本編開始前に死亡予定のモブに転生した俺。ゲーム知識と最強ステータスでとことん無双します。ついでにヒロイン全員ハーレムルートに取り込んじゃおう   作:かくろう

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初めてのデート

 次の日。この日は訓練場襲撃の後始末の事もあって学園も訓練もお休みとなり、俺は丁度良くホタルをデートに誘う事にした。

 

 昨日のうちにエミリアにはホタルのことを話してあり、彼女はヒロインの一人であると伝えたら快くデートを承諾してくれた。

 

 1日歩き、夕方には公爵邸に赴いてエミリアにも顔合わせをしてもらう事になっている。

 

 将来ハーレムで同じ男を愛する者同士、仲良くなっておきたいと、彼女の方から申し出てくれた。

 

 できた奥さん(予定)を持てて幸せだ。

 

「シビルくーん」

 

「おっ」

 

 繁華街の中央広場の噴水で待ち合わせをした俺達。

 駆け寄ってくるホタルの可愛らしい声は周りの注目を集めた。

 

 華美ではないが、素朴で純粋な美しさとでも言おうか。

 

 彼女のスキルである【愛され体質】がそうさせるのか、彼女の心の純粋さ故にそのスキルが身についたのか。

 

 質素だがシンプルで明るい色のワンピースが良く似合う。

 

「ごめん、お待たせっ」

 

「いや、全然待ってないから大丈夫」

 

「デートって何を着てくればいいのか分からなくて。それに私、服とかあんまり持ってないから」

 

「それも心配しなくていいよ。今日は服を買いに行こう」

 

 今日のデートの軍資金はエミリアからたっぷり渡されている。

 

 男の俺としては女の子に小遣いを渡されるというのはアレな感じもするが、貧乏貴族の悲しさよ。使えるお金はほぼ無いに等しいのだ。

 

 しかも他の女の子とのデートの金をだ。

 

 まるでヒモだ。やっている事を言葉だけに抽出するとクズの所業みたいでもの凄く気が引ける。

 

 しかしエミーの有無を言わさぬ圧力の前には無力なのである。

 

『だってそのうちサウザンドブライン家の財産は全部シビルちゃんのものになるからね♡』

 

 なんて言われたら頑張らざるを得ない。

 

 エミーはガイスト公爵の持ってるものも全部俺に譲渡する気満々であった。

 

 お父さん涙目である。将来同じ立場になった時のことを考えると、あまりノンキに考えてもいられないところだ。

 

 まあ実際はそうなることはないだろう。長男もいるし、彼女は三女だし。

 

 

◇◇◇

 

 ホタルとのデート。女の子の好みは千差万別なれど、俺には偉大なるゲーム知識がある。設定資料集まで読み込んだ俺に怖いものは無い。

 

 彼女が好きなもの、喜ぶものは全て把握しているからお茶の子さいさいなのだ。

 

 と言いたい所だが、セイラとの勝負で分かったように、この世界の彼女達はゲーム本編よりも前なので全部が全部同じとは限らない。

 

 だけど彼女達が俺の知っているヒロインであることに変わりはない。

 

 ようするにゲーム本編が始まる前に経験したであろう――ホタルに関して言えば魔王との戦いの旅で経験して会得した価値観にさえ気を付けておけばいい。

 

 それに、彼女のプロフィールは全て頭の中に入っている。

 好きな食べ物や趣味の話なんかの好みなら問題なく通用する筈。

 

「美味しーぃ♪ なにこれぇ。こんなに美味しいもの食べたことないぃ」

 

 繁華街にある屋台の食い物で舌鼓を打つ俺達。

 

 ホタルは貧しい生い立ちの影響か食に対する執着が強いキャラクターだ。

 

 勇者となったゲーム本編ではデートイベントは軒並み食い物関連だ。

 

 この世界での名前は違うが、クレープ的なものや串焼き、ワッフル、カステラ、お好み焼きみたいな食い物まで。

 

 多種多様なB級グルメの堪能が彼女の好感度を爆上げしてくれた。

 

「こんなに好きなだけ食べたのは初めてだよ」

 

「これまでずっと苦労してきたもんな。魔王を倒して平和にしたら、いつだってこういうことができるようになるさ」

 

「そうだね……。貧民街の人達も、好きなだけ食べられるようになるといいんだけど」

 

「……そうだな」

 

 このフェアリール王国にも裏の顔がある。貴族が絶対という貴族上位主義は、国家という組織を大きくする一方、力の無いものを(しいた)げて貧民街に追いやっていく。

 

 エミリアは貧民街に孤児院を作ったりして、平民からも慕われているが、それはかなり特殊な貴族だ。

 

 あの領民に慕われるガイスト公爵ですら、平民や貧民を差別はしないものの、積極的に手を差し伸べたりはしない。

 

「勇者になって武勲を上げれば発言力も強くなる。立場が上がればできる事も多くなる。皆がやらないなら、俺達でやってやろうぜ」

 

「シビル君……」

 

「確かにこの国の貴族には貧民や平民を見下している人が多いのも事実だ。それは魔王がいてもいなくても同じだ。だからこの戦いはチャンスだ」

 

「シビル君って凄いポジティブなんだね。私は戦いが不安で仕方ないのに」

 

 屋台で買ったクレープみたいなおやつをチビチビとかじりながら、うつむいた。

 

「俺だって不安がない訳じゃない。でもホタル達と一緒なら必ず成し遂げられるって思ってる」

 

「どうして?」

 

「そうするって俺自身が決めたからだよ。正直、まだ力を手に入れて間もないから、まだまだ修行しないといけないしね。ホタル達との旅でそれを学べればと思ってる」

 

「そ、そうなんだ」

 

「ああ、実は、俺のギフトスキルってついこの間まで使い方すら分からなかったんだ」

 

「どうして使えるようになったの?」

 

「うーん、実は頭を強く打ったからなんだよね」

 

「えっ、だ、大丈夫だったの?」

 

「それ自体は問題なかったよ。それ以来強くなれた。今までできなかったことができるようになったんだ。これまで基礎的な訓練は怠ってこなかったけど、全然実を結ばなかったものが突然って感じだった」

 

 底辺ではあったものの、基礎訓練や魔法の知識なんかの勉強は怠ってこなかった。

 

 スキルの目覚めとステータスのアップによって、それらの努力がようやく実を結んだのだ。

 

 まあ原因のほとんどは俺の魂を占拠してやがったアホ妖精のせいなんだが。

 

『シビルさん辛辣ゥ。ミルメットちゃんのセクシーなお尻眺めていいから許してチョンマゲ★』

 

 ウゼェ……。

 

 耳元でコントを始めるバカ妖精を無視し、ホタルとの会話に意識を引き戻す。 

 

「不思議なことがあるんだね。そんな大事な事私に話しちゃって大丈夫だったの?」

 

「俺はホタルを信用したいから話したんだ。これから命を預ける仲間だしね」

 

「ありがとうシビル君。私も、勇者らしくあれるように頑張る……それでね、その」

 

「どうした?」

 

「今日の最後に、私の家に立ち寄っていい?」

 

「いいよ。貧民街に近い所の宿屋だっけ?」

 

「うん。そこの近くの小屋を間借りしてるの。なんにもない所だけど、多分もう帰らない場所だから……思い出を作りたくて」

 

「分かった。一緒に行こう」

 

「うん」

 

 ホタルの望んだ最後のデートスポットは自分が暮らしている家だった。

 

 俺は彼女の心を汲んで、デートの仕上げに彼女の暮らしていた場所に連れて行ってもらうことにした。

 

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