進撃ロスのサラリーマン、転生し超大型巨人を継承する   作:ダブドラ

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 ギリギリ間に合った・・・・・・

 更新が遅くなりまして申し訳ございません。

 トロスト区奪還作戦の流れを見直したり他作品の執筆を進めておりました。

 9月からはまた週一投稿に戻していきますのでよろしくお願い致します。



十一話 人か巨人か

 

 

 

 

 

 「──えっ?」

 

 

 

 

 後ろにいるミカサから、そんな間の抜けた声が聞こえる。

  

 無理もないだろう。何故なら今、俺達の眼前では──

 

 

 

 

 巨人が巨人を惨殺しているのだから。

 

 

 

 突如現れた二体の十五メートル級。

 その片方は巨人となったエレンで、俺達に襲いかかったもう一体を殴り飛ばした後、執拗なまでにうなじを踏み潰している。

 

 

 「・・・止めを、刺してる」

 

 「急げミカサ! 今の内だ!」

  

 

 俺が呆然としているミカサに声をかけると、彼女はハッとしながら頷いて隣に駆けてきた。

 

 

 「よし、せー・・・のっ!!」

 

 

 横目にそれを確認すると、俺は合図を出しながら再び瓦礫を持ち上げるべく力を込める。

 

 するとどうだ、先程エレンが踏み込んだ衝撃によるものか瓦礫が少しズレたらしく、何とか足一本分の隙間を作ることができた。

 

 俺は応急処置として荷馬車の布で頭の血を拭き取り、その布を辺に転がっている細長い木片と組み合わせてアルミンの足を固定する。

 漫画の見様見真似でかなり不格好だが、しないよりはマシだろう。

 

 

 さあ、後はここから離れるだけだ。

 

 がその前に、まずはアルミンの装置を調べなければ。

 

 

 

 「グラント、何をしているの?」

 

 「ああ、アルミンの立体機動装置が無事か調べてるんだ。・・・・・・よかった、まだ使える」

 

 「・・・?」

 

 俺は頭にハテナを浮かべるミカサへ、アルミンの装置から取り外したガズボンベを差し出した。

 

 

 「使ってくれ。まだ中身は半分くらい残ってる。先に行ってアルミンを本部まで運んでくれないか」

 

 「貴方はどうするの?」

 

 「何とかするさ。考えならある」

 

 「でも・・・!」

 

 「早く行け!! 俺も必ず本部に辿り着いてみせるから、だから早く!」

 

 

 俺は声を荒らげながらアルミンをミカサに預ける。

 それからミカサが飛び去っていった所を見届けると、急いで近くの民家へ飛び込んだ。

 

 

 すでに窓ガラスは割れ、中には床一面に破片が散乱していた。

 

 

 「・・・・・・ふうっ」

 

 

 破片の事など気にもせず、俺は床に座って思考を整理する。

 

 

 まずは本部に戻る手立てだ。自分のガスは漏れなく空なので急ぎ補給をする必要がある。

 ・・・確かここに飛び込む途中、近くに遺体があったのを見ているので調べてみるか。

 

 遺体を漁ってでも生き延びなければいけないんだ。

 

 

 その後は補給室の奪還だが、これは着いてからでいい。アルミンが動けない以上原作通りになる筈はないからな。

 

 さらにその後、トロスト区奪還作戦が鬼門だ。まずエレンの疑いを晴らす過程をアルミン抜きで凌がなければならない

 それと作戦によっては俺が巨人化しなくちゃいけなくなるかもしれない。覚悟はしておこう。

 

 

 

 「・・・行くか」

 

 

 立ち上がる直前に手ごろな大きさのガラス片を拾って懐に忍ばせ、俺は民家の外に出た。

 

 それから一直線に遺体を見た方角へ走る。

 二回ほど角を曲がると、直ぐ目の前には上半身を失った兵士の遺体が捨てられたように転がっていた。

 

 

 頼む、残っていてくれ。

 

 そんな願いを込めながら、俺は遺体が装備している立体機動装置へ手をかける。

 見るとグリップは片方が食いちぎられているが、鞘部分は無事のようだ。

 

 

 「よし、これなら・・・!」

 

 肝心のガスボンベを取り外し、コンコンと軽く叩いてみる。返ってきた音からすると、中身は僅かだが残っているみたいだ。

 

 

 俺は直ぐにガスを交換し、屋根の上へ飛び上がった。

 

 直ぐに周囲を見回すと数ヶ所から白煙が立ち昇っているのが見える。状況から考えてエレンが巨人共を倒したんだろう。

 

 見える限りでは大型の巨人はいない。行くなら今だ。本部に辿り着きさえすればガスはいくらでも補給出来る。

 

 俺は残りのガスを使い切る勢いで蒸し、ただひたすらに本部を目指した。

 

 

  

 

 「うおおおっ!!!」

 

 

 そして本部のすぐ目の前まで近づくと、腕で顔を庇いながらすでに割れている窓へ突っ込む。

 

 僅かに残った窓ガラスの一部を巻き込みながら中へ入り受け身をとると、目の前に立っていた人物と目が合った。

 

 「グラント!?

 

 「取り込み中・・・だったかな。ジャン」

 

 

 ジャンは補給兵と思しき男性の胸ぐらを掴み上げている。ということは皆も到着して少し経った位か。

 

 「ああそうさ。コイツら補給室に入り込んだ巨人共を放置した挙句、今までここに引きこもっていやがったんだ」

 

 「なるほど・・・。そうだ、ミカサは来てないか?」

 

 「ミカサなら向こうだ。クリスタ達と一緒にアルミンを介抱してる。・・・・・・まさか生きてたとはな。お前も、アルミンも」

 

 「ミーナと約束したんだ。だから死ぬ訳にいかないだろ」

 

 

 俺はそう言って背を向けると、ミカサ達のいる方へ歩き出した。

 

 早く行かなければ。案の定飛び込んだ時の音で気づいたようで、既に視線が俺の方に向いている。

 

 

 

「グラント!良かった・・・!」

 

「オイオイ、マジで生きてやがったのか」

 

 そう言いながらクリスタは目元に小さな涙を浮かべ、隣でユミルが心底驚いたような表情をしている。

 

「そんな事言って、貴方だってグラントの事心配してたでしょ」

 

「ばっ、何言ってんだよクリスタ! 私は心配してたんじゃねえ、コイツが死んだら()()()悲しむから気にしてただけだ」

 

「それを心配してるって言うんじゃないの?」

 

 

 笑みを浮かべたクリスタの一言に、ユミルは不貞腐れたようにそっぽを向いてしまう。

 

 

 

「もう、素直じゃないんだから」

 

 「ホントね」

 

 クリスタが呟く前で俺も少し口元を緩めていた時、クリスタの後ろから現れたのはミーナだった。

 よく見ると目元に泣いたらしき痕があるが、顔色は前よりもずっと良くなっている。

 

「ミーナ、無事だったんだな」

 

「それはこっちのセリフ。グラントがミカサを行かせた後一人で残ったって聞いて、最初は正直気が気じゃなかったんだから」

 

「心配させて悪かった。それと・・・ありがとう。信じてくれて」

 

「ううん、お礼を言うのは私もだよ。私が立ち上がれたのは、貴方の言葉のお陰だから。それにミカサがここに来てアルミンが生きてるって分かった時、自分で勝手に諦めてただけなんだって気づけたの。だからグラントも戻って来るって信じられた」

 

「・・・強いよ。ミーナは」

 

「もー、そんな事ないって」

 

 

 気恥ずかしそうな様子のミーナに笑いかけ、俺はミカサの方へ顔を向ける。

 その側を見るとアルミンが横になっており、訓練兵のジャケットが掛け布団代わりに掛けられていた。

 

 

 

 

 「良かった。無事で」

 

 「二人の方こそ辿り着けて良かったよ。・・・・・・アルミンの容態は?」

 

 「まだ目が覚めない。それと左足以外に怪我は見当たらなかった」

 

 「あと少し熱もあるみたい。ここじゃ手当も治療もできないから、早く壁の上まで運んだほうがいいと思う」

 

 ミカサの説明にクリスタが補足をする。

 改めてアルミンをよく見ると、俺が施した粗悪な応急処置がそのままになっていた。

 

 

 「私は骨折の手当の仕方を知らないから、下手に触ってはいけないと思って」

 

 「ミカサの判断は正しい。骨折以外の負傷がないとも限らなかったからな」

 

 「でも、どうしよう・・・。このままじゃアルミンが・・・」

 

 そう言って心配そうにアルミンを見つめるクリスタ。

 

 俺はそんなクリスタ達に聞こえる声量でこう言った。

 

 

 「一番手っ取り早いのは、補給室を奪還する事だ」

 

 

 「・・・お前、やる気か?」

 

 「ああ。考えならある」

 

 ユミルが訝しげな様子で聞いてくるが、俺には原作知識があるので問題ない。

 折角ある知識を今まで然程活かしてこなかった分、こういう所で活かすべきだろう。

 

 

 「なら、私も行こう。クリスタ、アルミンを見ていて貰える?」

 

 「もちろん。・・・気をつけてね」

 

 「ありがとう。行ってくる」

 

 そう言ってミカサは立ち上がりこちらを見る。俺は先にクリスタへ頷くと、ミカサに目を合わせてその場を後にした。

 

 

 

 「ライナー、アニ、今いいか?」

 

 「良いけど、というか生きてたんだ」

 

 「全く心配させやがって・・・・・・それで、何だ?」

 

 

 「それについては本当に悪かった。本題なんだが、補給室を奪還するのに手を貸してほしいんだ」

 

 

 続いてライナーとアニに早めに声を掛けた俺は、原作でアルミンが考案した作戦をほぼそのまま話した。

 

 ゴンドラを用いて十数人を補給室へ下ろし、散弾銃で目を狙う。そして上手く視界を奪えた所で選抜されたメンバーが上から奇襲しうなじを削ぐ、というものだ。

 

 「なるほどな。補給室に入り込めるサイズの巨人なら、それで何とかできるかもしれん」

 

 「私はアンタに従うよ。どの道補給室に入れない事にはここから動くことさえ出来ないんだから」

 

 「ありがとう。それじゃ、行動開始だ」

 

 

 

 こうして、俺達は補給室奪還作戦を開始した。

 

 まず原作でもうなじを狙う役目を担った主要メンバーには俺から説明し、散弾銃を使って巨人を引きつける役の選抜は原作で指揮を執っていたマルコに任せた。

 

 ちなみにミーナは自らそこに志願しており、彼女なりに立ち向かおうとしてくれているようだ。

 

 

 そして決行の時を迎え、俺含む成績上位者九人は補給室の梁の上で待機。

 

 巨人を引きつけての一斉発砲は無事成功し、作戦は滞りなく進行。原作とは違って誰も仕留め損なう事なく、補給室内の巨人の駆逐に成功したのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 見事補給室の奪還に成功した俺達は急ぎガスと刃を補給し、ウォール・ローゼを目指して移動を開始した。

 

 俺もアルミンを部屋にあった縄紐で背中合わせに縛りつけ、両手が使える状態にする。確か原作でベルトルトがエレンを同じやり方で背負っていた筈だ。

 

 ただ、おそらくアルミンは足を骨折している。その為本来なら危険な行為だが今は迷っている時間などない。

 

 

 とにかく壁を目指すんだ。

 

 

 

 それから少しして、ミカサの先導でウォール・ローゼを目指そうとした時だった。

 

 本部の前で、巨人化したエレンが尚も数体の巨人と戦っていたんだ。

 両腕を失い、左の肋骨が露出している満身創痍の状態ながらもエレンは巨人のうなじへ噛みついて離さない。

 

 だが流石に力尽きたようで、原作通りに倒れ込むと身体中から蒸気を発し始める。

 

 

 「・・・・・・!」

 

 やがて蒸気が段々と晴れる中、遂にエレンがうなじから姿を現す。

 それを見逃さなかったミカサは直ぐ様飛んでいき、エレンの身体を抱き止めて脇目も振らず号泣した。

 

 ジャン達はというと、何が何だか分からないという表情でその光景をじっと見つめていたのだった。

 実はコニーを先に行かせた為に巨人化したエレンの事が知らされず、且つ原作より早く移動させられたのか本部に張り付く巨人が現れる前に辿り着けたようだ。

 

 

 だから“巨人を殺しまくる奇行種”の話題が一切出なかった。

 

 

 だがこれでライナーとアニがエレンの巨人化能力を認知したな。現に他の皆とは動揺の種類が明らかに違う。

 

 

「悪いが先に行く。エレンの事は任せていいか?」

 

「あ、ああ。早くアルミンを運んでやれ」

 

 

 移動する前にそう告げると、ライナーは動揺しながら返した。アニはエレンに気を取られて周りが目に入っていないのか、隣にいるのに全く動かない。

 

 

 俺はそのまま、ウォール・ローゼへ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 ウォール・ローゼ壁上。

 

 

 無事に壁までたどり着いた俺は、資材の詰まった箱から布を探して広げ、そこにアルミンを寝かせた。

 そしてその足で壁を降り、内地側に作られた小さな街に入ると上官へ報告。負傷兵としてアルミンは医療班に預けられることとなった。

 

 

 その際に骨折した人間を背負って来たことを医療班の班長に咎められたが、よく救出できたなという驚きの方が大きそうな表情をしていたと思う。

 

 

「グラント!」

 

 

 と、クリスタが俺の方へ駆け寄ってくる。そういえばユミルと彼女は先に向かってたんだったな。

 

「アルミンは?」

 

「大丈夫だ。今医療班の方で診てもらってる」

 

「所でミカサ達は?まだ戻って来ないの?」

 

「・・・ああ。皆が行ったら後から来るって」

 

 

 駄目だ。今あの事は言えない。

 

 俺は一足先に抜けて来たから守秘義務云々は課せられていないが、言えば秘密を漏らすことになる。

 原作でジャンが言ってた通り直に広まる、というか作戦の説明で公に堂々と明かされるのだから、それまで隠さなくてはならない。

 

 

 「そっか。じゃあ、私はアルミンの所に行ってくるね」

 

 そう言って小走りしながら手を振るクリスタに、俺も手を振り返す。

 クリスタ・・・・・・良い子だな。詮索せずにいてくれるとは。

 

 

 その後はばったり会ったユミルにクリスタが何処にいるか教え、俺はウォール・ローゼの上に向かった。

 

 予想が正しければ、もう始まっている頃だ。

 

 

 

 

 

  

 「答えろ!貴様は巨人か、それとも人間か!?」

 

 

 

 すると内門の左側辺からそんな声が聞こえてきた。やはり始まっていたか。それに屋根の上まで兵士がびっしりだ。こっちにして正解だったな。

 

 壁上から見えるギリギリまで近づくと、十数人の駐屯兵が集まっているのが見えた。

 中心には大声の主ことキッツ・ヴェールマン隊長がおり、その隣には───

 

 

 「やっぱりか・・・・・・リコさん」

 

 

 俺の師匠でもあるリコさんその人が立っていた。これ以上は大砲を撃つ役の兵士に見つかる為近づけないが、あの銀髪にメガネは間違いなくリコさんだ。それに後ろにはイアン班長とミタビ班長もいる。

 

 

 「質問の意味が良く分かりません!」

 

 すると、エレンがそう答える。

 脇ではミカサに支えられており、原作と同じく再生した左手足は袖がなく靴も履いていない。

 

 使われていない大砲の影で耳を澄ませるがその先の会話は聞き取れなかった。だが状況が良くないことは分かる。

 

 まずミカサが前に出られない。多分エレンから離れる事を本能的に嫌がっているんだ。わずかな隙を突いて立体機動部隊が殺しに来る可能性があるから。

 

 

 というか明らかに原作以上の警戒態勢だ。見る限りエレンに向いている大砲は一つのみ、だがエレンを取り囲む人員が倍くらいになっている。

 

 

 果たして、今割り込んで説得できるのか?考えは無いこともないが、アルミンの言葉をそのまま引用したとして本当にそれで良いのか?

 

 駄目だ、あの役目は俺じゃ務まらない。ならどうする?考えろ、考えろ・・・・・・!

 

 

 と、考えることに集中していたその時。

 

 

 「あっ!?

 

 俺の目に入ったのは、エレンに狙いを定めていた大砲とは()()()()が動いている瞬間だった。

 

 急いで下の方を見ると、キッツ隊長が今まさにその長い右腕を振り上げ、発射の合図を出そうとしている。

 

 

 マズい!!

 

 今のエレンじゃ複数方向からの砲弾は防げない!それにあの大砲の位置だと時間差で弾が到達する上、一発目を防いだ後じゃ気づけないだろう。

 

 

 となれば、もう迷っている暇はない。

 

 

「くッ!!」

 

 

 

 俺は懐からガラス片を取り出すと、トロスト区側へ振り返り走る。

 

 

 そのまま壁を飛び降り、右手に持ったガラス片で左手を切り裂く。

 

 

 

 

 次の瞬間───

 

 

 

 トロスト区に、巨大な雷が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 <後書き>

 十一話、お読み頂きありがとうございました。

 ようやくオリ主が巨人化しましたが、元々どういう流れにするかずっと迷っていまして、更新にも影響が出ておりました。

 ですが今回の更新で色々と整理できましたし、調査兵団入団以降の話はある程度先までプロットがありますので楽しみして頂ければと思います。

 という訳で、次回もよろしくお願いいたします。

 

 
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