異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
犯人の少女は、あまりの衝撃から気を失って、走馬灯のようなものを見ていた
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全身鏡の前で、叫びながら顔を掻きむしっている、"可愛らしかった"少女が佇んでいた。
「醜い!醜い!醜い!何で私はこんなに醜いの!周りのみんなが友達と遊んでいる間も、自分をキレイにしようと、血が滲むような努力をしてきたのに!」
少女は物心がつく前から、モデルやアイドルなどの、華やかな人達に強い憧れを持っていた。
「羨ましいなぁ、私もこの人達みたいにキレイになりたいなぁ〜」
「ルナちゃんも、将来はこの人達に負けないほど、キレイな人になれると、私は思うよ!」
ルナに話しかけた少女は本気でそう思っていた。
実際、それほど現段階ではルナはとても可愛かったからだ。
しかし、ルナはプラスの方面で受け取ることは今の心境では出来なかった。
「アナタに何が分かるのよ!そんな簡単に言わないで!」
「う…うん、ごめんね」
ルナは普段は良い子なのたが、顔の頬に事故でついた異能によるやけどの跡があり、それがコンプレックスだった。それのせいか、時々みせる凶暴的な一面に、周りの人々は彼女から離れてしまった。
なのでルナは"孤独"になってしまった。
「私のことを理解してくれる人は、誰もいない…」
「でも、それでいいの…」
この後のルナは、家族の静止もまったく聞かずに、ストレスなどの影響で自傷行為を繰り返していた。
"パリン" "ガシャン"
「あ〜あ、鏡を殴って壊しちゃった…」
ルナの小さな手は、血まみれで、非常に痛々しかった。
「物に当たっても、この気持ちは収まらないな…」
ルナのストレスがマックスになった時、"憧れ"の感情が反転して、"憎悪"に変わっていた。
その後も、ストレスや鬱憤が溜まりに溜まっていって、そのはけ口が高校生になってから、ついに人に向けられるようになってしまった。
「ハハハハハ!このキレイな顔を、グチャグチャにする感覚、最高!」
幸か不幸かルナの異能は、周りの景色と同化して自分の姿を消すことが出来た。そのおかげか、風紀委員に見つかることも無く、4人の女生徒が被害にあうことになってしまった。
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少女が気を失ってから、目を開けるとそこには、見知らぬ天井が広がっていた。
「ずいぶん寝ていたね」
すぐ隣から優しげにも、無感情にもとれる、不思議な声がした。
そこで、ようやく他人に自分の顔を見られていることに気づき、少女は急いで顔を隠した。
「私のことを見ないで!!」
「おや?どうしてだい?」
「だって私は…すごく醜いから…」
少女は本気でそう考えていた。
しかし、ヘルトはまったく少女が何を言っているか分からなかった。
「醜い?どこが?俺の目には、ただの美少女にしか見えないけどね」
「嘘よ!だって私、全身傷だらけでブサイクだし…」
「ブサイク?1回鏡を見たほうがいいんじゃないかな?」
ヘルトは少女のために魔法で鏡を作って、少女の姿を映して見せてあげた。
「えっ…これが私?」
鏡を見た途端、少女の体に電流が走った。
たしかに"美少女"と言ってもまったく違和感の無い容姿に戻っていた。
「当たり前だよ」
「…だって…私…の頬の傷が…」
「ああそれね、それなら俺が治しておいたよ」
ヘルトはなんでもないように言った。
しかし、その姿を見て少女は困惑した。
「だって、どんな回復系の異能力者でも治せなかったのに…」
「俺を、誰だと思ってるの?"セブンキングス"だよ、これぐらいは普通に治せるさ」
その声には説得力があった。
なぜなら、それほどセブンキングスの名には力があった。
「でも、あなたに対して刃を向けた私に、なぜここまでしてくれるんですか?」
「それはね君の異能は、この学園の風紀委員にも見つからない程の強力な隠密系の異能だ」
「だから、君には手伝って欲しいんだ」
少女はどんな事を言われても了承するつもりだったが、相手がセブンキングスとなると自分では考えつかないような、恐ろしい実験のスケープゴートにされる可能性がまだあったので少し怖かった。
しかし、恐る恐る手伝いの内容を聞いた。
「な、なにを…ですか?」
「別段変わったことでは無いよ、ちょっと俺の学園生活が、楽しくなる手伝いをして欲しいんだよ」
「わ、私にできる事ならなんでもします!」
(この方は私の頬や、全身の傷を治してくださった!絶望の淵にいた私を、救ってくださった!この命は、ほぼヘルト様のもの、といっても過言ではないはずです!)
(だから、ヘルト様は私を"ステナイ"ですよね…)
「フフ、ありがとうね」
(思いも寄らない、有能な駒を手に入れたな)
ヘルトは新しい駒を手に入ったことを喜んでいるばかりで、ルナの瞳の奥に映る狂気を気付くことは出来なかった。
「そういえば、君の名前はなんて言うのかい?」
「私の名前は、藍月《あいつき》ルナ 1年生です!ヘルト様はたしか2年生でしたよね?」
「ああ、そうだよ」
「ってことは、先輩ですね」
ルナの笑顔はとても眩しく、ヘルトの汚れきった心にはかなり沁みていた。