進撃ロスのサラリーマン、転生し超大型巨人を継承する   作:ダブドラ

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 まずは40000UAありがとうございます!

 今回で事実上トロスト区編は終わり、次回はエピローグ〜新章の冒頭となりますのでよろしくお願いします。

 


十四話 目覚め

 

 

 

 「リヴァイ、兵士長・・・!」

 

 「まさか・・・もう調査兵団が戻って来たのか!?」

 

  

 トロスト区奪還作戦の遂行中、突如現れたリヴァイ兵長を前に俺もリコさんも驚きを隠せなかった。

 

 

 「ああ、実は作戦開始前に連絡があったんだ。十数分はかかるとな」

 

 なるほど、あの時イアン班長が言ってたのはそういう事か。

 

 原作では穴を塞いだ後に到着した筈だが、おそらく早まった理由は俺が巨人化したからだろう。

 考えてみればピクシス司令の到着が遅れたのだから、作戦開始自体も遅れて当然だ。

 

 

「オイ、何をぼさっとしてやがる」

 

「はっ!失礼いたしました!」

 

 と、そこで兵長から鋭い視線を向けられたので慌てて向き直る。

 勢いそのまま敬礼をしつつ、俺は聞かれていた通り兵長へ状況の説明をするのだった。

 

 

「じいさんめ、俺達がいない間に随分と危険な賭けに出やがったな・・・」

 

 兵長は説明を聞き終えると、呆れ交じりの表情をしながら呟く。

 そりゃそうだ。いきなり作戦内容を聞かされてスッと納得できる方が少ないだろう。

 

 皆キッツ隊長のような反応になって当然だ。

 

 

 「予め言っておくが、今トロスト区に戻ってきたのは俺と俺が選んだ数人の部下だけだ。他の奴らはまだ少しかかる」

 

 

 その一言と同時に、兵長の後ろから四人の兵士が降り立った。

  

 原作でリヴァイ班の班員として登場した四人だ。

 兵長を中心として、左端からエルド・ジン、グンタ・シュルツ、ペトラ・ラル、オルオ・ボザドの順で並んでいる。

 

 兵長の発言から察するにリヴァイ班そのものはまだ編成されていないのだろうが、時期を考えればこの人選も納得だ。

 

 

 「いいかお前ら、俺達はこれから入り込んだ巨人共の対処に加勢する。まずエルドとグンタは俺と来い。前衛で巨人を引きつけて数を減らす」

 

 「「了解!」」

 

 

 

 「オイお前、名前は」

 

 ペトラさんの方を向いたかと思いきや、兵長は何か思いついた様子で俺の方を向いて尋ねてくる。

 

 

 「はっ!グラント・ベルツァーです!」

 

 「グラント、ガスと刃は残っているか」

 

 「問題ありません!」

 

 

 勢いよく敬礼をし、名乗る。

 

 まだまだ戦える事を告げると、今度こそ兵長はオルオさんとペトラさんの方へ向き直った。

 

 

 「オルオ、ペトラ、コイツを連れて既に入りやがった巨人を仕留めろ。駐屯兵とそこの訓練兵はさっさとエレンとかいうガキを回収して叩き起こせ」

 

 「「了解!」」

 

 「了解。救援、感謝します」

 

 兵長が指示を出し終えると、リコさん達はミカサを連れてエレンの元へ。

 それからエルドさんとグンタさんも兵長に続いて移動を開始したため、この場には俺含む三人が残された。

 

 

 「ペトラ、俺たちも行くぞ」

 

 「ええ。それじゃ、よろしくね。グラント!」

 

 「よろしくお願いします! ペトラさん、オルオさん」

 

 「ふん。良いか新兵、ここからは俺達の指示に従ってもらう。勝手な行動はするなよ?」

 

 「はっ!」

 

 

 

 かくして、俺達三人は行動を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 早速ワイヤーを射出して飛び上がってみると、既に大小様々な巨人が市街地中を彷徨い歩いていた。

 数自体は原作とそれ程変わったようには見えないが、おそらく壁の向こうに控えているんだろう。

 

 悠長にしている暇はなさそうだ。

 

 

 「チッ、もうそこまで来てやがる・・・!」

 

 「急ぐよオルオ!」

 

 「分かってる!」

 

 

 オルオさんがかなり近くまで迫っていた一体に気づくと舌打ちをしながらもガスを蒸して加速。

 その後ろにペトラさんと俺も続いて、巨人の真横から一斉に切りかかった。

 

 

 「はぁっ!」

 

 初撃はペトラさんによる足首の腱を狙った一撃。これによって自立できなくなった巨人はバランスを崩し、建物を破壊しながら倒れ込む。

 

 顔から突っ込んだ事で露出した弱点を目掛けてオルオさんが急接近するが、それを阻止するように巨人が手を動かした。

 だがそれを俺は見逃さず、腕が伸び切る前に手首へ刃を振り下ろす。

 

 

 「ふッ!」

 

 そこまで大きな個体ではなかったからかスッと刃は通り、ゴトリと腕が落ちた。

 

 

 「うらァッ!!」

 

 そして、一連の流れで巨人が俺に気を取られた隙に背後へ回ったオルオさんによってうなじを切り裂かれ、巨人は絶命したのだった。

 

 

 「やった!」

 

 「まだ一体だ。気を抜くなよペトラ」

 

 「勿論。それにしても驚いた・・・。グラント、貴方訓練兵とは思えないくらい強いのね」

 

 「そんな・・・いえ、ありがとうございます。ペトラさん」

 

 「素直でよろしい。お陰でオルオも助かった訳だし」

 

 「確かに新兵にしちゃやる方だが、俺に言わせりゃまだまだだな。まぁ、一応礼は言っておいてやる」

 

 

 オルオさんってこの時点でそんな喋り方だったか?

 

 いや、でもクラバットは付けてないし口調も兵長リスペクト全開って訳じゃないか。

 

 何にせよ少しは打ち解けてきた。巨人はまだまだいるんだから気を引き締めよう。

 

 

 

 それから俺は二人の補佐として、迫りくる巨人共を討伐していった。

 

 基本的にはペトラさんの動きに合わせて足を狙うか、取りこぼしそうな小型を仕留める事に徹した。

 

 大型が出た際は二人の見事な連携に目を奪われた。アイコンタクト一つで同時に両足を狙ったり、うなじと足首を別々に狙ったりと正に息ぴったりだ。

 

 流石は熟練の兵士だ。勉強になる。

 

 

 

 

 

 その後、更に数体の巨人を討伐し目に見えて壁内をうろつく奴らの数が減った頃。

 

 リコさん達はそろそろエレンを回収し撤退できただろうか。

 

 

 

 「これで五、いや六体目か?」

 

 「多分五じゃないかな」

 

 「見える範囲では減ってきましたね」

 

 「うああああ゙あ゙あ゙!!」

 

 「っ!」

 

 すると、ほんの僅かではあるものの一息ついていた俺の耳に悲鳴が聞こえる。

 

 

 今の声、まさか・・・・・・。

 

 

 聞き覚えのある声に胸騒ぎがしながらも、俺は二人に断って飛び出した。

 

 

 「今、悲鳴が聞こえなかった?」

 

 「ああ・・・ってグラント!何処に行く気だ!?」

 

 「すみません! 直ぐに戻ります!」

 

 

 

 

 

 

 そして屋根の上を駆けていく俺の眼前にあったのは。

 

 

 

 「おい、マル・・・コ・・・?」

 

 

 マルコだ。マルコが巨人に食べられようとしている。

 

 

 

 「ぐ、ああああああッ!!!」

 

 その光景を目の当たりにして、俺の中で何かが弾けた。

 

 今まで出したことのない叫び声を上げ、無我夢中で巨人のうなじへ刃を振るう。

 それによって吹き出た血を浴びた事も気にせず、俺は巨人の口から離れたマルコへ駆け寄った。

 

 

 ・・・・・・間に合わなかった。

 

 

 マルコは死んでいた。

 顔の右半分と右肩を齧り取られ、そこから流れ出た血が灰色の地面を染めていく。

 

 正直に言うと、マルコは死なないと思っていた。

 

 ベルトルトがいないからライナーとの会話は発生しない。つまりマルコが話を聞いてしまう事もないのだ。

 殺される理由がないのに、何故。

 

 

 「・・・あ!」

 

 改めて見ると、マルコは立体機動装置をつけていた。という事は別の理由で死んだのか。

 

 誰かを庇った、とか。

 

 

 

 

 

 いや、悔やむのは後にしよう。今は作戦を成功させないと。でなければ、マルコの死に報いる事ができない。

 

 

 

 「すまない、マルコ」

 

 俺は去り際にマルコの遺体を建物の影に安置した。グチャグチャにならないように。マルコだと分かるように。

 

 

 

 

 それからオルオさん達の所に戻ろうと屋根を登ると、一組の男女が既におり、じっとこちらを見つめていた。

 

 「アニ、ライナー」

 

 「・・・気をしっかり持てよ、グラント。マルコの事は残念だった」

 

 「ああ。そういえば、二人は何時からここにいたんだ?」

 

 「ついさっき。私達が来た時には、マルコはもう」

 

 「お前が来たのはその直ぐ後だ。正直驚いたよ。お前があそこまで感情を剥き出しにしている所は初めて見た」

 

 「そうか」

 

 

 何故見てるだけだったのかと聞くつもりだったが、間に合わなかった俺にそんな事を言う資格はない。

 

 口に出かけた言葉を呑み込みながら、俺はその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 「グラント、お前何やってんだ! 勝手な行動はするなと言ったのが聞こえなかったのか!?」

 

 「・・・・・・すみません」

 

 それから戻るとオルオさんに咎められる。対してペトラさんは心配そうな様子だ。

 

 

 「ねえ、何があったの? 良かったら聞かせて貰えないかな」

 

 

 断る理由はない。いや、むしろ誰かに聞いてほしかったんだろう。だから俺はマルコの事を打ち明けた。

 

 俺が話す間、ペトラさんは驚きながらも話を聞いてくれた。

 そして話終わるとペトラさんは元の優しげな表情に戻り、俺の肩に手を置いて言った。

 

 

 「仲間を失う辛さは、私にもよく分かる。後悔する気持ちも」

 

 「ペトラさん・・・」

 

 「生き残るよ、グラント。何としてでも。死んじゃったら仲間を思い出す事も、後悔する事も出来ないから」

 

  

 そうだ。俺には目的がある。変えると決めたからには死ぬわけにはいかない。

 生きて、マルコの事を伝えなければいけない。誰にも知られず死んだわけじゃないと。

 

 

 俺は拳を握りしめて立ち上がった。

 

 

 

 

 ──その時だ。

 

 

 突如雷鳴が轟き、市街地に光球が発生したのだ。

 

 やがて、光の中から姿を現したのは巨人になったエレンだった。

 

 

 「───エレン!?」

 

 「嘘・・・!?」

 

 

 確かエレンは砲弾を防ぐ為の巨人化をしていないので、一回分の余力は残っていても不思議ではない。

 どうして目覚めたのかは気になるが、それは後でミカサに聞けばいい。

 

 

 今はまず──

 

 

 「援護しましょう、エレンを

 

 「お前に言われるまでもねえ。行くぞ!」

 

 「勝ちに行こう、グラント!」

 

 

 そして、俺達はエレンの元へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 「リコさん! ミカサ!」

 

 

 大岩の付近にいた二人へ声を掛ける。

 

 

 どうやらイアン班とミタビ班は未だ班員を引き連れて巨人と交戦中。兵長達の加勢もあって数はかなり減った

ようだ。

 

 

 「エレンに何が?」

 

 「私にも分からない。何度か声を掛けていたら、急に目覚めて巨人に」

 

 

 どういう事だ?ミカサの呼びかけがアルミンの説得の代わりになったのか?

 

 ・・・・・・ともかく考えるのは後でいい。エレンはもうすぐ大岩へ到達する。

 

 

 本当の勝負はそこからだ。

 

 

 

 

 ウオオオオオオオオォォォォ!!!!

 

 

 すると、凄まじい雄叫びと共にエレンが大岩を持ち上げようと力を込め始める。

 自分のすべき事を果たそうとしているその姿からは、暴走した一度目とは違う、強い意志が感じられた。

 

 

 やがて、グラつきながらもエレンは岩を持ち上げる事に成功。そのまま穴へ一歩ずつ進み始めた。

 

 

 後はエレンを守るだけだ。

 

 

 「イアン達に続け! 私達の命に変えてもエレンを守るんだ!!」

 

 

 そこで響き渡るのはリコさんの声。

 

 皆を鼓舞するべく放たれたその叫びに、周囲にいた兵士達が声を上げて動き出す。

 俺もそれに続こうとしたが、眼前に現れた影がそれを遮った。

 

 

 「兵長!」

 

 「お前何してやがる。もう調査兵団の増援も到着してるぞ。ここからは───総力戦だ

 

 

 その言葉に、背筋がゾワリとする。やっぱりこの人は次元が違うな・・・。

 

 

 「後は手を拭いておけ。汚ぇぞ」

 

 

 ん、手? ・・・・・・あ。

 

 兵長に言われて見てみると、俺の手は血に塗れていた。巨人の血は蒸発するが、人間の血はそうはいかないよな。気づかなかった。

 

 間違いなくマルコの遺体を動かした時に付着したんだろうな。

 

 

 俺は懐から忍ばせておいた布巾で手を拭き、先に飛び去った兵長の後に続くのだった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 「よし、三体目!」

 

 

 そう声に出すと、息を整えて頬に跳ねた血を拭う。

 

 戦線に参加して三体目の巨人を仕留めたが、未だに巨人は入り込んでくる。

 等間隔に、絶えることなく。

 

 だが調査兵団の帰還によって戦力が大幅に強化され、戦況は良い方向へ傾きつつある。

 エレンはあと少しで穴に到達する所まで来ているし、あと一歩だ。

 

 ちなみに壁の隅に寄せる予定だった巨人は兵長達がある程度仕留めたらしく、多くの人員がこちらに割かれている為原作よりも状況は良くなっていると思う。

 

 

 「っ、させるか!」

 

 などと考え事をしている内にエレンは壁際に到達。加えて穴からは追加の巨人がまたも入り込んで来た。

 

 俺はエレンの前に出ると、一番手前にいる巨人の足を削って転ばせる。

 すると予想通り、後続の巨人達が連鎖する様に転んでいきうなじが露わになった。

 

 「はああッ!!」

 

 「ッ!」

 

 そこへリコさんとミカサが現れ、それぞれうなじを抉る。

 俺も最初に転ばせた巨人を仕留め、これをもって穴までに障害となる巨人は駆逐した。

 

 

 ───いけ! エレン!

 

 

 

 「エレンッ!!

 

 

 オオオオオオアアアアアアア!!!!!

 

 

 

 ミカサの声に重なってエレンは雄叫びを上げる。

 

 そして、その身に担いだ大岩を降ろし、穴へ叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やった・・・・・・?」 

 

 静かになったトロスト区内で、ミカサが呟く。

 

 

 見ると壁の穴はしっかりと塞がっていた。

 

 

 「ああ、そうだ。人類が勝ったんだ!」

 

 

 リコさんは声を震わせながら、手にした信煙弾を撃つ。

 

 

 

「皆、命を掛けた甲斐があったな・・・・・・!」

 

 

 

 

 

 トロスト区に、一筋の黄色い煙が立ち上った。

 

 

 

 

 

 

 

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