本編開始前に死亡予定のモブに転生した俺。ゲーム知識と最強ステータスでとことん無双します。ついでにヒロイン全員ハーレムルートに取り込んじゃおう   作:かくろう

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変わり果てた仲間

 サーチ魔法でホタルの居場所を探し出し、魔王の魂が封印されているダンジョンに大急ぎで向かった。

 

 今まで邪神の一派に出し抜かれてばかりの状況を一変させるには、こっちから出向いて不意を突くしかない。

 

 奴らがどうやってこっちの動きを掴んでいるか不明な以上、出し抜くのは至難の業だろう。

 

「できることは全部やる。必ずホタルたちを助けるぞっ」

「はいっ!」

「承知ッ」

 

 四時間の休息の間、俺は寝る間も惜しんで新しい魔法をいくつか作った。

 

 これで奴らの不意を突けたら御の字だ。

 

「ある程度の所まで近づいたら降りて近づくぞ。気配を消すスキルと、それを身につけているものに付与する魔法を創作した。万が一パーティーがばらけた時のために使い方を教えておく」

 

「主。我々には休めと言っておきながらご自分は夜なべされましたね」

「あんまり無茶しないでくださいね」

 

 セイナは呆れたように、フローラは申し訳なさそうにそういう。

 

 二人とも疲労が溜まっていたのか、四時間の睡眠をたっぷりと、泥のように眠っていた。

 

 だが俺は興奮で寝られなかった。疲労感はそれほどでもないし、むしろ闘志がメラメラと湧き上がって頭が冴え渡る。

 

 おかげでこれまで思いつかなかった魔法の創作が次々とアイデアとして浮かんでくる。

 

『我が主よ、そろそろ目的のダンジョン遺跡に近づく。これ以上は敵に察知される恐れがある』

 

「ご苦労さん。サダルは宝玉の中へ戻ってくれ。それから、万が一の時にはセイナ達を連れて逃げる準備だけしておいてくれ」

 

「シビル様、それは」

「敵は得体が知れない。俺は状態異常にも耐性があるし、単独なら切り抜けられる。だが浄化ノ光を使うフローラがやられてしまうとホタルを元に戻せなくなる危険性がある」

 

「ダメですシビル様」

「フローラ?」

 

「そんな弱気ではダメです。ホタルちゃんも双子の姫様達も、必ず助け出しましょう。撤退の事なんて考えてたら及び腰になってしまいます」

 

「その通りだ主よ。我々はもはや一蓮托生。一人として欠ける訳にはいきませぬ」

 

「……そうだな。その通りだ。分かったよ二人とも。ホタルたちは必ず助けよう」

 

「「はいっ」」

 

 気持ちを新たにして、俺達は魔王が眠る遺跡のダンジョンへと降り立った。

 

◇◇◇

 

 ダンジョンの入り口は不気味なほど静かで周りに何の気配もしなかった。

 

 人はおろかモンスターの一匹、いや、虫や動物の気配すらない。

 

 そして入り口付近からは、何者も近づけない異様な空気が漏れ出していた。

 

「よし、ここからは気配を消して近づくぞ」

 

「「はい」」

 

「二次創作【インビジブル・ゴースト】」

 

 新たな魔法によって体を透明化させる。ついでに気配も一緒に消え、においや足跡などの痕跡となるものも一緒に消える魔法だ。

 

 これは息遣いや声と言ったものも一緒に消すことができ、特別な方法でなければ決して認識することはできない。

 

 自分という存在の痕跡を全て消すというのはイメージするのが大変だったが、集中すれば結構なんとかなってしまうものだ。

 

『シビルさん、伝達魔法もかけておかないと』

 

 分かってる。

 

 ミルメットの指摘の通り、声も何もかもが消えるのでお互いの位置すら分からなくなってしまう。

 

「【テレパシー】」

 

(二人とも、聞こえるか?)

(おお、主の声が頭の中に直接……不思議な感覚だ)

(これで姿が見えなくてもお互いを見失うことはないですね)

 

(ああ、でも触れない訳じゃ無いから、攻撃は受けてしまう。気を付けて進むぞ)

 

 そうして気配を消した俺達は、できるだけ騒ぎを起こさないように最奥部に存在する魔王の寝所と呼ばれる場所に入っていく。

 

◇◇◇

 

(こりゃ一体……どういうことだ)

(奇っ怪な……。モンスター一匹いないとは)

(やっぱりここで何かあったんでしょうか。ホタルちゃん達と関係が?)

 

(分からん。が、とにかく戦闘しなくていいなら好都合だ。罠の位置に気を付けながら一気に奥まで進むぞ)

 

 不思議なことにダンジョン内にはモンスターの気配が皆無だった。

 

 ここは魔王の封印地だけあってそれなりに強力なモンスターがはびこっているはずなのに。

 

 やはり黄鬼のオベロンが何かしたのだろうか。

 

 戦闘をしなくて済むのは結構だが、こんなの異常事態ですって宣伝してくれているようなものじゃないか。

 

 ミルメット、敵の気配は?

 

『います……確実に邪妖精の気配がします』

 

 そういえば、邪妖精は妖精族の姿は見えるのか?

 青鬼の時はそんな様子はなかったが……。

 

『うーむ、分かりません。見えるものとして動いてもらった方がいいかも……そろそろ私の姿も皆さんに見えるようにしたいんですけどね』

 

 スピリットリンカーが強化されればできるようになるんだっっけか。

 

 とにかくお前が捕捉されたら透明化した意味がなくなる。頼むぜ。

 

『がってんでい』

 

 さて、奥へ奥へと進んで、ようやく魔王の封印部屋に到着した。

 

 戦闘がなかったために数時間で到着できたことは大きい。

 

(いたぞ……ホタルだ)

(ホタルちゃんっ!)

 

 最深部まで到着し、慎重に近づいていくと、扉は既に開ききっているのが見えた。

 

 どうやら双子姫を攫ったのは魔王の封印を解くのが目的だったのは間違いなさそうだ。

 

 ホタルは本当に巻き込まれただけだったみたいだな。

 

 扉の前に、まるで門番でもしているかのように佇んでいる。

 

 しかしその目には光が宿っておらず、まるで人形のように虚ろな瞳で直立不動だ。

 

 明らかに普通じゃ無い。

 

(フローラ、準備はできているか?)

(はい。浄化ノ光の集中はできています。いつでもいけます)

 

(よし、ギリギリまで近づいてホタルを救出するぞ)

 

 こんな所に立たせているのは何かの罠か?

 ミルメット、周りに変な気配はあるか?

 

『うーん、いえ、今の所はまだ』

 

 とにかく行くしかないか。

 

 何が起こるか分からない。慎重に近づいてホタルの目の前まで到着し、フローラに合図を送る。

 

(フローラ、頼む)

 

(はいっ! ホタルちゃん、目を覚ましてッ)

 

 フローラの魔法が発動し、ホタルの体がライトグリーンの光に包まれる。

 

 これで目を覚ましてくれればいいが……。

 

「きーっひっひっひっ! 無駄じゃ無駄じゃっ!」

 

(なにっ⁉)

 

 その時、扉の奥から気味の悪い笑い声が響き、それと同時に闇色の光りがホタルの体から放射状に広がった。

 

「うわっ! こ、これはっ」

 

「え、こ、これって」

 

「なんとっ、これは、術が解けたのかッ⁉」

 

 突然インビジブル・ゴーストが解かれ、互いの姿が見えてしまう。

 

 今のはまさか……。

 

「ホタルッ」

 

「おおおおおああああああああああっ!」

 

 その時、ホタルの体がゆっくりと浮き上がり、艶のあった黒髪が徐々に白く染まっていく。

 

 白い肌が黒ずんでいき、生気を失うように土気色になっていく。

 

 セイナの褐色肌とはまた違う、土色の肌には生物らしさが感じられない。

 

 そして、土気色から更に変化は顕著になり、血の気が抜けたように真っ青になっていく。

 

 不気味な姿へと変貌し、なによりその変化を象徴するように、頭からは山羊のようなツノが生え、メリメリと音を立てた背中からは巨大コウモリのような黒い羽根が広がった。

 

「下がれ、下郎……」

「なにっ⁉」

 

 低く唸るような声と共に、突き出されたホタルの手の平から凄まじい衝撃波が繰り出される。

 

 それは背後に大きな黒い魔法陣を背負い、不気味に点滅した魔力が襲い掛かってきた。

 

「うわぁっ」

「ほ、ホタルッ」

 

「きゃぁあああっ」

 

 完全に不意を突かれた俺達は吹き飛ばされ、俺だけがなんとか踏みとどまる。

 

 セイナとフローラは完全に吹き飛ばされてしまい、壁に叩き付けられた。

 

「くっ、ほ、ホタル……今のはまさか」

 

「ほう、余の攻撃を食らって耐えるとは。中々やるようだな」

 

『ま、まさかっ! シビルさん、ホタルちゃんのステータスを見てくださいっ!』

 

――――――――

 

【ホタル(人間族)】女・勇者(魔王憑依……侵食率30%)

―――LV140 HP8900 MP測定不能

 

――――――――

 

「ま、魔王ッ⁉ 魔王だってっ⁉」

 

 まさかの事態だった。ホタルが、魔王になっている。

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