異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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忘却されし男の非情

「…どうしたら良いんだろう…」

 

 精一杯の攻撃が儚く散ってしまった衝撃で、頭が混乱してしまっていた。

 

 相手のメア達も混乱しているのは同じだが、今度は本物の威力をもった攻撃がくるかもしれないので、攻めざる負えなかった。

 

「"吹っ飛べ"」

 

 イザベルの異能で優奈は後方に吹き飛ばされてしまった。

 

 その背後にメアが急いで回って、レイラと挟む形にもっていくことに成功した。

 

「これならどう【煉獄閃】」

 

「この刃からは逃がさない」

 

 メアの大技と、レイラの魔力を込めたナイフを複数投げることによって、初撃よりさらに火力をあげてバリアの貫通を狙っていた。

 

 しかも2人で挟んでいるため、先程見たバリアでは一方面しかカバー出来ていなかったので、さらに異能を行使しないといけない状態に持ち込んだ。

 

「…いてて、そういえばヘルト君は私にバリアを攻撃に転用出来ないか聞いてくれた時、形を変形させるとか言って無かったかも…」

 

 吹き飛ばされて起き上がった瞬間には、2人からの攻撃が迫っており、普通ならその対処に全神経を割かなければならないはずだが、優奈は自身をまるまる覆うバリアをすぐに展開していて思考に没頭する時間を稼いでいた。

 

「(バリアで相手を押し潰したり、飛ばして遠くの相手に当てるみたいな?)とヘルト君は言っていたような気がする…」

「…ってことは、わざわざ武器の形にしない方が逆に良いって事だよね…」

 

 優奈が呑気に考え事をしている最中にもメア達の集中砲火をくらっていた。

 

 しかし、驚くことに優奈のバリアはその猛攻に耐えきっていた。

 

「チッ…どんだけ硬いんだよ!」

 

「どれだけ魔力をあげたのよヘルト!」

 

 2人が文句を言っている中、ブレインも兼ねているイザベルは攻略方法を考えていた。

 

「私の異能はきちんと効いてるみたいだけど、消費がかなり激しい…正面から倒すのはキツそうだから裏をかかないと」

 

 相手が思ったよりもかなり手強いので、思考を高速で回転させていた。

 

 すると戦いが始まる少し前に、「俺1人でしか出来ない作戦がある!」と言って最前線を離れた者がいたことを思い出した。

 

「あの人が言ってた作戦は分からないけど、多分無意味に終わるだろうからな…」

「(…ヘルトさんはいつも私に厳しすぎ…)」

 

 戦いも佳境に入ってきており、優奈は先程気が付いた事を実戦するべく、空中に魔力を込めたバリアを待機させていた。

 そして、イザベルの言っていた"あの人"の作戦が今、発動しようとしていた。

 

「(ヘルトは俺のことなんて忘れてるだろ、わざわざこんな遠回りしたんだがら)」

 

 "あの人"はヘルトが烈と戦っている時から移動を開始しており、今になってようやくヘルトの背中が見えてきていた。

 しかも、炎の音や武器達がバリアに弾かれている音で足音がかき消されていたので、作戦に向かい風だった。

 

「(自分の考えた作戦が、自分に牙を剥いてくるとは思ってもいないだろうな!)」

 

 "あの人"はヘルトが負ける所を1回も見たことが無かった。

 

 なので、自分が初の黒星をつけてやろうと画策していた。

 

「(これでお前もおしまいだぜぇ!)」

 

 ヘルトは魔法系統では、どう足掻いても傷をつけることは叶わないことは分かっていたので、シンプルな銃火器を用意していた。

 

 そして、警戒のけの字も無いヘルトの背中に、隠し持っていた予備の拳銃の標準を合わせて後頭部に目掛けてトリガーを引いた。

 

 "ズバァン"と発砲音が響いてヘルトの後頭部を貫こうと進んでいった。

 

 しかし、"あの人"の作戦はヘルトには筒抜けで、反射のバリアを張られていて銃弾がさらに威力をもって跳ね返された。

 

「…グハッ!…」

「…な、何でだよ!俺の作戦は完璧だったはず」

 

 その顔には本気で自分の作戦はバレないと思っていたようだった。

 ここでヘルトは自分がキリカとメア達が戦う時に教えた、策の致命的な欠点を思わず笑いそうになりながら伝えた。

 

「キリカは索敵の類が苦手だから通じただけで、俺相手にそんな作戦は自爆と同義だと思うがいいさわ、た、る」

 

「クッソォ〜!」

 

 渡の叫び声は虚しくも、優奈やメア達の戦闘音で全てかき消されてしまって、味方には存在すらもまったく気付かれず退場することになってしまった。

 

 ヘルトが渡に意識を割いていた間も戦況は常に移り変わり、渡がいなくても時間の進みは変わらずこの世はやはり残酷であった。

 

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