に最寄りの医療系魔法少女が詰めてる所に、このボク君たちを持ち込めば済む話だ。一気に300運び込むから絶対に文句言われるだろうが……。あの子なら大丈夫でしょ。優秀だし、

 

 

『あ、そうそういすゞさん。聞いて頂けます?』

 

「え、あぁうん。別にいいけど、何?」

 

『こういうこと、あまり他の方に相談することではないと思うのですが……。実は最近。夫が夜、求めて下さらなくて。』

 

「…………お、おん?」

 

 

い、今コイツ何言った?

 

 

『何か私に問題があるのかと、不安で不安で……。ほらいすゞさん。殿方の心をお持ちでしょう? やはりこういうのは同性の方にお聞きするのが手っ取り早いかと。それに、いすゞさんは女性愛者ですから夫も勘違いすることはないでしょうし。』

 

「お、お前に私のこと言ったっけ?」

 

『いーえ? ただ見ればわかりますよ。そもそもの魂が色々違うって。まぁ私と夫以外ではそう看破されないでしょうから問題はないと思いますけど。それでそれで、殿方はどのようなモノに“来る”のですか? 是非参考にさせていただきたく……。』

 

 

そうだ忘れてた。

 

こいつ言葉通じるだけの狂人だったんだよね。うん、超怖い☆

 

 

「あー、とりあえず胸に手を押し当てたり尻触らせたりした後、上目遣いでなんか良い感じの言葉伝えれば気持ちは伝わるんじゃない、うん。たぶん。男って単純よ。」

 

『な、なるほど……!!!』

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「と、いうわけで田中! これお土産!」

 

「いきなり事務所に犯罪者……、いや犯罪者? とにかく人連れてこないでください。すぐに警察を呼びます。そのまま拘束を。」

 

「おけよろ~。」

 

 

というわけで吹き飛ばしてきました! え、何をかって? そりゃ私のクローン作られてた研究所よ。

 

あの狂人のクッソ長い電話、途中から惚気話になったそれを聞き流しながら。私は色んなことを行っていた。まず時間停止しながら隔離していた空間を解除して、そのフィードバックを狂人に送信。それが終われば300のクローンボク君を知り合いの病院に移送して、適当にざっと並べて置手紙をポイ。その後は共和国まで飛んで長官探しだ。

 

まぁ大体の位置は割り出せてるし、場所が解ればすぐに見つけられる。天然の地下洞窟に転移でしか入れないように設計した秘密基地だったみたいだけど……。イスズちゃんの前ではすべてがフリーパス。時間を止めていることもあって簡単に侵入させてもらえた。

 

 

(後はその場にいた全員を確保して、研究データなどを一旦全部コピー。その並行でその場にいた人全員の記憶を確認して、その場にいない人員の捜索と他に基地がないかの確認。)

 

 

その他色々なことをした後……。まだ調整中だった他のクローンちゃんと、犯罪者たちを確保。研究所を全部消し飛ばした後、田中の元に帰って来た感じだね! あ、マシロちゃんとミズキちゃんも全回復させた後回収してるよ!

 

 

「とまぁそんな感じでこのハゲが私のクローン作製を指揮してた人物で、白衣の女がメインで研究してたって感じ見たいねぇ。……ちょっと脳みそ弄っちゃったせいで皆廃人寸前だけど。」

 

「だ、だから白目剥いてるんですね皆さん。」

 

「……こわ。」

 

 

わ! 後輩からバケモノ見る様な顔されてる! かなち! ……いや今更だな。イスズちゃん化け物、でも心優しい化け物。地球産の人間だから即殺してないよ! すごいでしょー! ほら褒めて褒めて―!

 

 

「「いや無理です。」」

 

「あはー、だよね! ……ごめんね、二人とも。私のせいで巻き込まれちゃった様なものだし。」

 

 

軽くこいつらの情報を調べて分かったのだが、幾つかの侵略組織と繋がっていたようで、例の怪獣騒ぎはそのせいだったようだ。

 

この長官が繋がってる組織と、共和国が飼いならしていた怪獣を全部日本に向けて侵攻させ、イスズちゃんの精神力を削りに削る。そこにクローンボク君を投入しその対処に追われている所に、一気に今動かせるクローン全部を投入し、奇襲。そこでイスズちゃんを仕留めちゃおうという作戦だったようだ。

 

まぁ長官も、繋がってる組織も、共和国が持ってた怪獣も全部消したからもう変なことは当分起こらないと思うが……。二人が巻き込まれたのは事実だ。もしそのせいで心に傷を負ってしまっていたのなら、私はそれを癒すため全力を尽くす責任がある。

 

 

「た、確かに最初はちょっと驚きましたけど、おかげさまで無傷ですし。全然気にしてませんよ! ね、ミズキちゃん!」

 

「……はい。確かに最初はイスズさん本人かと思いましたが、実際にそうであれば私達が何かを認識する前に殺されてるでしょうし。むしろ私達が戦闘の邪魔になってしまったのではないか、と。」

 

「うーん、ほんと良く出来た後輩。」

 

 

元気に答えてくれるマシロちゃんと、ちょっと考えながら言葉を紡いでくれるミズキちゃん。

 

……多分二人とも、ちょっと心に思う所があるみたいだが、今突っ込む必要はないだろう。とにかく、何か大きな傷を受けている様ではなさそうだ。

 

そんなことを考えていると、今度は普段使いのスマホから。二人に詫びを入れながら取り出してみると、私のクローンをぶち込んだ医療施設、知り合いの医療系魔法少女が勤めているところからだ。

 

 

「はいはい、イスズちゃんで『先輩ッ! なんですコレはッ!!!』おぉ、びっくり。」

 

 

スピーカーにしていないのに、周囲に響き渡る声。

 

やば、めっちゃ怒ってる。

 

 

「いやごめんね? クローン見つけちゃったからさ♡」

 

『見つけちゃったから♡ じゃねぇんですよ! 仕事増やすなボケェ! こっち、こっちもギリギリなんですよッ! 通常業務に駆け込んでくる魔法少女の治療ッ! そこに廃人300+に胎児とか幼児とか廃棄寸前の人間連れてくるなッ! げ、限界! こっちにも限界って物があるんですよ!?』

 

「え、無理なの? キミが?」

 

『ッ! 無理とは言ってないでしょうがッ! 全部助けてやるわッ!』

 

「でしょ? ならがんば~!」

 

 

そう言いながら、通話を切る。

 

直前まで途轍もない罵声と医師看護師への指示、そして高速で行われる処置の音が響いていたが……。ま、あの子なら出来るっしょ。もっとヤバいの対処したことあるし、よゆーよゆー。後でイスズちゃんがストレス発散のサンドバック(絶対に壊れない)になれば完了って感じ。

 

そんなことを考えながらんふんふしていると、なんかすごい目線を送って来る後輩二人。

 

 

「あ、あの。今のって。」

 

「あぁミズキちゃんも知り合い? そうそう、ウチで一番優秀な医療系の子。まだ17なのに医師免許も取っちゃった子、すごいよねぇ。」

 

 

魔法少女故のかなり限定的な資格だったはずだが、誰かの命を預かる以上その難度はかなり高かったはずだ。それを中1の時点で取得してそこからずっと医療の前線で戦ってるのがあの子。持ってる魔法も治療向きだからってことで、デビュー時から面倒見てるんだよねぇ。

 

まぁ本人が聞けば『ずっと仕事投げてくる屑、いつかコロシテヤル!』って言い返してくるだろうけど、かわい~!

 

 

「口悪いのが可愛いんだよねぇ。」

 

「「えぇ……。」」

 

「あ、今度一緒に挨拶行こうね。『再生』だけじゃ治らない様なダメージを直してくれる、私達の駆け込み寺みたいなとこだし、知っておいて損はないよ。」

 

 

ま、そんなわけでクローン騒ぎはお終い! 閉廷!

 

娘が一気に300人+α増えたようなもんだから後始末大変だろうけど、おしまーい! ちょっと本気出して疲れたし、今日はもう休む! イスズーワゴンはクールに去るぜ……!

 

 







〇魔法少女はヤバい

全体を見ればヤバい奴は一握りなのだが、そのヤバい奴が無駄に強かったり凄い爪痕を残していくので密かに『魔法少女=ヤバい』の方程式が認知されている。

現在作中で出て来た日本のヤバい奴は4名で、強さと年齢がヤバいイスズちゃん、不屈すぎる努力のメスガキでヤバいアヤ、思考が頭おかしい日本結婚ネキ、名前しか登場していないひやむぎの子。彼女達がかなりの注目を集めている様子。

なお一般だけでなく魔法少女・OG・関係者の間でもこの方程式が成り立っており、勝手にヤバさランキングのようなものを作って遊んでいたりする。こちらでもイスズがずば抜けており殿堂入りしていたのだが、今回の事件の数日後に日本結婚ネキがご懐妊の発表をしたため殿堂入りが2人になった。

なお有識者(イスズちゃん)によると『ガチで妊娠っぽいです。想像妊娠を現実にしたヤバい奴です。もうマジ怖い……』とのこと。







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