異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
「ねぇヘルト、これが言っていたヘルトのサプライズ?」
さすがに違うと思いたいが、ヘルトなら………。
変な推測が頭に渦巻く。明らかにヘルトではなく、急に立ち上がった生徒が原因なのは明らかだ。それでも横を見ると、ヘルトは笑っている。
「これは俺のサプライズではないよ。今はまったく想定外の出来事が起きているんだ。それに無関係そうな生徒が天井に押しつぶされそうになっているんだから、助けてあげないとね」
そう言ってヘルトは手を掲げる。その声からは助けようなんて気持ちではなく、楽しんでいるような声に聞こえる。
崩れゆく天井は小さな粒のような破片だったが、それが段々大きくなっている。しかし、ヘルトの魔法が天井をはじき飛ばす。その余波で私の髪もすごく揺れる。
ルナはヘルトの魔法に感動して拍手をしている。
天井を落とそうとした者たちのリーダーは唖然としている。この講堂のサイズは1000人はゆうに入る。その天井を落とせば甚大な被害をもたらせると考えていたのだろう。しかも、公爵であるヘルトまで巻き込めるのだからラッキーだろう。
しかし、セブンキングスであることを甘く見過ぎた。それか自分を過信しすぎた。
「貴族様が邪魔をするんじゃねぇよ、俺たちはここで皆死ぬんだよ!こんな腐れた場所に居たって俺らがダメになるだけなんだ」
リーダーの目は見開かれ、血走っている。声も震えていて掠れてきていた。周りの生徒は危険を察知して距離を取り始める。
それに反して仲間と思しき者たちが集まり始めた。教師たちは生徒の安全確保のために走り回っているため、対処まで手が回っていない。
ヘルトは変な集団の注目を集めるために大声で話し始める。
「君たちがどんな理由でこんなことをしているか分からないけど、俺が相手になってあげるよ。胸を借りる気持ちでかかってきてね」
ヘルトは少しカッコつけて言い放つ。
すると、どこからか黄色い悲鳴が聞こえてきた。その声はルナも含まれているのだが、アルカナ学園からの声もある。ここでもヘルトはコアな人気があるようだ。それより残ってないで早く逃げなさいよ…。
「お前ら、俺たちの意地と力を見せつけるぞ!」
リーダーが号令を発した。すると、点々と魔力が高まりだした。その照準は全てヘルトに向いている。講堂内からは生徒が続々と避難しているので、ようやく自由に戦えるようになった。
都合のいいタイミングで魔法が俺に届く。その魔法はバリアで受けるのではなく、同じ系統の魔法で相殺することにした。なぜなら、その方が力の差を実感しやすいだろうからね。
普通は相殺しようとすると魔力の偏りが生まれて周囲に飛散する。しかし、ヘルト程の技量があれば相手の魔法に完全に合わせることができる。たとえそれが複数人の魔法だったとしても、処理方法自体は変わらない。ただ人の限界を超えて、高速化すればいいだけだ。
なのに、リーダーの生徒はそれを知らないのか後ずさる。
「それだけで攻撃は終わりなの?君たちはこのままだと腐っちゃうんでしょ。なら、もっと抗わないと!」
ヘルトは敵に対して発破かける。すると、後ずさっていた足に力がこもる。
すっかり彼に乗せられてしまったようだ。こうなってはヘルトの思う壺だ。
リーダーはこの場に残っている仲間に向けて必死の覚悟で言う。
「貴族様に力を見せつけるために魔力を貸してくれ」
仲間の魔力を集めて一つの魔法を完成させる。虐げられ、日陰で生きてきた者たちの血と涙の結晶。それが今放たれようとしている。
そんな中でヘルトは最低なことを考えていた。
なんか味方の魔力を集めて必殺技を放とうとしてるけど、ここで邪魔してみたらどうなるかな?こっちからすると、彼らの事情など知らないのだから汲み取る必要などない。
けれどまぁ、汲み取ってあげるか。
リーダーから黒よりも暗い色の魔法が放たれた。
【黒天砲撃】
色んな魔力が集まっ黒に染まった砲弾が目の前に迫る。それが現状半壊の講堂にこの攻撃は決定打となった。完全に天井は崩れ、重力の影響を受けて自由落下する。
意図せずにヘルトは正面と上側から挟まれた。