本編開始前に死亡予定のモブに転生した俺。ゲーム知識と最強ステータスでとことん無双します。ついでにヒロイン全員ハーレムルートに取り込んじゃおう   作:かくろう

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エロ同人、またの名を【二次創作】

 クイーンを撃破しつつ、早いところホタルのイベントを見守れる状態に持っていかないとな。

 

 裏ダンジョンのモンスターに比べればタイラントスパイダーのクイーンなんてお茶の子さいさいって奴だ。

 

「いくぞデカ蜘蛛ッ!」

 

『キュルルルルルルッ!』

 

 威嚇するような金切り声を上げながら大鎌のような前足を振り上げてくる。

 

 本能的に俺の戦闘力を察知しているのかもしれないな。

 魔力を込めた拳を引き絞り――

 

「はぁあっ!」

 

 放つ!

 

 ガキィインッ!

 

『ギャッ⁉』

 

 金属を弾き飛ばす音を立てて前足を吹き飛ばした。

 

「わりぃけど時間がねぇんだ。苦しませないようにしてやるから一撃で死んでくれっ」

 

 再び魔力充填。コアを砕くために近づこうとするも、本能的に死を直感しているのか必死の抵抗をしてくる。

 

「うおっとっ」

 

 子蜘蛛を次々とけしかけくる。これじゃ近づけないな。

 

 魔法で一匹ずつ焼き払っていては間に合わない。かといって大規模に範囲を広げると繭に包まれた人間ごと焼き尽くしてしまう。

 

 威力の調整練習時間がもっとほしかった。

 

 ゲームじゃフレンドリーファイアは意図的にターゲティングしないと起こらなかったが、これは現実の出来事なのでそういうのは都合良くいかないらしい。

 

 現実の戦いって面倒くせぇな。一撃で倒そうとしてもデカい分だけ体力があって中々倒れてくれない。

 

「待てよ。魔法の威力はイメージをすれば搾ることができる。それなら、効果範囲をコントロールすることも……」

 

 俺にはこの世界で努力をしてきたシビルとしての記憶もある。

 魔法はイメージ力。それを補う為の詠唱なんかも存在するが、俺の知識を掛け合わせれば……。

 

 弱点属性である炎の魔法。ファイアボルトの炎を手のひらに溜め込み、鋭い槍をイメージする。

 

『おっ! この世界の魔法の特性に気が付きましたねシビルさん! レベル上げで覚えるだけが脳じゃないんですよ。二次創作ってそういうもんでしょ?』

 

「⁉」

 

 そうかっ! エロ同人は二次創作。二次創作は自由自在。

 作者の想像力であらゆることが自由自在になる。

 

「『ブレイジングスピアッ』」

 

 高温の炎を凝縮し、真っ直ぐ真っ直ぐ長い槍のように伸ばしていく。

 

 すげぇ。勇者の主人公とホタルしか使えないブレイジングソードの派生技ができちまったっ!

 

「おおおおおっ! せりゃぁああああっ!」

 

 炎の槍。バーナーのように燃え盛る切っ先が高速でクイーンの体を貫く。

 

『ギャァ!』

 

 そのまま腕を振るい、雑魚蜘蛛たちを次々と斬り裂いていく。

 

 クイーンにダメージが入ると増殖は止まり、個体数はどんどん減っていく。

 

 

 クソッ。ゲームじゃこのステータスで技を使えばワンパン出来るのに。

 

 やっぱり現実の生物だと勝手が違う。

 

「なんのためのステータスだよクソッタレッ!」

 

 もう一撃。相手も必死だ。弱点のコアを破壊されないように死に物狂いで抵抗してくる。

 

 悲鳴を上げたクイーンがその場から逃げだそうと足を動かした。

 

「逃がすかッ! って、そっちはホタルがっ!」

 

 あろうことか奴はホタルがいるであろう大広間の建物の方へ突っ込んでいく。

 

『やばいですよシビルさんッ。ホタルちゃん、覚醒はしたけど力全部使い切っちゃってますっ』

「急いで倒さないとっ! 加速スキルとかないのかよ」

 

 無い物ねだりをしても仕方ないからフィジカルでなんとかするしかない。

 

『魔法もスキルもイメージですよっ! 二次創作の力を活用しましょう。なければ作っちゃえばいいんですっ!』

 

 なるほど確かにそうだっ。

 加速、加速、加速のスキルをイメージ。

 

 イメージを強くする為には、名前を付ければ!

 

「パワーストライドッ!」

 

 大きく一歩を踏み出し、足に力を込めて地面を蹴る。

 すると魔力の籠もった足の筋肉が爆発的に力を発揮し、建物を破壊したクイーンの脇を通り抜けて広間に侵入。

 

 動体視力の強化によって世界を鮮明に視覚へと捉え、ホタルとその後ろにいる訓練兵達の姿を見つける。

 

 俺はそのまま彼女達の前に回り込み、クイーンの攻撃を腕ごと弾いて斬り飛ばす。

 

「せぇえええりゃぁああああ!! ブレイジングソードッ!」

 

 ブレイジングスピアを剣の形に変えて斬り付け、野郎の腕を真っ二つに斬り裂いた。

 

「よしっ!」

 

「シビル君ッ⁉」

 

「ホタル、よく頑張ったな」

 

『勇者としてちゃんと覚醒してるみたいですよー。無事に史実通りになってます』

 

 よかった。倒れそうになった彼女の背中を支え、脱力するギリギリに間に合ったという訳だ。

 

 

『グガガガガアアゥ!』

 

 この野郎、なんか意思があるみたいに俺を睨み付けてきやがるな。

 

「し、シビル、君」

 

「ホタル、後は俺に任せて休んでてくれ。誰か、勇者様を頼む」

 

「は、はいっ」

 

 その場にいる訓練兵の少年にホタルを預け、改めてクイーンスパイダーに向き直る。

 

 奴は凄まじい形相で俺を睨み付け、斬り裂いたのとは反対側の腕を振り上げてこっちとの間合いをとろうとしていた。

 

「なんだこいつ……。凶暴なだけの魔物じゃないのか……?」

 

 俺を脅威と認識したのか。あるいはこいつ自身がハッキリとした意思を持っているのか。

 

 クイーンは警戒するように距離を取り始め、攻撃の機会を伺っていた。

 

「げ……腕が再生し始めた」

 

 距離をとったのは再生の為の時間稼ぎだったのか。

 

 10秒もしないうちに奴の斬り飛ばした腕は再生し、すっかり元の形に戻ってしまう。

 

 やはりコアを破壊しないと完全に倒す事はできないっぽいな。

 

(ミルメット、奴の後ろに逃げ遅れた人はいるか?)

 

『いいえ。クイーンの真後ろ直線上に人はいません。思いっ切りやっちゃいましょう!』

 

 よーし。それなら一発デカいのをお見舞いしてやるぜ。

 

「いけっ! ファイヤボルトッ!」

 

 風を集束する音を立てながら、逆巻く炎が塊となってクイーンに向かっていく。

 

 威力を絞らない俺の魔法はデッカい火の玉としてデカい蜘蛛を焼き尽くした。

 

『ギェエエエエエエエエエエエエエエッ!』

 

 断末魔の叫びと共に、クイーンの体が炎に包まれていく。

 

「今だッ!」

 

 炎によって悲鳴を上げて藻掻き暴れるクイーンの頭上に飛び上がり、再びブレイジングスピアを作り出す。

 

 そして奴の額にあるコアに向かって、真っ直ぐに伸びていく伸縮自在の槍をイメージする。

 

 瞬間、俺の頭の中に新しいスキルが目覚めるのを自覚した。

 

「喰らえッ! 『刺突・千枚通し』」

 

 どこまでもどこまでも、必ず敵を貫通させる技のイメージが名前を作り出す。

 

『ゴガッ⁉ ギュァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』

 

 弓矢とかクロスボウの方が貫通や遠距離ではイメージしやすかったが、当てられる自信が無いので手から離れず伸び縮みする方を選んだ。

 

 気分は西遊記の如意棒だな。

 

 額のコアを貫かれたクイーンの体が灰色に変わる。

 生命の彩りを失ったように、タイラントスパイダーは大きな音を立てて崩れ落ちたのだった。

 

『やったか?』

 

 フラグくせぇこと言うんじゃねぇよ。不安になるだろうが。

 

『冗談ですよ。大丈夫です。サーチスキルの生命反応が消滅しました。討伐成功です』

 

「ふう……終わった」

 

 ワァアアアアアアア!

 

 その場を見守っていた訓練兵達の歓喜の声がこだました。

 

 繭に閉じ込められた人達も焼き切って助け出し、全てが終わる頃にはホタルの覚醒イベントも無事に終了していたのであった。

 

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