異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

4 / 112
醜形恐怖症の少女

 学園まで続く並木道を歩いている途中に、メアは隣にいるヘルトに怪訝な目を向けた。

 

「ヘルトってさ、なんでそんなに歩くのが遅いの?」

 

「俺は普段瞬間移動を使って登校しているんでね…しかも俺、魔法使いだから筋肉無いんだよね」

 

「瞬間移動で登校?それって冗談よね??だって瞬間移動って、その道のプロの魔法使いが4〜6人集まってようやく使えるレベルの魔法よね…」

 

「おぉ〜良くそんなことを知っているね、でも俺は例外みたいなものさ」

 

「ヘルトってもしかして凄い魔法使いだったりする?」

(もし強いんだったら、戦ってみたいわね)

 

「さあ?どうだろうね?」

 

「もぉ~なんで、はぐらかすのよ!」

 

 その後も2人で雑談をし、学園の昇降口の前に着いた頃、謎の人だかりが出来ていた。

 

 そこで、メアがその場にいた1人に話しかけた。

 

「何があったのかしら?」

 

「あそこに見えるでしょ…」

 

 メアとヘルトが、視線を動かした先には、多量の血痕が残っており、その場で事件が起こっていることを如実に表していた。

 

「最近、この学園内で連続傷害事件が起こっているらしくて、今日の明け方に血だらけの女生徒が、そこで倒れていたらしいのよ…」

 

「しかもその被害にあっているのは、みんなキレイな女生徒らしいのよ…だからあなたも、気を付けてね」

 

「そ、そんな事があったのね」

 

「この学園も、ずいぶん治安が悪くなってきたね」

 

("あの女"が風紀委員長を務めている、風紀委員のメンバー達が取り締まっているはずなのにな…少し楽しくなってきたね)

 

「なんで笑っているのよ、不謹慎でしょ!」

 

「おや、笑っているつもりは無かったんだけどね」

 

 傷害事件が立て続けに起こっていることが、瞬く間に学園中に広がってしまって、学園はお通夜ムードだった。

 

「おいヘルト、どうなっているんだ?2週間も犯人が捕まって無いなんて」

 

「相当隠れるのが、上手いんだろうな」

 

 質問を答えているさなかに、ヘルトは珍しいことに口角が少しだけ上がっていることを、渡は気が付いていた。

 

「もしかして、犯人をもう見つけたのか?」

 

「ああ、今朝俺の隣にいたメアに殺気のようなものが、向けられていると思ってね、その相手を探し出してマーキングしておいたのだよ」

 

「流石だな!やっぱり俺達のような奴とは、格が違うな!」

 

「帰りの時間が待ち遠しいね」

 

 

 1人の男子生徒が不敵に笑っている少し前、学園の女子トイレで、狂ったように笑っている女生徒がいた。

 

「ハハハハハ…最高の気分だわ!あのキレイな面を、真っ赤な血で汚してやったわ!次はあの、転校生の女よ!ハハハハハ」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 学園の授業が全て終わり、ヘルトは隣の席のメアに声をかけた。

 

「今日は一緒に帰らないかい?」

 

「ええ、別に構わないわよ」

 

「なんかあの2人、仲良さげじゃない?」「もしかして付き合ってたり、するのかな…ヘルト君…」「メアさんは、あんな奴に渡さない!とか言いたいけど相手があのヘルトだしなぁ〜」

 

 2人が去った後の教室では、あの2人が付き合っているんじゃないか?という話題で持ちきりになっていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 先程までは、下校中の生徒がちらほら見えていたが、今となっては、周りから人の気配が無くなっていた。

 

「この学園は、世界最高と言われるだけあって、授業のレベルが高いわね!」

 

「それがこの学園の売りの1つだからね」

(そろそろか…)

 

「すまないが先に帰ってくれるかい、少々野暮用を思い出したからさ」

 

「分かったわ」

(ヘルトが、今朝と同じ表情をしている?のかしら)

 

 ヘルトは仄暗い路地裏に、1人で進んでいった。

 

 (よくこんな薄汚い所にいれるな)

 

 ヘルトが路地裏を歩いている最中に、背後の少し高めの位置から少女の声が、聞こえてきた。

 

「獲った!!」

 

「…あれ?いないだと?」

 

「こっちだよ」

 

 先程まで、目の前にいたはずなのに、瞬きした瞬間には、消えていてヘルトが女生徒の後ろに、まるで何事もなかったかのように立っていた。

 

「自分の姿を消す素晴らしい異能を持っているのに、殺気や声を出しちゃあ駄目じゃあないか」

 

「くっ…!黙れ!」

 

 女生徒は、両手にパターナイフを再び強く握りしめた後、何度も何度もヘルトに対して、ナイフを振り下ろした。

 

 だが、ヘルトに一撃を与えることすら、叶わなかった。

 

(なんだ?この強度のバリアは?魔力でバリアを張るにしても、こんな強度の高いバリアを張ることは、不可能なはず…)

 

「いくらやっても無駄だよ」

 

「そんなはず無い!こんな強度を保つためには相当な魔力を使うはず!」

(ってことは、持久戦で勝てる!)

(でも、早くあの女の所に戻らないと、見失っちゃう!)

 

 その時、接敵の場所から攻防のせいで少し立ち位置が変わり、夕日の明かりがヘルトの顔をハッキリと映した。

 

「え………」

「もしかして…セブンキングス序列3位金色の魔王ヘルト・アリーネス……」

 

 "カラン"

 

 あまりの衝撃に女生徒は、頭が真っ青になり両手に持ったナイフを落としていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。