異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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空が落ちる(比喩)

 お店で料理を楽しんでいると、時の流れは早く過ぎ去った。このままでは集会に遅刻してしまうが、ヘルトの転移があるから問題ない。

 その期待は裏切られず転移で再び学園に戻ることができた。

 

「このまま講堂に行くんだよね?」

 

「そう、裏から入って舞台袖みたいなところで待機しておけばいいんだって。それで呼ばれたら出ていくらしい」

 

 なんだか緊張するわね。この学園に何人在籍しているか分からないけど、大勢の人がいることは容易に想像できる。ルナもそれを感じているのか動きが硬くなっている。

 そんな私たちを見向きもせずにヘルトは講堂に向けて進んでいく。彼は緊張とかしなさそうだしね。どんな場面でもあのように飄々としているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 講堂の裏へと回ると少し草が生い茂っていた。邪魔だから魔法で刈り取りたくなったが我慢する。メアみたいに変な騒ぎになったら困るからね。

 後ろからメアとルナの足音がする。この2人は緊張でもしているのだろうか?いつもより明らかに歩く速度が遅い。

 まぁ、こういのは慣れるしかないか。

 

 少し入り口で待って合流してから3人で中に入った。すると、校長先生が待っていた。

 

「アリーネス公爵様、お連れの方々、お越しいただきありがとうございます。司会の者が呼びますので、それまで少々お待ちください」

 

「じゃあ大人しく待っていようか。メア、静かにできる?」

 

 いらつく顔でヘルトが言ってくる。私を子供扱いしすぎでしょ。子供なのは間違いではないけど、こんな場所で騒ぐわけないし。

 隣のルナも笑いを堪えるように口元を押さえている。この子もバカにしているようだ。

 

「出来るに決まってるでしょ。私はそれよりもヘルトが"飽きた"とかいって、ここから出ていかないかが心配だけどね」

 

 なんて互いに煽りあっていると、とうとう司会の人に呼ばれることになった。ヘルトと話していたおかげで緊張感が和らいだ。ルナも私で笑ったからか緊張感が和らいでいる。ちょっとムカつく…。

 それでも切り替えて生徒の前に出ないと。

 

 

 

 

 メアもルナも肩の力が抜けて緊張がなくなっている。これで少し安心した。

 歩くだけで床板が軋む音がする。なんだか不吉を知らせる音な気がしてならない。こんな高レベルな学園で何かあると思いたくないが、うちの学園でも色々あったからな…。

 

 

 目の前には生徒たちが最密充填構造のようにギチギチに詰まっている。集合恐怖症の人からすると地獄のような景色に違いない。

 なんて思っていると、司会のような人が僕らを紹介してくれる。

 

「こちらがアリーネス公爵様の嫡男であり、セブンキングスのお一人でもあるヘルト様とそのご学友様です。これから見学もなさるようなので、皆さんは我がアルカナ学園の恥にならないよう規律を守って接してください」

 

 先生の言葉に場の空気が引き締まった。さすがこの国トップの異能学園、優秀な生徒が集まっているようで感心してしまう。

 それでもなんか恥だとか厳しく言われてるな、大変だね〜。

 

 この学園の生徒を憐れんでいると、突如として複数の生徒が立ち上がった。この高い位置からだとすごいよく見える。何かのサプライズだろうか?

 なんて思ってもないことを考えてしまうほど状況が悪い。

 

 その立っている生徒に周りから視線が注がれる。なんでこいつらは立っているんだ?と。そんなものは無視して、リーダーのような男が高らかに声を上げる。

 

「虐げられてきた我々だが、今から反撃の狼煙をあげるのだ!」

 

 その号令と共に地面が揺れる。そのせいで生徒も先生も等しく慌てふためく。中には冷静な者もいるようで、状況を把握しようとしている。

 

 揺れは次第に激しくなり、柱が悲鳴を上げ、ひび割れが蜘蛛の巣のように広がっていく。そして、遂に限界を迎えて空が落ちてきた。正しくは講堂の天井の一部が落ちてきた。

 

 

 これはまた変なのに巻き込まれちゃったかな。

 

 このような状況でもヘルトの態度は変わらない。変える必要がない。天井が落ちるぐらいのアクシデントでは彼は笑みを深めるだけ。

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