異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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第110話 制圧後の対応

 さて、どう対処しようか。上の落ちてくる天井を吹き飛ばすか、目の前の魔法を防ぐか。それともメアかルナに片方任せるか。

 

 こんな状態になっても彼はこんなことを考える。それだけ余裕があるのはよいことだが、あまりにも悠長だ。いつか足をすくわれるかもしれない。

 

 

 いや、これぐらいなら同時に済ませてしまおうかな。なにかあっても責任はエリオットにとってもらえばいいだけだし。力を出そうか。

 異能解放を行使しようと魔力を高めていると、聞き馴染みのある声がした。

 

「もうお師匠様、好き勝手しすぎですよ。ここで異能解放なんかしたら校舎も壊れちゃいます。だから、私に任せてください」

 

 颯爽と崩れた天井の残骸の上に詩乃が悠然と立つ。しかも異能の影響で周りの空間が歪んだり、引き裂かれたりしている。

 その光景にヘルト以外の者は自分の目を疑った。あまりにも非現実すぎたのだ。

 

「こうなったら俺も矛を収めるしかないね」

 

 異能解放の行使を中断する。人を制圧することにおいては詩乃の右に出るものはいない。なぜなら細かく対象を指定できて、威力まで設定できるから非常に有用だ。 

 

 詩乃は瓦礫の山を軽快な足音で歩き、立ち止まった。

 

「そうです、お師匠様はそうしておいてください」

 

 私は見ず知らずの複数の生徒に異能を行使する。すると、生徒は力なく重力によって地面に沈む。うめき声や苦しそうな声が聞こえるが、意識を手放すまで行使を続ける。

 お師匠様に牙を向ける者は潰しておかないと。

 

 

 圧倒的な力を振りかざしている様子を見てルナは一人考える。

 あの人はセブンキングスでヘルト様の一番弟子である氷上詩乃だ。「滅圧の女王」と呼ばれ、ヘルト様への好意を隠そうとツンツンしているが周りにはバレバレなことで有名な人。

 異能は重力操作。重力を強くして相手を潰したり、任意の場所に引きつけたりできる。問題はその出力で彼女の異能ならば星の重力を限界まで上げると、重力崩壊を起こし超新星爆発となる。なんて異次元な噂がでるほどらしい。

 そもそも、そんなことをしても氷上さんも巻き込まれて死ぬだけだと思いますけど。

 

 私もヘルト様の隣に立つにはあれぐらい強くならないと。最低でも序列の一桁ぐらいにならなければ…。このままでは私はヘルト様におんぶに抱っこされているだけだ。

 

「この人たちはどう始末しますか?」

 

 物騒なことを詩乃は真顔で言ってのける。彼女に犯罪者関係のことを任せていたから、あっちに染まってしまったみたい。なんだか初めて出会った時の詩乃に似ているかも?

 少し懐かしさを感じる。

 

「もう異能を解いちゃって良いよ。これからは僕が彼らと話し合ってみるから」

 

 そう言うと一斉にこちらを見てきた。

 

「大丈夫なの?そんなことして」

 

「そんなの危険ですよ。万が一ヘルト様の身に何かあったら私は……」

 

「私がせっかく捕まえたのに」

 

 三者三様の意見を投げかけてくる。一番弟子からだけ心配されていないのは悲しくなってしまう。けど、心配なんていらないんだけどね。

 それよりルナは何を言いかけてるんだ?不穏すぎて怖いんだけど。

 

「分かりましたよ、解除します」

 

 詩乃は不満そうに異能を解く。これで彼らにのしかかっていた重力が元の星の値に戻る。

 胸が圧迫されて呼吸がしずらかったのか激しく息を荒げている。まともに話せるまで待ってあげた方がいいかな。

 

「な、なんで俺たちを解放した…!」

 

 せっかく待ってあげてたのにリーダーは途切れ途切れだが、喋り始めた。

 なんで変に無理するかな〜。

 

「君たちがこんなことをした理由が気になってね。腐れた場所とか言っていたけど、この学園でなにがあったんだい?」

 

 彼らの目をまっすぐと見据えて問いかける。すると、呼吸を落ち着かせながらゆっくりと事情を話し始めた。

 

「俺たちはいじめられてたんだ。学園の雰囲気とシステムに」

 

 雰囲気とシステムに?なにをいっているんだ?

 

 心からひねり出されたような声だったが、この場にいる人に意味は伝わっていなかった。

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