異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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凡人上がりの男

 序列10位のヤンキー風の男、黒澤(くろさわ) (れつ)

 

 異能は特筆するほど強く無かったが、己の努力を積み重ねまくった結果、自らの拳のみで序列10位にまで上り詰めた傑物。

 その姿に憧れて彼の子分になりたいという生徒が年齢かまわず、押しかけて来た時期もあったほど有名で慕われてもいた。

 しかし素行は悪く、最終的に彼のもとに残った生徒はガラの悪い生徒しか居なかった。

 その結果、ガラの悪い者どものリーダーとなり、責任感やプライドが大きくなった。

 そのため、相手が自分より圧倒的な格上であるセブンキングスの上位だとしても、負けるわけにはいかなかった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ハンデがあるからって負けても文句言わせねぇからな!」

 

 彼の声には有無を言わせぬ迫力があり、周りの空気も振動していた。

 

 しかし、ヘルトは一貫して変わらぬ態度を貫いていたが相手の声が大きかったので、謎のダメージをくらってしまっため少し顔を顰めながら同意した。

 

「それで構わないさ、でも俺はセブンキングスとして当然の勝利を掴むだけさ」

 

 この勝負は互いのプライドをかけた戦いのため、戦い始める前に自分の序列と名前を名乗るというのが学園のしきたりになっている。(セブンキングスは異名も名乗る)

 

 そのため互いにバチバチの雰囲気の中、しきたりどおりに名乗りをおこなった。

 

「序列10位、黒澤 烈」

 

「序列3位、()()()()()ヘルト・アリーネス」

 

 名乗りを終えたのですぐに攻撃をして良いのだが、互いに相手の動きを見たいので初動は身体強化を限界まで高めていた。

 

 しかし、これでは埒があかないと思って烈は小手調べとして最初も使った拳を振り出しての衝撃波を放った。

 だが結果は変わらず、片手間で振り払われてしまった。

 

「同じ技を使ってくるとは、芸が無いね」

 

「…アンタ本当に魔法使いか?この威力をこうも簡単に相殺して」

 

 ヘルトはもちろんこの質問に首を縦に振った。

 

 逆に、これほどの威力で自分をどうにか出来ると思っている烈の考えがおかしいと思っていたほどである。

 

 今度はヘルトの方から攻撃を加えようとした。

 

 烈視点からすると、眼前にいきなり拳が迫ってきていた。

 咄嗟に頭を傾げて拳を避けようとしたが、間に合わず頬が切り裂けてしまった。

 

「あれ?真面目に頭を潰そうと思ったんだけどな」

 

「ナメんじゃねぇ!」

 

 パンチの為に伸びた腕に肘打ちをぶちかまし、ヘルトに1撃与えて軽く吹き飛ばした。

 すぐさま姿勢を低くすると、地を這うようにヘルトに接近する。

 

 ーーだが。

 

 そんな烈の眼前に、前蹴りが襲ってきた。

 

「……ッ」

 

 反射で後方に大きく飛んだ。

 

 しかし、後ろに下がった場所にもまたさっき見た足のお出迎えがあった。

 

「…グハッ…」

 

 烈は背中に蹴りがクリーンヒットしてしまい、かなりのダメージを負ってしまった。

 

 だが、この痛みによって自分と相手の差を再確認して決意を固めた。

 

「そんなグダグダしてると、あの見てる子達に笑われるよ」

 

 ヘルトの言ったとおりに少し離れた所で見ている3人からは「(やっぱりこうなるのね)」みたいな雰囲気で佇んでおり、烈のイラつきはピークに達していた。

 

 その時ヘルトは相手の視界から消えるため、上に高く飛び死角から蹴りを決め込んだ。

 少し離れた所でみているオーディエンスからすると、勝負がついた。

 

 ーーと思われていたが、なぜか逆にヘルトの方が吹き飛ばされていた。

 

「異能解放」

 

 烈は切り札である異能解放をとうとう使った。

 

 その時に発生した莫大なエネルギーの余波で、ヘルトを跳ね返した。

 そのエネルギーは彼の身体から迸り、周囲のことごとくを近寄らせないほどの圧が、この場に飽和していた。

 

「戦いは一方的だとつまらないからね、これでようやく面白くなってきたね」

 

 ヘルトは吹き飛ばされたにもかかわらず、相手が本気を出してきたことに対し高揚感が湧き上がってきていた。

 その証拠に口角は少し吊り上がり、深淵のような金色の瞳も煌々としていた。

 

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