本編開始前に死亡予定のモブに転生した俺。ゲーム知識と最強ステータスでとことん無双します。ついでにヒロイン全員ハーレムルートに取り込んじゃおう   作:かくろう

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ゲーム本編開始前だから

 ――神殿での顔合わせの次の日

 

「まずは貴様の実力を測らせてもらおう。私と手合わせしろブタゴブリンッ」

 

 俺は早速堅物女龍騎士であるセイナ・グランガラスに喧嘩を売られていた。

 

 セイナは見た目通りのゴリゴリ女騎士だ。

 

 身長は180センチくらいか。確かゲーム本編時のプロフィールだと199センチの超高身長キャラとして登場する。

 

 今から2年の間に20㎝近くも背丈が成長するってことか。

 半端ねぇな。そういえば学園は3年間描かれるけど、三年生時には210㎝になるってなイベントがあった。

 

 俺の身長が男としてはチビに分類される150センチちょっと。

 

 今の時点でもかなりの身長差がある。

 

『クッ殺してやりたくなりますねぇ。ほんじゃ早速エロ同人を発動――』

 

 まてまて慌てるな。物事には順序ってもんがある。彼女を攻略するのはもっと後だ。

 

 褐色肌でキツい見た目だが、後輩の面倒見がよくて男子はもとより女子にもモテる。

 

 本編では今ほどキツい印象ではなかったが、それでも軟弱な根性を鍛え直すとかの名目で主人公に喧嘩を売ってくるような出会い方をする。

 

 彼女との出会いは学園入学から間もなく始まる剣の訓練授業で主人公に絡んでくる所から始まる。

 

 そこで勇者の適性で急激に強くなった剣の腕を認め、力をコントロールできない危うさも相まって何かと世話を焼いてくれるようになる。

 

「誉れ高き龍騎士たるセイナ様とお手合わせ願えること、光栄に思います」

 

「ふん。おだてても何も出ないぞ」

 

『おっ。好感度がちょっとだけ動きましたよ。褒められると嬉しくなるチョロイン気質な所は変わらないみたいですねぇ』

 

 俺のステータス画面には相変わらず【最悪】の文字が鎮座しているが、ミルメットにはそれよりも細かい感情の動きが見えているってのか。

 

『へっへっへぇ。シビルさんの態度次第では攻略情報の提供もやぶさかじゃありませんよぉ。とりあえずエミリアちゃんのパンツで手を打ちましょう』

 

 だからやらねぇって言ってるだろうが。エミーのパンツをどうするつもりだ。肉体も持ってないくせに。

 

『直接被らなくても匂いを嗅いだり色々できる事ありますがな』

 

 お前の変態性については今後対策が必要かもしれんな。

 

 それはともかく、舐めないでもらおうか。

 

『パンツをですか?』

 

 違うわボケッ! ヒロインの攻略は自分の力で成し遂げてこそだ。

 

 攻略本を見ながら初見プレイなんて冷めることできるかってんだ。

 

『ぶへへへ、そう上手くいきますかどうか』

 

 うぜぇ。何か含みがありそうだが今は無視するに限る。

 

「先手は譲ってやる。どこからでもかかってくるがいい」

 

 さて、彼女の好感度を上げるにはどうするべきか。

 

 ゲームではチョロインだったが、見た目ブタゴブリンではそこまで上手く行かないだろうな。

 

 しかも俺ときたら女性に対しては生理的嫌悪感を呼び起こすレベルの容姿らしいしな。

 

 嗚呼、そんな俺をエミーは差別することなく愛してくれた。

 改めて彼女の愛は深いのだ。

 

『いやぁ、苦労が多いっすよねぇ。ルッキズム憎しって奴ッス』

 

 半分以上テメェのせいだろうが。

 

 こいつが魂の半分を占拠して俺の栄養の良い所を横取りしてなきゃこんな醜い姿になっていなかったものを。

 

 だがずっと消えなかった吹き出物がここ数日薄くなってきた。

 

 このまま良い感じに消えてくれる事を願いたいものだ。

 

「どうした。怖じ気づいたか?」

 

 さて、アホ妖精の相手をしているヒマはない。

 

 俺には愛すべきヒロインを攻略するという大事な使命があるのだ。

 

「いいえ、どうやって攻撃しようか悩んでいた所です」

 

「バカめ。戦場ではその迷いが命取りになるぞ」

 

「では迷うのはやめます。一手、お手合わせお願いしますっ!」

 

 考え事をやめ、全力攻撃を選択した。龍人族は強さを重んじるから、圧倒的に強い所を見せれば突破口が開けるはずだ。

 

 ミルメット、万が一の時には防御魔法しっかり頼むぞっ。

 

『ガッテン承知の助ッ!』

 

「いきますよっ! せぇええええやぁああああっ!」

 

「……へ?」

 

 俺の使える目一杯。ステータスに任せた大上段からの振り下ろしが炸裂する。

 

 先日のアルフレッドとの決闘で使った素人剣技と同じだが、少しだけブラッシュアップしている。

 

「ひゃわぁあああああっ⁉」

 

 空気を斬り裂き、真っ直ぐに地面と空間を斬り裂く一撃がセイナの木剣に向かって振り下ろされた。

 

 刀身をすっぱりと切り裂き、訓練場の地面に真っ直ぐ縦に亀裂を作り出す。

 

 前回は爆風を巻き起こしたが、より集中した剣閃は真空の断層を生み、シンプルな高威力を叩き出した。

 一拍遅れて空気が圧縮され、セイナの体が吹っ飛ばされた。

 

「うわぁあああああああっ!」

 

 セイナは代々龍騎士を輩出する貴族の家系で、半龍人(ハーフドラゴニュート)の名が示す通り、最強の武人種族である龍人の血を有している。

 

 そう思って強い男を見せたかったのだが……。

 

「はひっ……ひぁあああああっ! うわぁあああああんっ! なにこれぇええええっ!」

 

「え?」

 

 なんとセイナはぺたんと腰砕けになって泣き出してしまう。

 

「ちょ、大丈夫ですかセイナ様ッ」

 

「いやっ、近寄らないでっ! 怖いよぉっ!」

 

 予想と違う反応で慌てて駆け寄るが、余計怖がらせてしまった。

 

 まさかこんな反応をされるとは思っておらず、すっかり混乱してしまう。

 

『そりゃあんた、ゲーム本編は魔王軍との戦いを経験した後なんですから、今の未熟で若い頃の彼女には刺激が強すぎるでしょうよ』

 

 あ、そうか。エミーの本編との違いで気が付くべきだった。

 

 彼女達はまだ魔王軍との戦いを経験していない未熟な学生に過ぎない。

 

 だから本編での知識を前提にものを考えてしまうと、こういう齟齬を発生させてしまうことは想定して然るべきだった。

 

(しまったな。やっちまった)

 

 これはちょっと作戦を練り直さないとヤバいな。

 

 勇者パーティーから追い出されかねない。

 

『だからミルメットちゃんの攻略情報聞いた方がよかったのにぃ』

 

 むぅ……遺憾ながらその通りかもしれない。

 

『どうします? この状況』

 

 仕方ない。予定は大幅に狂ってしまうが、アプローチの仕方を変えるしかあるまい。

 

 俺は木剣の切っ先をセイナの鼻先に向ける。

 

「どうだセイナ・グランガラスッ! 己の未熟さが分かったかっ!」

 

「な、なんだとっ⁉」

 

「あなたは私をブタゴブリンと侮辱し、(さげす)み、(おとし)めたっ。個人的にそれは気にしていないが、その言葉で傷付くものの気持ちを考えたことはあるのか?」

 

「そ、それは……」

 

「こうして膝《ひざ》を屈してやらねば分かろうともしなかった。誇り高き武人の誉れであるグランガラス家の娘が聞いて呆れる」

 

「き、貴様、グランガラス家を侮辱するかっ!」

 

「侮辱しているのは果たしてどっちかな? 他人を貶め、蔑んでも、(いくさ)で負けたらそうして泣きわめけば許してもらえるとでも思っているのかっ!」

 

「⁉」

 

「首を刎《は》ねられ、武人と死ねればまだいい。生き恥をかかされることもあるのだぞ。家名に泥を塗ることになってもいいのか」

 

「ッ⁉ ……そ、それは」

 

「あなたは本来面倒見が良く、後輩からも慕われる優しい御方の筈です。なぜそれを全てのものに向けて差し上げないのですか? 」

 

「ッ⁉」

 

「弱い者にも弱い者の理由がある。怠惰は唾棄《だき》すべきものだとしても、なぜ強く誇り高い龍族のあなたが導く側になろうとしないのだ。守る側になろうとしないのだ!!」

 

「……。そ、それは……それはぁ、うわぁあああああっ」

 

 セイナは泣きじゃくりながら走り去ってしまった。

 

『ありゃりゃ。泣かしちゃってどうするんですか』

 

「あれでいいんだよ。セイナならきっと気が付いてくれる筈さ」

 

『なるほど。成長を促す為に敢えて厳しく当たった訳ですか』

 

 まあな。ゲーム内では面倒見のいい彼女だが、どうやらこの頃は選民意識がかなり強かったらしい。

 

 さて、彼女が立ち直るには少し時間が掛かるだろう。

 

 その間にもう一人の攻略に取りかかるか。

 

◇◇◇

 

「フローラ様、少しよろしいでしょうか」

 

「ヒッ……な、なんですかルインハルド様」

 

 逃げ出してしまったセイナはそっとしておくことにし、次にフローラに話しかけた。

 

 声を掛けた瞬間に台所の悪魔(G)でも見るような目で体をビクつかせる。

 

『あ、ちょっとブルッちゃってますね。興奮する香りがします』

 

 何の話をしているんだうぬれは。

 

『これはオムツを手配する流れですね。もう一発脅してやれば黄色い水たまりができまっせ』

 

 要らんこと言わんでいい。聖水プレイとか誰得だよ。

 

 ゲーム内のフローラは柔らかい態度が魅力的な「ちょっとオドオドしたゆるふわお姉さん」みたいな感じだったが、今の彼女はビクつき過ぎている感じだ。

 

 これから魔王軍との戦いの中で勇気と強さを培っていく訳だから、今は気弱な少女という感じなのだろう。

 

「すみません、怖がらせるつもりはありませんので、どうかそのまま聞いてください」

 

「は、はい……」

 

「セイナ様のフォローをお願いできませんか?」

 

「ど、どういう事ですか?」

 

 俺は事の経緯をかいつまんで説明する。

 

 訝しげに顔をしかめていたフローラだが、やがて真剣に聞き始めてくれた。

 

 例え俺がブタゴブリンで生理的に受け付けない男であろうとも、彼女の根っこは人を思いやる優しい女性であることを、俺は知っている。

 

 セイナが選民意識の強い少女であることを知っていたフローラは、それを正したかった俺の気持ちを汲んでくれた。

  

「わ、分かりました……。セイナちゃんには私から言っておきます」

 

「ありがとうございます。それから、この醜い容姿に関しては、出発までに少しはマシにしておきますので、どうかしばらくのご猶予をくださいませんか」

 

「え、えっと……その、いえ、私の方こそ、見た目のことを言ってしまってごめんなさい。それでは」

 

 フローラもその場から立ち去っていく。

 

 そういえば、設定資料で小さい頃から胸の育ちのことで色々と苦労してきたというエピソードが書かれていたな。

 

 見た目をどうこう言われることに関して、彼女も苦労してきたのだろう。

 

 その共感性が俺への理解を深めてくれたらしい。

 

「よし、次はホタルだ。好感度上昇への足がかりを掴もう」

 

 まだ俺のことを怖がっているだろうホタルとの接点はほとんどない。

 

 まずは共通の話題を作り出して仲良くなるには、ホタルの性格が一番難易度が低い筈だ。

 

 そうして、次なるターゲットであるホタルの元へ急いだ。

 

 

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