オレは強い。ので、色々頑張る   作:ばるす

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05.進路決定は早めに

 訓練兵団に入団してから、早いものでもう1年が経とうとしている。

 基本的には全員と平等に接するようにと意識はしているが、やはりこの身は1つだということもあり中でも関わる機会の多いメンバーが何人か居る。

 

 まずは104期生の中で死に急ぎ野郎として有名なエレン、逸材として有名なミカサ、2人を支える頭脳として有名なアルミンの3人組。彼らは入団してすぐの立体機動適性検査でエレンにアドバイスを送ったこともあり、よくつるむ。

 特にエレンはあれ以降も何かとオレにアドバイスや意見交換を求めてくるので弟のように感じているし、ミカサもエレンが取られるのが嫌なのか唐突に『腕相撲をしよう』やら『次の立体機動訓練で私のほうが早いなら、あなたは夕飯を私に譲るべき』と謎理論を振りかざしてくるようになった。ちなみに痛いのは嫌だし夕飯抜きも嫌なので全部流しているが、ごまかすたびにお尻を引っ叩かれる。そしてアルミンに苦笑され気づかないエレンから何やってんだコイツという呆れた目を向けられる。泣きそう。

 

 コニーとサシャとも仲良くさせてもらっている。バカコンビとして有名な2人だが、コニーは生意気ではあれどいい奴なことに変わりないし、サシャもパンを恵んだことでいい感じに好感度が高いのか夕飯を一緒に食べようと誘ってきたり、食料庫からご飯をくすねようと誘ってくる。

 あれ、よくよく考えたらサシャが夕飯を誘ってくるのはオレがまたご飯を譲ってくれるのを期待してるだけで、食料庫漁りも責任をなすりつけようとしているように感じてきた。まあ美味しそうに食べてるサシャを見つめると照れるのが可愛いからここは気にしないでおこう。

 

 サシャつながりでいくと、ヒストリアことクリスタにユミルの2人組ともよくつるむ。クリスタと話しているとコロコロ笑う笑顔が懐かしくて眼福だし、フリーダにその話をしてあげるととても喜ぶのでオレも嬉しい。

 それにユミルもオレを見かけると嫌そうな顔をしていたのが今では遭遇するとクリスタよりも先に近づいてきて肩を組んでくるのだが、毎回毎回『なぁフレディ、お前は胸派か尻派か?』とかセクハラオヤジみたいな絡み方をしてくるし、クリスタに引かれたくないのでちょっと困る。でも楽しいから許す。

 

 あとはジャンともかなり話すことが多い。なんでも馬鹿ばっかりのなかで唯一まともな思考をしている、と評価をもらっているが、あいつのことだから内地出身のオレに伝手があることを期待しているんだろう。ぶっちゃけ全然無いので期待しないでほしい。ていうか努力して10位以内に入ってくれ。

 みんなのまとめ役であるライナーとも話す機会が多いのだが、彼の横にいるベルトルト・フーバーは未だに掴めない奴だ。なぜかオレのことをガイスギーチと名字で呼ぶし、オレを見る目が憎悪を孕んでいる気がしなくもない。オレが何したんだよテメェらこそ壁を破壊したんだからその目を向けられるべきだろと言いたい。

 

「フレディはどの兵団にするか、もう決めた?」

 

 と待ち時間でここまでを振り返って若干気が立ちそうになっていると、右隣に座ったミーナから質問が飛んでくる。

 入団式から今日までミーナとも非常に仲良くさせてもらっているが、それは左隣に座る左腕で頬杖を付いて外を眺める娘。アニも同様だ。

 意外、と言っては悪いかもしれないが、2人は同室ゆえか仲が良いようだ。どれくらい、と言われるとあのアニが自分から世間話をしに行くくらいといえば同期のみんなはわかってくれると思う。もう一人ルースという女の子が居るがそちらも黒髪なのでひょっとするとアニは黒髪が好きなのかもしれない。えっ、もしかしてオレのこと好きなの!?

 

「イデッ」

 

 妄想していると、突然アニがオレの足を踏んづけてくる。

 なんだよ、と抗議するとアニは頬杖をついたままこちらを流し目で見てくる。

 

「あんたが変なことを言い出すんじゃないかと思って、釘を刺しておいたのさ。で、結局どこにするのさ」

「そんなにオレと同じ兵団がいいなら素直に......ごめんってアニ、悪かったよ。オレは調査兵団を考えてるんだ、壁の外がどんな世界か見てみたいから。まあまずは破壊された壁の穴を塞ぐことを考えないとだろうけど」

「やっぱり。フレディはきっとそう言うだろうなって思ってた」

 

 アニに睨まれながら答えると、ミーナがどことなく寂しそうな顔をして呟く。かと思えば、何かを決心したようにオレの目をじっと見つめながら力強く口を開く。

 

「決めた。私も調査兵団にする!」

 

 なにか思うところがあったのか、ミーナはそう宣言する。若干名の視線が彼女に向いていることも気にしていない、という様子だがやはり不安はある。

 調査兵団とはつまり、敵地に玉砕覚悟で飛び込むようなものだ。ミーナに天寿を全うさせたいオレとしては止めたい気持ちもある。ここは少しビビらせてみよう。

 

「んん。あの日、直接巨人を見ていないオレが言えたことでもないけど。調査兵団は死と隣り合わせになるんだ。それでもミーナは調査兵団に?」

「もちろん。私だって憲兵団に入れたらいいなとか、それは難しいだろうから無難に駐屯兵団かなとか思ってたよ。だけどやっぱり、フレディを見てると私も外の世界が見てみたいんだ。それにフレディとなら何となく出来そうな気もしてくるし」

 

 な、なんだこれは......後光がさしている!? クリスタ以外にもこの技を扱える逸材が居たというのか......やはりミーナ、ポテンシャルが高い。早期退場にはあまりにも勿体ない、何としてもオレが生かしてみせるぞ!

 

「アニもそう思うでしょ?」

 

 ミーナの言葉に感動していると、彼女はオレの奥にいるアニに向かって声を掛ける。

 アニはその言葉にオレの顔を見て少し考え込んだ後、ため息を1つ吐いた後に答えた。

 

「......私は遠慮しとく。けど、確かにアルフレッドが居るならミーナを止めはしないよ」

「あははっ。アニってなんだかんだいってフレディのこと」

 

 何を言おうとしたのか、ミーナが言葉を発しきる前にアニはオレの前を横切り左手でミーナの口を抑えた。

 そして威圧感たっぷり、いつものおっかない顔をしながらミーナに耳打ちする。

 

「対人訓練がしたいなら付き合うよ。ミーナがその気なら」

「イイエ、ケッコウデス」

 

 流石のミーナもアニの怒った顔には恐怖するのか、冷や汗を流しながらカタコトで返事をしている。アニはどちらかというと可愛いだよね、と2人で盛り上がったこともある彼女に助け舟を出したいのは山々なんだが。体勢が体勢で若干強調された目の前にあるパーカー越しのアニの山々......いや、小山々か? とにかく形の綺麗そうな山に目が吸い込まれてしまう。

 クッ、オレが尻派で良かったぜ。正直対人訓練の時に寝技をかけてくるアニのせいで中立から尻派に目覚めてしまったのだが、これはこれでまた......ハッ!?

 

「ふ、当たるかオバァッ!?」

 

 左フックを上体を反らして鼻スレスレで交わす。しかし直後に後頭部から伸びるアニの右手で顔を押さえつけられ、額を机に強打。

 そこに畳み掛けるようにして、衝撃のあまり軽くはずんだオレの顔をミーナにしたように左手で掴んだ。あ、これミーナと間接キスでは!? アニの手をペロペロ......したら良くて半殺しだからやめておこう。

 

「あんたは少し、遠慮ってものを知ったほうがいいね」

 

 声を出すとおそらく悪化するので、黙ってコクコクと頷く。その反応に満足したのか、アニは手を離すと再び頬杖をつく。

 見逃さなかったぞアーちゃん、一瞬だけ左手を見た後に頬杖をついたな。これはもうどう考えても脈アリだろ! オレをフレディじゃなくてアルフレッドって呼ぶのもアニだけだし、1周回って愛情表現として捉えてしまおうそうしよう。

 まあ、現実逃避の前に流石に女性の体をジッと見ているのは気持ち悪いという自覚があるので素直に謝罪するのが最優先だ。お説教代わりの頭痛を止めるためにも。

 

「アニ、見ていたのは事実だから不快な気持ちになったのなら謝らせてほしい。すまなかった」

「......別に、あんたはそういう奴だからね。ただ他が許すかはわからないよ」

「あ、うん。気をつけるよ」

 

 え、オレってそんな女性をジロジロ見る男だと思われてんの?

 それが引っかかってしまい、ミーナに目で訴えかける。彼女はぎこちない笑顔を浮かべて明後日の方向を見ているが......なんてこった。これでは紳士さの欠片も無いじゃないか。

 幸いにもアニはオレのオイタを見逃してくれるようだが、本当に嫌な人も居るだろう。これからは女性と話す時だけでなく、近くにいるときの目線の動きも気をつけるべきか。

 

「上手く勘違いさせたなぁアニってば......」

「ん? どうしたミーナ」

「いや、なんでもないよ! 教官まだかなって」

 

 ボソリと何かを呟いたミーナに聞き返すと、手を振ってはぐらかされる。

 そんなにオレの視線がモロバレだったなんて、ちょっと。いやかなり恥ずかしい。それよりも今は、会話を広げようとしてくれるミーナ越しのベルトルト・フーバーだ。オレが女性を見ているのがバレていないと思っていたように彼もまたオレを睨んでいるのがバレていないと思っているのだろうが、なるほど。人からの視線というのは存外気づきやすいものだな。反省すべきだ。

 

「諸君! 本日は駐屯兵団と調査兵団から1名ずつ。両兵団についての説明と実際に所属している兵士としての実体験を説明するため、貴様らが目指すべき道を固めるために講師として現役兵を招いた! この機会を存分に活用するように!」

 

 ここでキース教官がやってきたので、ミーナとのおしゃべりを中断する。

 現役の駐屯兵団と調査兵団か。憲兵団が来ないのは、まあお察しというところだな。どんな人だろうか、楽しみだ。




現在公開可能な情報

104期生の中で最も人望に厚い人物は誰か、と聞けばアルフレッド・ガイスギーチとライナー・ブラウンの名前が上がるだろう。
両者とも伸び悩んでいたり個人的な理由で訓練に集中できていない者がいれば自分から声をかけ、親身になって相談に乗ってくれると訓練兵の中で評価が高い。

しかし教官たちには両者に大きな違いがあると見ている。それは気難しい性格をしている者を扱えるか否か。
具体的に言えばアルフレッド・ガイスギーチの場合は孤立気味なアニ・レオンハートや、クリスタ・レンズ以外には極端な態度を取るユミル、その発言から顰蹙を買うことのあるジャン・キルシュタイン等との付き合い方が絶妙だと言う。
ライナー・ブラウンの場合、例に上げた3名のうち2名から受けている扱いが同情してしまうほどである。

デートする人

  • アニ
  • クリスタ(ヒストリア)
  • ミカサ
  • サシャ
  • ユミル
  • ミーナ
  • イルゼ
  • リコ
  • 憲兵団のお姉さん
  • フリーダ
  • ルース
  • キース教官
  • ライナー
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