多分月イチくらいでは投稿を再開できそうです~。アニメ漫画見直しつつ頑張ります!
104期生たちの声に続くどころか、それをかき消すかのような雄叫びを上げて走っていった1体の巨人。尖った耳と剥き出しの歯は人間に良く似た見た目の巨人たちとは明らかに異なる姿。
巨人の姿となったエレンが、トロスト区の駐屯兵団本部めがけて特攻し始めた。
「おいおい、今度は何だってんだよ!?」
「ありゃ奇行種か? 俺たちを無視して......なッ!?」
ジャンと、そしてライナーが驚くのも無理はない。エレン巨人がその辺をうろついていた15メートル級の巨人に対し、それはそれは見事なラリアットをかまして首を吹き飛ばし。その後にしっかりとうなじを踏み潰してトドメを刺したのだから。
「弱点を的確に理解してる? まさかそんなことが」
ベルトルト・フーバーもエレン巨人の行動には驚きを隠せないようだ。まるで僕たちみたいだ~なんて思っているのかもしれないな。お見事そのとおり!
ただなんだ、せっかく盛り上がってきたところなのに一気に熱が冷めたというか、驚きすぎて皆のテンションが下がったというか。まあ、これをチャンスだということにしよう。
「全員! あの巨人に続くぞ!!」
「ま、待てフレディ! 危険すぎる!」
「危険は百も承知だマルコ。アイツは明らかに普通の巨人よりも強い。だが、それをうまく利用してやればオレたちの生存率はあがると思わないか?」
「だが......」
「心配すんなって、オレが先導する。ジャン、ライナー、フーバー、お前たち3人もガスが残ってないだろうが、後ろを任せてもいいか?」
ひとまずみんなが危険視しているエレン巨人は前線でオレが見張るという体で。後ろの方は少しでも立体機動が得意な奴に任せておくのが良いだろう。
とはいえエレンがバシバシと巨人をぶっ殺しているから、何の心配もないだろうけど。
「ッチ、仕方ねぇな」
「おう、後ろは預かった」
「......」
問題は3人が納得してくれるか、だったわけだが。なんとか了承は得られたようなのでヨシとしよう。返事しろよこのクソノッポ! とはこの際言いません。
あとはもう、エレンに続いて本部を目指す......の前に。まだ後ろの方でくたばってやがるヘタレを叩き起こすか。
「アルミン」
オレの声に一瞬だけ体を震わせたアルミン。立ち上がるつもりも返事をするつもりもないようで、顔を上げることすらしない。
そんな彼の首根っこを掴み、無理矢理にでも立ち上がらせる。全く力を入れていない人間というのは重たいもので、小柄なアルミンでもそれなりに大変。腰のためにももうやらんとこ。
「ほら立って、行くぞ本部に」
「......いや......僕はここに残るよ......」
「うるせぇボ......んん。はいはい行きましょうね~」
思わず悪態をついてしまいそうになったが誤魔化して。アルミンを肩に担ぎ上げる。
それを理解したのか、数秒してからアルミンは手足をジタバタとさせて暴れ始めた。
「はっ、離してくれ! 僕はここに残るんだ!」
「馬鹿野郎! こんなところに残るやつがあるか!!」
「君が言ったんじゃないか、自信がない奴は残れって!? もう僕は、これ以上迷惑をかけたくないんだ......ッ! だから!大人しくここで、痛ッ!」
いけねっ、手が出ちまったよ☆
これは愛のムチ。いや、愛のゲンコツだ、許せよアルミン。
「な、何するんだよ!?」
「そうやってギャーギャー喚く元気があるんだったら、とっとと自分の足で立って立体機動に移れよ」
「......無理だよ、僕には......」
「無理じゃない。見てみろアルミン、みんなを」
ハッとした様子であたりを見回すアルミン。そこにはもう、先程までの暗い雰囲気はどこにもない。
全員が全員、ここから生きて本部にたどり着いてガスを補充し、生きてトロスト区を出るという自信に満ちあふれている。その目は死んでいない。
「どうだアルミン。みんなの様子を見ても、僕は自信がないからここに残りますって言えるか?」
「......いや、結構な人数は自信があるというより覚悟を決め散らかしてるだけな気がするけど......」
「言うな。今それ言っちゃ絶対駄目だろ。......とにかく!」
担ぎ上げていたアルミンを乱暴に下ろす。流石人間の本能というべきか、力なくうなだれていたアルミンも背中を打ち付けないように自分の足で立つ。
突然投げ捨てられたような格好になったアルミンは若干不満の残ったような顔をしているが、もう時間がもったいないので両肩に手を置いて。
「オレたちにはお前が必要だ、アルミン。そして、アルミンにもオレたちが必要なはずだ。ここに居るみんなは1人のために、1人はみんなのために戦う」
「......」
「誰一人として欠けて良い訳が無い。わかったら黙って着いてこい!!」
アルミンの背中を強めに叩く。
お説教の時間はもうおしまいだ、あとはエレン巨人に続いて本部に突っ込むだけ。もちろん全員で。
そのまま踵を返し、ミカサやアニ、サシャが待つ前線へと足を進める。
思ったより痛かったのか後ろでなんか愚痴られてるけど無視だ無視。
「あいつ強引だよな。アルミン、大丈夫か?」
「......うん。ありがとうコニー。いや、そうだ。いつまでもウジウジしてちゃ昔のままだ!」
「お、おう? まあ元気出たなら良かったぜ!」
建物の先端まで歩き、全員の前に立つ。左右にいるミカサとアニからの視線に顔を振ると、相槌を打つように頷いてくる。
さっきはエレン巨人に横取りされたから、もうデカい声出さなくていいや。喉痛いし。
「よし、行くぞッ」
短く声量は抑えめだが、それでも僅かに離れたところから聞こえるエレン巨人の雄叫びにはかき消されることなく届いたオレの声に、生き残った104期生たちが飛び上がる。
何も言わなくても横で着いてきてくれる娘たちの優しさにお兄さん涙が出そうです。
周囲の警戒をしつつ前進していく。コレだけ人が集まれば巨人も集まってくるだろうが、アニのお陰で壁外に巨人が追い出されていったことと、エレン巨人が面白いように巨人を蹂躙しているため何の支障もない。
加えてエレン巨人の移動速度が不自然なくらい立体機動のガス消費がちょうどよい速度なので、ただ飛ぶことさえできれば無問題だろう。
にしてもユミルちゃんアシストが効いているとはいえ、流石にエレン巨人強すぎじゃない? 大体の小型の巨人はひと蹴りで消し飛ばすし、中型も脳天を叩き割ったり膝蹴りで一撃。
エレン巨人と同程度の大きさの巨人は腹を拳で貫いたり腕を引きちぎったり、顔面を潰すなどしてからトドメを刺している。痛めつけるようなその行動は、巨人に対する殺意だけで動いていると言われても違和感がない。
どうやらこればっかりはユミルちゃんの管轄外っぽいので、エレン巨人を強くしすぎたあまりに無垢の巨人がボコボコにされているのを見て、なんとも言えない虚無な表情をしているとフリーダから報告が入ってます。やりすぎちゃったね、ユミルちゃん。
「ぃやっほーぅ!」
それでも取りこぼしは出てくる。
1体の8メートル級巨人がちょうど建物の影から飛び出てきたところに、飛び込むような形でガスを吹かして急降下。
小型の巨人には捕捉されないような高さを維持していたため、ぐんぐんと周りの速度が上がっていく。
一瞬でも気を抜けば地面と情熱的なキッスを交わすことになるが、腕の力を使わずに巨人のうなじを削ぐためにはそれなりの速さがなければならない。
それにしても速度を出し過ぎたため、アンカーを後ろ向きに発射して再びもとの高さに浮き上がると、一気に体に負担がかかった。
「ぐわぁ、流石に体が」
「相変わらず無茶苦茶な機動だね」
「最小限の疲労で戦おうと思うと最大限の負荷が掛かるジレンマってやつさ。それよりもアニ」
「ん」
5メートルほどの小型の巨人が視界に入り、そちらに目線を移す。
アニはただ一言、短く『ん』と返事をした後に高度を下げる。通り過ぎざまに失礼しますよ、とでも言わんばかりにあっさりとうなじを削ぎ落として再び戻ってくる彼女にただただ脱帽。やっぱり立体起動中のアニの腰回りからしか得られない栄養があるぜ。
そして周囲を見れば、隊列で移動しているオレたちを補足しようとしうと数体の巨人の姿が。しかし、運の悪いことにそこにはミカサをはじめとした成績上位者や、腕に覚えのある兵士たちが内側の兵士を守る陣形を取っている。
見れば右手を伸ばした大型の巨人はミカサによって指を切断された後に半円を描く起動でうなじを削がれ、10メートルほどの中型の巨人は隊列を離れたミーナに気を取られているところをユミルに倒され。
また別の場所ではジャンがマルコと連携して隊列から巨人を遠ざけて離脱しており、ライナーとフーバーが流石戦士(笑)の連携を見せて討伐している。
後続を確認しながら進んでいけば、本部はもう手の届きそうな距離。そのタイミングでアルミンとミカサが前線まで上がってきた。
「フレディ! 凄いよ! みんな生き残ってる!」
「本部まではもう少し。私は最後尾の護衛に行ってくる」
「いや、待ってくれミカサ」
後ろから上がってくる時、一通り面子を確認したのかアルミンは興奮した様子で。ミカサは冷静ながらも上手く進んでいることに安心したのか少し柔らかな表情で再び最後尾に戻ろうとする。
が、オレはそんな彼女を呼び止める。もちろん信頼していない訳ではない、むしろミカサは誰よりも信頼できる一人だ。ただ、危険そうな場所には信頼している人よりも自分が飛び込みたい性格なだけです。君子危うきに近寄らず? 残念、僕はガイスギーチ。賢いけど戦士です。
「ミカサはアルミンと一緒に前線に残ってほしい。オレが後ろに下がる」
「でも」
「本部に到着したらあとに続くみんなをまとめてほしいんだ。アルミンは誰がここに居るのか全員を把握してるようだし、二人で混乱が起きないようにしてくれないか?」
「......わかった」
渋々、といった感じで承諾してくれるミカサ。アルミンの方に目を向けると、彼は任せてくれと力強く頷いた。
「なら、私はアルフレッドに着いてくよ」
「あら?」
共に前線に居たアニが、不意にそんなことを言う。思わず出た気の抜けた声に「何か不満?」と言うアニに、オレは首を横に振る。
「まさか。助かるよアニ、ちょっと苦労させるかもしれないけれど」
「それでも、助けられる命が増えるならマシさ」
「アニ......」
やだこの娘、カッコいい。男前が過ぎるんですけど。思わず恋する乙女のような甘ったるい声が出てしまった。
あのミカサだってニヤニヤしながらアニのこと見てるもん。あの顔からして、多分ミカサは『アニはカッコいい』とかいつもみたいにからかうんだろうな、と予想していたのだが。ミカサのニヤケ顔は突然として眉を落とした淋しげなものに変わる。
そしてゆっくりとアニに近づき、何かを彼女に耳打ちする。
「アニ。あなたはちゃんと、フレディの側に。大切な人の側に居てあげて」
「......ああ、わかってるよ。ミカサ、すぐ追いつくから」
「待ってる」
立体起動中なので姿勢制御等ただでさえ体を動かしている最中に、更には風切り音やガスを蒸す音で会話は全くといっていいほど聞こえないが。二人の顔からするに真剣な話をしていたのは間違いないだろう。
やがてアニが徐々に速度を落とし、オレの隣に並んで声をかけてくる。
「それじゃあ、確認しつつ後退だね」
「うん。ざっと見た感じ巨人は居なさそうだけど、ゆっくり確実にやろう」
「了解」
急に後ろに回るのではなく、上手く移動速度を調整しながらゆっくりゆっくりと最後尾に向かっていく。少し後ろに行けばジャンが後退してきたオレたちを発見し、近づいてきた。
「お前ら、まさかガス欠か!?」
「いや、そろそろ本部だから前線はミカサとアルミンに任せて後ろの護衛をしようと思って。ジャンのところは平気?」
「ああ。あの巨人が暴れまくってくれてたのと、さっきまでお前たちが討伐してくれてたお陰でな。横に並んでた奴は誰も欠けちゃいねえ」
「それは良かった。もう少し頑張ろう」
再び速度を落とし、後退していく。今度はクリスタ、ユミルとミーナを発見した。三人とも立体起動を使いこなしているため、周囲の警戒をしつつオレとアニがやっているように必要とあれば援護に回ろうとしている。
アニとアイコンタクトを取ってから三人に近づき、クリスタの名前を呼ぶ。
「クリスタ」
「えっ、フレディ? どうしたの?」
「いや、最後尾に移ろうと思ってさ。ユミルとミーナも、何か変わったことはない?」
遅れて近づいてきたユミルとミーナ。前線で一緒に飛び回っていたミーナは三人の中でも少し疲労の色が顔に滲んでいるが、まだまだ気持ちは動けるのか目には活力があった。
「心配ない、いざとなりゃ私たちは前にも後ろにも行けるようにしておくさ」
「まだまだやれるよ。フレディとアニも頑張って!」
「ありがとう。じゃあ任せたよ」
「苦労かけるね、三人とも」
短い報告を受けてまた速度を落として後ろに向かう。の前に、クリスタとは目を合わせ互いに身に着けているリボンとループタイの石に触れ無事を祈り合う。
ん~青春、戦場とは言え楽しくってしょうがない。クリスタ可愛い! そして横目に見えるアニちゃんが複雑そうな顔してるゥ! 嫉妬かな? 今度何かおそろいのもの買おうね。
「......調査兵団......」
何かボソボソとつぶやくアニと共に更に後ろへ向かう。やがて人がまばらになって終わりが見えてくると、最後尾に居たのはライナーとフーバーだった。
「フレディ、ミカサがとんでもねえ勢いで前に行ったと思ったら今度はお前とアニが降りてくるなんてな。なんだ、何か問題でもあったのか?」
「いや、むしろあまりにも無いから最後尾まで来たんだ。ライナー、ここからはオレとアニが殿をやるよ。もうガスも少ないだろ?」
「そいつは助かるな。なにせ一度も補充できなかったもんでよ」
「図体がでけえとガスの消費も激しいだろうからな。あとは任せとけ、あの巨人もこっちで見張っとく」
「頼むぜ」
ライナーとは普通にコミュニケーションが取れるのだが。フーバーは相変わらずだ。会話する気も無いのか、オレたちが近づいてきた途端に少し離れた位置まで移動していった。
それはアニも同じか。ライナーとフーバーに近づくとオレを間に挟むようにしているし、今だって会話していたオレとライナーの後ろ。つまり隊列の最後尾でこちらの様子を伺っていた。ちょっとアニたん、オレのこと好きすぎて分かり易すぎるよ。ライナーが急に攻撃してこないか見張ってくれてるんだねやっぱりおそろいのものは苗字でいいかな?
なんてことを考えていると、巨人の咆哮が。音からしてエレン巨人だろうか、オレたちが本部に着く直前になって急に駆け出し、周辺の巨人を片っ端から攻撃し始めた。
あまりにもタイミングが良すぎる。おそらく......と思ってみれば、やはり脳にフリーダの声がする。
《なんか、女型の娘とアッカーマンの娘との絡みを見てから、ユミル様がすっごい満足そうな顔してるんだけど》
何があったんだよ。何を話してたんだよアニとミカサは。
ユミルちゃんが満足するような会話ってなんだよ。オレなんていつも苦笑か失笑か引かれるかばっかだぞ、どうやったらユミルちゃんを満足させられるんだこの野郎! 教えろください!
《いやアルくんのことは見てるだけで満足そうだけどね? 明らかに憐れみの目を向けてるときもあるけど》
結局マイナスやないかい!
心の中で大きく叫ぶ。と、先頭集団が徐々に本部の窓ガラスを突き破って侵入していくのが目に入った。
チラリと目線を横に向ければ、アニと目が合う。出来る娘アニちゃんはオレがフリーダと会話をしている間にも周囲の警戒をしてくれていたようで、本部に群がっていた巨人はエレン巨人が引き付けたり倒してくれたお陰で離れた場所に居るため、このまま突っ込もうと目で語る。
その目に頷き、オレとアニは最後に本部へと飛び込む。窓は先に入った人たちが割ってくれているが、だからこそ鋭利に残った部分等が危険であるため、体を斜めにして顔をそむけ、クロスさせた両腕で覆うように保護しつつ足からダイナミックエントリー。
ガラス片で切れることはなく、バリッと床に砕け落ちたガラスを踏みしめながら着地する。顔をあげてみれば、先程までの絶望に染まった顔が嘘のように希望に溢れた全員が居た。
しかし、それとは正反対に。机や椅子をバリケードのようにして光のない目で身を隠している訓練兵たちと目が合う。
ああ、これはまた面倒なことになりそうだな。直感でそう思った。
デートする人
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アニ
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クリスタ(ヒストリア)
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ミカサ
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サシャ
-
ユミル
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ミーナ
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イルゼ
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リコ
-
憲兵団のお姉さん
-
フリーダ
-
ルース
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キース教官
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ライナー