異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
「まさか夏休み中に学園に来ることになるとわね。それも在籍しているスターダスト異能学園とはまた違う異能学園に」
メアはアルカナ異能学園を見ながらそう呟いた。
それはとても哀愁がこもっており、いたたまれない雰囲気が生まれていた。しかし、そんな状態になる理由はメアにはないはずだ。
「なんでメアは詩的な言葉遣いになってるんだい?まったく似合っていないよ」
「私もヘルト様と同意です。先輩とのミスマッチす
ぎて鳥肌が立ってきましたよ」
ヘルトもルナも厳しい言葉を投げつける。
メアは愚直でおバカなところが良いところなのに、それが消えてしまっている。正直非常にもったいない。
「私もちょっと雰囲気あること言ってみたかったのよ!だって、ここすごいオシャレじゃない。なんか場違いみたいな感じがして、学園の雰囲気に寄ってみたの」
ここからアルカナ学園の校門が見えるが、確かにオシャレで華やかだ。それに対してうちの学園はすごくシンプルで華がない。
だから同じ異能学園でも雰囲気が全然違う。それに流されてしまったみたいだ。
「メアもそういうお年頃なのね。もうほんと知らぬ間に大きくなっちゃって」
「まったくですよ」
ヘルトとルナは悲痛な親ごっこをしながら校門を通る。それにメアはツッコミたかったが、2人がそそくさと行ってしまったので出来なかった。
追いついたら文句でも言ってあげようかしら。
アルカナ学園は内装は豪華絢爛で、この学園の生徒の身分を象徴していた。この学園の大半の生徒は貴族や裕福な家庭の者がほとんどだ。
優秀な一般生徒もいるのだが、マイノリティである。
なぜそうなったかというと、異能学園を運営するためには莫大なお金が必要なので、金銭的に裕福な人を優先的に取っている。
それでもこの学園のレベルを高く保てているのは、ただ単に裕福な家庭はそれだけ優秀な教師を雇えるということだ。異能の成長は幼少期が一番伸びるので、そこにお金をかけられるのは大きい。だから、貴族のような者ほど異能は強力な傾向がある。
もちろん例外はいくらでもあるけどね。
簡単にまとめると、お金持ちは異能が強いため勝手に金が入ってくるので施設も揃えれるし、内装や外装にもお金をかけれる。
そんな学園の職員室に相当する場所に向けて歩く。
床には深紅の絨毯が敷かれており、足音を吸収してくれる。そして壁の大理石には淡い魔力の紋様が脈打つように刻まれている。しかも照明の役割も兼ねているようで明るい。
「なんでこんな所にくることになったのよ、ほんとうに。ヘルトは何も教えてくれないし」
この学園に行くことになったと言われてから3日が過ぎた。しかも、ヘルトに同行するのは私とルナだけというのは気になる。
なぜ妹である奏はついてこないのかよくわからない。
「それはネタバレになったら面白くないでしょ。サプライズだと思ってくれていいよ」
おかしいでしょと、ルナと声を合わせて言いたかったがルナは駄目だ。彼女はもうヘルトの言う事なら何でも受け入れる状態になっている。
もうそのサプライズとやらを大人しく受け入れるしかない。
長い廊下を歩いてみると、エドュケイター室と書かれた部屋があった。おそらくあれが職員室にあたるものなのだろう。
その扉をヘルトは遠慮なくこじ開けた。
「今日はお世話になるね、先生方」
いきなりのヘルトの強襲に教師は一瞬面食らったような表情をしたが、事前に話は聞いていたのでなんとか持ち直した。
その中でも一番シワを携えた老人の先生がヘルトの元へやってきた。
「これはアリーネス公爵様、お越し下さりありがとうございます」
この人が頭を下げるのと同時に他の教師も急いで頭を下げた。あまりに動きが揃っているので逆に気持ち悪い。軍隊か何かかな?