オレは強い。ので、色々頑張る   作:ばるす

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何話かに分かれます。
時系列がトチ狂ってますがこの話はOADがベースです。なのでまだ見てなくてネタバレが嫌な方はブラウザバック推奨です。
原作はu-nextで見れます。


12.長距離移動訓練:1

 荒野を馬で駆ける。先頭には班長のマルコ、その少し後ろに記録係のアルミン。オレはアルミンの左後ろで横にはミーナ、そして続くようにクリスタ、エレン、サシャ、コニー、ジャンと並ぶ。

 今回の訓練はあのキース教官らしく、まったりと平和な時間でも危機感を保ちつつ云々という、いわば精神面での訓練。

 

 内容としては1つの班から半分に別れ、目的地まで片道約40キロを馬で走る。目的地に置かれた印を確保し、なおかつ片割れの班と情報交換の後にそれぞれを進路を帰路として帰還する。つまり、平和だからと早く終る為に急いでも、面倒だからとダラダラ遅くやっても駄目。整備された道でもなく事前の情報も最低限なため、丸1日はかかると見て良いだろう。

 このもどかしい時間でも冷静かつ慎重さを保てるか、というのをキース教官は見るはず。だから記録係には、最も細かく見たことをそのまま記録できるアルミンが抜擢されたというわけだ。オレたち第1班の片割れである第2班には、班長にトーマスが。記録係にはミカサが選ばれている。

 第2班の面子はその2人に加えてアニ、鎧、超大型、ダズ等が居る。間違えた、ライナーとベルトルトだ。

 

 アニは元気にやっているだろうか。ミカサとは比較的仲が良いというか、なんとなく馬が合う気もするから大丈夫だと思う。脳みそにまで鎧をまとった哀れな男が余計なことを言わなければ、オレを虐めてる時の生き生きとした表情からして仲違いすることはないと思うのだが。

 それに比べてこちらの馬面ときたら......。

 

「あ~、様子見てゆっくり行こうぜぇ」

 

 大あくびをしながら気だるそうに言うジャン。コイツの教官の目がないと露骨にだらけるところは残りの訓練兵期間でどうにかしてやりたい。

 ただまあ今日のところはオレの出る幕は無いだろう。何故なら我らが第1班には奴がいるのだから。

 

「加減なんてわかんねえだろ、ジャン。お前がゆっくり行くってんなら俺は先を急ぐぜ」

 

 死に急ぎ野郎が先を急ごうと馬の速度を上げてオレの横に出てくる。それを手で制すと、なんだよと言わんばかりの顔で見てくる。

 こっちからしたらお前がなんだよ、と言いたいけども。

 

「エレン、集団行動の規律を守れ。班長はマルコ、オレたちの役目は自分の都合で規律を乱すことではなく班長を支えることだ」

「あ、ああ。悪い」

 

 軽く睨みを効かせると、冷静になったエレンは馬の速度を落とし定位置につく。

 素直なのはいいけども。ミカサにチクられたらどうなるかわからないので寒気がしてくる。エレンが定位置に着いたことを確認するついでにクリスタ見ちゃお。癒やされるぜ全く。

 ただ、班長であるマルコからの具体的な指示が出ていないとジャンがだらけるのも無理はない。どういうつもりなのかは確認しておくべきか。

 

「マルコ、このままの速度を維持するか。それともエレンの言うように先を急ぐか。どうする?」

「どうって、でも......ジャンはどう思う?」

「は? 知るかよ」

 

 マルコは判断に迷っているのか、ジャンに話を振る。

 ジャンの決断力を踏まえてなのだろうが、肝心のジャンが不貞腐れているのでやる気の無い返事しか返ってこなかった。

 

「こんなことやったって憲兵団に入れるわけじゃねえだろ」

「そんなこと言うなよ。とにかく今は、訓練に没頭するべきだ」

「無理だな」

 

 期待した答えを得られなかったマルコがオレの質問を華麗に流して先送りにすると、ジャンが全身全霊でやる気の無さを表現する。

 やはり、そこにエレンが噛みついた。

 

「お前には忍耐ってもんがねえのか!」

「愚痴ぐらい構わねえだろ?」

「愚痴で時間が早くすぎるってんならなぁ......」

「先が長いです......」

 

 コニーとサシャも堪えるものがあるようで、グロッキー状態である。この日差しの下を立体機動で風を切りながらならまだしも、馬でゆっくり進むんだから無理はないか。

 ただ馬で往復するだけ、と聞くだけなら簡単。それが団体だとここまで乱れ体力も精神力も疲弊していくとは、お前ら一体2年間で何を学んできたよ。3年目最初の訓練でこれとか泣けるぜ。

 

「大丈夫かな」

 

 その不穏な空気を察したのか、クリスタが馬を近づけてくる。

 このまま行けば大丈夫ではないと思うけども。クリスタを不安にさせることなど言語道断だ。

 

「まあ、なんとかなるさ。体力さえ見誤らなければ事故が起きることはないだろうし。クリスタは大丈夫? しんどかったらマルコに休憩を要請するから」

「ううん、大丈夫。ありがとう」

「フレディはいつも冷静だね。あの2人も少しは見習ってほしいよ」

 

 クリスタと同じように近づいてくるミーナ。彼女が顎であっちを見てみなと指し示す方向では、いつの間にか隊列から外れ前を走っていたエレンとジャンがブレードを出して小競り合いをしていた。

 突然の殺し合いが始まったのかと一瞬ヒヤッとしたが、2人の足元にそこそこ大きなトカゲが居ることに気づいて何となく話が読めた。

 

「ふ、2人とも止めなよ!」

 

 トカゲの存在に気付いたクリスタが大きな声を出してて止めようとするが、言い争っているエレンとジャンの耳にはその声が届かず。

 突然トカゲを追い始めたのは何故かと後ろを振り向いてみると、サシャが口をつぐんで申し訳無さそうな顔をしていた。

 

「あのトカゲ、美味しいですよって私が......」

 

 両手の人差し指をツンツンと合わせ申し訳無さそうに言うサシャ。

 おそらくはジャンがトカゲの存在に気づいたところ、猟師だったサシャの発言に肉が食えると躍起になって追い始めたのをエレンに止められたんだろう。サシャは少しも悪くないのである。

 

「サシャは悪くないよ。気にすることない」

「本当にすみません......」

「何かトラブルが起きて食料事情が苦しくなった時は、頼りにしてるから」

「......はい!」

 

 エレンとジャンのいざこざで動きを班全体の動きが止まっているため、馬を降りてサシャを慰めようとする。彼女は元気を出してくれたのか、オレの手を取って大きく頷く。

 そこにコニーがやってくる。

 

「なあ、フレディ。あれいいのか?」

 

 コニーの言うあれとは、未だ続くエレンとジャンの小競り合い。そしてそれを止めようとしているマルコのことだろう。

 オレが割って入れば丸く収まる、少なくとも行動を再開することはできるだろう。しかしそれでは、マルコが班長になった意味がない。キース教官がわざわざマルコを班長に指名したのは、リーダーシップがあれどその控えめな性格故に曲者の扱いに苦戦しているからだろう。

 マルコもジャン1人であればどうにかなっているが、そこにエレンが加わることで起きる軋轢に対しての対応を見たいのであろう。わざわざ人数配分を崩してまでオレがこの班に所属になったことからそう推察できる。いざというときはヨロ! と言うところか。

 つまりここは傍観するのみである。

 

「班をまとめるのも班長の仕事だから。オレが出しゃばっても仕方ない。班長だけで収まりがつかないならオレたちは止めるべきだけど」

「フレディって、優しいですけどそれだけじゃないですよね。ちゃんと厳しいところありますし」

「確かにな。お前ならいつもの感じで止めに行くと思ってたけど、訓練中はそうじゃないってことか。フレディが親父だったら子どもは苦労しそうだぜ」

「そうですかね? 私はフレディみたいなお父さんいいと思いますけど。私のお父さんにも似てます!」

 

 おいおい、まだオレは子どもを持つつもりはないぞ。てかコニー普通に失礼だぞ、サシャの擁護があったからまだしもお前の子ども将来苦労しそうだなとかちょっと悲しい。

 

「少なくとも、子どもがコニーみたいにはならないようにするよ」

「どういうことだよそれ! 俺が馬鹿だって言いたいのか!?」

「いや、天才すぎると苦労するだろうなって」

「なんだよわかってんじゃねえか。まっ、もしフレディに子どもができたらこの俺が指導してやらんでもない」

「タスカルワー」

 

 コニーに教育を任せたらどうなることか。男の子だったら元気なのはいいけど、女の子でコニーの調子とか想像つかない。それでも我が子なら可愛いんだろうけども。

 しっかし子どもねえ。まだそんなことを考える年齢じゃあないけど、自分が父親となった時が想像できない。確かなのは子どもにべったりになってしまうということだ。自分の愛した女性との間に生まれた子どもとか多分天使だよ。クリスタと同じくらいの天使、いやクリスタは女神か。

 もしクリスタやアニがお母さんだったら子どもは金髪とか蒼い目になるのかな。フリーダだったら髪色は同じだろうけど目の色はどうなるか。ミーナやユミルだったらオレと同じ黒髪黒目で、サシャだったら茶髪かも? サシャやフリーダみたいに天真爛漫な女の子とかだったらさぞ可愛いだろうな。

 ......いや同期との子どもを想像するって気持ち悪いな。しかも訓練中に。集中しよう。

 

「皆すまない! 訓練を再開しよう!」

 

 そこでマルコがエレンとジャンを落ち着かせることに成功したのか、馬に乗り直して声を張り上げる。

 無事に場を収められたこととオレが自己嫌悪に陥る前に切り替えてくれたことに感謝しつつ、自分の馬に乗る。馬も気を使ってくれたのか顔をこちらに向けジッと見てくるので、顔を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めた。

 

「君は本当に可愛いなぁ。ジャンに馬面っていうのは君に失礼だからやめるよ」

 

 馬にだけ聞こえるように言ったつもりが、近くにいたミーナには聞こえていたのか唇を噛み締めて笑いをこらえていた。

 いかんいかん、ジャンにまで聞かれていたらせっかくマルコが落ち着かせたのにまた振り出しだ。

 ミーナに内緒にするようにとオレが唇に人差し指を当てると、いい笑顔でウインクを返してくる。それをしっかりと脳に焼き付けてからオレたちは再び馬を走らせた。

デートする人

  • アニ
  • クリスタ(ヒストリア)
  • ミカサ
  • サシャ
  • ユミル
  • ミーナ
  • イルゼ
  • リコ
  • 憲兵団のお姉さん
  • フリーダ
  • ルース
  • キース教官
  • ライナー
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