進撃ロスのサラリーマン、転生し超大型巨人を継承する 作:ダブドラ
またしても間が空いてしまい申し訳ございません。
少し先までプロットが出来ましたので更新頻度を改善していけるよう努力していきます。
訓練兵団編は後2話ほどの予定です。
入団式の翌日。
俺達104期生の訓練が本格的に始まった。
先ず行われたのは立体機動装置の適性検査だ。
原作読者ならご存知、専用の器具に吊り下げられて姿勢を保てるかを見るという物。
結果から言うとこれに俺は合格した。最初こそ中々安定しなかったが、次第にブレが無くなり案外すんなりと突破出来た。
それと言うまでもないがライナー達原作の主要メンバーはエレンを除き皆合格。
唯一苦戦していたエレンだが、それは原作同様シャーディス教官による妨害だった。
ちなみに俺は、
原作知識があるからここでエレンを助ける、という選択肢はあるが、そうするよりも破損したベルトで一時的にでも成功させたほうが周囲の反応も良いと思ったからだ。
そして、翌日行われた再検査でエレンも無事合格。
後は今後の訓練を乗り越えるだけとなった。
さて、ここからが本番だ。
◇
「これより、立体機動訓練を行う!!」
適性検査から数日が経ち、今日も訓練が始まった。
今回は三人組に分かれてのチーム戦だ。
ちなみに前は初めての立体機動装置ということで、各々のペースで森を飛び回って装置の使い方を覚えたり、感覚に慣れる事に努めた。
「よーし。やってやろうぜ、グラント!」
「・・・・・・知らないヤツと組まされるよりはマシかな」
そして肝心のチームだが、ライナーとアニの二人と組むことになった。
避難所からの付き合いだし連携は取りやすそうではあるが、果たしてどうなるか・・・。
「今回の訓練では、前回よりも捜索範囲が広い! よって班である事の利点を最大限に活かし、より早く目標を発見する事が重要となる! それでは各班、指定された開始位置へ移動しろ!!」
シャーディス教官の指示に従い、俺達は森の中へと足を踏み入れる。
その後入口の先で待っていた別の教官に案内され、数分程で開始位置に到着した。
「では開始までここで待機だ。時間になったら緑の煙弾が上がるので、視認でき次第訓練を開始するように」
「「「はっ!!」」」
教官から説明を受けた俺達は、立体機動装置の確認をしながら作戦を話し合う事にした。
「で、作戦ってどうするつもり?」
「そりゃ勿論連携だ。三人で別々の方向を見張り、目標を発見したら直ぐ知らせるとかな」
「・・・・・・グラントは?」
「基本はそれでいいと思う。後は、闇雲に動き回らない様にしよう」
俺はライナーの案を肯定しつつ、自分の考えを説明する。
立体機動装置での移動に必要なガスには限りがある。なので無駄遣いは避けなければならない。
巨人一体につき複数人で仕掛けるとか、足を狙って動きを封じるといった学んだ事を実践するのは勿論だが、動けなくなっては元も子もない。
制限時間は明言されていないが、森の広さからいってそれなりにあると考えて良いと思うし、落ち着いて行動するべきだ。
「なるほどな。それなら、ある程度森を見渡せる場所に行こう」
「それじゃ、指示は任せるよ。班長」
「ああ。・・・・・・って班長?」
「一応指揮役は決めた方が良いんじゃないの?」
「俺は異存ないぞ。グラントなら適任だと思うぜ」
「そういう事なら、精一杯やらせてもらうよ」
かくして話し合いを終えた俺達は、腰に着けた鞘からブレードを引き抜き空に意識を向ける。
最初の訓練から思っていたんだが、やはり軽い。
内部構造がブラックボックスと言われている事もあり、この軽さで人を飛ばせるとは何とも不思議だ。
それからグリップのトリガーをカチカチと引き、問題ないか見ていた時だった。
「ねぇ、あれ」
そう言ってアニが指差す先では、森の木々より高く上る緑の狼煙があった。
「煙弾だ、いよいよ始まったか!」
「よし、さっき話した通り中央へ移動する。俺が先行するから二人は左右を見つつ着いてきてくれ!」
「「了解!」」
早速、俺達は目の前の木にアンカーを刺し、大きく前方へ跳躍する。
二本のワイヤーに引っ張られ、全身にかかる負荷を感じながら俺の身体が宙を舞った。
動く。頭で考えた通りに身体が応えてくれる。
初めて立体機動というものを体感した時、俺の中で何かが目覚めた様な感覚があったのだ。
“あの場所”に呼ばれた時のような衝撃が走る感覚が。
俺は前世じゃそこまで運動神経が良い訳では無かったから、おそらく巨人の力を継承した事による物だと思っているが真相は不明だ。
何にせよ今は訓練に集中しないと。もうすぐ中央に近づくしな。
「グラント、こっちは一体見つけた。背を向けているし狙いやすいと思うぞ」
「こっちは二体。でも開けた場所にいるから、ほっといたら獲られそう」
すると、ライナーとアニから報告が入る。総取りしたいと思わない事はないが、単騎で仲間を行かせるなど愚策も愚策だ。
となれば答えは一つ。
「一体の方を狙おう。俺とライナーで仕掛けるから、アニは周囲の警戒を頼む」
「分かった」
「よし、任せろ!」
そして、俺はライナーと並んで方向転換し樹木に隠れた模型に接近する。
そのまま俺は速度を上げ、足に当たる箇所のクッションへアンカーを刺し、両手の刃で思い切り削り取った。
「今だ!」
「ふッ、うおおお!!」
次の瞬間、俺の合図でライナーはうなじにアンカーを刺し、その体躯を活かした豪快な一振りで討伐してみせるのだった。
これで一体。次は・・・・・・
「見つけた!奥に二体!」
「どっちから仕掛ける?」
ライナーから聞かれ、俺は標的を見た方向を凝視する。
模型は背中合わせに立てられており、先程見かけた物と違い距離は其処まで空いていない。俺次第だが同時討伐も不可能ではなさそうだ。
そう思い、ブレードを構え直した時だった。
「ヒャッホー!!」
何処からともなくサシャが現れたのだ。サシャはその素早い身のこなしで一気に模型へ突き進んでいく。
マズい、こうも早く出会うとは。とにかく片方だけでも討伐しなくては。
「二人は急いで一体を仕留めてくれ!俺はサシャを追う!」
俺が少し早口気味に言うと、ライナーは直ぐに頷き、アニは何も言わずガスを強く蒸して加速した。
よし、俺も急がないと。
アンカーを刺し直し、少しのガス噴射と大きく上体を振る事で勢いをつけて飛び出す。途中木を伝って高く飛び上がり、そのまま標的へ斬りかかる。
サシャもほぼ同時に模型まで到達しており、どちらが先にブレードを振るうかの勝負になると思われた。
だが、サシャの次の行動は俺の予測を大きく裏切る物だった。
何とサシャは急降下し、模型の足へ斬撃を見舞ったのだ。
正直一瞬何をしているのかと思ったが、ボサっとしている暇はない。
既にうなじへ迫っていた俺は、遠慮なく手に持ったブレードを振るうのだった。
◇◇◇
──森の中・サシャとグラントの遭遇後
「おい芋女! テメェ何考えてやがる!?」
訓練中だという事も関係なく、俺がサシャを怒鳴りつける声が森に響き渡る。
だが突然だろう。何せアイツは、折角見つけた討伐目標を他の班に譲りやがったんだ!
あの勢いなら間違いなくうなじを削ぐことが出来たはずなのに。
「何って、グラントにはパンを貰った恩がありますから」
「・・・・・・そうか。だがソイツは個人の訓練でやってくれ。これは団体戦なんだぞ? 今失った一点が結果に大きな影響を与えるかもしれねえんだ! 俺は憲兵になる為に、負ける訳にはいかねぇんだよ!」
俺は畳み掛けるように声を荒げた。
いきなりの事にサシャも困惑しちまってる。
「ジャン。今は仲間に当たってる場合じゃないだろう。まだ訓練は始まったばかりなんだし、一度落ち着こう」
すると、いつの間にかいなくなっていたマルコが後ろから現れた。
「さっき周りを見てきたんだけど、まだまだ模型は残ってる。今からでも取り返せるよ」
「あ、ああそうか。悪いな、マルコ」
マルコの言葉で我に返った俺は、一先ず謝罪しサシャに向き直る。
「・・・・・・怒鳴って悪かった。」
「いえ。勝手な事をしたのは私ですから」
コイツの相変わらずの態度に腹は立つが、今はそんな事を言っている場合じゃねえな。
「マルコ、指揮はお前に任せる。今の俺じゃ無理だ」
「僕はそうは思わないけど・・・ジャンがそう言うなら」
そして、俺達の班は行動を再開した。
サシャが持っている勘のお陰か、他班の奴らと余り出くわさずに討伐数を重ねられた俺達は、まだ行っていない方角へ行ってみることになった。
だが、そこで俺はとある光景を目にした。
俺達が向かった時、既に辺りの模型は討伐し尽くされていたんだ。
まだ残ってないかと探し回ってみたがそれも空振りに終わり、マルコが唯一見つけた模型もグラントの班がもっていった。
その時のグラントの動きが、目に焼き付いて離れなかったんだ。
正直立体機動には自信があったんだが、グラントのを見て敵わないと思っちまった。
まだ訓練が始まって間もないってのに、訓練兵の動きとは思えないほど洗練されていて、つい見入っていた。
この前本人と話した時は、『ミカサには劣る。他にも俺が皆に敵わない所は色々あるよ』なんて言ってたが信じられるかよ。
・・・・・・お前も十分化け物だろうが。
「あのさ、少し休まない?」
「賛成だ。ガスも残り少ないしな」
「私も賛成です!そろそろ疲れちゃいましたし」
その後、俺達はマルコの提案で一旦休憩を取ることになった。
「ねぇジャン、少し話せないかな」
「何だよいきなり。俺は構わねぇが」
「ちょっと、ね。言っておきたい事があって」
直後、俺はマルコの話を聞くべく木の枝に腰掛ける。マルコも隣に座ると、ゆっくり話し始めた。
「僕は、ジャンには指揮する役割が向いていると思うんだ」
・・・・・・は?
「偉そうに聞こえるかもしれない。でも、怒らずに聞いて欲しいんだ。ジャンは強い人ではないから、弱い人の気持ちが理解できる。それでいて現状を正しく認識する事に長けているから、的確な指示が出せるし、皆と同じ目線から放たれた指示なら切実に届くと思うんだ」
マルコはそう俺に言い切ってみせた。
強い人ではない、か。
「ジャンとは出会って間もないし、訓練だってまだ数回目だ。でも、近くで君を見ていて、僕は心からそう思ったんだよ」
俺はマルコの言葉に、なぜだか心当たりがあると感じていた。
・・・・・・自分が弱ぇ事は分かってる。今回だってサシャに当たっちまったし、普段もエレンと揉めてばかり。およそ強い人間とは思えねえよな。
でも、なんだろう。まだ心の中では諦めてねえ、そんな気がするんだ。
アイツの、グラントの事をみたからだろうか。今も尚負けたくねぇと思っている自分がいる。
もちろんエレンにも負けたくはねぇが。
「俺は、負けたくねぇ・・・!」
「ジャン?」
「ただ十位以内を目指すだけじゃない。俺に勝ち目があるとは言わねえが、かといってただ負けを認めるつもりもねぇ」
俺は立ち上がり、マルコに手を差し出した。
「まだ訓練は終わってねぇ。一先ず時間いっぱいまで目標を探すんだ。だから、手ぇ貸してくれ。マルコ」
「ああ。勿論だ。ここからの指揮はジャンに託すよ」
「あのよ、ありがとうな。お陰で吹っ切れた」
「どういたしまして。それじゃ行こうか。サシャに声を掛けてくるよ」
そして、俺達は訓練を継続するのだった。
アイツらにも、後で声かけとくかな。
◇◇◇
「そろそろガスが切れそうだな」
「でも目に付くやつは大方やったはず」
「残り時間は分からんが、アニの言う通り数は稼げたと思うぜ」
俺がガスボンベをコンコンと軽く叩きながら言うと、アニとライナーも同様に装置を触りながら返す。
訓練開始から数十分。俺達は木の上で様子見をしていた。
「・・・・・・もっと筋力つけた方がいいか」
「ん? どうした、グラント」
「ああ、アレの事だ」
俺は言いながら巨人の模型を指差す。二体並んだそれは両方ともに斬撃痕があり、それぞれ深さが違う。
浅い方が俺だ。
「オイオイ、お前は今より筋肉つける必要ないと思うぜ。見りゃ分かるが十分深い。むしろあれで落ち込んでたらアニの立場はどうなる?」
うっ、それは確かに・・・。
現代の感覚なら男女で比べる、というと如何なものかと思われそうだが、兵士に性別は関係ない。そうなると却って失礼にあたるか。
俺を鍛えてくれたリコさんにも。
「それに、立体機動の技術はミカサを除けばお前がダントツなんだ。自信持って良いと思うぜ」
「ありがとうライナー。後ろを向くのも程々にするよ」
「おう、それが良い」
後は、アニとも話そうか。
そう思ってアニが座る枝に飛び移った時だ。
キィィィィィィン!!
突如甲高い金属音が聞こえてきたのだ。
「これは、音響弾?」
「終了の合図か」
「だと思うよ。ほら、教官が来た」
その言葉通り、アニが指差す先では何人かの教官が馬に乗って走っていた。
「終了だ!!この声を聞いたものは森の中央に集まるように!緑の煙弾が目印だ!」
と、教官の一人がそう叫ぶ。それと同時に再び緑の煙弾が上がった。
「やっと終わりみたい」
「それじゃさっさと行こうぜ」
アニとライナーはそう言うと木から飛び降りて立体機動に移る。
俺もその後を追う形で中央へ向かうのだった。
明日に行われる対人格闘訓練の事を考えながら。
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次回は7月3日に更新予定です。