異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
ルール説明があった後、係員の先生の誘導で最初にもくぐった巨大なゲートを使用して、先程までとは違うエリアに行くようだった。
なので、係員の先生がルール説明の補足をメガホン越しにしていた。
「この特別イベントで戦闘不能になっても、ここに送還されるだけなので安心してください」
生徒の心情的にはやはり相手がセブンキングスなので不安感でいっぱいな人が多かったが、係員の先生の一言で生徒間の不安や緊張が少し緩和されて和やかな雰囲気になりつつあった。
その雰囲気のまま全ての残っている生徒がゲートをくぐり抜けて、新たな特設ステージである"大平原"にワープした。
自動的にヘルトとその他の生徒で距離が離されていつでも戦える状態になっていた。
開始から時間がある程度経っているとしても残っている生徒はかなりの人数が残っていたため、あちらこちらから喋り声が飽和していたのでそれを遮るように係員の先生がスピーカー越しに話した。
「それじゃあ開始の合図をしますので、"スタート"と私が言ったら各々自由に攻撃を始めてくださいね」
先生からもうすぐ始まることが知らされた途端に空気が一変し、ピリついた雰囲気になって皆の顔が真剣なものに変わった。
「それじゃあいきますよ!3・2・1・スタート!」
スタートの合図とともに、近距離主体の生徒は身体に魔力を溜め身体強化でヘルトに近付こうと走り出し、遠距離主体の生徒は多種多様な異能による攻撃がヘルトに向かって飛んできていた。
その景色は圧巻でまるで戦争が起こっているかのような光景で思わず目を覆いたくなるほどの光がその場に満ちていた。
「皆さん張り切ってるね〜」
ヘルトは自分に攻撃の矛先が向いているにも関わらずいつもと変わらない様子で余裕綽々としていてが、のんびりとした動作で手のひらを開いて天に掲げた。
「じゃあ、強者以外はお帰り願おうかな【炎葬花】」
ヘルトの手のひらの上に魔力によって生み出された莫大なエネルギーを、超高圧縮して真っ赤な花を模した形に変形させた。
その魔力で生み出された真っ赤な花の中心から光速に近い速度で放たれた光線が生徒を包んだ。
「「「「「うわああああああっ!」」」」」
一部の生徒を除き、ほぼ全ての生徒がヘルトの魔法をくらってしまった結果、強制退去が発動してさっきまでの喧騒がかき消された。
ヘルトは自分が見込んだ実力のある生徒なら耐えきれる威力に加減した魔法を行使したのだが、1つイレギュラーがあった。
「(これでようやく楽しめ…あれ?あの女の子俺の魔法を耐えきったのか)」
ヘルトは異能のおかげで魔法を完璧な精度で行使できる為、強い生徒を頭にインプットしていてその生徒だけが残るだろうと思っていた。
しかし、その生徒の他に人だけヘルトの知らない生徒が、おどおどした様子で立ちすくんでいるのを探知魔法で感知した。
「(面白いね…ちょっと話しを聞きに行こうかな【超越転移】)」
この特設ステージはヘルトと同じセブンキングスが作成したゲートなので本来は転移などの移動手段は使えないような設定になっているのだが、ヘルトの【超越転移】はこの世界のルールに縛られること無く転移できるオリジナル魔法であった。
ヘルトは【超越転移】を行使し、おどおどしている女生徒の前に転移した。
すると女生徒はさっきまでかなり遠くに居たはずのヘルトがいきなり目の前に現れたので驚きのあまり腰を抜かしてその場に倒れ込んでしまった。
「いたたたた…」
ヘルトは「(少し驚かせ過ぎちゃったかな?)」と思ったので、その女生徒に起き上がる手伝いをするために顔をのぞき込みながら手を差し出したのだが、思いも寄らない反応が返ってきた。
「…ああああああの、わわわ私なんかがセブンキングスの方に触れるなんて…」
(…顔近い!顔近い!しかも良いニオイもしてくるし…)
女生徒は極度とまではいかないが、かなりの人見知りなのでこんな近い距離に異性がいる事が無かったのと、相手がヘルトというのも相まって緊張のメーターが完全に振り切っていた。
「別に俺はまったく気にしないから早く」
女生徒はヘルトに催促されてしまったので、緊張しながらその手をとって起き上がることが出来たが、スムーズに会話をすることがままならない状態だった。
※【炎葬花】は攻撃魔法ではなく相手の動きを鈍らせる魔法なのですが、魔力の光線を放つ程度の事は出来るのでルール的にはグレーです。