進撃ロスのサラリーマン、転生し超大型巨人を継承する   作:ダブドラ

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 まずは投稿が遅くなり申し訳ございません。
 
 そしてお気に入り1000突破本当にありがとうございます。沢山の方に読んで頂けたうえにこれだけの評価を貰えて感無量です。

 今後とも面白いと思って頂けたら幸いです。

 ※今回には強めのグロテスクな描写が含まれますのでご理解の上でお読みください。



調査兵団編
十五話 戦いの後


 

 

 

 

 その日、人類が初めて巨人に勝った。

 

 

 

 

 

 トロスト区奪還作戦が成功してからおよそ一時間が経って今。

 

 俺とミカサ、エレンは壁を登り切ろうとしていた。

 

 

 

 というのも、リコさんからエレンの身柄を受け渡す為に壁の上で待機していろと指示があったのだ。

 だがリフトは負傷者の運搬で使用中のため、立体機動で登る羽目にはなったが。

 

 当のリコさんは今頃、司令や帰還した調査兵団と話をしているんだろう。作戦成功の報告もしなきゃいけないと本人が言っていたしな。

 

 

 ちなみに間があったとはいえ三度も巨人化したエレンは流石に体力の限界を迎えたようで、うなじから回収した後は俺の背で気を失ったままだ。

  

 

 やがて壁を登り終えると、近くの固定砲にエレンをもたれ掛からせる。

 

 

 よし、後は下に敷く布か何かを探そう。

 

 そう思って周辺を見回すが、それらしきものは見当たらない。確か鎧が襲来する前に置いていた砲弾入りの木箱は、先の戦いで殆ど使い切ったようだ。

 

 ぶどう弾*1は命中精度が高くない分、数を消費するからだろうか。

 

 

 

 すると、内門の方からこちらへ歩いてくる調査兵団らしき集団とその先頭に立つリコさんの姿が。

 

 

 「思ったより早かったな。なぁミカサ・・・・・・ミカサ?」

 

 その事を知らせようと振り返ると、何とミカサがエレンを膝枕していた。

 

 エレンの頭を撫で、優しい笑みを浮かべながら。

 

 「敷く物を探さなくても、こうすれば良い」

 

 「そ、そうか」

 

 ・・・・・・単に膝枕がしたいだけにも見えるが、言わないでおくか。

 

 ミカサは満足そうにエレンの頬へ手を当てている。

 確かに、硬い地べたに布を敷くよりもずっと心地良さそうに見えるな。

 

 おっと、そうこうしている内にリコさん達が直ぐ側まで来たみたいだ。

 

 

 「待たせたな。グラント、アッカーマン」

 

 「リコさん、お疲れ様です」

 

 「ああ。早速だが、イェーガーを預からせてもらうぞ」

 

 「・・・はい」

 

 

 そして、二人の駐屯兵によってエレンは運ばれていった。何とも名残惜しそうな様子のミカサを残して。

 

 

 「アッカーマン、お前は内地側にいるイアンの元へ行ってくれ。そこに訓練兵達が集まっている」

 

 「・・・はい」

 

 

 ・・・・・・ん? ちょっと待て。

 

 

 「イアンの元へって、まさかイアン班長が生きてるんですか!?」

 

 「お、おい!どうしたんだグラント! イアンと何かあったのか?」

 

 「あっ!その・・・すみません。何でもないです」

 

 

 ミカサが壁を降りた事も気付かず大声を出してしまったが、まさかイアン班長が生存していたとは・・・。

 何がどれだけ影響をもたらすか分からないものだな。

 

 

 「はぁ、全く驚かせるな。・・・確かにイアンは生き残ったよ。()()()()()

 

 

 続くリコさんの言葉に、俺は嫌な予感がした。

 

 信じたくない。信じたくなんてないが確かめなければ。あの人がどうなったのかを。

 

 

 「あの、リコさん。ということは・・・」

 

 「ミタビは戻ってきていない。私も直接見たわけじゃないが、多分・・・な」

 

 

 ・・・何て事だ。

 

 

 リコさんに詳しく聞いてみると、イアン班はリヴァイ兵長達と連携を取りながら戦闘を行っていた為死者が一人も出なかったらしい。

 

 だが、ミタビ班はエレンを回収するまでの時間稼ぎとして原作通り囮になった結果、誰一人として戻ってきていないそうだ。

 

 

 俺は曲がりなりにもミタビ班の一員だった身。だからこそ一層死ぬわけにはいかないな。

 

 

 「さて、グラント、お前はここで待て。エルヴィン団長から話があるそうだ。私はやる事があるから本部に戻るが、決して失礼のないようにな」

 

 「はっ!肝に銘じます」

 

 エルヴィン団長が、俺に・・・・・・?

 

 兵長あたりから聞いたのか?だが話って一体・・・。

 そう思っていると、歩き出した筈のリコさんが足を止めていた。

 

 

 「そうだ。すぐにまた会うだろうが、折角だから今伝えておこう。───強くなったな、本当に。お前なら調査兵になっても生き残れるよ。私はそう確信している」

 

 

 そう言い残して壁を降りたリコさんを、俺はただ敬礼をして見送った。言い表せようも無いほどの感謝を込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、いよいよ初対面だ。

 

 

 敬礼を解き、その人の方へ向き直る。

 

 

 「リヴァイ、彼が・・・」

 

 「ああ。そいつがグラントだ」

 

 「君が噂の新兵かぁ!」

 

 

 俺の目の前には三人の調査兵が立っていた。

 左にいるのはリヴァイ兵士長。右にはハンジ分隊長が、そして中央に立っているのがエルヴィン団長だ。

 

 

 「待たせてすまない。私は調査兵団団長のエルヴィン・スミスだ」

 

 「私は分隊長をやっているハンジ・ゾエ。でこっちは君も知ってるリヴァイだ。改めてよろしく!」

 

 「はっ! 第104期訓練兵団所属、グラント・ベルツァーです!よろしくお願いいたします!」

 

 「こちらこそよろしく頼む。リヴァイから君の事は聞かせて貰ったが、本当に良く戦ってくれた」

 

 

 ミカサ並に無表情な兵長と、何やら興奮気味のハンジさんに挟まれながらエルヴィン団長は微笑んでみせる。

 

 ・・・褒めて貰えるのは物凄く嬉しいんだが、絵面がどうにもシュールなんだよな・・・。

 

 

 

 

 「ではここから本題に入る。まず単刀直入に聞かせて貰うが、

 

 

 ───トロスト区内に出現した超大型巨人を、君は目撃したか?」

 

 

 突如放たれたその質問に、全身が強張る。

 

 まさか、疑われているのか・・・?

 巨人の体から出る時はマントで顔を見せないようにしていたし、あの場で立ち向かってきた駐屯兵の大半は俺に気づいていない筈だが・・・・・・。

 

 ただ、リコさんには尋問を見ていたと話しているため、あの場にいない又は超大型巨人を見ていないと嘘をついてもすぐにバレるだろう。

 

 

 「はい、確かに見ました」

 

 

 

 

 

 俺は質問に肯定で返し、リコさんに話した時と同じ嘘の経緯を説明した。

 当時は建物の影に隠れてエレンの尋問を見ていた事、超大型の出現時もその場に隠れていた事を。

  

 

 

 「以上が超大型出現当時の君の行動か」

 

 「・・・そう、です」

 

 「あ、ちょっと良いかな?」

 

 

 警戒しつつ説明を終えると、いきなりハンジさんが申し訳なさそうに割って入ってきた。

 

 「実は、尋問中に君を見たという証言があったんだよ。でも超大型巨人の出現以降、訓練兵の子たちは皆避難していたし駐屯兵の皆さんからの証言も得られなかった。それで君の動向が分からないなら君自身に聞こう、という訳さ」

 

 

 証言があったって、何処から見られて・・・・・・。いや、あの場にはかなりの人数の兵士がいた。端にいた駐屯兵なら見えてもおかしくはないか。

 

 そうなるとやはり、あの時直ぐに壁に登ったのは正解だった。

 

 

 

 「いやぁすまない、説明を抜かしていたよ。そうそう、他にも聞きたいことがあるんだけど・・・・・・君、鎧の巨人と戦ったってのは本当かい?」

 

 

 鎧の巨人か。エレンを回収して逃げただけで厳密には戦ってないんだが、間近で見たし情報提供は出来るな。

 

 

 「ええ、とはいえすぐに撤退したので、戦ったと言えるかは怪しいですが・・・というか、何でそれを?」

 

 「直接見ただけでも充分さ!それで、どうだった!?見た目は?何か気になる事はあったかい?それからsあだっっ!!

 

 

 お、おお・・・。

 

 俺の回答を聞いたハンジさんはそれまで以上の勢いで迫ろうとする。

 だが、横から兵長のローキックが炸裂し、ハンジさんは堪らず足を抑えてしゃがみ込んでしまう。

 

 

 

 「がっつき過ぎだクソ眼鏡。てめえは馬か?」

 

 「リヴァイぃ、も、もう少し加減してくれても良いんじゃないか・・・? まぁ、ちょっと夢中になっちゃった私が悪いんだけどさ」

 

 「お前のちょっとはちょっととは言わねえ。それに、俺としてはかなり加減してやったつもりだがな」

 

 「嘘だぁ!危うく足が折れるかと思ったのに!」

 

 

 足は折れないと思うが、明らかに普通はしない音がしていた。アレは喰らいたくないぞ・・・・・・。

 

 

 「グラント、鎧の事や君が固定砲整備をしていた事は駐屯兵の方から聞いていた。鎧の巨人に立ち向かった者がいる事もだ。それからハンジ、あまり熱中し過ぎるな。彼も驚いているだろう」

 

 「そう、だったんですね」

 

 

 やっぱりエレンの姿は見られていたのか・・・・・・。これは隠し通すのが難しくなってきたぞ。

 

 

 

 「それならリヴァイにも言ってほしいんだけどなぁ。いきなり蹴るもんだからグラントもビックリしてたし」

 

 「何言ってやがる。お前が暴走するからだろうが」

 

 「わーっ!待って待って!頼むからその右足を引っ込めて! ・・・よーしグラント、待たせてすまない。鎧について君の思った事を聞かせてくれ」

 

 

 先程まで命がけの戦いがあったとは思えない空気に苦笑いしながらも、俺は考えを整理する。

 原作知識があるので今後判明する事実を先回りして伝えることもできるが、目的の為には今それをするのはあまり好ましくない。

 

 

 そう、目的の為には。

 

 

 

 「まず立体機動による白刃攻撃は通用しませんでした。振るった刃が逆に砕けていたので。でも鎧を纏っている分、動きは他の巨人に比べて鈍いと感じました。うなじに回ることはそう難しくないかと」

 

 「なるほど。ちなみにその刃を振るった兵士は君ではないのだろう?先程すぐに撤退したと言っていたからな」

 

 「・・・はい、そうです」

 

 

 俺は質問を肯定し、正直にエレンの事を話した。あの時ミカサとの会話を聞いていた人がいないとは限らないし、それでバレるなら自分から明かそうと思ったのだ。

 

 

 「あのガキ、独断専行した挙げ句死にかけてやがったのか」

 

 「だが彼等のお陰で我々は敵の情報を得ることが出来た。これは今後において大きな糧となるだろう」

 

 「ああ。エルヴィンの言う通りだ。私達調査兵団は未だ超大型にも鎧にも出くわしていない。だからこそ、目撃者の証言は何より重要なんだよ」

 

 「ハンジさん・・・」

 

 「という所でそろそろ時間だ。グラント、今日は話を聞けて良かったよ!」

 

 そういってハンジさんはゴーグルを指でクイッと持ち上げてみせる。 

 直後、エルヴィン団長が一歩前に出ると俺のすぐ目の前に立った。

 

 

 「今日は突然の呼び出しにも関わらず応じてくれた事、心より感謝する。・・・実を言うと、この場を設けた理由は話を聞くだけではない。個人的に君に興味があったからでもあるのだ」

 

 「俺に・・・ですか?」

 

 「ああ。リヴァイが名指しで話題に上げた訓練兵がどんな人物なのか、是非ともこの目で見てみたいと思っていいたんだ」

 

 

 兵長が俺を・・・。

 いや、一ファンとしては途轍もなく嬉しいんだが、立場的に話題とやらが非常に気になってしまう。

 

 でも団長は満足気な表情をしているし、良い風に言われたと信じよう。

 

 

 「で、実際の所はどうだ? エルヴィン」

 

 「彼ほど肝の据わった兵士は久しぶりに見た。ピクシス司令に臆することなく作戦を提案した、という話も納得できる」

 

 「あ、ありがとうございます」

 

  

 肝が据わっている、か。

 この身体に転生して数年経ったせいか今まで気にしてこなかったが、確かに巨人を前にしても平静を保てている事は今思うと不思議だ。

 

 おそらくだがベルトルトの記憶が影響しているのかもしれない。

 

 

 

 「最後になるが、君が希望する所属兵科を聞かせてはくれないか」

 

 

 

 「・・・俺は、調査兵団に入って巨人に奪われた故郷を取り戻したいです。何としてでも

 

 

 

 

 最後の質問。その答えはこの世界で目覚めた時から決まっていた。

 

 だから俺は迷わず答えた。

 それを見たエルヴィン団長は変わらず微笑み、ハンジさんは一瞬驚いたような表情を浮かべたかと思うと少し口角を上げた。

 

 兵長は『ほう・・・』と小さく呟いた以外は無表情のままだ。

 

 

 「そうか。ならば我々調査兵団は君を歓迎する。今回の作戦で犠牲となった者たちが繋いだ道を進み、シガンシナ区を、ウォール・マリアを奪還するために力を貸して欲しい」

 

 「・・・了解!」

 

 「では、これで失礼する。君もゆっくりと身体を休めてくれ」

 

 

 エルヴィン団長の言葉に敬礼で答える。そして三人の姿が見えなくなった所で、俺も寮へ戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 翌日。

 

 まだ疲労が瘉え切らないまま、俺は駐屯兵団本部へ赴いていた。

 今は用事を終えて本部から出てきた所だ。同じく呼び出されたミカサと並んで歩きながら。

 

 呼び出しの内容は案の定事情聴取だった。主にエレンの巨人化についてだ。

 エレンの処遇を決める裁判を行うにあたって、俺達同期で交流があった訓練兵に話を聞いている、と駐屯兵の上官は言っていた。

 

 

 「なぁ、ミカサ」

 

 「何?」

 

 「一つ聞きたいことがあるんだ。エレンが二度目の巨人化をした時の事。あの時ミカサが何て声をかけたのか、もし良かったら教えて欲しい」

 

 

 そう。作戦中に突如エレンが目覚めた理由だ。リコさんに聞きそびれていたので、ハンジさんよろしく当人に聞いてみようと考えたんだ。

 

 「私にも何故エレンが目覚めたのかは分からない。あの時は、ただ『起きて』と言い続けていた。それから『早く起きないと皆殺されてしまう』、『お願い、起きて』と呼びかけ続けていたら、いきなりエレンが飛び起きた」

 

 「そうだったのか・・・」

 

 確か原作の一話はミカサがエレンを起こす所から始まった。何か関係があるんだろうか。

 アルミンが呼びかけた原作では精神世界での会話があったし、ミカサも無意識に呼び掛けていたのかもしれない。

 

 

 「ありがとう。お陰でモヤモヤが晴れた。」

 

 「なら、良かった」

 

 

 それから少し歩いた所で俺はミカサと別れ、とある場所へ歩みを進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 数分歩いて到着したのはトロスト区の一角。

 

 道幅の狭い住宅地の通路には、至る所に兵士の遺体が転がっていた。

 

 

 身元も何も判別できない程に凄惨な状態のものから、辛うじて顔が分かるものまで状態は様々だ。

 丸一日放置された事で彼らからは等しく死臭が放たれ、鼻をつく。

 

 このままでは用事を済ませるどころでは無いので、医療班の人から受け取った布巾を口元に巻き手袋を嵌める。

 

 これで幾分かマシになった。

 まぁ何処にあるかも分からない遺体を探すだけでも手間なのに、防腐処理なんてする訳がないし仕方ないんだが、流石にこれは堪えるな・・・。

 

 

 

 しばらく先へ進む途中、とある遺体が目に写った所で俺は立ち止まった。

 

  

 

 「・・・・・・マルコ」

 

 

 それは、俺が救けられなかったマルコの遺体。

 

 巨人に噛み千切られた事で欠損した顔の右半分と首から右肩は腐敗が進み、肌は俺が安置した時よりも白く濁っている。

 

 だが、顔の左半分がそのまま残っていたためマルコだと判別できただけでも幸運だ。

 下手をすれば遺体さえ残らなかった可能性だってあったのだから。

 

 

 

 ・・・・・・ってちょっと待て。

 

 

 ふと、遺体のある一点に目が止まりそれまで考えていた事が全て吹き飛んだ。

 

 本来ある筈のモノが無くなっていたのだ。

 

 そう。

 

  

 

 

 

 

 ───マルコの立体機動装置が無くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
16世紀〜19世紀のヨーロッパで用いられた、弾の中に弾子という小さな弾が詰め込まれた砲弾の事。発射するとその弾子が散弾銃のように飛散する。




 
 <現在公開可能な情報>

 ・グラント・ベルツァーの一人称

 前世でサラリーマンをしていた影響で、目上の人間と話す時は『私』と『俺』が混ざる事がある。
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