TS魔法少女イスズ JK6留   作:サイリウム(夕宙リウム)

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9:許容できるかってまた別だよね

 

 

(……結局あの彗星型敵性存在。長いから彗星でいいけど、アレ何だったんだろうな。)

 

 

そんなことを考えながら、魔法で気配を完全に消しながらみんなと歩く。

 

今回の敵は、雑魚ではあったが明らかに数が多すぎた。数百万単位の敵が侵攻してきたのは初めてのことで、日本と国連に報告を上げた瞬間上から下への大騒ぎだ。イスズちゃんがいる限り安全であることは変わらないが、お国を預かる人たちからすれば『私だけしか対抗できない』敵の存在など最悪だろう。

 

 

(宇宙空間で真面に戦えるの、私しかいないもんね。)

 

 

数年前ならまだ何人かいたのだが、現在地球上で宇宙空間に対応できる魔法少女は私しかいない。

 

正確に言えば一応宇宙に出て生存できる魔法少女はいるにはいるんだけど、あの子はそこまで強く無かったと記憶している。戦えないわけではないが、怪獣にすら踏みつぶされてお陀仏なレベル。そんな子に宇宙人の相手をさせることは出来ない。

 

 

(確かに戦力自体。侵略宇宙人級に対応できそうな奴はいるんだけど、宇宙じゃどうしようもないから地表で防衛戦するしかない、って感じなのよね。)

 

 

何せ宇宙は、本当に何もない世界だ。空気はないし音はないし熱もないし重力もない、場所が悪けりゃ光もないというどう考えても生身じゃ戦えない様な世界。地上である程度戦える子が、一気にお荷物になるとかよくある話だ。後ろに目を付けろじゃ足りなくて、四方八方すべての方向に目を付けろ! てようやく成立するのよね。

 

私は自力で何とかしちゃったけど、これを私以外の誰かにやってみろと言えないことは理解している。人類がもうちょっと文明を発展させてくれていれば、何とかなったんかもだけど……。ま、無い物ねだりしても意味はないだろう。

 

 

(と、いうことで! ちきちき! バレたら皆殺し! 敵基地である『悪魔帝国』潜入ツアーに御参加いただき誠にありがとうございます! では参加者のマシロちゃんとミズキちゃん! まだ途中ではありますが、感想の方どうぞ!!!)

 

(び、びぃぃぃ!!!)

 

(何この魔法の精度。音どころか認識阻害まで……?)

 

 

お、よく解ってんじゃんミズキちゃん。

 

そうそう、この魔法はお隣の『イスズちゃん暗殺部隊』が開発して実際に使用していた認識阻害の魔法なのです。周囲から『存在は認知されるけど、意識されない』効果が見込めるスパイ垂涎の魔法ですね。まぁイスズちゃんには無意味だったし、どれだけ攻撃してもイスズちゃん傷つかなかったから発狂して逃げ帰っていったけど。

 

……あ! 勿論お礼参りは済ませてるからね♡

 

 

(……手、合わせとこ。)

 

(びぃぃぃ!!!)

 

(というかなんでマシロちゃんそんな叫んでるの?)

 

 

え、急にステルスミッション始まったかと思ったら、敵がうじゃうじゃいるところに連れてこられて怖い?

 

あはー。そんなものよりイスズちゃんの方が怖いでしょ!

 

 

(……たしかに!)

 

(そこで納得されるのはちょっと来るものがあるね、ほんと。まぁ落ち着いたならヨシ。)

 

 

と言うことで現在私達は、なんか最近よく見る『悪魔帝国』の秘密基地に潜入している感じです。

 

近場にあった細かい基地は大体もう壊しちゃったんだけど、未だ元気に活動しているようだからそろそろ本腰入れてぶっ壊そうって思ってね? 二人、特にマシロちゃんの経験値になると思って色んな攻め方をしているのよ。

 

昨日は正面突破だったけど、今日は段ボールを使った(使ってない)極秘任務って感じね♡

 

 

(ちなこのステルス魔法の劣化版を後日覚えてもらうことになるから、しっかり覚えるように。一応見たいなら私が使ってる奴の構築式も見せてあげられるけど、絶対に使わないようにね?)

 

((はい! ……ん?))

 

(いやこの魔法ね。作成者死んじゃったから、腕のいい奴に再構築してもらったんだけど……、そいつがヤバくてね? 他国の利益になる様な行為に使用した瞬間全身の血液が逆流して死ぬようになってるのよ。 しかもその基準がアイツ以外解んないので、実質誰も使えない魔法です、はい。)

 

(な、なんでそんなことなってるんですか……?)

 

 

いや君たちの先輩にね。日本大好きすぎて在学中、18になった瞬間に日本との婚約届出したヤバい奴いたのよ。そ、国家と結婚しようとしたの。どっかの女王様みたいに。

 

当初は普通に無視するつもりだったらしいんだけど、魔法研究者としては無駄に超一流でね? 『結婚してくれないのなら日本全部沈む魔法作って心中します~っ!』とか言い始めてほんとに作っちゃったもんだからさ……。

 

 

((えぇ……。))

 

(ちな今は魔力失ってるし、国の極秘施設に監禁されながら楽しく魔法開発してるから安心しなさいな。……あ、そいつによると『日本に監禁プレイされてるなんて私愛されてる』らしいよ。ヤバいよね。)

 

((こわい。))

 

 

アイツが作った魔法、日本人以外が使用すると死ぬし、日本にとって不利益になる行動すれば爆散するようになってるから物理で無力化できる私以外、使用者がマジでいないのよね。ほんと効果はいいし使い勝手は良いんだけど……。デメリットがデカすぎるのよ。

 

 

(と、雑談はそれぐらいにして。初めての潜入はどんな感じかな、マシロちゃん?)

 

(……なんというか、敵さんたちの動きが見れてちょっと面白いです。ただ、普通に敵さんたちも生活してるんだなって思うとちょっと。)

 

(言っとくけどマシロ。貴女情けを掛けるとか絶対にしちゃだめだからね?)

 

(わ、解ってますよミズキちゃん!?)

 

 

お、仲良くなってて何より。でも確かにこういうの見てると、面白いよねぇ。

 

“悪魔”ってついてるだけあって、こいつらは悪の秘密結社にしては珍しく『地球外』の存在だと言うことが推察できる。さっきちょっと食堂みたいな所を覗いたんだけど、魔力ではない謎のエネルギーを摂取している姿が見えた。たぶん魂とかそういうもんだろう。

 

詳しいことは解んないが、こういう細かいことの分析や対策は全部お上のお仕事だ。一応ミズキちゃんにスマホ持たせてリアルタイムで送信しているので、あっちはあっちで何とかしてくれるだろう。

 

と。これである程度見終わって、最後はこの部屋だけかな? 一応このちょっと大きめな地下基地を預かる大幹部の部屋は見つけてるし、ここを確認したらその首取って帰るとしましょうか。

 

んじゃマシロちゃん、お得意の植物魔法で扉壊しちゃいなさい。

 

 

(はい! みんな、力をかして!)

 

 

そう言いながら彼女が魔力を込めると、その体からどんどんと植物の枝や蔓が伸びていく。

 

何度も戦わせた結果その中で自然と彼女が覚えた、“急速成長”の魔法だ。服や体に仕込んだ植物の種を即座に発芽させ、成長の方向に指向性を与える魔法だね。戦闘にも使えるし、今みたいに閉じられた扉を開いたり、索敵にも使える便利ちゃんな奴だ。

 

 

(……ん? あぁここから先は無しで。私やるわ、二人にはちょっと早い。)

 

(え、あ、はい。)

 

(…………マシロ、ちょっと後ろ向いときましょ。)

 

(う、うん。)

 

 

察しのいいミズキちゃんにウインクを送りながら、指を軽く熱して扉に突き刺す。あとはぐるーっと円を描いてあげれば、侵入成功って感じだ。ついでに中にいる敵に威圧を与え、その心臓を止め精神を壊しておく。

 

軽く中に入って見渡してみれば、案の定捕まっている子が。

 

……魔法少女だ。

 

 

「ごめんね、遅くなって。」

 

「……ぁ。」

 

 

息はあるが、意識はない。

 

何か反応するように声が漏れ出たが……、既に人としての肉体を保てていない。軽く魔法でその肉体を調べてみるが、人として残っているのは2割ほどだろうか。『再生』で戻しても、今の肉体が元々のものだと勘違いしてしまう可能性が高いレベルかな。

 

はぁ、ほんと憂鬱になる。

 

編んでいた構築式を切り替え、『巻き戻し』と『固定』を生成。時間系の子たちに教えてもらった魔法を唱え、その変わり果てた姿を元に戻していく。……意識がないのが幸いしたね。

 

 

(この子は、何も知らないまま復帰できる。知ってるのは私だけでいい。……はぁ、イスズちゃん最強なのに、こんなことになっちゃうなんて、不甲斐なさしかないや。)

 

 

というか、今この国に『魔法少女の行方不明者が出た』という報告が一切上がってきていない。私がこの子の顔を知らないことから、地方の子。だがこんな場所に捕まっていたのに報告があがっていないのは絶対におかしい。と言うことは……、地方の行政辺りに入り込まれてる可能性ある。

 

二人の経験値になると思って放置してあげてたけど、実害を出し始めているのなら話は別だ。今日限りで消し飛んでもらうことにしよう。流石にここの大幹部とやらは二人の糧になってもらうが、それ以外は地獄にご招待。ついでにちょっと集中して日本全土の情報を集めて、潜んでる奴を不審死させておこう。

 

 

「……っと、しっかり元通りだね。うんうん、固定して前の時間軸を切り離せたし、全部無かったことになった。綺麗な肌で美人さん。いくつか知らないけど、きっと幸せな未来が待ってるからね。いくら私達でもお休みぐらいもらいませんと。安心して休んで。」

 

 

収納の魔法から毛布を取り出し彼女の身体を包み込み、抱えあげる。全部囲っちゃうと死体みたいになっちゃうから、ちゃんと顔を出して……。よしよし。

 

さ、外で待ってくれてる二人と合流しましょ。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「い、イスズさん! その人は!?」

 

「要救助者にして、君の先輩ってとこかな? ちょーっとドジうっちゃったみたいで捕まってたのよー。お眠みたいで寝てもらってるから、静かにね?」

 

「あ、はい!」

 

「……どうしますか?」

 

 

あー、ミズキちゃんは流石に解るか。若干顔が曇ってるのが解るね。ただ純粋なマシロちゃんは言葉通りって感じだけど、後でフォロー入れないと。

 

……ちょっとだけ真実を教えた方がいいかと思ったが、こういうのは知らないまま大人になった方が幸せだろう。別に知らなくても困る事ではないし、もし今後こういう子と対面してしまったとしても、この子なら乗り越えられるだろうし、コンビの子もいる。

 

 

「とりあえず知り合いのとこに放り込んで……、きたよ。」

 

「わ、爆速。」

 

 

医療系の現役魔法少女が勤める病院に例の子を放り込んだ後、既にリストアップ済みの悪魔帝国基地と皇帝、その配下全てを消し飛ばしてから彼女達の前に戻って来る。何も解らないまま幸せな死を迎えられて何より、だ。……死に掛けの状態のまま時空間にでも放り込んで永遠の苦しみでも味合わせた上げた方が良かったかな?

 

あ、でも前それやって時間系の子たちに『不法投棄しないでください、時空が歪みます』って怒られたんだった。だったら……。アイツとあんま顔合わせたくないけど、今度からは例の日本結婚ネキにでも被検体代わりに渡しに行こうかな。確実に殺し切って廃棄してくれるし。

 

っと。こういうのは後で落ち着いて考えることにしませんと。二人の指導中だしね?

 

 

「よーし、じゃあ気を取り直してボス戦行ってみよう! あ、ちなみにさっきここにいる怪人とか戦闘員とかは全員ジャムにしちゃったから、残るのは大幹部一人だけです。これだけ倒せばクリアって感じね!」

 

「……わかりました、全力で行きます。」

 

「わ、私も頑張りますよ!」

 

「うんうん、まじかるまじかる。と、言うわけでこちらが大幹部のお部屋ね。たぶんまだこっちのことを気が付いてないから、二人で相談して綺麗なアンブッシュ決めちゃってください。あ、そういうの卑怯とか無しよ?」

 

 

相手が暗殺上等な奴もいるからねぇ。こっちが遠慮する必要はないのです。

 

あと普通に私達魔法少女が常に正義ってわけでもないからね、滅ぼしてきた側からすればイスズちゃんなんか極悪大邪神だろうし。人類の存続にとって邪魔だから私達は相手を悪と断じ、ぶっ殺してるに過ぎないからねぇ。倒せるのならなんでもいいのよ。

 

あ、でも人前に出る時はキラキラきゃるるんな感じでお願いね? そういうダークなキャラで売り出すのもアリだとは思うけど、絶対ギャップとかは用意しとかないと売れないからさ。うまーく市場にアジャストしていこうね。うん。

 

 

「……なんかアイドルみたいですね。」

 

「実際そうよ。中学の時の活動資金、私や地元の先輩たちのグッズ収益で何とかしてたから。」

 

「え、そうなの!」

 

「うん、幸い先輩たちがご当地アイドルみたいなことしてくれてたから私は困ったこと無かったけど……。」

 

「定期的に町ぶっ壊れるからどこもお金ないのよねぇ。あ、マシロちゃんとミズキちゃんの所属する地区はイスズちゃんがドバドバお金流し込んでるからそう言うの一切ないよ。だから心配しなくてヨシ! でもそういうアイドルみたいな活動は推奨ね? 学校が斡旋してるし。」

 

 

私達が通う白羽ヶ丘高等学園は、イスズちゃんのせいで超エリート魔法少女高校になっている。つまり上位層が集まっていて、その分全国に派遣される可能性が高まるのだ。つまりお金じゃなくて、知名度とか信用を稼ぎに顔出ししてる感じなのよ。

 

ほら、いくら強くてもポっとでのよく解らない奴を信用できないでしょう? でもテレビでよく出てることか、活躍してる子が助けに来てくれたらすっごく安心するじゃない。テレビでやってたみたいに助けてくれる! ってなるし、敵さんからすればあんな強い奴が出てくるなら活動を控えておこう、とかね? まぁ構わず襲ってくる奴の方が多いけど。

 

 

「ま、二人とも心配せず頑張ってくださいな。作戦立案で解らないことは聞いていいから、パパっと決めて敵さんナイナイしましょうね~。」

 

「「はい!」」

 

 





〇日本大好きちゃん

素で『日本は有史以前から一度も敗北しておりません……!』と言い切る狂人。

マジで優秀ではあったのだが、結婚できる年齢になった瞬間に日本と結婚しようとし、出来なければ心中しようとしたヤバい奴。イスズが暴力の特異点であればこいつは知能面での特異点であり、なんか途轍もない魔法を定期的に開発している。デメリットがデカすぎてイスズ以外誰も使えないけど……。なお彼女からイスズに対する評価は『私の夫に近寄る害獣を駆除してくれる便利な隣人』なので好感度は高めらしい。迷惑。

ちなみに『日本に不利益をもたらした』などの判断基準だが、狂人の基準なので一切信用できず、イスズによると『朝パン食べただけで脳が停止する機能組み込まれてね? あ、でも米粉パンは大丈夫かも』とのこと。なお彼女製作の魔法はブラックボックス化していて誰も構築式を分解できず、日本人以外が触った瞬間に対象全ての細胞が死滅するようにされている。

以前イスズが口に出した『人間をダメにするソファ』の魔法を作った奴の先輩にして師。


〇助けられた子のその後

肉体の記憶ごと巻き戻されたため、敗北した直後に病院のベットで起き上がったイメージ。自分に何が起きたのか知らないまま現場に復帰し、卒業まで誰かの為に働き続けた。ただ晩年までイスズから毎年お歳暮やお中元が送られるようになり、首をかしげることになる。






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